- BtoB担当者の90.9%が「これはAIが作った文章だ」と気づいた経験を持つ
- AIだと分かっても信頼が下がった人は約1割。でも49.1%が「問い合わせ意欲が下がった」と回答
- AIっぽさの正体は「中身が薄い」53.6%と「人の温度がない」46.4%
- 人間らしさを感じる最大の要素は「一次情報や独自データ」59.1%
- SNSの定型投稿や広告コピーなら、AI生成でも59.1%が「気にならない」
会社のブログ記事をAIで量産したのに、問い合わせが増えない。そんな悩みを持っていませんか。2026年8月に発表された調査で、その理由がはっきりしました。読者はAIを嫌っているのではなく、静かに競合サイトへ移動していたのです。
BtoB担当者の9割が「AIっぽさ」に気づいている
調査を実施したのは、エンジニア向け事業を手がけるTWOSTONE&Sonsです。
2026年6月26日から29日にかけて、BtoB商材の比較検討や発注に関わる担当者110人にインターネットで聞きました。結果は2026年8月4日に公表されています。
最初の質問は「仕事で見たコンテンツについて、これはAIが作ったなと感じたことがあるか」でした。
「何度もある」が36.4%、「ときどきある」が54.5%で、合計90.9%にのぼりました。「1回もない」と答えた人はゼロです。
つまり、発注する側のほぼ全員が、AI生成コンテンツ(AIが自動で書いた文章や作った画像・動画)を見分けている感覚を持っているということです。
どの種類のコンテンツで感じやすいかも聞いています。1位は動画広告・Web動画が59.1%。AIアバターや自動生成のナレーションが使われたものです。
2位はWeb広告・バナー広告で50.9%、3位はオウンドメディア(企業が自分で運営するメディア)の記事・コラムで42.7%でした。
企業がコストを下げようとAIに任せがちな領域が、そのまま上位に並んでいます。
「嫌いではない」のに半数が問い合わせをやめる
ここからが、この調査のいちばん面白いところです。
信頼が下がった人は約1割だけ
「AIが作ったと感じたとき、その企業への信頼はどう変わったか」という質問に対し、信頼が下がったと答えた人は約1割(10.0%)にとどまりました。
9割の人は「別に気にしない」と答えているわけです。AI生成そのものへの拒絶反応は、思ったほど強くありません。
2026年にもなると、AIが文章を書くこと自体は当たり前になりました。もう驚く話ではないのです。
それでも行動は変わっていた
ところが、次の質問で景色が一変します。「AIが作ったと感じたあと、実際にどう行動したか」を聞いた結果です。
「その企業への問い合わせ意欲が低下した」が49.1%。ほぼ半数です。
さらに「競合他社の情報を調べに行った」が38.2%、「企業への興味が冷めた」が37.3%と続きました。
口では嫌いではないと言いながら、手は競合サイトのタブを開いている。これが「客の半分が去る」の正体です。
ある製造業の購買担当者の動きを想像してみてください。3社の資料を比べています。A社のサイトは記事が100本あるものの、どれも一般論ばかり。B社は記事が10本しかないけれど、実際の導入現場の写真と失敗談が書いてあります。
担当者はA社を嫌いにはなりません。ただ、問い合わせフォームを開くのはB社のほうです。
ここが怖いところです。嫌われていないので、クレームも来ません。アンケートでも悪い評価は出ません。ただ静かに、問い合わせ数だけが減っていきます。
AIっぽさがバレる3つのサイン
では、読者は何を手がかりに「AIっぽい」と判断しているのでしょうか。
調査では具体的な要素が明らかになりました。
- 中身が薄く、調べればわかる内容しか書いていない:53.6%
- 整いすぎていて、人の温度を感じない:46.4%
- 具体的な事例や固有名詞がなく、ふわっとしている:36.4%
注目すべきは、3つとも「AIが書いたかどうか」ではなく「情報の中身が薄いかどうか」を指している点です。
読者はAIを検出しているのではありません。中身の薄さを検出して、それをAIのせいだと解釈しているのです。
「業務効率化を実現します」「DX推進が求められています」といった一般論だけの文章は、人間が書いてもAIっぽく見えます。逆に、具体的な数字と現場の話があれば、AIが下書きしても人間らしく読まれます。
ちなみに1位の「調べればわかる内容しか書いていない」は、検索の世界でも致命傷です。検索すれば出てくる情報を並べただけのページを、わざわざ読む理由がないからです。
「人間らしさ」を生む要素と、AIに任せていい場面
人間らしさを感じさせる3つの材料
逆に、どんな要素があれば「人間が書いた」と感じてもらえるのか。調査はその答えも示しています。
- 一次情報や独自データなど、調べただけでは得られない中身がある:59.1%
- 書き手の熱量・人柄・温度感が伝わる:47.3%
- 具体的な顧客事例や固有名詞がある:39.1%
そして、人間らしさを感じたときに企業への信頼が「上がる」と答えた人は合計84.5%(大幅に上がる20.0%、やや上がる64.5%)でした。
