GitHub Models終了|45モデル無料枠が消えた日

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • GitHub Modelsが2026年7月30日に完全終了し、無料で45以上のAIモデルを試せる環境が消えました
  • プレイグラウンド・モデルカタログ・推論API・BYOKのすべてが、既存ユーザーも含めて利用不可になりました
  • 終了予告から停止までの猶予はわずか29日間。7月16日と23日には予行演習の一時停止も実施されました
  • 公式の移行先はMicrosoft Foundry(旧Azure AI Foundry)。ただしAzureの契約と従量課金が前提です
  • 無料で試したいなら、Google AI Studio・Mistral・Groq・Hugging Faceなど代替の選択肢があります

「GitHubのアカウントさえあれば、GPTもLlamaも無料で試せる」。そんな開発者の入口が、2026年7月30日に静かに閉じました。予告から停止までわずか29日間。何が消えて、これから何を使えばいいのかを整理します。

GitHub Modelsが7月30日に完全終了しました

GitHubは2026年7月30日、AIモデル提供サービス「GitHub Models」を完全に終了しました。

公式のチェンジログには、はっきりとこう書かれています。プレイグラウンド、モデルカタログ、推論API、BYOK(自分で用意したAPIキーを使う機能)は「アクティブに利用中の既存顧客を含め、いかなる顧客にも提供されない」と。

つまり、猶予も例外もありません。昨日まで動いていたコードが、今日から動かなくなったということです。

消えたのは4つの機能

今回の終了で使えなくなったのは、次の4つです。

  • プレイグラウンド:ブラウザ上でプロンプトを打ち込み、モデルの返答をその場で比べられた画面
  • モデルカタログ:OpenAI、Meta、Mistral、DeepSeek、Cohereなど45以上のモデルが並んでいた一覧
  • 推論API:自分のアプリから呼び出せたエンドポイント(プログラムの接続先)
  • BYOK:他社のAPIキーをGitHub経由で使う仕組み

GitHub Actions(GitHubの自動実行機能)から models: read の権限で呼び出していたワークフローも、当然ながら止まります。

たった29日間の猶予

時系列を並べると、その急さがよくわかります。

  • 2024年:GitHub Modelsが公開ベータとして登場
  • 2026年6月16日:新規ユーザーの受付を停止
  • 2026年7月1日:7月30日の完全終了を発表
  • 2026年7月16日・23日:ブラウンアウト(リクエストをわざと失敗させる予行演習)
  • 2026年7月30日:全機能を停止

発表から停止まで29日。企業のシステム移行としては、かなり短い部類です。

ブラウンアウトは親切な設計でした。本番停止の前に「あなたのコードはここで壊れますよ」と気づかせる仕組みだからです。とはいえ、気づいてから直すまでの時間は2週間しかありませんでした。

そもそもGitHub Modelsは何が便利だったのか

使ったことがない人には、なぜこれが騒がれるのかピンとこないかもしれません。

GitHub Modelsの価値は、機能の多さではなく「手続きがゼロだったこと」にありました。

普通、AIモデルをAPIで試そうとすると、こんな段取りが必要です。サービスに登録して、クレジットカードを登録して、請求の上限を決めて、APIキーを発行して、環境変数に設定する。ここまでで30分は溶けます。

GitHub Modelsなら、すでに持っているGitHubアカウントだけで始められました。しかも無料枠つきです。

無料枠の中身は、GitHub Copilotの契約プラン(Free / Pro / Pro+ / Business)に応じて変わる仕組みでした。1回のリクエストで扱えるのは入力8Kトークン・出力4Kトークン程度。本格的な本番運用には足りませんが、「このモデルで自分のやりたいことができそうか」を確かめるには十分な量です。

GitHub自身も、これを本番プラットフォームではなく「オンランプ(高速道路の合流車線)」と位置づけていました。試す場所であって、走り続ける場所ではない、という設計思想です。

なぜ終了したのか マイクロソフトの狙い

GitHubが示した移行先は2つです。幅広いモデルを使いたいならMicrosoft Foundry、GitHub上でAIワークフローを組みたいならGitHub Copilot

