Claude Codeは入力前に3.3万トークン|対策は?

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • Claude Codeは、あなたが1文字も打つ前に約3万3000トークンを送信していると判明した
  • その内訳は7割以上が「ツールの説明文」で、27個のツール定義だけで約2万4000トークン
  • MCPサーバーや指示ファイルを足すと、実運用では約7万5000トークンまで膨らむ
  • 同じ作業をさせた比較では、OpenCodeの約3.7倍のトークンを消費した
  • 「キャッシュがあるから料金は安い」という反論もあり、真の問題はコンテキスト圧迫にある

Claude Codeを開いて「こんにちは」とだけ打ったとき、AIはすでに3万トークン以上を読み込んでいる——そう聞いたら驚きませんか。2026年7月13日、AIコンサル企業Systimaの実測レポートが公開され、開発者コミュニティで大きな議論になりました。何にそんなに使われているのか、私たちのお財布と作業効率にどう響くのかを整理します。

Claude Codeは「入力前」に3万3000トークンを使っていた

Systimaは、Claude CodeとAnthropicのサーバーの間にロギングプロキシ(通信を横から記録する中継サーバー)を挟みました。そして実際に送られているデータをすべて記録したのです。

その結果わかったのが、ユーザーが何も入力していない状態で約3万2800トークンが送られていたという事実です。トークンとは、AIが文章を扱うときの最小単位のこと。日本語ならおおよそ1文字が1トークン前後にあたります。

つまり原稿用紙にすると約80枚分の文章を、AIは「おはよう」の前にすでに読んでいる計算になります。

この検証はMCPサーバーも指示ファイルも一切ない、まっさらな環境で行われました。つまり3万3000トークンは「これ以上減らせない床」の数字ということです。

中身の7割は「ツールの説明文」だった

では、その3万3000トークンには何が入っているのでしょうか。内訳はきれいに2つに分かれます。

システムプロンプトは意外と軽い

AIの人格や振る舞いを決めるシステムプロンプト(AIへの基本指示書)は、2万6891文字で約6500トークンでした。

全体の2割弱です。ここは思ったより軽量でした。

本当の重りは27個のツール定義

問題はこちらです。Claude Codeが持つ27個のツール定義だけで、9万9778文字・約2万4000トークンを占めていました。

全体の7割超がここに消えている計算になります。

ツールとは、ファイルを読む、コマンドを実行する、Webを検索する、といったAIの「手足」のことです。手足を使うには「この道具はこう使う」という説明書をAIに毎回渡す必要があります。その説明書の束が、10万文字近くあったわけです。

実運用では7万5000トークンまで膨らむ

ここからがさらに現実的な話です。日常的な開発環境には、たいてい追加の荷物があります。

72KBの指示ファイル(CLAUDE.mdなど)を置くと、約2万トークンが上乗せされます。

MCPサーバーは1つあたり約1000〜1400トークン。5個つなげば約5000〜7000トークンの追加です。

すべて足すと約7万5000トークン、多い場合は8万5000トークンに達します。Claudeのコンテキストウィンドウ(一度に読める情報量の上限)が20万トークンですから、コードを1行も見せる前に作業机の3分の1以上が荷物で埋まっている状態です。

OpenCodeとの比較——差は4.7倍

この数字が「多い」のか「普通」なのかは、比べてみないとわかりません。Systimaは、オープンソースのAIコーディングツールOpenCodeを同じ方法で測定しました。

項目Claude CodeOpenCode
システムプロンプト約6,500トークン約2,000トークン
ツールの数27個10個
ツール定義約24,000トークン約4,800トークン
入力前の合計約32,800トークン約6,900トークン

差は約4.7倍。ツールの数が27対10なので、当然といえば当然の結果です。

さらに興味深いのは、実際に作業をさせた結果です。「日付を扱うユーティリティを作り、テストを5本通す」という同じ課題を両者に与えました。

結果はどちらも5問中5問クリア。品質に差はありませんでした。

しかし消費した入力トークンは、Claude Codeが約26万8000、OpenCodeが約7万2000。約3.7倍の開きが出ています。

同じゴールに、片方は3.7倍のガソリンで到達した。そういう構図です。

キャッシュの再書き込みという隠れコスト

レポートで最も専門的な指摘がここでした。

AIサービスにはプロンプトキャッシュ(同じ内容の使い回し)という仕組みがあります。毎回同じ説明書を送るなら、一度覚えてもらって2回目以降は割引にしよう、という考え方です。

Anthropicの場合、キャッシュから読むと通常入力の10分の1の料金になります。ただし書き込むときは1.25倍の割増がかかります。

ここが落とし穴です。キャッシュは「先頭から1文字も変わっていない」ときにだけ効きます。1文字でも変われば、そこから先は全部書き直しです。

Systimaの計測では、OpenCodeは毎回バイト単位で同一のデータを送り続けました。対してClaude Codeはセッションの途中で数万トークン分のキャッシュを書き直していたと記録されています。