信頼できると感じる特徴を聞いた設問では、「自社の課題に直接関連している」が57.3%、「ここでしか読めない視点や専門性がある」が50.9%で上位に並びました。
ここに、いま多くの企業がハマっている落とし穴があります。AIで記事を量産すると本数は増えますが、一次情報の量は1本も増えません。
本数を10倍にしても、読者が求めている材料はゼロのまま。だから問い合わせにつながらないのです。
AI生成でも気にならない場面がある
とはいえ、すべてを人力に戻す必要はありません。調査では「AIが作ったものでも気にならない場面」も聞いています。
- SNSの定型的な投稿:59.1%
- キャンペーンや告知の文章:46.4%
- Web広告・バナーの短いコピー:43.6%
読者が求めているのは「AIを使うな」ではありません。判断材料になる場所では手を抜くなということです。
あるSaaS企業のマーケティング担当者の1週間を考えてみましょう。イベント告知5本とSNS投稿20本をAIに任せ、浮いた時間で導入企業3社に取材する。この配分なら、量も一次情報も両方増えます。
実際、AI活用への望む姿勢を聞いた設問では、「AI活用の有無を明示してほしい」が66.4%と最多でした。「人間の経験や視点を反映してほしい」が40.9%、「情報の鮮度や正確性を担保してほしい」が35.5%と続きます。
隠すよりも、開示したうえで人の視点を足すほうが評価される。そういう時代になりつつあります。
海外・他調査との比較|世界でも3人に1人が離脱
この傾向は日本のBtoBだけの話でしょうか。他の調査と並べてみます。
まず海外です。Adobeの「2026 AI and Digital Trends」消費者調査では、コンテンツがAI生成だと分かった時点で離れると答えた顧客が約3分の1にのぼりました。
人間の対応を期待していたのにAIだったと分かった場合は、37%が離脱すると回答しています。
興味深いのは、AIを確実に見分けられると答えた顧客が5分の1しかいない点です。つまり多くの人は「なんとなくAIっぽい」という直感で離脱を決めていることになります。
国内の一般消費者向け調査も見てみましょう。システムリサーチが2026年6月2日に20〜60歳の男女300人に聞いた調査では、AI生成の画像・動画だと分かった場合、「少し抵抗を感じる」が38.3%、「不信感を持つ」が20.2%で、合計58.5%がネガティブな印象を持つと答えました。
一方で「特に気にならない」28.7%と「面白い・興味深い」11.7%を足した40.4%は、中立か肯定的です。
3つの調査を並べると、共通点が見えてきます。
- AI生成そのものへの強い拒否は少数派
- それでも3割から5割が「離れる」「熱が冷める」と行動を変える
- 分かれ目は技術ではなく、中身の濃さと開示の姿勢
BtoBの発注担当者(49.1%が問い合わせ意欲低下)のほうが、一般消費者よりも反応が厳しく出ている点は覚えておく価値があります。金額が大きい判断ほど、材料の薄さが響くからです。
日本企業への影響|表示ルールとSEOの現実
日本にAI表示の義務はまだない
日本には、AI生成コンテンツの表示を一律で義務づける法律はありません。
2025年に成立したAI推進法(正式にはAI関連技術の研究開発・活用推進法)は、罰則を設けず開発を後押しする設計になっています。総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」でも、AI利用の明示は義務ではなく推奨の位置づけです。
対照的に、EUではAI法(EU AI Act)の透明性義務が2026年8月2日から適用開始となりました。本物そっくりのAI生成コンテンツには、ラベル表示と電子透かし(データに埋め込む見えない印)が求められます。
EU域内で成果物を使う日本企業にも及ぶ可能性があるため、海外向けサイトを持つ企業は確認が必要です。
ただ、今回の調査が示しているのは、法律より先に読者が動いているという事実です。66.4%が「AI活用の有無を明示してほしい」と答えている以上、義務がなくても開示は競争力になります。
検索エンジンも「薄さ」を見ている
SEO(検索エンジン最適化)の観点でも同じ構図です。
Googleは以前から、AIを使ったこと自体は順位に影響しないと明言しています。問題視されるのは、検索順位を操作する目的で量産された低品質なコンテンツです。
2026年3月のコアアップデート(検索の大型見直し)ではE-E-A-T、つまり経験・専門性・権威性・信頼性の評価が強化されたと報告されています。狙い撃ちされるのはAI生成ではなく、中身の薄いページです。
読者が「調べればわかる内容しか書いていない」と感じるものは、検索エンジンからも同じ評価を受ける。人間の目と検索アルゴリズムが、同じ方向を向いているわけです。
あるBtoB企業のWeb担当者が、月40本のAI記事を月8本に減らし、代わりに営業同行で拾った具体的な失敗事例を書くようにした——そんな方針転換が、今後は珍しくなくなるかもしれません。
よくある質問(FAQ)
Q1. AIで記事を書くこと自体をやめるべきですか?