ここに、はっきりした意図が見えます。

実はGitHub Modelsは、最初からAzureの推論基盤の上で動いていました。看板がGitHubだっただけで、中身はマイクロソフトのクラウドです。

つまり今回の動きは「サービスの停止」というより、看板の掛け替えと、有料プラットフォームへの誘導に近いものです。無料の実験場を畳んで、課金の入口に一本化した、と言い換えてもいいでしょう。

この判断には批判もあります。調査会社Futurum GroupのMitch Ashley氏は、モデルの評価作業がリポジトリの外へ移ることを問題視しました。評価をAzureの契約手続きの向こう側に置くと、それは「気軽な検証」ではなく「正式な調達判断」になってしまう、という指摘です。

そして小さなチームは、正式な手続きを踏むくらいなら検証そのものをやめてしまう可能性がある、とも述べています。無料であることは、単なる値段の話ではなかったわけです。

移行先はどこがいい? 主要サービスを比較

「とりあえずAzureに行けばいい」で済ませる前に、選択肢を並べてみましょう。用途によって最適解は変わります。

Microsoft Foundry(公式の移行先)

プラットフォーム自体の利用は無料で、使ったモデルのトークン量に応じて課金される仕組みです。モデルカタログは1,800以上(周辺の派生モデルまで含めると1万を超えるとされています)と、規模は圧倒的です。

価格は驚くほど安い部類もあります。小型モデルのPhi-4-miniなら、サーバーレスAPI経由で入力100万トークンあたり約0.07ドル(約10円)、出力は約0.23ドル(約35円)ほど。

ネックはお金ではなく手間です。Azureのアカウント、サブスクリプション、リソースグループ、課金設定。企業なら情報システム部門の承認も要ります。「ちょっと試す」の敷居がぐっと上がりました。

OpenRouter(1つの窓口で多社のモデル)

複数のAI企業のモデルを、共通のAPIで呼び分けられる中継サービスです。GPT系もClaude系も同じ書き方で使えます。

料金は各社の価格をそのまま通し、クレジット購入時に5.5%の手数料が乗る形。GitHub Modelsのように「1つの窓口でモデルを比べたい」という使い方には、いちばん近い選択肢です。

Hugging Face(オープンモデル中心)

Inference Providersを使えば、上乗せ手数料なしで各社の推論基盤を呼べます。無料ユーザーには月0.10ドル未満、PROユーザーには月2.00ドル分のクレジットが付きます。

専用GPUを確保するInference Endpointsは1時間あたり0.50ドル(約75円)から。オープンモデルのコストを最小化したいなら有力です。

無料枠で粘るなら

とにかく費用をかけたくない人向けの選択肢もあります。

  • Google AI Studio:Gemini系・Gemma系を無料枠で利用可能。1日のリクエスト数に上限あり
  • Mistral:無料枠が月10億トークンと非常に大きいと言われています
  • Groq:応答速度が最速クラス。音声認識のWhisperも無料枠内で試せます
  • ローカル実行:Ollamaなどで自分のPCにモデルを置く。通信費もAPI費もゼロ

GitHub Modelsが1か所でまかなっていた役割を、複数のサービスに分散させる。これが現実的な着地点になりそうです。

日本の開発者・企業にとっての影響

日本では、この変更が3つの層に効いてきます。

ひとつめは個人開発者と学生です。クレジットカードを持たない学生や、副業で試作している人にとって、GitHubアカウントだけで動くAPIは貴重でした。代わりにGoogle AI StudioやGroqの無料枠へ移る動きが出ています。

ふたつめは社内の技術検証です。日本企業では、クラウド契約に稟議が必要な会社がまだ多くあります。「無料枠だから承認不要」で回せていた検証が、Azureの契約手続きを挟むと一気に重くなります。Ashley氏の懸念は、日本の稟議文化とかなり相性が悪いと言えます。

みっつめはCI/CDの停止リスクです。GitHub Actionsのワークフローに models: read を仕込んでいた場合、7月30日以降そのジョブは失敗します。プルリクエストの自動要約やコードレビュー補助などに使っていたチームは、すでに赤いバツ印を見ているはずです。

