新Siri、頭脳はGoogle|年1500億円契約とは

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • Appleが2026年6月のWWDCで、Siriを「Siri AI」として全面刷新すると発表しました
  • 新Siriの頭脳には、Googleのカスタム版「Gemini」が使われます
  • その契約額は、報道によると年間およそ1500億円(約10億ドル)とされています
  • iOS 27では、SiriをGemini・ChatGPT・Claudeなど好きなAIに切り替えられます
  • 日本語版は2026年秋以降に順次対応する見込みです

「Siriに話しかけても、いまいち話が通じない」。そう感じたことはありませんか。そのSiriが、ライバルだったGoogleの力を借りて生まれ変わります。しかも契約額は年間1500億円規模。この記事を読めば、何が変わるのか、安全性は大丈夫か、日本でいつ使えるのかがわかります。

何が起きた?SiriがGoogleの頭脳で生まれ変わる

2026年6月8日、Appleは開発者向けイベント「WWDC 2026」を開きました。

そこで発表されたのが、生まれ変わった音声アシスタント「Siri AI」です。

いちばんの驚きは、その「頭脳」です。なんと、Googleの最新AI「Gemini(ジェミニ)」が使われます。

GeminiはGoogleが開発した、人間のように言葉を理解して文章を作るAIです。これまでAppleとGoogleは、スマホ市場で激しく争うライバルでした。

その2社が手を組んだのです。AppleはSiriを賢くするため、自前のAIだけにこだわるのをやめました。

年1500億円の大型契約——その中身

このタッグには、大きなお金が動いています。

報道によると、Appleが支払う金額は年間およそ10億ドル(約1500億円)とされています。

Appleが手にするのは、Siri専用に作られた特別なGeminiです。そのサイズは約1.2兆パラメータ(AIの賢さを示す部品の数)と伝えられています。

このAIは、GoogleのサーバーとNVIDIA製の最新チップ「Blackwell(ブラックウェル)」の上で動きます。

つまり、Appleは「世界最高クラスのAI」を、お金を払って借りる道を選んだわけです。自分で一から作るより速く、確実だからです。

プライバシーは守られる?3段階のしくみ

「Googleに自分の会話を全部見られるの?」と不安になる人もいるはずです。

Appleはこの点に強くこだわり、質問の内容に応じて3段階で処理を振り分けるしくみを作りました。

  • かんたんな用事:iPhoneの中だけで処理(外に出さない)
  • ふつうの用事:Apple独自の安全なサーバー「Private Cloud Compute」で処理
  • むずかしい用事:GoogleのサーバーにあるGeminiで処理

大事なのは、Googleに送られるときのルールです。

質問は名前と切り離され、記号化されてから送られます。だれの質問かをAppleもGoogleも特定できないしくみです。

さらに契約では、Googleがあなたのデータを自社AIの学習に使うことを禁止しています。NVIDIAのチップも、処理の最中のデータを暗号化して守ります。

ふだんスマホで道を聞くような用事は、そもそもiPhoneの中だけで完結します。安心して使えるよう、何重もの守りが用意されているのです。

新しいSiriで何ができる?

では、生まれ変わったSiriは具体的に何ができるのでしょうか。

まず大きいのが、Siri専用の独立したアプリが登場することです。iPhone・iPad・Macで使えます。

このアプリでは、ChatGPTのように文字でじっくり相談できます。会話の履歴はiCloud経由で全端末に同期されます。

新Siriの主な新機能を見てみましょう。

  • 個人の文脈を理解:メール・メッセージ・写真をまたいで探してくれる
  • 画面の中身がわかる:いま表示中の内容について質問できる
  • 複数アプリをまたぐ操作:いくつもの手順を一気にこなす
  • 最新情報の検索:ウェブから新しい情報を取ってくる

