238社が選ぶ推しAI|Claudeが最多の理由

企業がAIサービスを比較検討するイメージ

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • ITmedia「キーマンズネット」が238件の回答を集めた調査で、現場の自由回答が最も集中したのは「Claude」シリーズだった
  • ただし「具体的な利用イメージができる」はChatGPTが67.2%、Claudeは37.8%。知名度と実感には大きな差がある
  • Gensparkは名前を知る人が23.5%いる一方、使えるイメージを持つ人はわずか5.5%にとどまった
  • 企業がAIを選ぶ基準は「最新技術かどうか」から「自社の業務で成果が出るか」へ移っている
  • 導入の最大の壁は「現場に定着しない・使われない懸念」で37.0%。企業規模で悩みの中身が変わる

「AIツール、結局どれを選べばいいの?」と迷ったことはありませんか。企業のIT担当者238人に聞いた最新調査から、その答えのヒントが見えてきました。知名度で圧勝したのはChatGPT。ところが、現場が自由回答で最も熱く語っていたのは、別のAIだったのです。

238社が選んだ「現場が推すAI」はClaudeだった

調査を実施したのは、ITmediaが運営する企業のIT担当者向けサイト「キーマンズネット」です。

調査名は「IT製品・サービスの認知度調査」。実施期間は2026年6月3日から29日までで、回答件数は238件でした。答えたのは、会社でITツールを選ぶ立場にある人たちです。

最も回答が集中したのは「Claude」シリーズ

キーマンズネットは、結果をこう表現しています。「想定以上に特定のAIツールへ評価が集まった」と。

そして最も回答が集中したのが、Anthropic(アンソロピック)社の「Claude」シリーズでした。実際に寄せられた声を見てみましょう。

  • 「『Claude Code』の機能がコードアシスタントとして優れているので、今後の機能向上に注目している」
  • 「基本的に非エンジニアが集まる会社のため、それでもある程度の開発ができるのかが気になり、Claude CodeやCursor」
  • 「Claude。PCを動かせるAIツールとして期待したい」

面白いのは2番目の声です。エンジニアがいない会社の担当者が、「うちでも開発できるのでは」と期待しているのです。

ちなみにClaude Codeとは、AIがコード(プログラムの設計図)を書いたり直したりしてくれる開発ツールです。

「名前は知ってる」の罠|認知度ランキングの本当の中身

ところが、同じ調査の前編を見ると、少し違う景色が広がります。

前編では6分野・50製品の理解度を4段階で聞いています。「名前だけ知っている」「何ができるかを知っている」「具体的な利用イメージができる」「何も分からない」の4つです。

AIチャット分野は「3強」が圧倒的

「具体的な利用イメージができる」と答えた割合を並べると、序列がはっきりします。

  • ChatGPT:67.2%(「何も分からない」はわずか0.8%)
  • Microsoft Copilot:66.0%
  • Google Gemini:60.1%
  • Claude:37.8%
  • NotebookLM:28.2%
  • Perplexity:7.6%
  • Genspark:5.5%
  • Notion AI:5.5%

上位3つは6割超え。一方でClaudeは37.8%です。人気の高さとは裏腹に、「使えるイメージ」ではまだ差があります。

Gensparkの数字が示す残酷な現実

とくに注目したいのがGensparkです。「名前だけ知っている」が23.5%と、そこそこ知られています。

ところが「具体的な利用イメージができる」はたった5.5%。そして「何も分からない」が55.5%にのぼります。

名前は聞いたことがあるけれど、何に使うのかピンと来ない人が半数以上いるのです。Perplexityも「何も分からない」が65.1%でした。

差を分けたのは「自分の仕事に置き換えられるか」

なぜこんな差がつくのでしょうか。キーマンズネットの分析はシンプルです。

上位3製品に共通するのは、「文章作成」「メール作成」「会議内容の要約」「情報検索」といった日常業務に結びつく用途を持っている点だといいます。

朝メールを書き、昼に議事録をまとめ、夕方に資料を探す。この流れのどこかに置けるツールは、使ったことがなくても想像できます。逆に用途が特殊だと、理解は広がりません。

