- JetBrainsの「開発者エコシステム調査2026」で、プロ開発者の90%が週1回以上AIコーディングエージェントを使っていると判明しました
- 毎日使っている人も68%。AIは「試すもの」から「毎日の道具」に変わりました
- 職場での利用率はClaude Codeが39%でトップ。GitHub Copilotの21%に約2倍の差をつけました
- Claude Codeは2026年1月の18%から半年で21ポイント増。米国では47%に達しています
- 一方でCursorは18%→12%、Copilotは29%→21%と後退。1年で勢力図が塗り替わりました
「AIにコードを書かせるなんて、まだ一部の人の話でしょう」と思っていませんか。その感覚は、2026年の夏でもう通用しなくなりました。世界1万5000人以上の開発者に聞いた最新調査で、9割が毎週AIエージェントに仕事を任せていることがわかったのです。誰が勝ち、誰が沈んだのか。数字で見ていきます。
開発者の90%が週1回以上 AIエージェントは「日常」になった
調査を行ったのは、開発ツールで知られるJetBrains(ジェットブレインズ)です。
2026年8月24日、同社は「AI Coding Agents: Adoption Trends」というレポートを公開しました。もとになったのは「開発者エコシステム調査2026」。10回目となる大規模調査です。
調査期間は2026年5月から7月。参加者は15,509人で、そのうち約90%が開発者・プログラマー・ソフトウェアエンジニアです。英語・日本語・中国語など8つの言語で実施されました。
結果はこうです。プロの開発者の90%が週1回以上、AIコーディングエージェントを使っています。さらに68%は毎日使っています。
ここで言うAIコーディングエージェントとは、指示を出すと自分で複数のファイルを読み、コードを書き、テストまで走らせるAIのことです。単語を先読みして補ってくれる「コード補完」とは役割が違います。
「毎日68%」が意味すること
週1回なら「たまに試している」と言えます。しかし毎日となると話は別です。
朝オフィスに着いてエディタを開く。そこにAIエージェントが立ち上がっているのが当たり前になった、ということです。
ある受託開発会社のエンジニアを想像してみてください。以前は仕様書を読み、既存コードを1時間かけて追いかけてから実装に入っていました。今は「この機能を追加して、関連するテストも直して」と伝えて、その間にレビュー待ちの別案件を見ています。
社内システムの保守を担当している人はどうでしょう。10年前に誰かが書いた、コメントのない古いコードを渡されます。以前なら解読だけで数日。今はAIに読ませて「何をしている処理か説明して」と聞けば、数分で全体像がつかめます。
スタートアップの1人目のエンジニアも同じです。フロントもバックもインフラも1人。手が3組欲しい状況で、AIエージェントは実質的な「もう1人」として機能します。
Claude Codeが39%で首位 Copilotに約2倍の差
もっとも注目されたのが、ツール別のシェアです。
職場で実際に使われている割合は、次のようになりました。
- Claude Code(クロードコード/Anthropic):39%
- GitHub Copilot(ギットハブ・コパイロット/Microsoft):21%
- OpenAI Codex(コーデックス):16%
- Cursor(カーソル):12%
- JetBrains AI:約9%
- OpenCode(オープンコード):7%
- Google Antigravity(アンチグラビティ):6%
Claude Codeが2位に約2倍の差をつけました。しかも興味深いのは「いちばん使うツール」として選んだ人が31%いた点です。使ったことがある39%のうち、8割近くが主力に据えていることになります。
1年前とはまったく違う順位
この数字は、変化の速さを見るともっと衝撃的です。
Claude Codeは2026年1月の調査で18%でした。それが半年で39%へ。21ポイントの上積みです。GIGAZINEの報道によれば、2025年初頭の時点ではわずか3%でした。
逆に落ちたツールもあります。GitHub Copilotは1年前の約29%から21%へ後退しました。Cursorも1月の18%から12%に減っています。
OpenAI Codexは対照的な動きです。1月の3%から16%へ、5倍以上に伸びました。認知度も1月の27%から65%へ急上昇しています。
つまり、伸びているのは「エージェント型」、削られているのは「補完型」という構図です。
地域によって顔ぶれが違う
国ごとに見ると、また景色が変わります。
米国ではClaude Codeが47%。ほぼ2人に1人が実務で使っています。
中国ではCursorが1月の28%から16%へ大きく落ちました。インドではGoogle Antigravityが10%から15%へ伸びています。
