- 近畿大学が2027年度入試の一部で生成AIの利用を正式に認めます
- 対象は情報学部の「総合型選抜」。提出物やプレゼン準備でAIを使えます
- ねらいは「AIを使いこなす力」を評価すること。丸投げはNGです
- 文部科学省も、AI利用で不公平が出ないよう各大学に対応を求めています
- 「AIは道具」という考え方が、受験や勉強の常識を変えようとしています
大学入試でAIを使ってもいい。そんな時代が、いよいよ日本でも始まります。「AIを使ったらズルなのでは?」と思ったことはありませんか。近畿大学の新しい決定は、その常識をひっくり返すものです。この記事では、何がどこまで認められるのか、なぜそうするのかを、やさしく整理します。
近畿大学が「入試でAI利用OK」を発表
近畿大学が2026年7月24日、大きな方針を打ち出しました。
2027年度の入試で、生成AI(文章や画像などを自動で作るAI)の利用を正式に認めるという内容です。
対象になるのは、情報学部の「総合型選抜」という試験です。
これは、学力テストだけで合否を決めるのではなく、志望理由やプレゼンテーションなどで受験生の意欲や個性を見る入試のことです。
近畿大学は「AIを適切に使いこなす力は、これから情報分野を学ぶうえで必要な能力の一つ」と説明しています。
どこまで使っていいの?認められる範囲
「AI利用OK」と聞くと、何でもアリに感じるかもしれません。でも、実際にはきちんと線引きがあります。
使ってよい場面
大学が認めているのは、主に「準備」の場面です。
- 提出する作品やレポートを作るとき
- プレゼンテーションの準備をするとき
- 発表用のスライドを作るとき
たとえば、自己PR動画の構成を考えたり、スライドのデザインを整えたりする作業でAIを使えます。
やってはいけないこと
一方で、ルールもはっきりしています。
ウソを書いた提出物は受け付けません。AIが作った内容でも、事実と違うことを書けばアウトです。
そして選考では、AIを使ったかどうかに関係なく、受験生本人の「能力・思考・独自性」を重視するとしています。
つまり、AIに丸投げして自分の考えがない提出物は、評価されないということです。
なぜ今、AI利用を認めるのか
そもそも、なぜ大学がわざわざAI利用を認めるのでしょうか。背景には、社会の大きな変化があります。
いまや生成AIは、プログラミングやシステム開発など、あらゆる仕事の現場で使われています。
情報分野の学生にとって、AIは「避けるもの」ではなく「使いこなすもの」になりつつあります。
実は日本の教育全体でも、2026年から「AIを使いこなす力」が読み・書き・そろばんに並ぶ大切な力として位置づけられました。
中学校の技術・家庭科や、高校の情報科でも、AIの仕組みやデータの偏りを学ぶ内容が入っています。
近畿大学の情報学部は2020年に開設された比較的新しい学部で、先端のIT人材を育てることを掲げています。入試でAIを認める判断は、その方針とも重なります。
ちなみに、これまでの入試は「AIを一切使わない前提」で作られてきました。
持ち込み禁止のテストで、決められた時間内に自分の力だけで答える。それが当たり前でした。
今回の決定は、その前提そのものを見直す一歩と言えます。「AIがある社会で活躍できる人を選ぶ」という発想への転換です。
他の大学や国はどう考えている?
近畿大学だけが特別なわけではありません。AIと入試をめぐる議論は、全国で進んでいます。
大学によって方針はバラバラ
実は、大学ごとに考え方は大きく分かれています。
ある大学は「出願書類でAIを使ったかどうかは、評価に影響させない」としています。AIを使っても使わなくても公平に見る、という立場です。
別の大学は「志望理由書などをAIで作った場合、受験生独自の成果とは一切みなさない」と、より厳しい姿勢を取っています。
つまり、同じ「AIと入試」でも、大学によってルールは正反対になることがあるのです。
文部科学省の考え方
国の立場も見てみましょう。
文部科学省は、入試は「大学教育の一貫したプロセス」だとしたうえで、各大学に対応方針を求めています。
大切なのは、AIの利用によって受験生の間に不公平が生まれないようにすることです。
そのため、受験生は出願前に、志望する大学の募集要項をよく確認することが欠かせません。
AI利用のメリットと心配なこと
入試でのAI利用には、良い面と気をつけたい面の両方があります。
良い面は、社会で本当に役立つ力を評価できることです。AIを上手に使って質の高い成果物を作る力は、これからの時代に欠かせません。
心配なのは、AIに頼りすぎて「自分で考える力」が育たなくなることです。
AIが出した答えをそのまま受け入れて、調べたり考えたりしなくなると、主体的に学ぶ姿勢が弱まる恐れがあります。
だからこそ近畿大学は、「独自性」や「本人の思考」を重視すると強調しているのです。AIはあくまで道具、という考え方が土台にあります。
専門家も、この両面を指摘しています。
生成AIは学習の質や学校運営の効率を高める可能性がある一方、頼りすぎると学ぶ人の考える力が落ちるリスクもあると言われています。
だからこそ、使い方のルールづくりが大切だとされています。今回の近畿大学の線引きは、その具体例の一つと言えるでしょう。
日本の受験生・保護者への影響
この決定は、実際に受験する人たちにどう関係するのでしょうか。
まず、情報系の学部を目指す高校生にとっては、AIの使い方を学んでおくことが有利になります。
ある高校3年生が総合型選抜でプレゼンを準備する場面を想像してみてください。
資料集めやスライドの下書きにAIを使えば、短い時間でも内容を深く練り込めます。空いた時間で、自分の考えを磨くことに集中できます。
保護者にとっても、「AI=ズル」という古い考えを見直すきっかけになります。
大事なのは、AIを禁止することではなく、正しく使う力を子どもに身につけさせることです。
一方で注意も必要です。大学ごとにルールが違うため、志望校が決まったら必ず募集要項を確認しましょう。「A大学でOKだから、B大学でもOK」とは限りません。
よくある質問(FAQ)
Q. 近畿大学のすべての入試でAIを使えるのですか?
いいえ。今回認められたのは、情報学部の総合型選抜です。他の学部や、一般入試での方針は明記されていません。志望する入試方式ごとに確認が必要です。
Q. AIに提出物を全部作らせてもいいのですか?
それは避けたほうがよいです。選考では受験生本人の能力・思考・独自性を重視します。AIに丸投げした、自分の考えのない提出物は評価されにくいと考えられます。
Q. AIが作った内容にウソが混じっていたらどうなりますか?
虚偽を記載した提出物は受理されません。生成AIは、もっともらしいウソ(ハルシネーション)を出すことがあります。内容が正しいか、自分で必ず確認する必要があります。
Q. なぜ情報学部だけが対象なのですか?
情報学部はプログラミングやシステム開発を学ぶ場所です。その分野ではAIを使いこなす力が特に重要だからです。学びの内容と、AI活用の相性が良いと考えられます。
Q. 他の大学もこれから追随しますか?
可能性はあります。ただし現状では、AIを認める大学と、厳しく制限する大学の両方があります。今後、各大学の方針が出そろっていくと見られます。
まとめ
今回のポイントを振り返ります。
- 近畿大学が2027年度入試(情報学部の総合型選抜)でAI利用を認めます
- 使えるのは提出物やプレゼンの準備。ウソの記載や丸投げはNGです
- 選考では受験生本人の能力・思考・独自性を重視します
- 大学ごとに方針は異なり、文部科学省は公平性の確保を求めています
- 「AIは使いこなす道具」という考え方が、受験の常識を変え始めています
まずは、志望する大学の募集要項でAIの扱いを確認することから始めましょう。

