AI検索は何を基準に推薦する?4万件で判明

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • GMO TECHが日本語のAI回答4万1264件を分析し、AIが商品を推薦する「法則」を解明しました
  • AIは1つだけでなく、平均4.15個の選択肢を「条件別」に提案していました
  • 「大手だから安心」という推薦はわずか7.1%。権威より「用途」と「機能」が重視されています
  • 「○○な人にはコレ」という属性型の提案が23.8%で、権威性の約3.4倍も多い結果に
  • ChatGPTとGoogle AI Modeでは、推薦の出し方そのものが違うこともわかりました

「AIに聞いたら、このサービスをすすめられた」。最近こんな経験はありませんか。いま日本人の3人に1人が、検索の代わりに生成AIを使っています。そのAIは、いったい何を基準に「あなたにぴったり」を選んでいるのでしょうか。その仕組みが、4万件のデータでついに見えてきました。

GMO TECHが4万件のAI回答を分析した調査とは

2026年6月5日、GMO TECH株式会社がある調査結果を発表しました。

テーマは「生成AIは、どんな基準で商品やサービスを推薦するのか」です。

調査では、ChatGPTとGoogle AI Modeの日本語回答を4万1264件も集めて分析しました。

対象は「おすすめ」「比較」「料金」「評判」「デメリット」など、購入を検討するときに使う質問です。

分析したジャンルは金融やコスメ、SaaS(ネット経由で使う業務ソフト)など35種類。推薦の切り口は34パターンに分けて整理しました。

データの収集には、海外で有名な分析ツール「Ahrefs Brand Radar」が使われています。つまり、感覚ではなく実データで「AIの推薦のクセ」を体系化した、めずらしい調査なのです。

判明した「AI推薦の文法」3つの法則

調査からは、AIが推薦するときの共通パターンが見えてきました。ここでは特に重要な3つを紹介します。

法則1:AIは平均4個を「条件別」に出す

まず驚くのが、AIは答えを1つに絞らないという点です。

分析の結果、AIは平均4.15個の選択肢を提示していました。

しかも「とにかくおすすめ」ではありません。「予算重視ならA」「初心者ならB」のように、条件ごとに分けて並べるのです。

これは、お店の店員さんが「ご予算は?」「どんな用途で?」と聞きながら候補を出してくれる感覚に近いと言えます。

法則2:「大手だから安心」はもう効かない

次に意外だったのが、ブランドの「権威」が思ったほど効いていない点です。

「大手だから安心」「業界No.1だから」といった権威性を理由にした推薦は、全体のわずか7.1%でした。

かわりにAIが重視していたのは「用途特化(37.0%)」と「機能特化(34.8%)」です。

つまり「有名かどうか」より、「その人の目的にどれだけ合うか」をAIは見ているのです。

法則3:「○○な人には」が最強の切り口

3つ目は、人に寄りそった提案が強いという発見です。

「初心者の方には」「一人暮らしの方には」のような属性に合わせた提案が23.8%を占めました。

これは権威性(7.1%)のおよそ3.4倍の多さです。

AIは「みんなにおすすめ」ではなく、「あなたのようなタイプにはコレ」という伝え方を好む、ということがわかります。

ChatGPTとGoogle AI Modeで推薦の出し方が違う

同じAIでも、サービスによって性格が違うことも明らかになりました。

Google AI Modeは平均4.58個の選択肢を出し、網羅的にずらりと並べる傾向があります。

一方のChatGPTは平均3.83個。質問の具体性に応じて、数を絞ったり広げたりと柔軟に変えていました。

たくさん比べたいならGoogle、ピンポイントで相談したいならChatGPT、という使い分けが見えてきます。

ジャンルによって基準が変わるのも特徴です。金融なら「経済圏やポイント還元」、コスメなら「肌悩みや使う人の属性」、SaaSなら「料金体系や利用人数」が判断のカギになっていました。