なお、Microsoft FoundryもAzureの東日本・西日本リージョンで利用できます。データを国内に置きたい企業にとっては、そこは安心材料です。

実際に困るのはこんな場面

抽象的な話より、具体的な現場を3つ見てみましょう。

ある個人開発者は、副業で作った家計簿アプリにレシート要約機能を入れていました。GitHub Modelsの無料枠で月数百リクエストをさばいていたので、運用コストはゼロ。7月30日の朝、アプリの要約欄が空白になっているのを見て、初めて終了に気づきます。この規模ならGroqやGoogle AI Studioの無料枠にAPIの接続先を差し替えるだけで復旧できます。

次に、社内ツールを作っていた情報システム部門の担当者。問い合わせメールを自動分類する仕組みを、GitHub Actionsの定期実行で回していました。停止後は毎朝ジョブ失敗の通知が届きます。困ったのは技術ではなく手続きで、Azureの契約申請に部長決裁が必要でした。当面はローカルPCでOllamaを動かしてしのぐ、という判断になります。

三つめは、専門学校でAIを教えている講師です。授業では学生40人全員が自分のGitHubアカウントでモデルを呼び、プロンプトの違いによる出力の変化を体験していました。全員分のクラウド契約は現実的ではありません。無料枠のあるサービスへ教材を書き換えるか、教室に1台の共有サーバーを立てるか。9月からのカリキュラムを組み直す作業に追われています。

今からやるべき3つのこと

まだ対応が終わっていないなら、優先順位はこうなります。

1. 影響範囲を洗い出す。自分のリポジトリを models.inference.ai.azure.commodels: read で検索してください。忘れていた依存が見つかります。

2. 用途に合わせて移行先を決める。本番運用ならMicrosoft Foundry、モデル比較ならOpenRouter、学習や試作なら無料枠のあるサービス。1つに絞る必要はありません。

3. 接続先を抽象化しておく。今回の教訓は「無料サービスは終わる」です。APIの接続先とモデル名を設定ファイルに切り出しておけば、次に同じことが起きても差し替えは数分で済みます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 有料で使っていた場合も止まりましたか?
止まりました。公式には「アクティブに利用中の既存顧客を含め、いかなる顧客にも提供されない」と明記されています。契約の有無は関係ありません。

Q2. GitHub Copilotも使えなくなるのですか?
いいえ。Copilotは別サービスで、通常どおり使えます。むしろGitHubは、GitHub上でAIを使う手段としてCopilotを推奨しています。

Q3. Microsoft Foundryは無料で試せますか?
プラットフォームの利用自体に料金はかかりませんが、モデルを呼ぶと従量課金が発生します。Azureの新規アカウントには無料クレジットが付く場合があるので、そこから始めるのが現実的です。

Q4. コードの書き換えは大変ですか?
多くの場合、接続先URLと認証キー、モデル名の3か所を直すだけで済みます。GitHub ModelsはOpenAI互換の形式だったため、同じく互換形式のサービスへは比較的スムーズに移れます。

Q5. また同じことが起きる可能性はありますか?
否定はできません。無料のAI APIは各社の戦略で提供されており、方針転換で終了することがあります。重要な仕組みは、複数の提供元に切り替えられる設計にしておくのが安全です。

まとめ

  • GitHub Modelsは2026年7月30日に完全終了。プレイグラウンド・カタログ・推論API・BYOKがすべて停止しました
  • 予告は7月1日で、猶予はわずか29日間。既存の有料利用者も例外なく対象です
  • 公式の移行先はMicrosoft Foundry。価格は安いものの、Azure契約という手間が加わります
  • OpenRouter、Hugging Face、Google AI Studio、Mistral、Groq、ローカル実行など代替は豊富です
  • 日本では、稟議文化と無料枠の消滅の相性が悪く、社内検証が止まるリスクがあります

まずは自分のリポジトリを models: read で検索して、気づかないまま壊れている自動処理がないか確認してみてください。

参考文献