- 米Poolsideが無料のコーディングAI「Laguna XS 2.1」を2026年7月2日に公開しました
- 一部のプログラミング性能テストで、Anthropicの「Claude Haiku 4.5」を上回りました
- ネットにつながず、36GBメモリのMac1台で動く「ローカルAI」です
- 商用利用OKの許可的なライセンスで、企業でも自由に使えます
- ただし中国製の「Qwen3.6」には全体でまだ届いていません
「AIにコードを書かせたいけれど、社外のクラウドにソースを送るのは不安…」。そう感じたことはありませんか。いま、その悩みを解決する無料AIが注目を集めています。米Poolsideの「Laguna XS 2.1」です。自分のMacの中だけで動き、しかも一部テストではAnthropicのClaudeを上回りました。この記事を読めば、その実力と使い道がまるごとわかります。
Laguna XS 2.1とは?米Poolsideが公開した無料AI
Laguna XS 2.1(ラグーナ エックスエス)は、米国のAI企業Poolside(プールサイド)が2026年7月2日に公開した、プログラミング用のAIモデルです。
いちばんの特徴は「無料」で「オープンソース」だということ。
オープンソース(設計図が公開され、誰でも使えること)なので、AIの本体を自分のパソコンにダウンロードして動かせます。
2026年4月に出た前のバージョン「XS.2」を改良したもので、コード生成の力がさらに強くなりました。
用途は「エージェント型のコーディング」。これは、AIが人の指示を受けて、自分で何ステップも作業を進めながらプログラムを書いていく使い方です。
何がすごい?Claude Haiku 4.5を一部で上回る
今回いちばん話題になったのが、性能テスト(ベンチマーク)の結果です。
Poolsideは、AnthropicのClaude Haiku 4.5など6つのモデルと比べました。その結果、いくつかのテストでClaude Haiku 4.5を上回ったのです。
SWE-bench Proとターミナル操作で勝利
主なスコアを見てみましょう。数字が大きいほど優秀です。
| テスト内容 | Laguna XS 2.1 | Claude Haiku 4.5 |
|---|---|---|
| SWE-bench Pro(実際のバグ修正) | 47.6% | 39.5% |
| Terminal-Bench 2.0(端末操作) | 37.5% | 29.8% |
| SWE-bench Verified(定番テスト) | 70.9% | 73.3% |
SWE-bench(エスダブリューイー・ベンチ)は、AIが本物のソフトの不具合をどれだけ直せるかを測るテストです。
この難しい「Pro」版と、パソコンの端末操作を測るテストで、Laguna XS 2.1が勝ちました。
ちなみに、多言語のコード修正テストでは前バージョンから5.4ポイントも伸び、63.1%に達しています。
でも中国製Qwenにはまだ届かない
ただし、手放しで喜べるわけではありません。
同じく小型の中国製モデル「Qwen3.6-35B」は、ほぼすべてのテストでLaguna XS 2.1より高いスコアでした。
つまり「Claudeの一部を超えたが、世界最強ではない」というのが正直なところです。
自分のMacで動く|クラウド不要のローカルAI
Laguna XS 2.1のもう一つの魅力が、ネットにつながなくても自分のパソコンだけで動く点です。
これを「ローカル実行」と呼びます。
普通のAI(ChatGPTなど)は、入力した文章を会社のサーバーに送って処理します。一方このモデルは、あなたのMacの中だけで完結します。
なぜそんな小さなパソコンで動くのでしょうか。
秘密は「MoE(混合エキスパート)」というしくみです。全体では330億個の部品を持ちますが、実際に一度に使うのはそのうち30億個だけ。だから軽く動きます。
公式によると、メモリ36GBのMac1台で動かせます。文章を一度に読める量も最大約26万トークン(かなり長い文章)と大きめです。
動かし方はコマンド1行
使い方も難しくありません。
「Ollama(オラマ)」という無料ツールを入れれば、次の1行で起動できます。
ollama run laguna-xs-2.1
データを軽く圧縮する「量子化」版(Q4など)も用意され、メモリが少ないパソコンでも試せます。Hugging FaceやOllamaから入手できます。
競合・類似サービスとの違い
いま、こうした「小型で無料のコーディングAI」は各社が競って出しています。主なライバルと比べてみましょう。
- Qwen3.6-35B(中国・Alibaba系):性能はLagunaより上。ただし中国製という点を気にする企業もあります。
- gpt-oss-120B(OpenAIの無料モデル):部品数は120億と大きいのに、バグ修正テストのスコアはLagunaより低め。「大きい=強い」とは限りません。
- Claude Haiku 4.5(Anthropic):高品質ですが有料のクラウド型で、コードを社外に送る必要があります。
Lagunaの立ち位置は「性能はそこそこ、でも無料で手元で動く」バランス型です。
とくに「クラウドに送らず、無料で、商用OK」という3点がそろう選択肢は、意外と多くありません。
日本のエンジニア・企業にとって何が変わる?