GEO・LLMOとは?SEOと何が違うのか

ここで、最近よく聞く言葉を整理しておきましょう。

GEO(生成AI最適化)とは、ChatGPTなどの生成AIに自社の商品を引用・推薦してもらうための工夫のことです。

似た言葉にLLMO(大規模言語モデル最適化)もあり、ほぼ同じ意味で使われます。

これまでのSEO(検索エンジン最適化)は、Google検索で上位に表示されることが目標でした。

GEOはそこから一歩進み、「AIが答えを作るときに、選んでもらえる」ことを目指します。

検索結果の順位を競う時代から、AIの回答の中に名前を出してもらう時代へ。今回の調査は、その新しい競争のルールブックとも言える内容なのです。

AIに推薦されるために今からできること

では、この法則を実際の仕事にどう生かせるのでしょうか。身近な例で考えてみます。

たとえば、小さな化粧品ブランドの担当者がいるとします。これまでは「業界シェア上位」とサイトで強調していました。でも調査によれば、AIは権威より「肌悩み」を見ています。そこで「乾燥肌の30代向け」と、誰のための商品かを明記するだけで、AIに拾われやすくなります。

次に、地方のSaaS企業の例です。料金ページに金額だけを載せていたとします。AIは「料金体系や利用人数」で判断するため、「5名までは無料」「個人事業主向けプラン」と条件を具体的に書くと、比較の土俵に乗りやすくなります。

最後に、個人ブログを書く人の例です。「最強のおすすめ10選」とまとめるより、「キャンプ初心者にはコレ、ベテランにはコレ」と条件別に分けて書くほうが、AIの推薦パターンと相性が良いのです。

共通するコツは、「有名さ」より「誰の・どんな用途に合うか」をはっきり書くこと。これが新しい時代の基本になりそうです。

他のGEO・LLMO計測ツールとの比較

「自社がAIにどう推薦されているか」を測るツールも、いま続々と登場しています。

海外で代表的なのがProfound(プロファウンド)です。約1億5500万ドルを調達し、大企業向けの定番ツールとして知られます。

手軽さで人気なのがOtterly.AI(オッタリー)。月29ドルから始められ、個人や小規模でも使いやすいのが特徴です。

中堅企業向けには、約2900万ドルを調達したPeec AI(ピーク)が分析の細かさで評価されています。

国内でも「ミエルカGEO」や「AKARUMI」など、日本語のAI検索に対応したツールが増えてきました。

今回のGMO TECHの調査は、こうしたツールで「測る」前提となる「そもそもAIは何を基準にするのか」を示した点で価値があります。地図を読む前に、地図のルールを教えてくれるようなものです。

日本市場への影響

この話は、海外だけの出来事ではありません。

日本でも、検索の代わりにAIを使う人が急増しています。2026年2月時点で、生成AIを検索に使う人の割合は37.0%。1年前は10%未満だったので、約3.5倍の伸びです。

10代にいたっては66.9%が、検索代わりにAIを使っているという調査もあります。

さらに見逃せないのが購買への影響です。AIの回答を見た人の約47.5%が、AIのおすすめをきっかけに実際に商品を買った経験があると答えています。

つまり、AIに推薦されるかどうかは、そのまま売上に直結し始めているのです。

日本企業にとっても、「AIにどう紹介されるか」を意識した情報発信が、これからの必須課題になっていきます。

よくある質問(FAQ)

Q1. AIに推薦されるには、結局どうすればいいですか?

「有名さ」を強調するより、「誰の・どんな用途に向くか」を具体的に書くことが近道です。調査でも用途や属性を示した提案が多数を占めていました。

Q2. SEO対策はもう不要になるのですか?

不要にはなりません。AIも多くの情報をWebから集めています。検索で見つかりやすくする土台があってこそ、AIにも引用されやすくなります。

Q3. ChatGPTとGoogle、どちらを意識すべきですか?

両方です。Googleは候補を多く並べ、ChatGPTは状況で数を変えます。条件別に整理した情報は、どちらにも対応しやすくなります。

Q4. 個人や小さな会社でも対策できますか?

できます。お金をかけなくても、商品ページに「対象となる人」と「具体的な用途」を明記するだけで効果が期待できます。

Q5. この調査の信頼性はどのくらいですか?

4万件超の実データを35ジャンルで分析しており、感覚論ではない点が強みです。ただしAIの仕様は更新され続けるため、傾向は今後変わる可能性もあります。

まとめ

今回のポイントを振り返ります。

  • GMO TECHが4万1264件のAI回答を分析し、推薦の法則を解明した
  • AIは平均4.15個を「条件別」に提案する
  • 「大手だから安心」は7.1%のみで、権威より用途・機能が重視される
  • 「○○な人には」型の提案が23.8%で最も強い切り口だった
  • 日本ではAI検索利用が37.0%まで拡大し、購買にも直結している

まずは自社や自分の発信で、「誰のための、どんな用途の商品か」を具体的に書き直すことから始めてみましょう。

参考文献

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