- Googleが2026年8月10日、Google広告とGoogleアナリティクスにAIエージェント機能をまとめて追加しました
- 中心にいるのは「Ask Advisor」。広告・分析・Merchant Center・Marketing Platformを横断して会話で答えます
- 新しいベンチマーク機能では、25業種の匿名平均と自社の数字を比べられます
- 文章を打つだけでグラフができる「Dashboards」も登場。Google広告では提供が始まっています
- 現時点では英語アカウント限定のベータ版で、日本語環境での提供時期は未定とされています
「先月より広告の成果が落ちたけれど、これって業界的にはふつうなの?」と悩んだことはありませんか。Googleが2026年8月10日に発表した新機能は、その疑問をチャット欄に打ち込むだけで答えてくれるものです。何がどう変わるのか、順番に整理します。
2026年8月10日、Google広告と分析がまとめてAI化
Googleは公式ブログで、Google広告とGoogleアナリティクスに向けた新しいAI機能を一斉に公開しました。
共通しているのは「操作を覚えるのではなく、質問して答えをもらう」という方向です。
これまで広告や分析のツールは、メニューをたどって数字を探す作りでした。新機能では、探す作業そのものをAIが肩代わりします。
Googleアナリティクスに「AI Overviews」
まず目に入るのがホーム画面の変化です。
「AI Overviews」は、前回ログインしてから何が変わったかを要約して見せてくれます。アクセス数の急な増減や、季節による売上の山などを自動でひろい上げます。
そのうえで「次にこうしてみては」という提案まで添えてくれます。
メールやモバイル通知でこの要約を受け取る設定も用意されています。毎朝ダッシュボードを開かなくても、変化だけが手元に届く形です。
Google広告のホーム画面が刷新
Google広告側では、ホーム画面そのものが作り直されました。
ログインすると、AIが自動生成したパーソナライズされたインサイトカードが並びます。アカウントごとに「いま見るべき数字」が違うので、表示される内容も変わります。
画面にはプロンプトボックス(質問を打ち込む入力欄)も置かれました。「競合はインプレッションシェアにどう影響していますか」といった聞き方で、その場で調べられます。
文章を打つだけでできる「Dashboards」
3つ目が「Dashboards」です。
見たいものを文章で指示すると、生データからグラフやレポートを自動で組み立てます。表計算ソフトで集計してから貼り付ける、という手順が丸ごと消えるイメージです。
しかも結果を並べるだけで終わりません。数字が動いた「理由」の説明もリアルタイムで付きます。
Google広告版はすでに使えます。Googleアナリティクス版は近日提供予定と案内されています。
目玉は「Ask Advisor」──4製品をまたぐ1人のAI担当者
今回の発表でいちばん構造的に大きいのが、この「Ask Advisor」です。
Geminiの最新モデルを土台にした会話型のエージェント(自分で考えて作業を進めるAI)で、Google広告・Googleアナリティクス・Merchant Center・Google Marketing Platformを横断して動きます。
バラバラだった2つのAdvisorが1つに
実はGoogleは、これまでも似た機能を持っていました。
「Ads Advisor」は2025年12月に英語版のGoogle広告アカウント全体へ行き渡り、キャンペーンの診断や改善提案を担当していました。同時期に登場した「Analytics Advisor」は、Googleアナリティクスの中だけで別々に動いていました。
担当者からすると、広告の話は広告のAIに、分析の話は分析のAIに聞く必要がありました。両者は互いの事情を知りません。
Ask Advisorは、この分断をなくす統合版です。2026年5月20日のGoogle Marketing Live 2026で発表され、今回の8月アップデートで機能が広がりました。
実際に何を聞けるのか
Googleのヘルプによると、Ask Advisorはおおよそ次のような質問に答えます。
- 成果が落ちた原因はどこにあるのか
- 特定の指標を、グラフや表にして見せてほしい
- この設定はどの画面から変えられるのか(手順を順番に案内)
- いま伸ばせそうな余地はどこか
発表時のデモでは、「ヘアケア製品の新規顧客を探して」と伝えるだけの例が示されました。Merchant Centerから商品情報を自動で引き出し、数クリックでGoogle広告のキャンペーンを立ち上げるところまで進みます。
調べる、判断する、実行する。これまで人が3つに分けてやっていた作業が、1つの会話にまとまります。
25業種の匿名平均と比べられる「ベンチマーク」
今回、実務でいちばん効きそうなのがベンチマーク機能です。
Googleアナリティクス上で、自分のキャンペーン成果を「似た特徴を持つ企業の匿名化された平均値」と比較できます。
比較の土台になるのは、25の大分類とその下のサブカテゴリから選ぶ業種区分です。返ってくる数字は平均値ひとつではありません。中央値に加えて、25パーセンタイルと75パーセンタイル(下位4分の1と上位4分の1の境目)まで示されます。
つまり「自分は業界の真ん中より上か下か」だけでなく、「上位25%に入れているか」まで見えます。
この比較は、集客・エンゲージメント・収益化・維持率の各レポートと管理画面で使えます。
ある通販サイトの担当者を想像してみてください。今月のコンバージョン率が2.1%に落ちて、上司に理由を聞かれています。従来は社内の過去データしか手元にありませんでした。これからは「同業の中央値は1.8%です」と即座に確認でき、話の前提が変わります。
一方で、比較相手のグループがどう作られているかは詳しく公開されていません。数字を鵜呑みにせず、自社と本当に似た集団かどうかを確かめる姿勢は必要です。
競合サービスと比べるとどうなのか
広告プラットフォームにAIを組み込む動きは、Googleだけのものではありません。