同じタスクでのキャッシュ書き込み量は、Claude Codeが5万3839トークン、OpenCodeがわずか1003トークンでした。約53倍です。

割高な書き込み料金を、何度も払っていたことになります。

「騒ぎすぎ」という反論も根強い

このレポートはHacker Newsで538ポイント・303コメントを集める話題になりましたが、擁護の声も少なくありません。主な反論は3つです。

第一に、料金面の影響は言われるほど大きくないという指摘。3万3000トークンのほとんどはキャッシュ読み込みとして処理され、通常価格の10分の1で課金されます。定額のProプラン(月20ドル)やMaxプラン(月100〜200ドル)を使っている人なら、そもそも従量課金ではありません。

第二に、27個のツールには理由があるという見方。サブエージェント、Web検索、タスク管理といった機能は、OpenCodeにはないものです。豊富な機能を持つ道具箱が重いのは当たり前だ、というわけです。

第三に、品質が同じでもプロセスは違うという反論。今回のテストは単純な課題1本であり、複雑な設計や大規模リファクタリングでも同じ結論になるとは限りません。

ただし、コンテキストの圧迫という問題は反論できないのも事実です。20万トークンの3分の1が最初から埋まっていれば、長い会話は早く「圧縮」されます。AIが会話の前半を忘れやすくなる、という体感の悪化に直結します。お金の話より、こちらのほうが本質かもしれません。

日本のユーザー・企業への影響

日本の開発現場にとって、この話は他人事ではありません。理由は2つあります。

1つ目は日本語のトークン効率の悪さです。英語は単語のかたまりで1トークンになりますが、日本語はほぼ1文字1トークン。同じ内容を書いても日本語のほうが多くのトークンを食べます。

社内ルールや仕様をCLAUDE.mdに日本語でびっしり書いている会社は少なくありません。72KBの指示ファイルで2万トークンという数字は、日本企業にとってむしろ「よくある規模」です。

2つ目はAPIの従量課金で使う企業が多いことです。個人開発者は定額のMaxプランで済みますが、社内システムに組み込む場合はAPI直接利用になります。ここでは初期負荷がそのまま請求書に乗ります。

具体的に想像してみてください。ある受託開発会社で、10人のエンジニアが1日30セッションずつClaude Codeを立ち上げるとします。1セッションあたりの初期負荷が7万5000トークンなら、それだけで1日2250万トークン。キャッシュ割引が効いても、無視できない金額になります。

また、金融機関や自治体の案件では「AIに何を送っているか」の説明責任が求められます。「入力前に3万トークン送っています」と社内のセキュリティ部門に説明できるかどうかは、導入の可否を左右しかねません。

今日からできるトークン節約の工夫

幸い、対策はいくつもあります。むずかしい設定は不要です。

  • まず現状を見る——Claude Codeの /context コマンドで、今どこに何トークン使われているかが一覧表示されます。犯人がわからなければ対策のしようがありません
  • 使っていないMCPサーバーを外す——1つで1000〜1400トークン。「入れたまま忘れていた」サーバーが3つあれば、それだけで4000トークンの無駄です
  • CLAUDE.mdを200行以内に絞る——毎セッション必ず読み込まれます。詳細な手順書はカスタムコマンドやスキルに切り出し、常時読ませない設計にします
  • セッションをこまめに切る——長い会話を引きずるほど、圧縮とキャッシュ再書き込みが増えます。話題が変わったら新しいセッションへ
  • サブエージェントを乱用しない——レポートでは、サブエージェントに委譲するとトークンが4.2倍に増えた例が報告されています。単純作業は自分で指示したほうが安上がりです

週に一度 /context を眺めるだけでも、無駄な荷物にはすぐ気づけます。

よくある質問(FAQ)

Q. 3万3000トークン分の料金を毎回払っているのですか?
いいえ。多くはプロンプトキャッシュとして処理され、通常入力の10分の1の単価で課金されます。ProプランやMaxプランの定額利用なら、追加請求は発生しません。

Q. じゃあ気にしなくていいのでは?
料金よりコンテキストの圧迫が問題です。20万トークンの上限に対し、実運用では最初から7万5000トークンが埋まります。長い作業でAIが前半の内容を忘れやすくなる原因になります。

Q. OpenCodeに乗り換えるべきですか?
一概には言えません。同じテストではどちらも5問中5問正解でしたが、これは単純な課題1本の結果です。豊富なツールが効いてくる複雑な作業では、Claude Codeが有利な場面もあります。

Q. CLAUDE.mdは書かないほうがいいのですか?
書くべきですが、量が問題です。プロジェクトの前提や禁止事項など、毎回必要な情報だけを200行以内に。手順書は必要なときだけ呼び出す形にしましょう。

Q. Anthropicは改善してくれますか?
公式な発表はまだありません。ただしツール定義の圧縮やキャッシュの安定化は技術的に可能で、コミュニティからの要望も強く出ています。今後のアップデートに期待したいところです。

まとめ

  • Claude Codeはユーザー入力前に約3万3000トークンを送信している(Systima実測)
  • 内訳は27個のツール定義が約2万4000トークンで、全体の7割超を占める
  • 指示ファイルとMCPサーバーを足すと、実運用では約7万5000トークンに膨らむ
  • OpenCodeとの比較では入力前で4.7倍、同一タスク完遂で3.7倍の消費だが、品質は互角だった
  • キャッシュ割引があるため料金インパクトは限定的。真の問題はコンテキストウィンドウの圧迫

まずは /context コマンドを一度実行して、自分の環境が何トークンから始まっているかを確認してみてください。

参考文献