AIは10年で1万倍に|DeepMind衝撃予測

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • Google DeepMindが「AIの能力は今後10年で1万倍になる」と予測したことがわかります
  • 1万倍という数字が、どんな計算から出てきたのかがわかります
  • すでに世界のコードの4%をAIが書いていて、2026年末には20%超になる見込みだとわかります
  • 「本当にそんなに伸びるの?」という専門家の反論もわかります
  • 日本のエンジニアや会社が、今から何を準備すればいいかがわかります

「AIはこれからどこまで賢くなるの?」と気になったことはありませんか。その問いに、世界トップのAI研究所が具体的な数字で答えを出しました。なんと「10年で1万倍」です。さらに、すでにプログラミングの世界では変化が始まっています。この記事を読むと、その予測の中身と、私たちが今すべき準備がわかります。

Google DeepMindが出した「10年で1万倍」予測とは

Google DeepMind(グーグル傘下のAI研究所)が、2026年6月10日に1つの論文を発表しました。

タイトルは「From AGI to ASI(汎用AIから超知能へ)」です。

この論文の中で、「AIの実力は今後10年で約1万倍になる」と予測しました。

1万倍と聞いても、ピンとこないかもしれません。今のスマホが、10年後には1万倍すごくなる、というイメージです。

DeepMindは、AlphaGo(囲碁でプロに勝ったAI)やGemini(ジェミニ)を作った、世界最先端の研究所です。

その研究所が、思いつきではなく計算にもとづいて出した数字なので、世界中で大きな話題になりました。

そもそも「AIの実力」はどう測るの?

ここで言う「実力」は、実効計算量(effective compute)という考え方で測ります。

実効計算量とは、「AIがどれだけ多くの計算を、どれだけ賢くこなせるか」をまとめた指標です。

単に計算機の数が増えるだけではありません。

AI自身の仕組みが効率よくなることも含めて、トータルの実力を数字にしたものです。

1万倍という数字はどこから来たのか

「10年で1万倍」は、ざっくりした予想ではありません。

DeepMindは、実力アップを3つの要素に分けて計算しました。

  • アルゴリズム(AIの賢い仕組み)の改善:1年で約1.5倍
  • ハードウェア(計算機)への投資:1年で約2.5倍
  • アルゴリズムの効率化(同じ計算で多くをこなす工夫):1年で約3倍

