- Googleの「AI概要(AI Overviews)」が米国検索の43%に表示され、1年で15%から急拡大した
- クリックせずに終わる「ゼロクリック検索」は68.01%に達し、AI概要がある検索では約80%に跳ね上がる
- 日本でも検索1位のクリック率が62.7%減、予測24.1%に対し実測は9.0%まで落ち込んだ
- 従来のSEOと、AIに引用されるための「GEO/LLMO」は目的も評価軸も違う
- 個人ブログから中小企業サイトまで、いま何を測り何を作るべきかが具体的にわかる
Google検索で調べものをしたあと、リンクを1つも押さずにタブを閉じた経験はありませんか。実はそれ、いまや世界の「標準」になりつつあります。米国検索の43%にAIの要約が表示され、サイトへのクリックは音を立てて減っています。何が起きているのか、数字で追いかけます。
Googleの「AI概要」が米国検索の43%に拡大
調査会社Similarwebのレポートによると、Googleの「AI概要(AI Overviews)」は2026年5月時点で米国検索の43%に表示されているとされています。
AI概要とは、検索結果の一番上にAIが答えを要約して出す機能のことです。日本語では「AIによる概要」と表示されます。
注目すべきは伸び方です。1年前の同じ時期はわずか15%でした。12か月で28ポイントも増えた計算になります。
さらにGoogleは、対話しながら検索する「AI Mode」も伸ばしています。AI Modeへの訪問数は2025年6月の1億2600万から、2026年5月には2億7900万へと約2.2倍に増えました。Googleの発表では月間ユーザーは10億人を超えています。
検索の使われ方そのものも変化しています。同レポートでは、検索クエリ(検索窓に入れる言葉)の平均文字数が5.4%伸びたと報告されています。単語を並べる検索から、文章で質問する検索へ移りつつあるということです。
「検索結果を読まない」が普通になった
ゼロクリック検索は68%
この変化がはっきり出ているのが「ゼロクリック検索」です。検索したのに、どのリンクもクリックせずに終わる行動を指します。
マーケティング調査で知られるSparkToroの分析では、2026年初頭のGoogle検索の68.01%がクリックなしで終わっていました。
2024年の同種の調査では60.45%でした。2年で7.5ポイント以上の悪化です。10年前は45%前後だったとされ、流れは加速しています。
AI概要があると、クリックは半分以下になる
AI概要の有無で差はもっと露骨になります。
Similarwebのデータでは、AI概要が表示された検索のゼロクリック率は中央値で約80%、平均で83%とされています。
米調査機関Pew Research Centerの調査でも、AI概要があるときにリンクを押した人は8%、ないときは15%でした。ほぼ半減です。
ユーザーからすれば当然の行動です。答えが画面の一番上に書いてあるなら、わざわざ元のサイトを開く理由がありません。
数字を読むときの注意点
ただし、この手の数字は前提条件で変わります。
SparkToroの分析は2026年1〜4月・米国が対象で、Similarwebのクリックストリーム(実際の閲覧行動の記録)を使っています。端末はおよそ3分の2がスマホです。
そしてGoogleのスマホアプリ内の検索は集計から外れています。アプリ内のほうがゼロクリックは強く出るとも言われており、実態はさらに厳しい可能性があります。
一方で、43%という表示率については「地域や端末の内訳が公開されておらず検証しにくい」という指摘も出ています。別の集計では48%以上とするものもあり、数字は「唯一の正解」ではなく傾向として読むのが安全です。
日本でも検索1位のクリック率が62.7%減
「これは英語圏の話でしょう」と思った方、ここからが本題です。
SEOツール大手Ahrefsの調査を紹介したWeb担当者Forumの記事によると、日本では検索1位のクリック率が2026年6月時点で62.7%も低下していました。
比較対象は2025年12月時点の38.0%減です。つまり半年で24.7ポイントも悪化したことになります。
具体的な数値がさらに衝撃的です。順位から予測されるクリック率は24.1%でした。ところがAI概要が出る検索での実測値はわずか9.0%だったのです。
1位を取っても、10人中1人しか来ない計算になります。米国はさらに厳しく、同時期の低下率は68.8%でした。
国内でも「Google経由のサイト訪問が3割前後減った」という報告が相次いでいます。順位を守ることと、人が来ることが、別々の話になってしまいました。
現場では何が起きているのか
レシピを書き続けてきた個人ブログ
10年かけて800本のレシピを公開してきた個人ブログを考えてみてください。「肉じゃが 分量」で長年1位を取ってきました。
いまその検索をすると、材料と分量はAI概要の中に並んでいます。読者は必要な数字を受け取り、ブログを開かないまま台所へ向かいます。
順位は1位のままなのに、広告収入だけが静かに半分になる。これが現在いちばん多い「被害の形」です。
問い合わせが減った地方の工務店
次は「〇〇市 外壁塗装 相場」で集客していた工務店です。
相場観はAIが要約して答えてしまいます。ただし、この会社の施工事例の写真や、地域特有の塩害への対処法は、AIには生成できません。
実際、AI概要は答えの根拠としてリンクを併記します。そこに自社が「引用元」として載るかどうかが、新しい勝負どころになっています。
BtoBメディアの編集担当者
3人体制でオウンドメディアを回している編集担当者の例も挙げておきます。
用語解説記事のアクセスは激減しました。一方で、自社で取った利用者アンケートを載せた記事だけは、AIに引用されて指名検索が増えました。
「どこにでもある情報」は要約され、「そこにしかない情報」は参照される。この線引きがはっきりしてきています。
従来のSEOと「GEO/LLMO」は何が違う?
