- フランスのAI企業Hが、PCを丸ごと操作できるAI「HoloDesktop CLI」を発表しました。
- 画面を見て、クリックや入力を代わりにこなします。API(アプリ同士をつなぐ仕組み)がないアプリも操作できます。
- 頭脳は「Holo3」というAI。性能テストでGPTやClaudeを上回るスコアを出しました。
- パソコン上で完結するので、データが外に出ず、追加料金もかかりません。
- Claude CodeやCursorなど、いま使っているAIツールにそのまま追加できます。
「この退屈なパソコン作業、誰か代わりにやってくれないかな」と思ったことはありませんか。その願いに、また一歩近づくニュースが届きました。AIが人間のように画面を見て、自分でマウスを動かす時代が来ています。この記事では、注目の新ツール「HoloDesktop CLI」を、やさしく解説します。
HoloDesktop CLIとは?何ができるAIなのか
2026年6月25日、フランスのAIスタートアップ「H(エイチ)」が新しいツールを発表しました。
その名も「HoloDesktop CLI」です。
これは、AIエージェント(人の代わりに作業を進めるAI)に「パソコンを操作する手」を与えるツールです。
具体的には、次のようなことを自分でやってくれます。
- アプリを開いたり、画面を切り替えたりする
- ボタンをクリックする
- 文字を入力する
- 画面に表示された内容を読み取る
つまり、人間がマウスとキーボードでやっていた作業を、AIが肩代わりしてくれるのです。
「APIなし」でも操作できるってどういうこと?
今回のいちばんの目玉が、この点です。
これまでのAI自動化には、ある条件がありました。API(アプリ同士をつなぐ専用の窓口)が必要だったのです。
APIがあるアプリなら、AIは決められた手順で操作できました。でも、APIのない古いソフトや社内専用ツールは、自動化が難しかったのです。
HoloDesktop CLIは、ここが違います。人間と同じように「画面を目で見て」操作するからです。
だから、APIがないアプリでも問題ありません。画面に映っているものなら、何でも相手にできます。
パソコンが苦手な後輩に、隣で「ここをクリックして」と教える必要がない。そんなイメージに近いかもしれません。
心臓部「Holo3」のすごさ|数字で見る実力
HoloDesktop CLIの頭脳にあたるのが、「Holo3(ホロスリー)」というAIモデルです。
このHolo3が、なかなかの実力者なのです。
性能テストでGPTやClaudeを上回る
パソコン操作AIの実力を測る「OSWorld」というテストがあります。
このテストでのスコアを比べてみましょう。
- Holo3:78.85%
- GPT-5.4:72.4%
- Claude(Opus 4.6)のComputer Use:38%
後発ながら、有名AIたちを上回る結果を出しました。これは大きな注目ポイントです。
自分のパソコンの中だけで動く
Holo3のもう1つの強みが、手元のパソコンだけで動く点です。
多くのAIは、インターネット越しに会社のサーバーとやり取りします。Holo3は、その必要がありません。
最新のHolo3.1は、12GBのGPU(画像処理用の部品)があれば動きます。1つの操作にかかる時間は、わずか140ミリ秒(0.14秒)ほどです。
データが外に出ないので、安心して使えます。しかも、使うたびにかかる利用料もありません。
OpenAI・Anthropicと何が違う?3社を比較
「同じようなAIは他にもあるのでは?」と思いますよね。たしかに、大手も似た機能を出しています。
そこで、代表的な3つを比べてみましょう。
- HoloDesktop CLI(H社):ウェブ・パソコン・スマホに対応。手元で動き、追加料金なし。APIなしのアプリもOK。
- OpenAIのOperator:月200ドル(約3万円)のChatGPT Pro限定。主にブラウザ内の作業向けで、パソコンのアプリ操作はまだ苦手とされます。
- AnthropicのComputer Use:Claudeの機能の1つ。クラウド経由が中心で、テストのスコアはHolo3に届いていません。
料金の差も大きいです。Holo3のAPIは、Claudeの同じ作業と比べて約10分の1の安さと報じられています。
さらにHolo3は、設計図にあたる「重み」が公開されています。だれでも中身を確かめ、自由に使えるのです。
大手の「便利だが高くて閉じている」サービスに対し、Hは「安くて開かれている」道を選びました。ここが大きな違いです。
こんな場面で役立つ|具体的な活用シーン
では、実際にどんな場面で役立つのでしょうか。3つの例で考えてみます。
1つ目は、経理の仕事です。ある会社の担当者が、毎月数百件の請求書を古い会計ソフトに手入力しているとします。このソフトにはAPIがありません。HoloDesktop CLIなら、画面を見ながら数字を1件ずつ入力してくれます。
2つ目は、情報集めです。複数のサイトを開いて、価格や在庫を1つずつ表にまとめる作業。こうした単純な繰り返しを、AIに任せられます。
3つ目は、社内ツールの操作です。会社だけで使う独自システムは、自動化が後回しにされがちです。画面さえ見えれば操作できるので、こうしたツールとも相性が良いのです。
どれも「人がやると退屈で時間がかかる」作業ばかりです。そこをAIが引き受けてくれます。
日本のわたしたちにどう関係する?
「海外の開発者向けの話では?」と感じるかもしれません。でも、日本にも関わりがあります。
まず注目したいのが、データが外に出ない点です。
日本の企業は、顧客情報や社内データの扱いにとても慎重です。とくに金融や医療の分野では、情報を社外のクラウドに送ることをためらいます。
手元のパソコンだけで完結するHolo3は、こうした企業と相性が良さそうです。
また、設計図が公開されているため、日本語の画面に合わせた調整も期待できます。国内のエンジニアが独自に手を加える余地があるのです。
一方で、注意点もあります。AIに画面操作を任せると、誤クリックや想定外の動きが起きる心配もあります。重要な作業では、人の確認を残す工夫が必要になりそうです。
よくある質問(FAQ)
Q. プログラミングの知識がなくても使えますか?
A. 現時点では開発者向けのツールです。Claude CodeやCursorといったAIツールに組み込んで使う形が中心です。今後、一般向けに使いやすくなる可能性はあります。
Q. 本当に無料で使えるのですか?
A. 自分のパソコンで動かす場合、使うたびの利用料はかかりません。ただし、動かすにはGPUなどの機材が必要です。クラウドのAPIを使う場合は、安いながらも料金が発生します。
Q. Windowsでも使えますか?
A. はい。WindowsとMacの両方に対応しています。ウェブやスマホ環境にも対応しているとされています。
Q. AIが勝手に変な操作をしないか心配です。
A. AIに画面操作を任せる以上、誤操作のリスクはゼロではありません。大事な作業では、最後に人がチェックする運用がおすすめです。
Q. H社はどんな会社ですか?
A. パリを拠点とするフランスのAIスタートアップです。AGI(人間並みの賢さを持つAI)を目指し、巨額の資金を集めて開発を進めています。
まとめ
今回のポイントを振り返ります。
- フランスのH社が、PCを操作するAI「HoloDesktop CLI」を発表した。
- 画面を見て操作するため、APIのないアプリも自動化できる。
- 頭脳のHolo3は、性能テストでGPTやClaudeを上回った。
- 手元のパソコンで動き、データが外に出ず、追加料金もかからない。
- データを外に出したくない日本の企業にとって、有力な選択肢になりそう。
AIが自分でパソコンを操作する流れは、これから一気に広がりそうです。まずは身近な退屈作業の中に、AIに任せられそうなものがないか探してみてはいかがでしょうか。

