検索エンジン41%減|生成AI依存59.2%が示す転換点

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • ICT総研の最新調査で、生成AI利用者の59.2%が「使えなくなったら困る」と回答
  • 生成AIを使い始めてから検索エンジン利用が減った人は41.3%に到達
  • ChatGPTの利用頻度は67.2%が「増加」、Geminiも66.4%増で定着フェーズへ
  • 国内利用者は2026年末に3,553万人、2029年末には5,160万人へ拡大予測
  • SEO・コンテンツ戦略は「人が検索する」前提から「AIに引用される」前提へ転換が必要

「ChatGPTがないと仕事にならない」—— そんな声が、もはや一部の早期利用者だけのものではなくなってきました。ICT総研が2026年5月28日に発表した最新調査では、生成AIへの依存度が一気に跳ね上がり、検索エンジン離れまで明確な数字で現れています。日本のインターネット利用者2,024人に何が起きているのか、調査データを徹底的に読み解きます。

調査の全体像|2,024人が示した3つの転換点

今回の調査は、株式会社ICT総研が2026年2月に実施したWebアンケートを集計したものです。

対象は15歳〜69歳のインターネット利用者2,024人

そのうち、過去1年以内に生成AIサービスを利用した経験がある人は1,107人(54.7%)に達しました。

調査結果から見えてくる転換点は3つあります。1つ目は依存度の急上昇、2つ目は情報収集行動の変化、3つ目はサービス利用頻度の定着化です。

これまで「とりあえず触ってみる」段階だった生成AI利用が、生活や仕事のインフラに組み込まれつつある。そんなフェーズの切り替わりを、数字が静かに告げています。

調査概要のおさらい

細かい数字に入る前に、調査の前提を整理しておきます。

  • 調査主体:株式会社ICT総研
  • 調査時期:2026年2月
  • 調査方法:Webアンケート
  • 対象人数:2,024人(うち利用経験者1,107人)
  • 発表日:2026年5月28日(PR TIMES)

サンプル数2,024という規模は、消費者調査としては十分な信頼度を持ちます。年代的にも40代以下では過半数が利用経験ありとなっており、もはや「特定層の趣味」とは言えない普及段階です。

「使えなくなったら困る」59.2%が意味すること

調査でもっとも衝撃的だった数字が、依存度を聞いた設問の結果です。

「もし生成AIサービスが使えなくなったらどの程度困るか」という問いに対して、「非常に困る」18.3% +「ある程度困る」40.9% = 合計59.2%が困ると回答しました。

一方で「まったく困らない」はわずか8.9%。「わからない」が4.9%です。

「依存」と呼べる水準に到達した

59.2%という数字は、単純な「便利だな」を超えています。

毎月支払う公共料金や、毎日使う通勤アプリと同じ感覚で、生成AIを位置付けている人が利用者の6割を占めるということです。

ある中小企業の経理担当者を想像してください。月末に何百枚もの請求書を確認し、仕訳を打ち、月次レポートを作成する。これまで残業ありきだった作業が、ChatGPTに「この勘定科目を整理して」と頼むだけで30分で終わるようになった。一度この生産性を味わうと、もう元の手作業には戻れません。

マーケティング担当者が広告コピーを20案出す、エンジニアがエラーログを貼ってデバッグしてもらう、営業担当者が議事録を3行に要約する。こうした小さな依存が積み重なって「59.2%」になっています。

「困らない」8.9%の正体

逆に「まったく困らない」と答えた8.9%は、どんな層でしょうか。

調査の文脈から読み解くと、業務でAIを使う頻度が低い人、まだ「お試し」段階を抜けていない人、自社規程でAI利用が制限されている人などが該当しそうです。

つまり「使い込んだ人ほど離れられない」という、典型的なプラットフォーム定着パターンが起きています。

検索エンジン41.3%減|情報収集行動はどう変わったか

もう一つ重要なのが、情報収集行動の変化を聞いた設問です。

生成AIを使い始めてから何が減ったかを複数回答で聞いたところ、「検索エンジンの利用が減った」が41.3%でトップになりました。

  • 検索エンジン利用が減った:41.3%
  • SNS利用が減った:23.6%
  • 人に聞く・自分で一から考えるが減った:21.2%
  • 特に変わらない:28.8%