この3つをかけ算すると、1.5 × 2.5 × 3 で、1年あたり約11.25倍になります。

論文ではこれを少し控えめにまるめて、「1年で約10倍」としています。

1年で10倍ということは、10年では10を10回かけることになります。

つまり1万倍(10の4乗)です。これが「10年で1万倍」の正体です。

ちなみに、この「年10倍」という数字は、AI研究機関のEpoch AI(エポックAI)が示すデータともほぼ一致しています。

1つの研究所の思い込みではなく、複数の専門機関の見方が重なっている点が重要です。

すでに始まっている変化:コードの4%はAIが書いている

「10年後の話でしょ?」と思うかもしれません。

ところが、変化はもう目の前で起きています。いちばんわかりやすいのが、プログラミングの世界です。

世界中のエンジニアが使う「GitHub(ギットハブ)」という開発者向けサービスがあります。

ここに公開されるコード(プログラムの書き込み)のうち、すでに約4%をAIが自動で書いていると報告されました。

これは調査会社SemiAnalysis(セミアナリシス)が2026年に公表した数字です。

書いているのは、AnthropicのAIエージェント「Claude Code(クロードコード)」です。

1日あたり、なんと13万5000件以上の書き込みをAIがこなしている計算になります。

2026年末には20%超という予測

SemiAnalysisは、さらに踏み込んだ予測も出しました。

このペースが続けば、2026年末にはコードの20%以上をAIが書くという見立てです。

Claude Codeは、2025年初めの試験公開から13か月で、利用が4万倍以上に伸びたとされています。

「まばたきしている間に、AIがソフト開発を飲み込んだ」と表現する専門家もいるほどです。

これは「10年で1万倍」という予測が、絵空事ではないことを示す身近な証拠と言えます。

DeepMindが描く「AI予測産業」という新しい仕事

今回の論文でもう1つ注目されたのが、「AI予測産業」という考え方です。

AIの進化はとても速く、しかも不確実です。

「いつ、どんな能力が、どれくらい伸びるのか」を正確に読むのは、とても難しい作業です。

だからこそ、AIの進化そのものを予測して提供することが、新しいビジネスになる、という発想です。

天気予報のように、「AIの進化予報」を企業や政府に届けるイメージです。

DeepMindのCEO、デミス・ハサビス氏は、AIの進化について慎重な発言も残しています。

2026年の世界経済フォーラム(ダボス会議)では、「2030年までにAGI(人間並みの汎用AI)が実現する確率は約50%」と語りました。

ハサビス氏は、次の大きな進歩は計算量を増やすだけでなく、記憶や継続学習、世界モデルといった「仕組みの工夫」から来ると考えています。

本当に1万倍も伸びるの?専門家の反論

もちろん、全員がこの予測に賛成しているわけではありません。

「そんなに順調には伸びない」という反論も、根強くあります。

最大の論点が、「データの壁」です。

AIは大量の文章を読んで賢くなります。

ところが、学習に使える質の高い文章は、2030年ごろには足りなくなると指摘されています。

燃料がなくなれば、ロケットは加速できません。それと同じ心配です。

AI研究者のゲイリー・マーカス氏などは、「データや計算を増やすだけでは限界が来る」と早くから警告してきました。

日本でも、AI研究の第一人者である甘利俊一氏が、スケーリング(規模拡大)一辺倒の進化に注意を促しています。

実際、「お金や計算機を2倍にしても、賢さは2倍にならない」という効果の頭打ちも指摘され始めています。

そのため、MoE(複数の専門AIを使い分ける仕組み)など、規模に頼らない新しい工夫も注目されています。

「10年で1万倍」は、あくまで今のペースが続いた場合の試算だと理解しておくことが大切です。

日本のエンジニアと企業への影響

では、この話は日本にどう関係するのでしょうか。

いちばん影響が大きいのは、やはりソフトウェア開発の現場です。

ある中小企業のシステム開発を想像してみてください。

これまでは、数人のエンジニアが何週間もかけて書いていたコードがあります。

その下書きの多くを、AIが数分で出せる時代になりつつあります。

これはエンジニアの仕事が「奪われる」というより、役割が変わると考えるほうが正確です。

これからのエンジニアに求められるのは、ゼロから書く力よりも、AIの書いたコードをチェックし、設計を考える力です。

また、AIを上手に使えるかどうかで、会社の開発スピードに大きな差がつきます。

たとえば、同じ規模の2社があったとします。

AIを使いこなす会社は、新サービスを3か月で出し、使えない会社は1年かかる、という差も起こりえます。

今のうちにAIツールに慣れておくことが、日本の企業にとって重要な準備になります。

よくある質問(FAQ)

Q. 「10年で1万倍」は確定した未来ですか?

A. いいえ、あくまで予測です。今のペースが続いた場合の試算で、データ不足などで鈍る可能性もあります。確定した未来ではありません。

Q. 1万倍になると、AIは人間を超えますか?

A. 計算量が1万倍でも、すぐに人間を超えるとは限りません。DeepMindのCEOも、2030年にAGIが実現する確率は約50%と慎重に見ています。

Q. すでにAIがコードの4%を書いているのは本当ですか?

A. 調査会社SemiAnalysisの報告では本当です。GitHubの公開コードの約4%をAIエージェントが書いており、2026年末には20%超になると予測されています。

Q. エンジニアの仕事はなくなりますか?

A. なくなるというより、役割が変わると考えられます。コードを書く作業よりも、AIの成果物をチェックし設計する力が重要になります。

Q. 普通の会社員には関係ない話ですか?

A. 関係します。開発スピードが上がると、新しいサービスやアプリが次々と登場します。仕事の道具やサービスの進化が、さらに速くなります。

まとめ

今回のポイントを整理します。

  • Google DeepMindが2026年6月、「AIの実力は10年で1万倍になる」と予測した
  • 1万倍は「1年で約10倍」を10年続けた計算で、複数の機関の見方とも一致する
  • すでにGitHubのコードの約4%をAIが書き、2026年末には20%超になる見込み
  • 一方で「データの壁」など、伸びが鈍るという反論も根強くある
  • 日本のエンジニアは、AIを使いこなす力を今から身につけることが大切

まずは無料で使えるAIツールに触れて、その実力を自分の目で確かめてみることから始めてみましょう。

参考文献

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