就活生の97%がAI利用|2割が面接で答えられず

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

taolis.net X note Voicy YouTube
  • 2027年春卒業予定の大学4年生で、就活に生成AIを「使っていない」人はわずか3%
  • 使い道の中心はエントリーシート(ES)の添削で6割超、自己分析が約5割
  • 面接でES内容を追及され、答えに窮した学生が5人に1人
  • 企業がAI利用を禁止しても、64.6%の学生は使い続けると回答
  • 「AIに書かせる」より「AIに直させる」が、通過する学生の共通点

就活でChatGPTを使うのは、ズルでしょうか。実はもう、そんな議論をしている段階ではありません。使っていない学生が100人に3人しかいない時代に、何が起きているのかを見ていきます。

就活で生成AIを使わない学生は、たった3%

2026年8月7日、ITmedia NEWSがある調査結果を報じました。

調査したのはHR総研と人材会社のポートです。2026年6月に、2027年春に卒業予定の大学4年生346人へインターネットでアンケートを行いました。

結果は衝撃的でした。就職活動で生成AI(人間のように文章を書けるAI)を「利用していない」と答えた学生は、わずか3%だったのです。

つまり97%の学生が、何らかの形でAIを使って就活をしています。

2年で「多数派」から「絶滅危惧種」へ

変化のスピードが尋常ではありません。同じ質問への回答を、卒業年度ごとに並べてみます。

  • 2025年春卒:「利用していない」が55%(過半数が未使用)
  • 2026年春卒:「利用していない」が24%
  • 2027年春卒:「利用していない」が3%

たった2年で、未使用者が55%から3%へ。18分の1になった計算です。

ここまで急激に定着した就活ツールは、過去に例がありません。リクナビもマイナビも、普及にはもっと時間がかかりました。

学生はAIを何に使っているのか

気になるのは「どこで使っているか」ですよね。

HR総研の調査では、エントリーシート(ES)の添削・改善が6割以上でトップでした。次いで自己分析が約5割です。

ほかにも企業研究、業界研究、ES作成そのもの、面接の想定問答づくりと、用途はほぼ全工程に広がっています。

「書かせる」より「直させる」が主流

注目したいのは、ES作成での使い方の内訳です。

  • 自分で書いたものをAIにブラッシュアップさせる:43%
  • AIにたたき台を作らせて自分で修正:20%
  • AIが作ったものを一部だけ修正:18%
  • AIが作ったものをそのまま提出:3%

「AIに丸投げ」はたった3%しかいません。

多くの学生は、自分の言葉を土台にしてAIに磨かせています。文章力に自信がない部分だけを補ってもらう、という現実的な使い方です。

深夜2時のES締切という現実

ある大学4年生の11月を想像してみてください。第一志望のES締切が翌日正午、まだ白紙です。

これまでなら、サークルの先輩に添削を頼むか、大学のキャリアセンターの予約を取るしかありませんでした。深夜2時では、どちらも不可能です。

いま学生は、その場でAIに文章を投げます。数十秒で「もっと具体的な数字を入れましょう」と返ってきます。

マイナビの2027年卒調査(2026年4月25〜30日、1258人)でも、AIを使う理由の最多は「作業時間の短縮」で54.3%でした。効率化こそが動機なのです。

そして2位に続く理由が、少し切実です。「自分だけの考えで決めるのは不安だから」が28.8%。相談相手としてのAIに、頼っている学生が3割近くいます。

5人に1人が、面接で答えに詰まっている

便利な話ばかりではありません。ここからが今回の調査で最も重い部分です。

面接官にESの記入内容を深く追及され、答えに窮した経験がある学生が5人に1人(約2割)いました。

内訳を見ると、追及に対して「半分程度は答えられなかった」が18%。「ほとんど」「すべて答えられなかった」も数%います。

なぜ自分のESに答えられなくなるのか

理由はシンプルです。AIが盛った経験は、自分の記憶にないからです。

たとえばAIは「業務効率を30%改善しました」といった、それらしい表現を作るのが得意です。しかし面接官は必ず聞きます。「その30%はどう測ったのですか」と。

数字の出どころが自分の中にないと、そこで沈黙が生まれます。

SHIFT AIが2026年3月に公表した大学生280人への調査では、「AI利用がバレる不安」を感じている学生が73.6%に上りました。不安は、かなり正しい直感だったわけです。