認知度で見ると、GitHub CopilotはEU・英国・米国で86〜90%と圧倒的です。名前は知られているのに使われていない。この差が、Copilotの現状をよく表しています。
なぜCopilotは伸び悩んだのか
認知度79%で首位タイなのに、利用率は21%。この落差はどこから来るのでしょうか。
大きいのは「補完」と「代行」の違いです。
GitHub Copilotは2021年に登場したとき、書きかけの行の続きを提案する機能で世界を驚かせました。当時としては革命的でした。
ところが2025年以降に主流になったのは、もっと大きな仕事を丸ごと任せる使い方です。「この不具合を直して」「テストを追加して」と伝えるだけで、AIが複数ファイルにまたがって作業します。
先回りして単語を出してくれるアシスタントと、案件ごと引き受けてくれる同僚。求められるものが後者に移った結果、シェアが動いたと考えられます。
もちろんCopilotもエージェント機能を強化しています。ただ、開発者が「エージェントといえばこれ」と最初に思い浮かべる位置を、先に取られた形です。
主要ツール比較 どれを選べばいいのか
では実際にどれを使うべきか。それぞれ得意分野が違います。
タイプ別の特徴
Claude Codeは、ターミナル(黒い画面に文字で命令する道具)で動くタイプです。エディタを選ばず、大きめの改修をまとめて任せるのが得意とされています。料金は月20ドル(約3,000円)のClaude Proに含まれる形が入口になります。
OpenAI Codexは、バックグラウンドで長時間動かす使い方に強みがあります。指示を出して席を離れ、戻ってきたら終わっている、という進め方です。
GitHub Copilotは月10ドル(約1,500円)前後からと安く、コード補完としては今も完成度が高いと評価されています。GitHubとの連携が前提の職場では引き続き有力です。
Cursorは、AI前提で作り直されたエディタそのものです。無料のHobbyプランがあり、個人向けは月20ドル程度です。
ちなみに、開発者の多くは1つに絞っていません。日常の補完はCopilot、腰を据えた改修はClaude Code、という併用が現実的な解になっています。
選ぶときの現実的な基準
大事なのは「どれが最強か」ではなく「何に使うか」です。
既存の巨大なコードベースを読み解かせたいのか。ゼロから小さなツールを量産したいのか。チーム全員で同じ環境を揃えたいのか。用途が決まれば、候補は自然に絞れます。
日本の開発者・企業にとって何が変わるか
この調査は日本語でも実施されており、日本の開発者も対象に含まれています。
国内の動きも活発です。日立製作所はAnthropicとの取り組みのために「Frontier AI Deployment Center」を設立し、約100人体制で始動、300人規模への拡大を目指すと報じられています。
NECは価値創造モデル「BluStellar」でClaude系モデルとClaude Codeを活用する計画を示しました。テクノプロは2029年6月までに1万人規模の「AI実装エンジニア」体制を掲げています。
個人レベルでも変化は起きています。ナレッジワーク社では1人のエンジニアが月400件以上のプルリクエスト(コード変更の提案)をClaude Code経由で出していると伝えられています。
日本企業が直面する3つの壁
ただし、日本には固有のハードルがあります。
1つ目はセキュリティ審査です。社外にコードを送る仕組みは、社内規程で止まりやすい領域です。導入までに数カ月かかるケースも珍しくありません。
2つ目は古いシステムの存在です。COBOLや独自フレームワークで書かれた基幹システムは、AIが学習した一般的なコードと形が違います。効果が出るまでに工夫が要ります。
3つ目は評価制度です。AIで生産性が3倍になっても、給与や評価が変わらなければ現場の熱は続きません。ツールより先に、仕組みを変える必要があります。
数字の裏を読む 「使っている」=「成功している」ではない
90%という数字は強烈です。しかし、そこだけを見ると判断を誤ります。
この調査が測っているのは利用率であって、成果ではありません。週1回触っている人も、毎日フル活用している人も、同じ「使っている」に入ります。
また、JetBrainsは開発ツールを売る会社です。自社もJetBrains AIを提供しています。調査対象がJetBrains製品のユーザーに寄っている可能性は、頭の片隅に置いておくべきでしょう。
それでも15,509人という規模と、8言語での実施は十分に説得力があります。少なくとも「AIエージェントを使う人が多数派になった」という結論は動きません。
むしろこれからの論点は、使うかどうかではありません。使った結果、何がどれだけ良くなったかを測れる会社と、測れない会社の差が開いていく段階に入りました。
よくある質問(FAQ)
Q1. AIコーディングエージェントとコード補完は何が違うのですか?
