OpenAI社員98%がAIに仕事を委託|非エンジニアも

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • OpenAIが2026年6月25日に社内のAI活用実態レポートを公開した
  • 社員の97.9%が「Codex(コーデックス)」というAIエージェントを使っている
  • 意外にも、伸びが大きいのはエンジニアではなく法務・財務などの非エンジニア
  • 30分以上かかる仕事の8割をAIに任せているという数字も出た
  • ただし数字はすべてOpenAIの自己申告で、うのみにはできない

「会社でAIをバリバリ使っているのは、一部のエンジニアだけ」。そう思っていませんか? ところが、AIの本家ともいえるOpenAIの社内データは、その常識をくつがえします。エンジニア以外の社員こそ、AIに仕事を任せはじめているのです。この記事では、その実態と、私たちの働き方への意味をやさしく解説します。

OpenAIが公開した「AIエージェント利用実態レポート」とは

2026年6月25日、ChatGPTで知られるOpenAIが1本のレポートを公開しました。

タイトルは「How agents are transforming work(エージェントが仕事をどう変えているか)」です。

このレポートの主役は「Codex(コーデックス)」というツールです。

Codexとは、OpenAIが作ったAIエージェントのことです。AIエージェントとは、指示を出すと自分で考えて作業を進めてくれるAIを指します。

ふつうのチャットAIは、質問に答えるだけです。一方のエージェントは、頼んだ仕事を最後までやりとげようとします。

たとえるなら、検索エンジンが「調べ方を教えてくれる人」だとすれば、エージェントは「代わりに調べて報告書まで作ってくれる人」に近い存在です。

今回のレポートで注目を集めたのは、OpenAIが自社の社員のCodex利用データを公開した点です。AIを一番うまく使えるはずの会社が、社内でどう使っているのか。その中身が初めて明らかになりました。

社員の97.9%がCodexを使う — 驚きの社内浸透率

まず目を引くのが、社内の利用率です。

レポートによると、OpenAI社員の97.9%がCodexを使っています。ほぼ全員です。

さらに驚くのは、社員が生み出すAIの出力のうち、99.8%がCodex経由だという点です。つまり社内では、AIを使う=Codexを使う、という状態になっています。

外部のユーザーと比べると、この数字の高さがよくわかります。

  • OpenAI社員:97.9%がCodexを利用
  • 企業ユーザー:17.3%
  • 個人ユーザー:0.7%

社内の浸透率は、外の世界とはケタが違います。

もちろん、これは「自社製品を社員が使うのは当たり前」という面もあります。それでも、ほぼ100%という数字はインパクトがあります。

非エンジニアこそAIを使っている — 法務・財務・採用の実態

このレポートでいちばん面白いのは、ここからです。

AIエージェントというと、プログラムを書くエンジニアの道具だと思われがちです。ところが実際は違いました。

非エンジニアの部門でこそ、利用が急増しているのです。

部門別の利用率を見てみましょう。

  • エンジニアリング部門:99%
  • 財務部門:91%
  • 採用部門:89%
  • 法務部門:88%

エンジニア以外の部門でも、9割前後がCodexを使っています。

伸び方はもっと劇的です。2025年8月を基準にすると、非開発者の利用はこう増えました。

  • 社内の非開発者:12倍
  • 個人の非開発者:137倍
  • 企業の非開発者:189倍

開発者向けの伸び(社内4倍)と比べると、非開発者の勢いの強さが際立ちます。

では、エンジニアでない人はAIに何をさせているのでしょうか。

たとえば財務部門では、業務の34%が「知識労働」、31%が「コーディング」でした。エンジニアでなくても、ちょっとした自動化のためにコードを書かせているのです。

製品・マーケティング部門では、51%が知識労働、25%がコーディングでした。

具体的な例を想像してみてください。法務担当者が、長い契約書を読み込ませて要点を整理させる。財務担当者が、数百件の経費データを分類する小さなプログラムを作らせる。採用担当者が、応募書類を一定の基準でふるい分けする。

こうした作業は、これまで人が地道にやっていました。それをAIに下書きさせ、人が最後にチェックする。そんな働き方が、社内で当たり前になりつつあります。

社員はどんな仕事をAIに任せているのか

もうひとつ印象的なのが、「どれくらい重い仕事を任せているか」という数字です。

レポートには、タスクの長さごとに「AIに委譲した割合」が出ています。

  • 30分以上かかる仕事:80.6%を委譲
  • 1時間以上かかる仕事:70.2%
  • 4時間以上かかる仕事:42.4%
  • 8時間以上かかる仕事:25.6%

