- 会社員の65.3%が「生成AIが使えないと業務に支障が出る」と回答しました
- 43.6%は自分を「AI依存」だと自覚しています
- コーディングやアイデア出しでは、6割前後がAIなしに不安を感じています
- 約15%が社内ルールのない「シャドーAI」状態で、情報漏洩リスクが指摘されています
- 企業に必要なのは「見える化・ルール・教育」の3点だとわかります
もし明日から生成AIが使えなくなったら、あなたの仕事は回りますか?「正直、ちょっと困る」と思った方は多いはずです。サイバーセキュリティクラウドの最新調査で、会社員の6割超が「生成AIが止まると業務に支障が出る」と答えました。便利さの裏に潜むリスクまで、やさしく解説します。
調査でわかった「生成AI依存」のリアル
この記事の中心になるのは、ある1つの調査です。まずは基本から押さえましょう。
どんな調査だったの?
調査をしたのはサイバーセキュリティクラウドという会社です。セキュリティ(情報を守る技術)を専門にしています。
調査の名前は「生成AI利用実態調査2026」です。2026年6月18日に発表されました。
対象は、仕事で生成AIを使っている会社員360人です。調査の期間は2026年6月2日から4日まででした。
6割超が「使えないと困る」
いちばん注目された数字がこれです。生成AIが使えなくなったときの影響を聞いたところ、65.3%が「業務に影響がある」と答えました。
内訳を見てみましょう。「業務がほぼ止まる」が3.6%、「大きく影響する」が24.7%、「やや影響する」が36.9%です。
つまり、生成AIはもう「あれば便利な道具」ではありません。「ないと仕事が回らない存在」に近づいているのです。
4割が自分を「AI依存」と自覚
さらに踏み込んだ質問もありました。「自分はAIに依存していると思うか」という問いです。
結果は43.6%が「依存している」と回答。「非常に依存」12.2%と「やや依存」31.4%を合わせた数字です。
4割を超える人が、自分でも依存に気づいているわけです。これは少し驚きの数字ではないでしょうか。
どんな仕事で手放せなくなっている?
では、具体的にどんな業務でAIが欠かせなくなっているのでしょうか。調査では7つの業務を聞いています。
コーディングとアイデア出しが上位
「AIなしだと不安」と感じる人の割合を見てみます。いちばん高かったのはコーディング(プログラムを書く作業)で62.8%でした。
次に高いのがアイデア出しで56.6%です。7つの業務のうち、4つで半数を超える人が不安を感じていました。
ある若手エンジニアを想像してみてください。エラーが出たとき、まずAIに聞くのが当たり前になっています。AIがない状態は、地図なしで知らない街を歩くような心細さなのです。
上司より「AIの提案」を参考にする人も
もう1つ気になる結果があります。50%の人が「AIの提案を参考にした経験がある」と答えました。
中には、上司のアドバイスよりAIの答えを信じる人もいます。年代別に見ると、20代の毎日利用率は46.2%と高めでした。
若い世代ほど、AIが仕事の相棒になっている様子がうかがえます。
便利さの裏にある「シャドーAI」の危険
ここからは少し怖い話です。調査をしたのがセキュリティ会社なので、リスク面もしっかり見ています。
15%がルールなしで使っている
注目したいのが「シャドーAI」という言葉です。会社のルールがないまま、社員が勝手にAIを使っている状態を指します。
調査では約15%がこのシャドーAI状態でした。会社が知らないところで業務データがAIに入力されているのです。
さらに、情報漏洩のリスクを「常に意識している」人は52%だけでした。逆に23%は「あまり、または全く意識していない」と答えています。
財務や顧客の情報まで入力している
何をAIに入力しているのかも調べています。財務データが19.9%、顧客情報が16.4%、契約書が13.4%という結果でした。
これらは外に漏れたら大問題になる情報です。それでも、確認や修正をせずにそのまま使う人が37%いました。
実際に「ヒヤリとした経験がある」人は35%。そのうち14%は「本当に問題になった」と答えています。便利さとリスクは、いつも隣り合わせなのです。
他の調査と比べると?日本企業のいま
今回の調査だけでは全体像が見えません。他の調査と比べてみましょう。
コンサル会社のPwC Japanが2026年に行った調査では、生成AIを「活用中・推進中」の企業が87%にのぼりました。「未着手」はわずか4%で、前年から半分に減っています。
普及はものすごい勢いです。ところが、効果の実感はいまひとつでした。「まだ効果を評価できていない」と答えた企業が、日本だけ突出して多かったのです。
お金の面でも差が出ています。AI投資の元を取れている企業は、日本が40%なのに対し、米国や英国は70%超でした。
つまり日本は「使ってはいるけど、活かしきれていない」状態です。今回のサイバーセキュリティクラウドの調査が示す「依存はするのに管理は甘い」という姿とも重なります。
日本のユーザー・企業はどうすべき?
では、私たちは何をすればいいのでしょうか。調査の提言はとてもシンプルです。
キーワードは3つ。「見える化」「ルール整備」「従業員教育」です。
まず「見える化」。社内で誰がどんなAIを、どんな目的で使っているかを把握します。シャドーAIをなくす第一歩です。
次に「ルール整備」。財務データや顧客情報など、入力してはいけない情報を決めておきます。
最後に「従業員教育」。AIの答えをうのみにせず、必ず人が確認する習慣を広めます。個人でできるのは、まず「この情報を入れて大丈夫か」と一度立ち止まることです。
依存そのものは悪いことではありません。大切なのは、リスクを知ったうえで上手に付き合うことなのです。
よくある質問(FAQ)
Q. 生成AIに依存するのは悪いことですか?
A. 依存そのものが悪いわけではありません。電気や検索エンジンに頼るのと同じで、便利な道具に頼るのは自然なことです。問題は、リスクを知らずに使うことです。ルールを決めて使えば、依存は強い武器になります。
Q. シャドーAIとは何ですか?
A. 会社の許可やルールがないまま、社員が個人の判断でAIを使う状態のことです。今回の調査では約15%が該当しました。管理されていないぶん、情報漏洩のリスクが高くなります。
Q. 仕事の情報をAIに入れても大丈夫ですか?
A. 内容によります。財務データや顧客情報、契約書などは、外部のAIに入力すると漏れる危険があります。会社のルールを確認し、機密情報は入れないのが基本です。社内専用のAIを使うのも有効です。
Q. AIの答えはそのまま使ってよいですか?
A. おすすめしません。調査では37%が「確認なしでそのまま使う」と答えましたが、AIは間違えることもあります。必ず人の目で内容をチェックしてから使いましょう。
まとめ
今回の調査からわかったことを振り返ります。
- 会社員の65.3%が「生成AIが止まると業務に支障」と回答
- 43.6%が自分を「AI依存」だと自覚している
- コーディングやアイデア出しでは6割前後がAIなしに不安
- 約15%が「シャドーAI」状態で、情報漏洩リスクが高い
- 対策は「見える化・ルール・教育」の3つがカギ
生成AIはもはや、仕事に欠かせない存在になりつつあります。まずはあなたの職場で「どんな情報をAIに入れているか」を一度見直してみましょう。