その必要はありません。調査でも、AIだと感じて信頼が下がった人は約1割にとどまっています。
問題はAIの利用そのものではなく、一次情報が入っていない薄い内容です。下書きや構成をAIに任せ、事例・数字・現場の声を人が足す形が現実的です。
Q2. 「AIで作成しました」と書くと不利になりませんか?
調査では、AI活用の有無を明示してほしいと答えた人が66.4%で最多でした。隠すことのほうがリスクです。
Adobeの調査でも、AIエージェントを使う際に「いつでも人間に切り替えられる選択肢」が最も重要な開示方法とされています。使うなら伝える、が基本です。
Q3. 一次情報がない業種はどうすればいいですか?
自社データがなくても、材料は作れます。社内の担当者3人にインタビューする、問い合わせで多かった質問を集計する、導入現場の写真を撮る。
調査で2位だった「書き手の熱量・人柄・温度感」(47.3%)は、大がかりな調査がなくても出せる要素です。
Q4. 記事の本数を減らすとアクセスも減りませんか?
短期的には減る可能性があります。ただ今回の調査が示すのは、アクセスがあっても問い合わせ意欲が49.1%下がる状態なら、成果につながらないという点です。
本数と質は二択ではありません。SNS投稿や告知はAIに任せて時間を作り、判断材料になる記事に人手を集中させる配分が有効です。
Q5. この調査結果はBtoC(一般消費者向け)にも当てはまりますか?
方向性は同じですが、程度は異なります。国内の消費者調査ではネガティブな印象を持つ人が58.5%、Adobeの海外調査では離脱が約3分の1でした。
BtoBの49.1%という数字は「問い合わせ意欲の低下」を指すため単純比較はできませんが、金額の大きい判断ほど厳しく見られる傾向は共通しています。
まとめ
- BtoB担当者の90.9%が「AIっぽさ」に気づいた経験がある(TWOSTONE&Sons調査・110人)
- AIだと分かって信頼が下がった人は約1割。拒絶反応そのものは小さい
- それでも49.1%が問い合わせ意欲低下、38.2%が競合を調べに行った
- AIっぽさの正体は「中身が薄い」53.6%と「人の温度がない」46.4%
- 人間らしさの決め手は「一次情報や独自データ」59.1%
- SNS投稿や告知文なら、AI生成でも約6割が気にしない
- 66.4%が「AI活用の有無を明示してほしい」と回答。開示は競争力になる
まずは自社サイトの記事を3本開いて、そこに「検索では出てこない情報」が1つでも入っているか確かめてみてください。
参考文献
- 「AI生成コンテンツ、実は嫌いではない」 だが「客の半分が去る」本当の理由(@IT、2026年8月12日)
- AIっぽくても信頼低下は1割、約半数は「問い合わせ意欲が低下」【TWOSTONE&Sons調査】(マナミナ)
- AI生成コンテンツの接触経験は約6割。半数以上が「AIと分かるとネガティブな印象」【システムリサーチ調査】(マナミナ)
- Adobe 2026 AI and Digital Trends Consumer Report(Adobe)
- AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス(Google 検索セントラル)
- 欧州委、AI生成コンテンツの表示・ラベル付けに関する行動規範を公表(ジェトロ)