いま話題になっているのがGEO(Generative Engine Optimization)です。LLMOやAIOとも呼ばれ、生成AIに引用・推薦されることを狙う取り組みを指します。
従来のSEOとの違いを整理します。
- ゴール|SEOは「順位を上げてクリックを得る」。GEOは「AIの回答に引用される」
- 成果の測り方|SEOは表示回数とクリック率。GEOは引用された回数やブランド名の言及数
- 効きやすい内容|SEOは網羅性の高い解説。GEOは独自データ・一次情報・具体的な数字
- 対象の場所|SEOはGoogle中心。GEOはChatGPT、Gemini、Perplexity、Claudeなども含む
- 技術面|どちらも構造化データ(検索エンジンに内容を伝えるための印)や表示速度は共通で重要
誤解されがちですが、GEOはSEOの反対語ではありません。土台となる技術要件は大部分が共通で、上に乗せる評価軸が増えたと考えるのが実態に近いです。
市場全体で見ると、生成AI関連サイトへの月間訪問数は平均95億に達し、前年比70%増と報告されています。人が集まる場所が増えた以上、そこで名前が出ることには意味があります。
日本のサイト運営者・企業がいま取るべき打ち手
では、明日から何をすればいいのでしょうか。優先度の高いものから並べます。
1つ目は、計測の作り直しです。Google Search Consoleの表示回数とクリック数の差を定点観測し、GA4でChatGPTやPerplexityからの参照流入を分けて見られるようにします。減っている実感を、数字で説明できる状態にするのが先です。
2つ目は、要約されにくい情報を持つことです。自社調査、価格の実データ、失敗事例、写真つきの手順。AIが自力で作れない一次情報は、引用元として選ばれやすくなります。
3つ目は、答えを最初に書く構成です。結論を冒頭に置き、質問文に近い見出しを使い、数字は本文中に明記します。AIが抜き出しやすい形に整えるだけでも扱いは変わります。
そして4つ目が、検索以外の入り口づくりです。メールマガジン、SNS、コミュニティ、アプリ。Google1本に依存する状態そのものがリスクになった、というのが今回のデータの結論とも言えます。
ちなみに日本語圏は、英語圏よりAI概要の展開がやや遅れて進む傾向があります。いまはまだ、準備できる時間が残っている段階です。
よくある質問(FAQ)
Q1. AI概要に自分のサイトを出さないようにできますか?
技術的には、検索結果への表示を制御するタグを使ってAIの要約対象から外す方法が案内されています。ただし通常の検索結果での露出も減る可能性があるため、慎重な判断が必要です。多くのサイトにとっては「出さない」より「引用元として出る」を狙うほうが現実的です。
Q2. SEOはもう意味がないのですか?
意味がなくなったわけではありません。AI概要が引用する先は、多くの場合その検索で上位に入っているページです。順位は「引用される資格」に近い位置づけへ変わったと考えるとわかりやすいです。
Q3. 個人ブログはもう勝てないのでしょうか?
一般的な解説記事は厳しくなっています。ただ、実体験・実測値・写真といった一次情報は個人のほうが速く出せます。読者が「この人の話が読みたい」と思う理由を作れるかどうかが分かれ目です。
Q4. AI経由の流入は、どのくらいの規模になっていますか?
サイトによって差が大きく、AI検索からの流入は全体の0.1%程度にとどまるという分析もあります。いまのところ「減ったクリックを埋める量」には届いていないのが実情です。だからこそ、流入以外の指標も併せて追う必要があります。
まとめ
- AI概要は米国検索の43%に表示され、1年前の15%から急拡大した
- ゼロクリック検索は68.01%、AI概要がある検索では約80%に達する
- 日本でも1位のクリック率が62.7%減、実測値は9.0%まで低下した
- 順位を守っても人が来ない時代に入り、GEO/LLMOという新しい軸が加わった
- 独自データと計測体制、そして検索以外の入り口が生き残りの鍵になる
まずはSearch Consoleを開き、直近半年の「表示回数」と「クリック数」の折れ線が離れ始めていないかを確認してみてください。
参考文献
- AI News「Google AI Overviews now appear in 43% of US searches」(2026年7月29日)
- SparkToro「In 2026, Less than One Third of Google Searches Still Send a Click」
- Web担当者Forum「AI Overviewsでクリック率が62.7%減! Google検索1位でもCTRはわずか9%【Ahrefs調べ】」(2026年7月29日)
- Similarweb「Zero-Click Marketing: What the 2026 Data Means」
- ミエルカ「GEO/LLMO対策≒SEO|AI検索流入0.1%のデータから見る」