なぜClaudeに声が集まったのか|開発現場が動いている

では、認知度で3番手グループのClaudeに、なぜ最も多くの声が集まったのでしょうか。カギは「AIコーディング支援」という分野にあります。

開発ツール分野ではClaude Codeが逆転

同じ前編では、AIコーディング支援の理解度も聞いています。「具体的な利用イメージができる」の割合はこうなりました。

  • Claude Code:19.7%
  • GitHub Copilot:14.7%
  • Gemini Code Assist:13.4%
  • Cursor:10.1%
  • Amazon Q Developer:5.0%

汎用チャットでは3番手だったのに、開発ツールではClaude CodeがGitHub Copilotを上回りました。老舗を新顔が抜いた形です。

エンジニアの半数がClaude Codeを使っている

この傾向は別の調査でも裏づけられます。INSTANTROOMが2026年5月21日から31日にかけて、ITエンジニア435人に聞いた調査です。

AI開発支援ツールの利用率は、Claude Codeが49.0%でトップ。Codexが26.2%、Cursorが16.9%と続きました。

汎用サービスも動いています。ChatGPTは74.8%で首位を保ったものの、2025年調査の97.5%から22.7ポイント下落しました。

一方でClaudeは35.3%から57.1%へ、Geminiは62.5%から72.1%へ伸びています。1つに絞る時代から、使い分ける時代へ移ったということです。

お金の使い方も変わりました。有料プラン利用者は60.2%で、月1万5000円以上を払う層が21.0%。2025年の7.8%から約2.7倍です。もう「ちょっと試す」金額ではありません。

Claude・NotebookLM・Genspark・Copilot 何が違う?

ここまで名前が並びましたが、それぞれ得意分野が違います。調査に登場した主なサービスを整理します。

Claude|長文とコードに強い

Anthropicが提供するAIです。長い文章の処理とコード生成が得意とされています。開発向けの「Claude Code」が、いま企業の注目を集めている主役です。

NotebookLM|社内資料の専門家になる

Googleのサービスです。自分で入れた資料だけを読んで答えてくれるのが最大の特徴です。

調査では「『NotebookLM』で社内Q&A集やWikiを作成したい」という声が寄せられました。就業規則やマニュアルを読み込ませておけば、「育休の申請って何日前だっけ?」に即答してくれる相棒になります。

個人向け有料プランは月額2,900円程度、法人向けはGoogle Cloud経由の契約です。

Genspark|複数のAIが手分けして働く

質問を投げると、複数のAIエージェント(自分で考えて動くAI)が手分けして調べ、結果をまとめて返してくれるタイプです。内部ではGPTやClaude、Geminiなど複数のモデルが動いています。

有料のPlusプランは月額24.99ドル(約3,800円)ほど。2026年1月28日には日本法人を設立し、日本企業向けのEnterpriseプランも始めました。

Microsoft Copilot|すでに社内にある強み

WordやExcel、Teamsに溶け込んで動きます。新しくツールを増やさなくていいのが最大の武器です。

調査でも「『Microsoft Copilot』のみ利用しているが、プレゼン資料の作成ではNotebookLMやClaudeも比較している」という声がありました。土台はCopilot、用途によって他を足す。そんな使い方が現実的なようです。

評価軸は「最新技術」から「成果」へ変わった

調査からもう1つ、大きな変化が見えました。ツールを選ぶモノサシそのものが変わっているのです。

重視するのはコストと定着

選定時に重視するポイントは、「導入コスト」が53.4%、「社内で定着・活用しやすいこと」が50.8%、「他ツールとの連携性」が41.2%という並びでした。

性能や新しさではありません。「いくらかかるか」と「ちゃんと使われるか」が上位を占めています。

企業規模別でも優先順位が変わります。従業員が少ない企業では「現場で無理なく活用できるか」が重視され、規模が大きくなるほどセキュリティやベンダーの信頼性といった「組織全体で安全に運用できるか」へ軸が移ります。

問いは「どのAIを、どの業務で」へ

キーマンズネットはこう結論づけています。関心は「生成AIを導入するか」ではなく、「どのAIを、どの業務で活用するか」という比較・選定のフェーズへ移りつつある、と。

開発支援・資料作成・ナレッジ管理・業務自動化と、用途ごとに複数のAIを使い分ける。それを前提にした検討が目立ったといいます。

日本企業がぶつかる3つの壁|あなたの会社はどれ?

