Excelに=COPILOT関数|AIが数式で動く時代へ

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • Excelに新関数「=COPILOT」が登場し、セル内の数式から直接AIを呼び出せる
  • 構文は「=COPILOT(“指示文”, 対象範囲)」と非常にシンプル
  • 要約・分類・感情分析・カテゴリ分けが、関数1本で完結する
  • 料金はMicrosoft 365 Copilotライセンス(Business 月21ドル〜)が必要
  • 正式版は2026年12月予定、現在はWeb版Excelで先行提供中

Excelの数式バーに「=SUM(」と打ち込んだことはありませんか?その同じ場所で「=COPILOT(“このアンケートを要約して”, A2:A500)」と書くだけで、AIが瞬時に答えを返してくれる時代が来ました。世界で約20億人が使う表計算ソフトに、生成AIが正式に組み込まれます。

=COPILOT関数とは?セル内でAIが動く新時代

Microsoftが発表した=COPILOT関数は、Excelのセル内から直接AI(人間みたいに文章を理解できる仕組み)に指示を出せる新しい関数です。

これまでExcelでAIを使うには、別画面のチャットを開く必要がありました。新関数なら、SUMやIFと同じ感覚で、数式の中にAIを組み込めます。

基本構文はとてもシンプル

基本の書き方はこうです。

=COPILOT(“指示文”, 対象範囲)

第1引数に「何をしてほしいか」を日本語で書きます。第2引数に「どのデータを見てほしいか」をセル範囲で指定します。

たとえば「=COPILOT(“このフィードバックを3行で要約して”, A2:A100)」と入力すれば、99件のアンケート回答が要約されて1セルに返ってきます。

何ができるのか

Microsoftが公式に紹介している主な用途はこの4つです。

  • 要約:長文を短くまとめる
  • 分類・タグ付け:データにラベルをつける
  • 感情分析:ポジティブ/ネガティブを判定する
  • 自動生成:商品名から説明文を作る

共通点は「自然言語で指示する作業」です。逆に、四則演算や統計のように厳密な計算が必要な場面では使うべきではありません。

具体的な使い方|3つの実用シーン

実際にどんな仕事が楽になるのか、具体例を3つ紹介します。

シーン1:顧客アンケート500件を1分で要約

ある中小企業のマーケティング担当者が、月末にアンケート結果を集計している場面を考えてみてください。500件の自由記述コメントを1件ずつ読んで、何が多かったかをまとめる作業は、半日仕事でした。

=COPILOT関数なら、こう書くだけです。

=COPILOT(“顧客の不満点トップ5を箇条書きで”, B2:B501)

数十秒で「①配送が遅い ②梱包が雑 ③問い合わせ返信が遅い…」と返ってきます。

シーン2:問い合わせメールの感情を一括判定

カスタマーサポート部門で、毎日100件のメールが届くとします。緊急対応が必要な「怒り」を含むメールを優先したい——そんなときに使えるのがこちらです。

=COPILOT(“このメールの感情をポジティブ/ネガティブ/怒りで判定”, C2)

この関数を100行コピーすれば、ネガティブと判定されたメールをフィルタで絞り込めます。対応の優先順位づけが数秒で終わります。

シーン3:ECサイトの商品説明文を自動生成

ネットショップの運営者が、新商品100点の説明文を書く作業を想像してみてください。商品名と特徴を打ち込むだけで、こんな関数が動きます。

=COPILOT(“以下の商品名と特徴から、80字以内の魅力的な説明文を作って”, A2, B2)

「ふんわり泡立つ、敏感肌にもやさしい無添加石けん。家族みんなで使える…」といった文章が一気に並びます。コピーライターへの外注費を大きく圧縮できる可能性があります。

料金と利用条件|誰が使える?

=COPILOT関数を使うには、Microsoft 365 Copilotライセンスが必要です。

  • Microsoft 365 Copilot Business:1ユーザー月21ドル(約3,200円)/300席未満の企業向け
  • Microsoft 365 Copilot Enterprise:1ユーザー月30ドル(約4,500円)/大企業向け

個人向けプランはまだ提供されていません。利用には別途、Microsoft 365のサブスクリプションも必要です。

2026年1月時点では、Web版Excelでのみ動作します。デスクトップ版への展開と正式リリース(一般提供)は2026年12月予定です。それまでは「Microsoft 365 Insider」や「Frontier」プログラム参加者だけが試せる先行提供段階です。

