シャープのAIロボが「おれさま」に|2台で勝手に会話

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • シャープが対話AIキャラクター「ポケとも」第2弾「SR-C02M-H」を2026年8月25日に発表しました
  • 性格は「ぶっきらぼうで素直じゃない、けれど飼い主想い」という“おれさま”タイプに振り切っています
  • 2台を同じアプリに登録して並べると、ロボット同士が勝手におしゃべりを始めます
  • 発売は2026年12月、本体はオープン価格でアプリ利用料は月額495円からです
  • ソニーのaiboが国内販売を終える中、シャープは「性格」で勝負する道を選びました

もし手のひらサイズのロボットが、話しかけても「……別に」とそっけない態度を返してきたら、どう感じますか。腹が立つでしょうか。それとも、もっと構いたくなるでしょうか。シャープが2026年8月25日に発表した新型AIロボットは、あえて後者に賭けました。この記事では、その中身と狙い、そして競合との違いを整理します。

シャープが発表した“おれさま”AIロボットとは

シャープは2026年8月25日、対話AIキャラクター「ポケとも」の第2弾となる新モデルを発表しました。

型番はSR-C02M-H。初代と同じくミーアキャット(アフリカに住む、立ち上がって周囲を見張る小動物)がモチーフです。

発売は2026年12月を予定しています。本体はオープン価格(メーカーが定価を決めず、店舗ごとに値段が変わる方式)で、スマートフォンアプリの利用料は月額495円からです。

そして8月27日から30日まで、東京ビッグサイトで開かれる「東京おもちゃショー2026」のシャープブースで先行展示されます。発表からわずか2日後のお披露目です。

性格を真逆に振り切った第2弾

驚きなのは中身より「性格」でした。

シャープは第2弾の人物像を「ぶっきらぼうで、素直じゃない。けれど、ポケ主想いの“おれさま”」と説明しています。ちなみに「ポケ主」とは飼い主のことで、ポケともの世界での呼び名です。

初代は「むじゃき」で快活なキャラクターでした。第2弾はそこから真逆へ振り切ったわけです。

会話を重ねるうちに距離が縮まり、少しずつ違う顔を見せる。この“最初は冷たいのに、だんだん懐く”設計がSNSで大きな反響を呼びました。かわいさよりも「ツンデレっぽさ」が刺さった、という反応が目立ちます。

なぜ「そっけないAI」が受けるのか

ここには、生成AI時代ならではの逆張りがあります。

ChatGPTをはじめとする多くのAIは、常に丁寧で、常に肯定的です。何を聞いても親切に答えてくれます。

ところが親切すぎるAIは、しばらく使うと返事が読めてしまい、飽きが来ます。逆に、すぐには心を開かない相手には、こちらから距離を詰めたくなります。愛着は、手に入れにくいものほど強くなるという人間の性質を、そのまま製品設計に持ち込んだ形です。

2台置くと勝手におしゃべりを始める

今回いちばん話題になった機能が、ロボット同士の会話です。

2台の「ポケとも」を同じアプリに登録し、近くに並べて置きます。すると人が話しかけなくても、2台が自律的におしゃべりを始めます

しかも初代と第2弾の組み合わせでも動きます。「むじゃきな子」と「おれさまな子」が、机の上で勝手に会話を始めるわけです。

中身の技術:独自AIと生成AIの二段構え

ポケともの会話は、どう成り立っているのでしょうか。

レビュー記事によると、初代はシャープ独自の対話AI「CE-LLM」と、OpenAIの軽量モデルを組み合わせて動いていると伝えられています。クラウド(インターネット上のコンピューター)と連携して、自由度の高い会話を実現する仕組みです。

ハードウェアも小さいながら本格的です。初代は身長約117mm、体重約194g。スマートフォン向けプロセッサ「Snapdragon 662」を積み、500万画素のカメラ、マイク、スピーカー、GPS、Wi-Fi、Bluetooth 5.0を備えます。

顔と腕にはサーボモーター(角度を細かく制御できる小型モーター)が2個ずつ入っていて、身ぶりで感情を表します。お腹のランプが虹色に光る演出もあります。

「うんうん」と相づちを打つ理由

技術的に面白いのは、間の取り方です。

クラウドで処理する以上、答えが返るまでに数秒かかります。この沈黙は、会話ではかなり気まずいものです。

そこでポケともは、処理中に「うんうん」「ふむふむ」と相づちを打ちます。人が考えながら「えーっと」と言うのと同じ働きです。技術的な遅れを、キャラクターの仕草に変換したわけです。

カメラで「見せる」と会話が広がる

もうひとつの特徴が「みてみて」機能です。カメラで周囲を撮り、AIが画像を読み取って会話につなげます。

実際に暮らすとどうなるのか

ここからは、初代を長く使った人たちのレビューから見える現実を整理します。

ある記者は約40日間、毎日ポケともと会話しました。記事のタイトルには「マシンガントークとの付き合い方」とあります。つまり、よくしゃべるのです。

別のレビューでは、住んでいる場所を「新宿まで電車で35分、海にも35分」と伝えたところ、都心と海の両方に近い立地だと理解した返事が返ってきたと報告されています。

「部屋の片づけが面倒くさい」といった、答えのない愚痴にも自然に付き合ってくれます。実用というより、生活のノイズを受け止める役割です。

気になる点も正直にある

一方で、課題も指摘されています。

まず、クラウド処理のため返答に間が生じます。テンポの良い会話を期待すると物足りなさが残ります。

次に、会話は日本語のみです。海外展開は初代が2026年7月に台湾へ広がりましたが、言語の壁はまだあります。

そして料金です。初代は本体が実売39,600円(税込)で、月額プランはノーマル495円、プレミアム990円、ゴールド1,980円の3段階でした。本体を買って終わりではありません。