補完は、書いている途中の行の続きを提案する機能です。運転支援に近いイメージです。
エージェントは、目的を伝えると自分で複数ファイルを読み、書き換え、テストまで実行します。行き先を言えば連れて行ってくれる、という違いです。今回の調査で伸びたのは後者でした。
Q2. プログラミング初心者でも使えますか?
使えますが、注意点があります。AIが出したコードが正しいかどうかは、結局のところ人間が判断します。
基礎を学ばずに丸投げすると、動かないときに手も足も出ません。学習の相棒として使い、出てきたコードの意味を必ず確認する。この順番がおすすめです。
Q3. Claude Codeが1位なら、他のツールは選ぶ意味がないのですか?
そうとは限りません。39%は裏返せば、6割は別のツールを使っているということです。
GitHubとの連携が強い職場ならCopilot、長時間の自動実行が中心ならCodex、エディタごと乗り換えたいならCursorという選び方が成立します。無料枠の有無も判断材料になります。
Q4. 日本語での指示でもちゃんと動きますか?
主要なツールは日本語の指示に対応しています。「ログイン画面にエラー表示を追加して」といった日本語でも通じます。
ただし変数名やコメントは英語で生成されることが多く、チームで表記ルールを決めておくと混乱を防げます。
Q5. 会社で導入するとき、まず何をすればいいですか?
いきなり全社展開はおすすめしません。まず小さなチームで1〜2カ月試し、レビュー時間や不具合の数がどう変わったかを記録します。
その数字を持って、セキュリティ部門と規程の話をする。この順番だと話が進みやすくなります。
まとめ
- JetBrainsの調査(15,509人、2026年5〜7月)で、プロ開発者の90%が週1回以上AIコーディングエージェントを利用
- 68%は毎日使用。AIは実験段階を終え、日常の道具になった
- 職場シェアはClaude Codeが39%で首位。GitHub Copilotの21%に約2倍差
- Claude Codeは1月の18%から21ポイント増、米国では47%に到達
- Copilotは29%→21%、Cursorは18%→12%と後退。Codexは3%→16%に急伸
- 伸びているのは「代行してくれるエージェント型」、削られているのは「補完型」
- 調査が示すのは利用率であって成果ではない。次の論点は効果の測定
まだ試したことがないなら、今週の作業のうち1つだけをAIエージェントに任せてみてください。9割が毎週使っている世界の手触りが、それだけでわかります。
参考文献
- AI Coding Agents: Adoption Trends – The JetBrains Blog(2026年8月)
- プロの開発者の90%がAIコーディングエージェントを週1回以上利用していることが判明 – GIGAZINE(2026年8月24日)
- JetBrains Survey: Claude Code is the most popular coding agent – heise online
- Which AI Coding Tools Do Developers Actually Use at Work? – The JetBrains Blog(2026年4月)
- The State of Developer Ecosystem Report – JetBrains