競合・類似サービスとの比較

Excelで生成AIを使う方法は、=COPILOT関数だけではありません。主な選択肢を整理します。

  • =COPILOT関数(Microsoft純正):Excelに統合済み。月21ドル〜。日本語対応。10分あたり100回までの実行制限あり
  • GPT for Excel(サードパーティアドイン):従量課金で大量処理に強い。モデルを自由に選べる。日本語の説明資料は少ない
  • ChatGPTを別画面で使う:データを手動でコピペする必要がある。柔軟性は高いが業務効率は落ちる
  • Power Automate+AI Builder:マクロ的に自動化できるが、構築の手間が大きい

大量データを処理したい場合はGPT for Excelが有利です。一方、Microsoft 365をすでに使っている企業にとっては、追加設定なしで使える=COPILOT関数のほうが導入しやすいでしょう。

日本市場への影響|業務はどう変わる?

日本のオフィスワークへのインパクトは、相当大きいと考えられます。

総務省の調査では、日本企業のExcel利用率は9割を超えるとされます。営業日報、顧客リスト、アンケート集計——あらゆる業務がExcelで動いています。

つまり、=COPILOT関数は「日本のホワイトカラー全員が触れる可能性のあるAI」になり得ます。プロンプトエンジニアリングを学ばなくても、関数を1本書ければAIが業務に入ってくる構造です。

特に効果が大きい職種は次のあたりです。

  • マーケティング担当(アンケート集計・SNS反響分析)
  • 人事担当(応募者の経歴分類・面接フィードバック整理)
  • カスタマーサポート(問い合わせ分類・FAQ自動化)
  • 営業企画(顧客リストのセグメント分け)

一方、データ分析の専門家にとっては脅威ではありません。複雑な統計処理や因果推論は、引き続きPythonやRが必要です。

注意点|AI関数を使う前に知っておくべきこと

便利な=COPILOT関数にも、いくつか注意点があります。

注意点1:結果は毎回変わる可能性がある。AIは確率的に答えを生成します。同じセルでも、再計算するたびに微妙に違う結果になり得ます。財務報告など、再現性が必須の業務には不向きです。

注意点2:実行回数に制限がある。10分あたり100回の関数呼び出しが上限とされています。1000行のデータに一括適用すると、エラーで止まることがあります。

注意点3:機密データの扱い。Microsoftは「入力データはモデルの学習に使わない」と明言していますが、社外秘の情報を扱うときは、社内ルールを確認してから使うのが安全です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 個人で試せますか?

2026年1月時点では個人向けプランはなく、Microsoft 365 Copilot Business以上のライセンス契約が必要です。会社で導入されていないと、まだ使えません。

Q2. 日本語のプロンプトは使えますか?

使えます。日本語で指示を書いても、日本語で回答が返ってきます。英語のほうが精度が高い場合もあるので、複雑な指示は英語と日本語の両方を試すのがおすすめです。

Q3. ChatGPT Plusと何が違うのですか?

最大の違いは「Excel内で完結すること」です。ChatGPTはブラウザで別操作が必要ですが、=COPILOT関数はセルにそのまま結果が返ります。データを行き来させる手間がなくなります。

Q4. 数式エラーが出たらどうすればいい?

「#BUSY!」や「#CONNECT!」が出る場合、AI側の処理待ちか接続エラーです。少し時間を置いて再計算(F9キー)すると解決することが多いです。それでも直らないときは、対象範囲を小さくして試してみてください。

Q5. 既存のVBAマクロと併用できますか?

併用できます。=COPILOT関数の結果を変数として受け取り、マクロでさらに加工する設計も可能です。AIの「やわらかい処理」と、VBAの「厳密な処理」を組み合わせるイメージです。

まとめ

Excel新関数=COPILOTのポイントをおさらいします。

  • セル内の数式から直接AIを呼び出せる、Excel史上初の本格的AI関数
  • 構文は「=COPILOT(“指示文”, 対象範囲)」と覚えやすい
  • 要約・分類・感情分析・自動生成といった「言葉の仕事」が得意
  • Microsoft 365 Copilotライセンス(月21ドル〜)が必要
  • 正式版は2026年12月、現在はWeb版で先行提供中

まずは社内のMicrosoft 365プランを確認し、Insider Programに参加できるか情シス部門に相談するのが第一歩です。AIをExcelに溶け込ませる準備を、今から始めておきましょう。

参考文献

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