30分以上の仕事の8割を、AIに任せているのです。

さらに、丸1日(8時間以上)かかるような大きな仕事でも、4分の1はAIに委譲していました。

つまり社員は、AIを「ちょっとした調べもの」だけでなく、「腰を据えた長い作業」の相棒として使っています。

研究部門の伸びはとくに大きく、2025年11月と比べて中央値で50倍以上に増えました。新しいアイデアの検証に、AIをどんどん使っている様子がうかがえます。

Codex・Claude Code・Copilot・Cursorを比較

「うちでも使うなら、どのツールがいいの?」と気になった人もいるでしょう。

2026年現在、AIエージェント型のコーディングツールは主に4つが競い合っています。それぞれの特徴を整理します。

  • OpenAI Codex:今回の主役。クラウド上の安全な環境で動くのが特徴。週あたりの利用者は約500万人にのびています。
  • Claude Code:Anthropic(アンソロピック)製。ターミナル(黒い画面)で動き、コード全体を読み込む力が高い。2026年は利用者満足度でトップとも言われます。
  • GitHub Copilot:月10ドルからと手ごろ。多くの開発ソフトに対応し、対応の広さが最大の武器です。
  • Cursor:AI専用に作り直されたエディタ(編集ソフト)。月20ドルで、書く作業との一体感が魅力です。

価格でいえば、Copilotが月10ドルでもっとも手ごろです。Claude Codeは月20ドルから200ドルと幅広く、深い作業ほど力を発揮します。

注意したいのは、「全部に勝つ万能ツールはない」という点です。すでにGitHubを使う大企業ならCopilot、自律的に長い作業を任せたいならClaude Code、というように、目的で選ぶのが現実的です。

OpenAIの社内データが示すのは、ツール選び以前に「非エンジニアも含めて全員が使う」という文化づくりの大切さかもしれません。

このデータをうのみにしてよい?批判的な視点

ここまで驚きの数字を紹介してきました。でも、冷静になる視点も必要です。

最大の注意点は、すべての数字がOpenAIの自己申告だということです。

第三者がチェックしたデータではありません。自社製品を売る会社が、自社製品の良さを示す数字を出している。そこには当然、宣伝の意図が混じります。

海外メディアのThe Next Webも、この点を鋭く指摘しています。

たとえば、社員にCodexの利用が奨励・推奨されているかは、レポートに書かれていません。ほぼ全員が使うのは、自発的な人気ではなく「会社の方針」かもしれないのです。

もうひとつ大事な指摘があります。「速くコードを書けること」が、そのまま生産性アップを意味するとは限らないという点です。

AIが作ったものを確認し、テストし、世に出すまでには時間がかかります。下書きが速くなっても、チェックの手間が増えれば、合計の時間は思ったほど減らないこともあります。

数字の大きさに驚くのは自然です。でも「だからAIで仕事がすべて楽になる」と早合点しないことが大切です。

日本のビジネスパーソンにとっての意味

では、このニュースは日本で働く私たちに何を教えてくれるのでしょうか。

ポイントは、「AIはエンジニアだけの道具ではない」という事実です。

日本の会社では、AI活用というと情報システム部門やエンジニアの話だと思われがちです。経理や人事、法務の人は「自分には関係ない」と感じているかもしれません。

でもOpenAIの社内では、まさにその経理・人事・法務にあたる部門が、AIをぐんぐん使いはじめています。

Codex自体は英語が中心のツールですが、ChatGPTは日本語にしっかり対応しています。日本のユーザーも、文章の要約や資料づくり、データ整理などで同じような使い方ができます。

大切なのは、特別なツールよりも「まず自分の仕事の一部を任せてみる」という一歩です。

30分かかる定型作業を1つだけAIに下書きさせてみる。その小さな積み重ねが、OpenAIの社内で起きている変化の正体だといえます。

よくある質問(FAQ)

Q. CodexとふつうのChatGPTは何が違うの?

A. ChatGPTは主に質問に答えるAIです。Codexは、頼んだ作業を自分で進めて仕上げる「エージェント型」のAIです。報告書づくりやコード作成など、手を動かす作業を任せられます。

Q. エンジニアでなくても使えるの?

A. はい。今回のレポートでも、法務・財務・採用などの非エンジニア部門で利用が急増していました。簡単なデータ整理や文書作成なら、専門知識がなくても活用できます。

Q. 97.9%という数字は信用できるの?

A. 数字自体はOpenAIの公式発表です。ただし第三者の検証はなく、自己申告である点には注意が必要です。参考値として受け止めるのが安全です。

Q. 日本語でも使えるの?

A. CodexはおもにプログラミングやChatGPT経由での利用が中心です。ChatGPT自体は日本語に対応しているので、文章作成や要約などは日本語でも問題なく使えます。

Q. 今から始めるなら、どのツールがいい?

A. 目的によります。手軽さならGitHub Copilot、深い作業ならClaude Code、まずChatGPTで試すならCodexが入り口になります。小さく試して合うものを選ぶのがおすすめです。

まとめ

今回のポイントを振り返ります。

  • OpenAIが2026年6月25日、社内のAI活用実態レポートを公開した
  • 社員の97.9%がAIエージェント「Codex」を利用している
  • 伸びが大きいのはエンジニアではなく、法務・財務などの非エンジニア
  • 30分以上かかる仕事の8割をAIに委譲している
  • ただし数字はすべて自己申告で、うのみにはできない

このニュースが伝える本質は、「AIはもう一部の専門家だけのものではない」ということです。まずはあなたの仕事の中で、30分かかる作業を1つだけAIに任せてみることから始めてみましょう。

参考文献

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