- Claude Enterpriseに2026年10月28日、3つの新機能が登場したこと
- Smart reportsで、チームがClaudeで何をしていくら使ったかが分かること
- アプリ内アンケートで、現場の「役に立った実感」を集められること
- グループ共有予算で、使いすぎと使い残しを減らせること
- 日本の企業が導入前に確認したい注意点
「AIを導入したけれど、本当に元が取れているのか分からない」と悩んだことはありませんか? 2026年10月28日、Anthropicは法人向けのClaude Enterpriseに、費用対効果を確かめるための3つの新機能を追加しました。この記事では、その中身と日本企業が気をつけたい点をやさしく解説します。
Claude Enterpriseの新機能3つとは?
Anthropicは公式ブログで、Smart reports、アプリ内アンケート、グループ共有予算の3つが一般提供(誰でも使える正式公開)になったと発表しました。国内ではITmedia エンタープライズも10月31日に報じています。
3つに共通するのは、AIにいくら使い、何が得られたかを管理者がつかみやすくなる点です。
3つの機能を一言で
- Smart reportsは、チームの仕事内容と費用をClaudeが自動で分類してまとめる機能
- アプリ内アンケートは、Claudeの返答のあとに短い質問を出し、利用者の声を集める機能
- グループ共有予算は、グループ全体で1つの月額予算を持ち、みんなで分け合う機能
Smart reportsで「何にいくら使ったか」が見える
Smart reportsは、チームがClaudeで何をしているかを分析する機能です。管理者がチーム、期間、対象の製品を選ぶと、Claudeが会話記録の一部を読んで、仕事の種類ごとに分類します。
分類された各グループには、使った費用、できあがった成果物、よくある行き詰まりが表示されます。行き詰まりの例は、つなぐツールが足りない、ツールの呼び出しに失敗した、などです。
改善案までまとめて出る
レポートの最後には、改善案が1つにまとまって載ります。何度も繰り返している作業を「スキル(よく使う手順の登録)」にしよう、といった提案です。
結果は成果物として共有でき、よく使う質問はテンプレートとして保存できます。請求権限のある管理者なら、レポート画面から利用上限を引き上げることもできます。
使える人と回数には決まりがある
ヘルプページによると、対象期間は直近28日までです。レポートの完成までは数時間かかり、できあがるとメールが届きます。
無料で作れるのは1組織あたり月10本までです。初めの設定ではオフで、オーナーが組織の設定で有効にします。
プライバシーへの配慮もあります。Anthropicは、個人の業績評価や雇用の判断には使わないよう求めています。なお、健康や労働組合活動などの話題は全体の集計にだけ使われ、個別の要約は出ません。
アプリ内アンケートで現場の実感を集める
費用の数字だけでは、役に立っているかどうかは分かりません。そこで用意されたのがアプリ内アンケートです。
利用者がClaudeを使ったあとに、短いカードが表示されます。初めから入っている質問は、最近の仕事で一番役立ったこと、節約できた時間、同僚にまねしてほしい使い方、Claudeがなくなったら最初に困ることなどです。
管理者は質問を編集したり消したりでき、配信する相手、時期、表示する場所も決められます。回答は管理画面で届いた順に確認でき、スプレッドシートに書き出せます。
グループ共有予算で使いすぎと使い残しを減らす
これまでは、個人ごとの上限で管理するのが基本でした。すると、たくさん使う人は月の途中で上限に達し、あまり使わない人の予算は余ってしまいます。
グループ共有予算なら、グループに月額の予算を1つ割り当て、全員でそれを使います。個人の上限も残るので、特定の人の極端な使いすぎは防げます。
どちらかが先に尽きたら止まる
利用は、グループと個人の両方の上限に数えられます。先に尽きたほうで止まる仕組みです。
予算の消化が50%、75%、95%、100%に達すると、請求権限のある管理者にメールが届きます。利用者はClaudeの中から追加を申請でき、申請は管理者が確認します。金額は、直近のグループの使用量をもとに、設定画面が提案してくれます。
従来の管理機能との違い
Claude Enterpriseは、2026年7月にも管理者向けの機能を追加しています。公式ブログによると、7月の更新ではグループ別・個人別の利用状況と費用の表示、モデルごとの利用制限、組織の上限の75%と90%での通知が加わりました。7月の更新は「いくら使ったか」を細かく見せるものでした。今回の3つは、「何に使い、役に立ったか」まで見られるようになっています。
ChatGPT Enterpriseなど他社の法人向けプランにも、利用状況のダッシュボードはあると紹介されています。ただ、今回のような会話の分類やアンケートまで含めた比較は、確認できた範囲では見つかりませんでした。
日本の企業にはどう関係する?
ある中堅企業の情報システム部門を考えてみましょう。部署ごとにClaudeの利用料が違うのに、社内で「元が取れているのか」と聞かれても答えられません。そんなときは、Smart reportsで部署ごとの使い道と費用を並べれば、説明の材料になります。
営業部門は毎月予算を余らせ、開発部門は月の中ごろに上限へ届いてしまう。そんな会社では、グループ共有予算で部署ごとの予算をまとめて持つ形に変えると、偏りを減らせます。
導入前に確認したい点もあります。Smart reportsは、顧客管理の暗号鍵、HIPAA(米国の医療情報の保護法)構成、自社クラウドで推論するハイブリッド構成の組織では使えません。ゼロデータ保持を有効にしている場合、Claude Codeは対象外になります。料金は公式ページに記載がないので、営業窓口への確認が必要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 3つの機能は追加料金がかかりますか?
公式ブログには、これらの機能の料金は書かれていません。Smart reportsは月10本まで無料です。それ以上は担当者への相談が必要です。
Q2. Smart reportsで個人の成績を評価してもよいですか?
Anthropicは、個人の業績評価や雇用の判断には使わないよう求めています。目的は、導入状況の把握と投資の計画です。
Q3. 共有予算を使い切ったらどうなりますか?
グループの利用が止まります。利用者はClaude内から追加を申請でき、管理者が確認します。
Q4. 全員が自動で使えるようになりますか?
いいえ。Smart reportsは初めの設定がオフで、オーナーが有効にします。構成によっては使えない組織もあります。
まとめ
- 2026年10月28日、Claude Enterpriseに3つの新機能が一般提供された
- Smart reportsは、仕事の内容と費用を自動で分類してくれる
- アンケートは、現場が感じている価値を集める
- 共有予算は、使いすぎと使い残しの偏りを減らす
- 導入前に、自社の構成が対象かどうかを確認する必要がある
まずは自社のClaude利用で、費用と成果をどう説明しているかを振り返ってみてください。