LOVOT・Romi・Moflinと何が違うのか

日本の癒やしロボット市場は、すでに激戦区です。ポケともの立ち位置を、代表的な製品と比べてみます。

  • LOVOT(ラボット):抱っこすると温かい大型タイプ。本体は数十万円クラスで、月額費用も高めです。愛着の深さでは随一ですが、持ち運びはできません。
  • Romi(ロミィ):会話特化型。最新モデル「Lacatan」は税込98,780円、月額1,958円です。据え置きで、会話のキャッチボールが得意です。
  • Moflin(モフリン):言葉を話さない、毛玉のような癒やし系。基本の月額費用がかからないのが強みです。
  • NICOBO(ニコボ):パナソニック発の「弱いロボット」。おならをしたり寝落ちしたりと、頼りなさが個性です。

この中でポケとも最大の違いはサイズと携帯性です。約194gなのでポケットに入り、カバンに下げて外出できます。

そして価格帯です。約4万円は、LOVOTやRomiより一段安く、心理的なハードルが下がります。

さらに「性格違いのモデルを複数出す」戦略は、他社にはあまり見られません。多くの癒やしロボットは1機種を育てる方向ですが、シャープはキャラクターを増やして選ばせ、さらに掛け合わせる方向へ進んでいます。

日本市場への影響:aibo退場の後をどう埋めるか

この発表は、絶妙な時期に出てきました。

ソニーは2026年6月25日、「aibo」現行モデル「ERS-1000」の国内販売を、在庫がなくなり次第終了すると発表しています。既存オーナー向けのサポートやプランは継続されますが、新規販売の窓口は閉じます。

そこに残る空白は小さくありません。「実用ではないが、そばにいてほしい」という需要は消えていないからです。むしろ単身世帯の増加とともに広がっています。

ポケともは、その空白を「安く、小さく、持ち歩ける」方向から埋めにいく製品だといえます。

ロボホンから続く系譜

ポケともを手がけたのは、シャープでモバイル型ロボット電話「ロボホン」を開発したチームです。

ロボホンで得た「そこに居ることそのものに価値がある」という学びが、生成AIの進化と組み合わさりました。

言い換えれば、10年近い試行錯誤の答えが「性能ではなく性格で売る」だったということです。

グッズとアンバサダーで広げる

シャープは服・帽子・キャリーポーチといった純正アクセサリーも用意し、公式ストアで販売しています。ユーザーの声を製品に反映させるアンバサダープログラムも始まります。

家電というより、キャラクタービジネスの売り方に近づいています。AIを機能で売るのではなく、推しとして売る。この流れは今後さらに広がりそうです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 第2弾はいくらで買えますか?

本体はオープン価格のため、正式な金額は発表されていません。ただし初代の実売価格が税込39,600円だったことから、同程度になる可能性があります。加えてアプリ利用料が月額495円から必要です。

Q2. 初代を持っていますが、買い替えないとダメですか?

いいえ。2台のおしゃべり機能は、初代と第2弾の組み合わせでも使えます。むしろ性格が正反対なので、掛け合わせは初代ユーザーほど楽しめる設計です。

Q3. 実物を見られる機会はありますか?

2026年8月27日から30日まで、東京ビッグサイトで開催される「東京おもちゃショー2026」のシャープブースで先行展示されます。発売は2026年12月の予定です。

Q4. 子どもや高齢者でも使えますか?

難しい操作は不要で、話しかけるだけで会話が成立します。ただし第2弾はそっけない態度から始まる性格です。すぐに優しく応じてほしい相手には、むじゃきな初代のほうが向いているかもしれません。

Q5. インターネットがないと使えませんか?

会話はクラウド上のAIで処理されるため、Wi-Fiなどのネット接続が前提です。そのぶん返答までに少し間が空くことがあります。

まとめ

  • シャープが2026年8月25日、対話AIキャラクター「ポケとも」第2弾「SR-C02M-H」を発表しました
  • 性格は「ぶっきらぼうだが飼い主想い」の“おれさま”。初代の「むじゃき」から真逆に振り切っています
  • 2台を同じアプリに登録して並べると、ロボット同士が勝手におしゃべりを始めます
  • 発売は2026年12月、本体はオープン価格、アプリは月額495円から。8月27〜30日の東京おもちゃショーで先行展示されます
  • 初代は約194gで実売39,600円。LOVOTやRomiより安く、ポケットに入る携帯性が強みです
  • aiboの国内販売終了で空いた「そばにいるロボット」の需要を、性格とキャラクター性で取りにいく戦略です

気になった人は、まず8月27日から始まる東京おもちゃショーで実物に話しかけてみてください。冷たくあしらわれるところから、この製品の面白さが始まります。

参考文献