最大の壁は「使われないこと」

新しくIT製品を導入する際の障壁は、「現場に定着しない・使われない懸念」が37.0%で最多。次いで「導入・運用できる人材がいない」が34.0%、「予算が確保できない」が33.6%でした。

1位が「使われない懸念」というのは象徴的です。買うことより、根づかせることのほうが難しいのです。

中小企業ほど予算と人材の不足を挙げます。中堅〜大企業では「既存システムからの移行が大変」「ベンダーロックイン(乗り換え困難)が不安」といった声が目立ちました。

円安とサブスクの二重苦

前編の自由回答では、3つの課題が挙がっています。1つ目は選定の難しさ。「AI関連の新しいツールやサービスが次々と登場し、情報収集だけでも負担になっている」という声です。

2つ目は継続的なコスト負担。「海外製品が多く、円安による価格上昇が不安」という指摘は、日本企業に特有の痛みでしょう。主要なAIサービスはほぼ海外製で、料金はドル建てです。

3つ目はセキュリティと利便性の両立。「社内ポリシーによる制限で、サービスの機能を十分活用できない」というジレンマが語られています。

それでも市場は伸びている

逆風がある一方、数字は伸びています。キーマンズネットの別調査(2026年4月、364件)では、生成AIを「利用している」が55.8%、「試験利用中」が14.3%。合わせて約7割が使っています。

推移を見ると勢いが分かります。2024年6月は26.5%、2025年2月は38.4%、2025年8月は52.5%。2年で3倍近くに増えた計算です。

市場規模も同じ方向です。Fortune Business Insightsによれば、日本の生成AI市場は2025年の59億ドルから2034年には578億9000万ドルへ、年平均25.5%で伸びる見通しです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「238社が選んだ」とありますが、利用率ランキングですか?

いいえ、違います。ここが誤解しやすい点です。

Claudeが「最も回答が集中した」というのは、自由回答で注目しているサービスとして名前が多く挙がったという意味です。利用率で1位という話ではありません。実際、認知度ではChatGPT 67.2%に対し、Claudeは37.8%です。

なお回答件数は238件で、「238社」は回答者の所属企業を指した表現です。

Q2. 結局、うちの会社は何を選べばいいですか?

調査の答えは「用途で分ける」です。

文章作成やメール、要約といった日常業務なら、ChatGPT・Copilot・Geminiの3強がまず候補になります。すでにMicrosoft 365やGoogle Workspaceを使っているなら、その延長が最短です。

社内資料をもとにした質問対応ならNotebookLM、開発支援ならClaude Code。目的から逆算するのが現実的でしょう。

Q3. Claude Codeはエンジニアがいない会社でも使えますか?

調査でも、まさに同じ疑問が出ていました。「基本的に非エンジニアが集まる会社のため、それでもある程度の開発ができるのかが気になり」という声です。

期待は高まっていますが、答えはまだ出ていません。現時点では「試している段階」の企業が多いと見るのが妥当です。小さな業務から試し、成果を確かめてから広げるのが安全でしょう。

Q4. 導入を成功させるコツはありますか?

最大の壁が「現場に定着しない・使われない懸念」(37.0%)だったことがヒントになります。

キーマンズネットは、成否を左右するのは製品の性能だけではないと指摘します。自社の組織や環境に合わせて、導入後の活用まで設計できるかどうかだといいます。導入して終わりにせず、誰がどの業務で使うかまで決めておくことが近道になりそうです。

まとめ

今回のポイントを振り返ります。

  • キーマンズネットが238件の回答を集めた調査で、自由回答が最も集中したのはClaudeシリーズだった
  • ただし「具体的な利用イメージができる」はChatGPT 67.2%、Copilot 66.0%、Gemini 60.1%が上位で、Claudeは37.8%
  • Gensparkは名前だけ知る人が23.5%、使えるイメージは5.5%、「何も分からない」が55.5%
  • AIコーディング支援ではClaude Codeが19.7%でGitHub Copilot(14.7%)を上回った
  • エンジニア435人の別調査では、Claude Codeの利用率は49.0%でトップ
  • 最大の壁は「現場に定着しない・使われない懸念」で37.0%

浮かび上がったのは、「知名度」と「使えるイメージ」は別物だという事実です。名前が売れているAIが、あなたの会社で成果を出すとは限りません。

まずは自社の業務を1つ選び、そこに合うAIを小さく試すところから始めてみてください。

参考文献

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