• DeepSeek(ディープシーク)を1か月使った筆者の正直な感想をまとめました
  • 強みは数学・プログラミングの推論と、APIの安さです
  • 弱みは日本語の自然さと、データの扱いに対する不安です
  • 2026年4月24日にV4が公開され、100万トークンの長文を扱えるようになりました
  • 個人の学習には向きますが、業務データの入力は慎重に判断してください

「無料なのに高性能」と聞いて、DeepSeekが気になっていませんか。この記事では、筆者が1か月使ってわかった強みと弱みを、最新モデルV4の情報と合わせて整理します。ChatGPTとの違いや、向いている人・向いていない人もはっきりさせます。

DeepSeek(ディープシーク)を使い始めた理由

きっかけは、2025年1月20日に公開された推論型モデル「R1」の評判です。公式のR1の発表では、数学・コード・推論でOpenAIのo1と同等の性能をうたっていました。

コードと重み(AIの学習結果の数値データ)はMITライセンス(商用利用もできる自由度の高いルール)で公開されています。誰でも中身を確かめられるオープンソース(設計図が公開されている仕組み)という点にも、信頼を感じました。

もう1つの理由は料金です。R1のAPI(プログラムからAIを使う仕組み)は、当時の公式ページで入力100万トークンあたり0.55ドル(キャッシュなしの場合)、出力は2.19ドルでした。仕事でAIを何度も使う筆者には、費用を抑えられることが大きな魅力でした。

使い始めて1週間の第一印象

最初に驚いたのは、回答までの速さです。計算問題やコード生成を頼んでも、ほとんど待たされませんでした。

数学の問題では、考える過程を見せながら段階的に解いてくれます。答えだけでなく、どこでつまずきやすいかまで読み取れて助かりました。

一方で、日本語には違和感がありました。文法は正しいのに、言い回しが少し不自然になる場面があります。ChatGPTやClaudeと比べると、日本語の仕上がりは一歩譲る印象でした。

最初の数日は、データの扱いも気になりました。そのため、機密情報は入力しないようにしていました。

DeepSeekの良かった点3つ

1. 無料で高性能な推論型AIを試せる

最大の魅力は、筆者が使った範囲では月額料金がかからなかったことです。有料プランに申し込む前に、推論型AIの実力を確かめられます。

学生や、個人でAIを試したい人にはとくに向いています。ただし、無料の範囲や条件は変わることがあるので、利用前に公式サイトで確認してください。

2. 論理的な問題に強い

数学の難問やアルゴリズムの設計では、頼りになる場面が多くありました。最新のV4-Pro(最大の思考モードの場合)では、公開された成績として、プログラミング問題のLiveCodeBenchが93.5、実際のソフトウェア修正課題を集めたSWE-bench Verifiedが80.6と記載されています。

これらの数字は、Hugging Faceのモデルページに載っている開発元の公表値です。第三者が同じ条件で測った結果ではない点に注意してください。

3. オープンソースで自社環境でも動かせる

モデルの中身が公開されているので、自分の環境にダウンロードして使えます。V4のモデルもMITライセンスで公開されています。

ただし、V4-Proは全体で1.6兆パラメータ(AIの規模を表す数)と巨大です。個人のパソコンで動かすのは難しく、企業や研究機関向けの選択肢になります。

DeepSeekの残念だった点3つ

1. 日本語の精度が一歩およばない

ビジネス文書や丁寧な敬語が必要な場面では、ChatGPTやClaudeのほうが読みやすい文章を出してくれました。不自然な表現を手直しする手間が、思ったより残ります。

顧客向けのメールや公式文書は、DeepSeekの出力をそのまま使わず、人が必ず見直すことをおすすめします。

2. データの扱いに不安が残る

個人情報保護委員会は、2025年2月3日にDeepSeekについて情報提供を行いました。ScanNetSecurityの報道によれば、プライバシーポリシーは中国語と英語のみです。

取得したデータは中国にあるサーバに保存され、中国の法令が適用されるとも説明されています。個人情報や社内の機密は、公式のアプリやWebサービスに入力しないほうが安全です。