「ググる」から「聞く」への移行

10人いれば4人が「Googleで検索する回数が減った」と答えている計算です。

これは検索エンジンの広告ビジネスを直撃する数字です。これまで何十回も検索してたどり着いていた答えに、ChatGPTやPerplexityなら1〜2回の質問でたどり着けます。検索結果ページを開く回数が減れば、当然そこに表示される広告のインプレッションも減ります。

「お母さんが料理のレシピを探すときも、いまは『鶏むね肉と冷蔵庫の残り野菜で15分で作れるもの教えて』とChatGPTに聞く」—— こうした日常の小さな変化が積み重なって41.3%という数字を作っています。

SEO担当者が今すぐ知るべきこと

この調査結果は、Web担当者やSEO担当者にとって重要な警鐘です。

これまで「検索で1位を取る」ことがゴールだったコンテンツ戦略は、「AIに引用される」ことを含めた設計に変わっていく必要があります。GEO(Generative Engine Optimization)やAIO(AI Optimization)という言葉が国内でも浸透しはじめている背景には、こうした行動変化があります。

具体的には、見出し構造の明確化、一次情報の引用、構造化データの整備が、AIに正しく引用されるための土台になります。

AIサービス別の伸び|ChatGPT利用頻度67%増の裏側

サービス別の利用頻度の変化も鮮明です。「半年前と比べて利用が増えた」と答えた割合は次の通りです。

  • ChatGPT:67.2%(増加32.9% + やや増加34.3%)
  • Gemini:66.4%
  • Microsoft Copilot:57.4%
  • Genspark:60.0%
  • Claude:39.4%(変わらない51.5%)

サービス別利用率トップ3

どのサービスを使っているかという問いでは、ChatGPTが圧倒的1位です。

  • ChatGPT:36.2%(前回18.3%、+18.9pt)
  • Gemini:25.0%(前回8.9%、+16.1pt)
  • Microsoft Copilot:13.3%(前回5.4%、+7.9pt)
  • Claude:4.3%
  • Perplexity:4.0%

前回調査からの伸び幅を見ると、ChatGPTが+18.9ポイント、Geminiが+16.1ポイントと驚異的な成長を見せています。日本市場ではGoogleのGeminiがAndroid統合の追い風を受け、急速にシェアを伸ばしている格好です。

満足度はCanva AIが僅差で首位

意外な結果が満足度ランキングです。100点満点換算の満足度は次の順位でした。

  • 1位:Canva AI 76.6点
  • 2位:ChatGPT 76.2点
  • 3位:Perplexity 76.0点
  • 4位:Gemini 75.9点
  • 5位:Claude 75.3点

デザイン特化のCanva AIが、汎用AIのChatGPTを0.4ポイント差で逆転しました。「やりたいことが明確なツール」のほうが満足度を上げやすいという、SaaS市場でよく見られる現象が生成AIでも起きています。

他社調査・国内外データとの比較|どこが特徴的か

今回のICT総研調査の数字を、他のデータと並べて見るとさらに輪郭がはっきりします。

海外調査との対比

米国Pew Research Centerの調査では、Z世代のChatGPT利用率が約26%(2024年)から急成長していることが報告されています。一方、日本の総務省「情報通信白書」によれば、日本の個人利用率は米国・中国と比べてやや遅れていました。

しかし今回のICT総研調査が示す「利用経験者54.7%」は、その遅れを取り戻すペースで普及が進んでいることを物語っています。

国内の類似調査との違い

国内の他調査と比べた特徴は、「依存度」と「行動変化」を同じ調査で測った点です。

これまで多くの調査は「利用率」や「満足度」を切り取って報告していましたが、今回は「使えなくなったら困るか」「他の行動が変わったか」まで踏み込みました。だからこそ59.2%・41.3%という、実生活への食い込みが見える数字が取れています。