いちばん近い競合はMicrosoft Advertisingです。Microsoftは「Copilot」を広告システムに深く組み込み、会話の中で購入まで完了する仕組みまで用意しています。Googleの現行サービスに、これと同じものはありません。
費用面でもMicrosoftは強気です。平均クリック単価はおよそ1.54ドルで、Google広告より3〜4割ほど安いとされています。Copilot向けの広告機能自体は追加料金なしで使えます。
Microsoftの自社調査では、従来の検索と比べてクリック率が73%高く、コンバージョン率も16%高いと報告されています。ただしこれは提供元の発表なので、割り引いて読む必要があります。
Metaも「Advantage+」系の自動化を進めており、広告の作成から配信先の選定までAIに任せる方向です。さらに、SEOツールのAhrefsが提供する「Agent A」のように、プラットフォームの外側から複数媒体をまとめて見るAIも出てきました。
整理すると、いま市場は2つに割れています。広告プラットフォームの内側に住むエージェントと、その上に立って全媒体を束ねるエージェントです。Ask Advisorは明確に前者、しかもGoogle経済圏の中では最強クラスという位置づけになります。
日本のマーケ担当者に何が起きるか
ここが日本の読者にとって、いちばん気になる部分だと思います。
結論から言うと、今回の新機能はまだ英語アカウント向けのベータ版です。Googleアナリティクスのヘルプでも、Ask Advisorが使えるのは「表示言語が英語のプロパティ」に限ると明記されています。
他言語への拡大は予定されていますが、時期は公表されていません。日本での提供開始も、2026年7月時点で未定と伝えられています。
では日本の担当者は何もできないのか、というとそうではありません。準備の余地はあります。
ひとつは指標の定義をそろえておくことです。コンバージョンの数え方や比較期間、費用の計算基準が媒体ごとにバラバラだと、AIが出す答えもズレます。AIに任せる前提が整っていないアカウントは、機能が来ても恩恵を受けにくいわけです。
もうひとつは、媒体をまたいだデータの集約です。Google広告、LINEヤフー、Metaと分かれている数字を一か所で見られる状態にしておく。
ここは戦略の話にもつながります。Googleの中の最適化がエージェントに任されるほど、人間の仕事は「どの媒体にいくら配るか」という横断判断に移っていきます。中の自動化が進むほど、外の判断が本業になる、という構図です。
使う前に知っておきたい3つの注意点
便利そうに見える機能ですが、押さえておくべき制限もあります。
1つ目はプロパティをまたいだ分析ができない点です。Ask Advisorはあくまで1つのプロパティの中で動きます。複数サイトを横断して比べる用途には、現時点では向きません。
2つ目は透明性です。ベンチマークのピアグループがどう自動構築されるのか、詳細は明かされていません。推奨の根拠が見えない状態で自動化に乗るのは、リスクがあります。
3つ目はデータの扱いです。Googleは、チャットでのやり取りが製品改善に使われる可能性があると案内しています。機密性の高い情報をそのまま打ち込む運用は避けたほうが安全です。
よくある質問(FAQ)
Q. Ask Advisorは無料で使えますか?
A. Google広告やGoogleアナリティクスの機能として提供されるため、単独の追加料金は発表されていません。ただし現在はベータ版で、対象アカウントが限られます。
Q. 「Ads Advisor」と「Ask Advisor」は何が違いますか?
A. Ads AdvisorはGoogle広告の中だけで動く従来型のアシスタントです。Ask Advisorは広告・分析・Merchant Center・Marketing Platformを横断する統合版で、Ads AdvisorとAnalytics Advisorをひとつにまとめた後継にあたります。
Q. 日本語のGoogleアナリティクスでも使えますか?
A. 現時点では使えません。Googleのヘルプでは、表示言語が英語のプロパティに限定されると案内されています。他言語対応は予定されていますが、時期は公表されていません。
Q. ベンチマークの比較相手は誰ですか?
A. 似た特徴を持つ企業の匿名化データです。25の大分類とサブカテゴリから業種を選ぶ仕組みですが、グループの具体的な構成方法は公開されていません。
Q. AIの提案どおりに運用して大丈夫ですか?
A. 提案の根拠が見えないケースがあるため、そのまま従うのは危険です。数字の出どころと比較条件を確認したうえで、最終判断は人が下すのが現実的です。
まとめ
- Googleは2026年8月10日、Google広告とGoogleアナリティクスにAIエージェント機能をまとめて追加した
- 中心は「Ask Advisor」。4つの製品を横断し、会話だけで分析から実行までつなぐ
- 25業種の匿名平均と比較できるベンチマーク機能が加わり、中央値・25/75パーセンタイルまで見られる
- 文章を打つだけでグラフを作る「Dashboards」はGoogle広告で提供開始、アナリティクス版は近日予定
- 英語アカウント限定のベータで、日本語環境の提供時期は未定。プロパティ横断分析にも非対応
まずやるべきことは、自社アカウントのコンバージョン定義と比較期間を今のうちに統一しておくことです。日本語対応が来た瞬間から使える状態にしておけば、他社より半歩先に進めます。
参考文献
- Google「Try new AI tools from Google Ads and Analytics」(2026年8月10日)
- Search Engine Land「Google brings new AI agent capabilities to Ads and Analytics」
- Search Engine Journal「Google Announces Campaign Benchmarking In Google Analytics」
- Google「Meet Ask Advisor, your new AI-powered collaborator」
- Google アナリティクス ヘルプ「Ask Advisor in Google Analytics (Beta)」