3. 企業で使うにはハードルが高い

金融・医療・法務のように、情報管理に厳しい業界では、使える範囲が限られることが多いです。個人では問題なくても、仕事で使うときは上司や情報システム部門の確認が欠かせません。

なお、筆者が確認した範囲では、日本の大手企業の禁止状況を示す公的な一覧は見つかりませんでした。自社のルールを直接確かめてください。

ChatGPTと比べて感じた違い

推論の深さは、DeepSeekのほうが優れていると感じました。プログラムのバグを探す作業では、論理的な分析が役に立ちました。

一方、顧客向けのメールのように、自然な文章が求められる場面ではChatGPTが使いやすかったです。会話の流れの自然さも、ChatGPTに分があります。

API料金では、DeepSeekが大きく有利です。同じ作業でも、ChatGPTのAPIでは月数千円かかるところが、数十円で済む場合がありました。

ただし、無料のWeb版では、急にアクセスしづらくなる不安定さも経験しました。仕事で毎日使うなら、バックアップ手段を用意しておくと安心です。

最新モデルV4の特徴と料金(2026年10月時点)

2026年4月24日、DeepSeekはDeepSeek-V4-ProとDeepSeek-V4-Flashを公開しました。どちらも100万トークン(本1冊分を超える長さ)の文脈を扱えます。

思考するモードと、すぐ答えるモードの両方を選べます。用途はコード作成や、簡単なエージェント(自動で作業を進めるAI)まで広く想定されています。

旧モデル名の「deepseek-chat」「deepseek-reasoner」は、2026年7月24日(UTC)を過ぎると使えなくなる予定と、公式が告知していました。古い連携を使っている人は、モデル名を確認してください。

料金は公式の料金ページで、100万トークンあたりの価格が公開されています。2026年10月10日に確認した内容は次のとおりです。

  • deepseek-flash(V4.1-Flash):入力0.15ドル(キャッシュなし、混雑しない時間帯)、出力0.6ドル
  • deepseek-v4-pro:入力0.66ドル(同じ条件)、出力1.98ドル
  • 混雑する時間帯は、これらの2倍の料金になります

価格は予告なく変わることがあります。使う前に、必ず公式ページで最新の金額を確認してください。

結論:おすすめする人・しない人

おすすめする人

  • 数学やプログラミングを学んでいる学生
  • APIの費用を抑えて、大量にAIを使いたい開発者
  • オープンソースのAIを研究・カスタマイズしたい技術者
  • 無料で高性能なAIを試してみたい個人ユーザー

おすすめしない人

  • 企業の業務データを扱う必要がある人
  • 日本語の文章の品質を最優先する人
  • セキュリティやプライバシーを重視する人
  • 安定したサポート体制を求める企業ユーザー

よくある質問(FAQ)

Q. DeepSeekは本当に無料で使えますか?

筆者が使った範囲では、Web版は無料でした。ただし、APIは従量課金(使った分だけ払う仕組み)です。条件は変わるため、公式サイトで最新の案内を確認してください。

Q. 仕事の資料を入力しても大丈夫ですか?

おすすめできません。個人情報保護委員会は、データが中国のサーバに保存され、中国の法令が適用されると説明しています。社内の機密や個人情報は入力せず、必要なら自社環境で動かす方法を検討してください。

Q. 日本語の文章作成にも使えますか?

下書きや要約には使えます。ただし、敬語やビジネス文書では不自然な表現が出ることがあるので、人の目で直す前提で使うのが現実的です。

Q. 商用利用はできますか?

R1とV4のモデルは、MITライセンスで公開されています。ただし、公式サービスを使う場合は、その利用規約も確認してください。

まとめ

  • DeepSeekは数学・プログラミングに強い推論型AIで、個人でも試しやすいです
  • APIの料金は低く、開発者にとってコスパが高いです
  • 日本語の精度とデータの扱いには課題があり、業務での利用は慎重に判断が必要です
  • 2026年4月にV4が公開され、100万トークンの長文を扱えるようになりました
  • 機密情報は入力せず、用途に合わせて他のAIと使い分けるのが賢い使い方です

まずは機密を含まない学習用の質問で試して、自分の用途に合うかを確かめてみてください。

参考文献