日本市場への影響|企業が今すぐ取るべき3つのアクション

では、この調査結果を日本の企業や個人はどう受け止めればよいでしょうか。具体的なアクションを3つに整理します。

①コンテンツ戦略を「AI引用前提」に切り替える

検索エンジン経由の流入が41.3%減少するということは、自社サイトに「人」が訪れる前に、AIが先回りして答えを生成してしまう可能性が高まるということです。

従来の「タイトルにキーワードを入れる」「被リンクを集める」だけのSEOは通用しなくなります。AIが引用しやすい構造(明確な見出し・一次情報・データの数値化)を意識した記事設計が求められます。

②社内のAI利用を「禁止」から「管理」へ

59.2%の従業員が「AIなしでは困る」と感じている状況で、社内でAI利用を禁止しても「シャドーAI(隠れAI利用)」が増えるだけです。

すでに国内では従業員の7割超がシャドーAIを使用している、という別調査も出ています。利用そのものを止めるのではなく、機密情報を守りながら活用する「ガバナンス設計」へ舵を切るべきタイミングです。

③自社サービスのAIネイティブ化を検討する

利用者数が2029年末に5,160万人へ拡大するという予測は、3年で約1.5倍のユーザー増を意味します。

カスタマーサポート、社内ヘルプデスク、商品検索のいずれも「AIで自然言語で聞ける」体験が標準化していきます。自社のサービスに対話型AIを組み込むことは、もはや先進企業の特権ではなく、競争に残るための前提条件になっていきます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「使えなくなったら困る」59.2%は本当に依存と呼べる水準ですか?

はい、十分に「依存」と呼べる水準です。一般的に消費者調査で「なくなったら困る」と答える割合が過半数を超えるサービスは、スマートフォンやSNS、ネット通販などインフラ化したものに限られます。生成AIが2年強でその水準に到達したのは異例の速さです。

Q2. 検索エンジンは本当になくなってしまうのですか?

すぐに消滅することはありませんが、用途が変わっていきます。「最新のニュースを大量に見たい」「複数の意見を比較したい」というニーズには検索が残り、「答えを1つに絞って欲しい」「整理して教えて欲しい」というニーズはAIに移ります。両者は補完関係で共存する見通しです。

Q3. 国内でChatGPTとGeminiのどちらが優勢ですか?

利用率はChatGPTが36.2%で1位、Geminiが25.0%で2位です。ただしGeminiは前回比+16.1ポイントの急成長で、Androidスマートフォンへの統合が進めば追い抜く可能性も十分あります。すでに利用頻度の伸びはほぼ互角(67.2% vs 66.4%)です。

Q4. 中小企業が今すぐできるAI活用は何ですか?

議事録作成、メール文面の整形、企画のたたき台作成、リサーチ要約の4つは、ほぼ無料の範囲で即効性があります。月20ドル程度の有料プランを1人ぶん契約するだけで、社員の月平均10時間以上を削減できる事例が報告されています。

Q5. AIに引用されるコンテンツを作るには何から始めればよいですか?

3つの基本があります。第一に、見出しを「質問形式」にしてAIが拾いやすくする。第二に、数値や根拠を明示する。第三に、構造化データ(schema.org)を実装する。これだけでもAI検索エンジンの引用候補に入りやすくなります。

まとめ|転換点に立つ日本の情報インフラ

ICT総研の最新調査は、生成AIが「便利な道具」から「生活インフラ」へと役割を変えつつあることをデータで明示しました。

  • 利用者の59.2%が「なくなったら困る」と回答し、依存フェーズに突入
  • 検索エンジン利用が41.3%減り、情報収集行動が大きく変化
  • 主要サービスは利用頻度・利用率ともに大きく伸び、定着段階へ
  • 2029年末には国内利用者5,160万人へ拡大予測
  • SEO・社内ガバナンス・サービス設計のすべてを「AI前提」に再構築すべきタイミング

次のアクションとして、自社サイトのコンテンツが主要な生成AIにどう引用されているかを、PerplexityやChatGPT Searchで確認してみることをおすすめします。10分でできる現状把握が、向こう3年の戦略を分ける第一歩になります。

参考文献

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