- Anthropicが2026年6月1日、上場のための「機密S-1」をSECに提出しました
- 会社の評価額は9650億ドル(約154兆円)。ライバルのOpenAIを初めて追い抜きました
- 売上は2025年末の90億ドルから、2026年5月には470億ドル超へと約5倍に急成長しています
- 上場は早ければ2026年10月。評価額は1兆ドル(約160兆円)を超えると予想されています
- 日本の個人投資家も、上場後はSBI証券や楽天証券などを通じて株を買える可能性があります
「ChatGPTのライバル」として知られるAI企業Anthropic(アンソロピック)。そのAnthropicが、ついに株式市場への上場(じょうじょう=会社の株を誰でも買えるようにすること)に動き出しました。評価額はなんと約154兆円。あのOpenAIを初めて追い抜いたこのニュースを、やさしく読み解いていきます。
Anthropicが起こした「事件」とは?
2026年6月1日、大きなニュースが流れました。
AI企業のAnthropicが、アメリカのSEC(証券取引委員会=株式市場を監督する役所)に「S-1」という上場のための書類を提出したのです。
S-1とは、会社が株式市場に上場するときに必ず出す「自己紹介書」のようなものです。会社のもうけや事業の中身、リスクなどをくわしく書きます。
つまりAnthropicは「もうすぐ、みんなが買える会社になりますよ」という準備を始めた、ということです。
Anthropicってどんな会社?
Anthropicは、対話型AI「Claude(クロード)」を作っている会社です。
2021年に、OpenAIを辞めたメンバーが立ち上げました。「安全なAIを作る」という考え方を大事にしている点が特徴です。
いまでは、文章を書いたりプログラムを組んだりするAIとして、世界中の企業に使われています。
「機密S-1」ってなに?ふつうの上場と何が違う?
今回の提出には、ちょっと変わった点があります。
それは「機密(きみつ)」つまり中身を非公開にした状態で出されたことです。これを「機密S-1」と呼びます。
ふつうのS-1は、出した瞬間に誰でも中身を読めます。でも機密S-1は、しばらくのあいだ内容を世間に見せなくてすみます。
これはアメリカの「JOBS法」という2012年からの仕組みです。売上などの大事な数字を、上場の直前まで隠しておけるのです。
なぜ隠すのでしょうか。理由はかんたんです。早くから数字を全部見せると、ライバルに手のうちを読まれたり、悪い報道で評判が下がったりするからです。
就職活動で、内定が決まるまでは応募先を周りに言わないのと少し似ています。準備が整うまで、静かに進めたいわけです。
評価額154兆円を支える「異常な」成長スピード
今回いちばん驚かれたのが、会社の値段です。
Anthropicの評価額は9650億ドル(約154兆円)。これは上場の直前に集めた650億ドル(約10兆円)の資金調達で決まった金額です。
どれくらいすごい数字か、成長の速さで見てみましょう。
- 2025年3月の評価額:約615億ドル(約9.8兆円)
- 2026年6月の評価額:約9650億ドル(約154兆円)
たった1年ちょっとで、会社の値段が約15倍にふくらんだのです。
売上も5倍に急増
会社の値段だけでなく、実際のもうけも急に伸びています。
売上の年換算ペースは、2025年末の90億ドルから、2026年5月には470億ドル超へ。わずか半年ほどで約5倍になりました。
この伸びを引っぱっているのが企業のお客さんです。売上の約8割が会社からの注文で、世界の超大企業「フォーチュン10」のうち8社が顧客になっています。
とくにプログラム作成を助けるAI「Claude Code」が、エンジニアの間で大人気になりました。年間1億円以上を払う大口客は、2026年2月の500社から4月には1000社超へと倍増しています。
OpenAIとの一騎打ち|AI上場レースを比較
このニュースが熱いのは、ライバルとの順位が入れかわったからです。
これまでAI業界の王者といえばOpenAI(ChatGPTを作る会社)でした。ところが評価額でAnthropicがOpenAIを初めて追い抜いたのです。
3社の状況を整理してみましょう。
- Anthropic:評価額9650億ドル。2026年10月にも上場か。Claudeが主力
- OpenAI:評価額8520億ドル(2026年3月時点)。同じく秋に上場準備中。ChatGPTが主力
- SpaceX:評価額2兆ドルをめざす。イーロン・マスク氏の宇宙企業
実は、企業向けAI市場のシェアでも逆転が起きています。2026年4月、Anthropicのシェアは34.4%となり、OpenAIの32.3%を初めて上回りました。
2026年は、この3社が次々と上場をめざす「巨大IPOの年」になりそうです。市場がAIブームをどう評価するのか、世界中が注目しています。
日本のわたしたちにどう関係する?
「アメリカの会社の話でしょ?」と思ったかもしれません。でも、日本の私たちにも関係があります。
上場後は日本からでも株を買える
いまのAnthropicは未上場なので、個人が直接その株を買うことはできません。
でも上場が実現すれば、状況が変わります。SBI証券・楽天証券・マネックス証券といった、米国株を扱う日本の証券会社を通じて買えるようになる見込みです。
ただし注意点もあります。アメリカのIPOは機関投資家(銀行や年金などのプロ)への配分が大きく、個人にまわるのは全体の5〜10%ほど。日本からだと、さらに手に入りにくいと言われています。
いま注目するなら「間接的な投資」
上場を待てない人向けに、間接的な方法もあります。
たとえば、AI企業をまとめて買えるETF(複数の株を詰め合わせた金融商品)の「AIQ」や「BOTZ」。あるいは、Anthropicに出資しているGoogleやSamsungといった大株主の会社に投資する方法です。
もちろん投資にはリスクがあります。「絶対もうかる」話ではない点は、しっかり頭に入れておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. Anthropicはいつ上場するのですか?
正式な日はまだ決まっていません。ただ、早ければ2026年10月ごろという見方が多いです。SECの審査が終わったあとに、本番の上場へ進みます。
Q2. 株はどこの市場に上場しますか?
ナスダックかニューヨーク証券取引所(NYSE)が有力とみられています。ただし、取引のときの略称(ティッカー)や上場先は、まだ正式発表されていません。
Q3. 評価額1兆ドルってどれくらいすごいの?
1兆ドルは約160兆円です。日本のトヨタ自動車の時価総額(約60兆円前後)の、およそ2.5倍にあたります。創業からわずか数年の会社としては、まさに異例の規模です。
Q4. AnthropicとOpenAIは何が違うのですか?
どちらも高性能なAIを作る会社です。Anthropicは「AIの安全性」をとくに重視し、企業向けのプログラム作成などで強みを持ちます。OpenAIはChatGPTで一般の知名度が高い会社です。
Q5. 日本語でClaudeは使えますか?
はい、使えます。ClaudeはWebサイトやアプリから日本語で利用できます。文章作成や要約、翻訳など、日常の作業を助けてくれます。
まとめ
今回のポイントを振り返ります。
- Anthropicが2026年6月1日、上場のための機密S-1をSECに提出した
- 評価額は9650億ドル(約154兆円)で、ライバルのOpenAIを初めて逆転した
- 売上は半年で約5倍、企業向けAIシェアでもOpenAIを上回った
- 上場は早ければ2026年10月。評価額1兆ドル超も予想される
- 上場後は、日本の証券会社経由で株を買える可能性がある
まずはAnthropicのAI「Claude」を実際に触ってみて、この会社のすごさを自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか。