このニュースは、日本のエンジニアにとっても他人事ではありません。
理由の一つが、ソースコードを外に出さずにAIを使えることです。
ある金融系企業の開発チームを想像してみてください。顧客情報を含むコードを、外部のAIサービスに送るのは規則で禁止されている、というケースは珍しくありません。
Laguna XS 2.1なら社内のMacの中で完結するので、こうした情報漏れの心配を減らせます。
もう一つが、日本の開発現場でMacが広く使われている点です。36GBメモリのMacは、いまや個人でも手が届く範囲。特別な高価サーバーがいりません。
さらにライセンスは「OpenMDW-1.1」という許可的なもので、商用利用も改変も自由です。日本のスタートアップが自社製品に組み込むことも、法律上ためらう必要がありません。
個人開発者にとっても、月額料金なしでAIコーディングを試せるのは大きな一歩です。
Poolsideってどんな会社?
作り手のPoolsideにも触れておきましょう。
Poolsideは2023年に設立された、ソフト開発用AIを手がける企業です。評価額は120億ドル(約1.8兆円)とされ、半導体大手のNVIDIAが最大10億ドル(約1500億円)の出資を進めていると報じられました。
一方で、テキサス州に計画していた巨大データセンター「Project Horizon」は、2026年に提携先の離脱などでつまずいたとも伝えられています。
大きな資金と課題の両方を抱える会社が、無料モデルの公開で開発者の支持を集めようとしている、という見方もできます。
よくある質問(FAQ)
Q. Laguna XS 2.1は本当に無料で使えますか?
A. はい。オープンソースとして公開され、ダウンロードも利用も無料です。商用利用も認められています。
Q. 普通のパソコンでも動きますか?
A. 目安はメモリ36GBのMacです。圧縮した「量子化」版を使えば、より少ないメモリのパソコンでも試せます。
Q. ChatGPTやClaudeの代わりになりますか?
A. コーディング用途なら十分に候補になります。ただし総合力ではQwenなどに劣る面もあり、用途しだいです。
Q. プログラミング初心者でも使えますか?
A. 導入には少し準備が必要です。「Ollama」を入れればコマンド1行で動きますが、基本的なパソコン操作の知識はあった方が安心です。
Q. 日本語での指示にも対応していますか?
A. 多言語に対応していますが、主にプログラム開発向けに作られています。日本語の細かなやり取りは、用途によって差が出る可能性があります。
まとめ
今回のポイントを振り返ります。
- 米Poolsideが無料AI「Laguna XS 2.1」を2026年7月2日に公開
- SWE-bench ProやTerminal-Benchでは、Claude Haiku 4.5を上回った
- 36GBメモリのMac1台で動く「ローカルAI」で、コードを外に出さずに使える
- 商用OKの許可的ライセンスで、日本の企業や個人も自由に活用できる
- ただし中国製Qwen3.6には全体でまだ届いていない
まずはお使いのMacに「Ollama」を入れて、無料のLaguna XS 2.1を実際に動かしてみてはいかがでしょうか。