AI面接には、学生の半数が抵抗感

逆に、企業側もAIを使い始めています。

マイナビ調査では、AI面接を受けた経験がある学生が28.2%。一方で、AI面接があると聞くと「受験意欲が下がる」と答えた学生が51.1%でした。

理由は「人に評価されたい」が55.2%、「機械に判断されたくない」が50.9%です。

学生はAIで書類を書き、企業はAIで学生を選ぶ。それでいて学生側は、機械に評価されることを嫌がっています。この非対称さが、いまの就活のねじれです。

企業が禁止しても、6割超は使い続ける

では、企業が「AI利用は禁止です」と言えば済むのでしょうか。

SHIFT AIの調査結果は、その期待をきれいに裏切ります。企業がAI使用を禁止していた場合でも、64.6%の学生が「それでも使う」と回答したのです。

  • 「一部は活用する」:49.3%
  • 「フル活用する」:15.4%
  • 「その企業を受けるのをやめる」:13.9%

禁止は守られないどころか、13.9%の学生を取りこぼす副作用まで生みます。

「AI対AI」で書類が均質化する

採用の現場では、別の困りごとも起きています。

学生がAIで磨いた洗練された書類を、企業のAIが自動でふるいにかける。この「AI対AI」の構図が生まれつつあります。

誰もが一定水準以上の文章を用意できるようになった結果、応募書類が驚くほど似通ってきました。読んでも人柄が浮かんでこないのです。

だから面接での深掘りが、以前より重要になりました。答えに詰まる学生が2割いるのは、企業側がそこを厳しく見始めた裏返しでもあります。

就活で使うAI、どれを選ぶべきか

「結局どれを使えばいいの」という疑問に、用途別で答えます。

汎用AIチャットの使い分け

ChatGPT、Gemini、Claudeはいずれも無料枠があり、ESの推敲には十分使えます。

ざっくり言えば、Geminiは検索と連携した企業研究に強く、Claudeは長い文章の推敲や敬語の調整が得意です。ChatGPTは利用者が最も多く、就活向けのプロンプト例が世の中にあふれている点が利点になります。

ただし共通の弱点があります。企業の最新情報や採用実績を、AIが取り違えて答えることがあるのです。企業研究で得た情報は、必ず公式サイトや有価証券報告書で裏を取ってください。

就活特化サービスとの違い

就活ナビサイトが提供するES添削AIや、面接練習に特化したサービスも増えています。

特化型は、過去の通過ESや企業ごとの設問傾向を学習している点が強みです。一方で、汎用AIのほうが対話の自由度が高く、自己分析の壁打ち相手には向いています。

実務的には、自己分析と壁打ちは汎用AI、最終的な文章チェックは特化型サービスという併用が合理的です。

海外では「AIっぽい書類」は即落ちの対象

日本だけの話ではありません。

米国の採用市場では、採用担当者の約3人に1人が「AIが書いた履歴書は20秒以内に見抜ける」と答えています。

さらに深刻な数字もあります。AI生成と判断した履歴書を自動的に落とす採用担当者が49%、個性がないAI文章を理由に不採用にする担当者は62%に達すると報告されています。

AIを使うこと自体ではなく、「AIに任せきりの文章」が落とされているのです。日本の面接での深掘りと、根っこは同じ問題です。

日本の就活は、これからどう変わるか

日本の就活には、海外にない特徴があります。新卒一括採用と、面接での人物重視です。

書類がAIで均質化すると、企業が見る場所は必然的に面接へ移ります。実際、マイナビ調査では62.6%の学生が「就職活動に変化を感じた」と回答しました。

学生がいますぐ取るべき3つの行動

結論から言えば、やることは3つです。

1つ目は、ESに書いた数字とエピソードを、必ず自分の記憶と突き合わせること。書いた直後に「なぜ」を5回自問すれば、面接での沈黙はほぼ防げます。

2つ目は、AIには「盛らせない」こと。「事実だけを整理して、誇張は加えないで」と最初に指示するだけで、出力の危うさが下がります。

3つ目は、企業ごとの利用ルールを確認することです。生成AI利用の可否を明示する企業は増えており、無断使用は信頼を損ねます。

企業側に求められる設計変更

採用する側も、書類だけで絞る方式は限界を迎えています。

禁止して守られない以上、現実的な選択肢は「AI利用を前提にした選考設計」です。使用の可否と範囲を募集要項で明示し、面接では本人の体験そのものを問う。この2点に尽きます。

キャリアセンターにも役割が回ってきます。AIの使い方そのものを教える指導が、今後の標準になっていくはずです。

よくある質問(FAQ)

Q. 就活で生成AIを使うのは、そもそもルール違反ですか?

A. 一律に禁止されているわけではありません。企業ごとに方針が異なり、可否を募集要項で明示する企業が増えています。禁止と書かれていれば従い、記載がなければ「自分の体験を自分の言葉で説明できる範囲」で使うのが安全です。

Q. AIで書いたESは、企業にバレますか?

A. 完全な判別は難しいとされますが、米国では採用担当者の約3人に1人が20秒以内に見抜けると答えています。ただし本当の関門は書類ではなく面接です。中身を語れなければ、そこで露見します。

Q. どんな使い方なら安全ですか?

A. 調査で最も多かった「自分で書いてからAIに直させる」(43%)が、現実的で安全な使い方です。AIが作った文章をそのまま出す学生は3%しかいません。

Q. AI面接は避けられますか?

A. 経験者は28.2%で、まだ全員が通る道ではありません。ただし大手を中心に導入は拡大しています。半数の学生が抵抗を感じていますが、避けるより、結論を先に話す練習をしておくほうが得策です。

Q. 企業研究をAIに任せても大丈夫ですか?

A. 下調べには便利ですが、AIは古い情報や誤った数字を答えることがあります。企業の公式発表や決算資料で必ず裏を取ってください。

まとめ

  • 2027年春卒で、就活に生成AIを使わない学生は3%だけ(2025年春卒は55%が未使用)
  • 用途はES添削が6割超、自己分析が約5割。ほぼ全工程に浸透
  • AIに丸投げする学生は3%のみ。主流は「自分で書いてAIに直させる」43%
  • 面接でES内容を追及され、答えに窮した学生が5人に1人
  • 企業が禁止しても64.6%が使い続け、13.9%は応募自体をやめる
  • 海外では、AI生成と判断された履歴書を49%の採用担当者が自動的に落とす

まずは自分のESを開いて、書いてある数字とエピソードを1つずつ「なぜ」と問い直すところから始めてみてください。

参考文献