たとえば、友人と旅行の予定を話したあと。「さっきのメッセージにあったお店、土曜に予約できる?」と頼むだけで、Siriがメッセージを探して動いてくれます。

これまでの「天気を教えて」レベルとは、まるで別物です。あなたの代わりに作業をこなす秘書に近づきます。

自分の好きなAIを選べる時代|Gemini・ChatGPT・Claude

今回いちばん画期的なのが、この点かもしれません。

iOS 27には「Extensions(拡張機能)」というしくみが入ります。これを使うと、Siriの頭脳を自分で選べます。

選べるAIは、標準のGeminiに加え、ChatGPT・Claude(クロード)・Grok(グロック)などです。

設定画面で「よく使うAIサービス」を選ぶだけ。するとSiriや文章作成機能が、選んだAIで動くようになります。

おもしろいことに、答えるAIによってSiriの声も変わります。Apple自身が答えるときと、他社AIが答えるときで声が違うのです。

これまでiPhoneのAIといえばChatGPTだけでした(2024年12月から)。今回それが終わり、iPhoneは「好きなAIを選べる場所」に変わります。

他のAIアシスタントとどう違う?

新Siriの立ち位置を、ライバルと比べて整理します。

  • Googleアシスタント/Gemini:Android標準。中身は同じGeminiだが、iPhoneとの連携の深さはSiriが上
  • Amazon Alexa+:家電やスピーカーに強い。スマホの中の操作はSiriが得意
  • ChatGPT:相談相手として優秀。ただしスマホ全体を操作する力はSiriが上

新Siriの強みは、「iPhoneの中身を深く知っている」点です。あなたの写真やメール、アプリと一体になって動けます。

同じGeminiを使っていても、AndroidとiPhoneでは「できること」が変わるわけです。

逆に言えば、頭脳の部分ではGoogleに頼ることになりました。Appleにとっては、強みと弱みが同居する選択だといえます。

日本ではいつ使える?日本市場への影響

気になるのは、日本でいつ使えるかです。

スケジュールはこうなっています。

  • 開発者向けベータ版:2026年6月から
  • 一般向けベータ版:2026年7月中ごろ
  • 正式リリース:2026年秋、新型iPhoneと同時
  • Siri AI本体:まず2026年9月に英語版がベータ提供

注意したいのは言語です。Siri AIは最初は英語からのスタートで、日本語などは順次対応とされています。

つまり、日本のユーザーがフルに使えるのは秋以降、場合によってはもう少し先になりそうです。

それでも影響は大きいです。日本でもAIアシスタントを「選んで使う」感覚が当たり前になります。仕事のメール整理や予定調整を、話しかけるだけで任せられる未来が近づいています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 新しいSiriを使うのにお金はかかりますか?

Siri AI自体はiOSの機能として提供される見込みです。ただし、ChatGPTなど他社AIの有料プランを使う場合は、その料金が別にかかることがあります。

Q2. 私の会話がGoogleに学習されてしまいませんか?

契約上、Googleがあなたのデータを自社AIの学習に使うことは禁止されています。質問も名前と切り離して送られます。

Q3. いまのiPhoneでも使えますか?

正式にはiOS 27が必要です。古い機種では一部機能が動かない可能性があります。秋の正式発表を待ちましょう。

Q4. SiriをやめてChatGPTだけにできますか?

iOS 27の「Extensions」で、よく使うAIをChatGPTやClaudeに切り替えられます。設定画面から選ぶだけです。

Q5. AppleはなぜGoogleに頼ったのですか?

自前のAI開発が遅れていたためです。世界最高クラスのGeminiを借りることで、開発を一気に追いつかせる狙いがあります。

まとめ

今回のポイントを振り返ります。

  • Siriは「Siri AI」として全面刷新され、頭脳にGoogleのGeminiを採用
  • 契約額は報道で年間およそ1500億円(約10億ドル)
  • プライバシーは3段階のしくみと暗号化で何重にも守られる
  • 専用アプリが登場し、画面理解や複数アプリ操作が可能に
  • iOS 27ではGemini・ChatGPT・Claudeなど好きなAIを選べる
  • 日本語のフル対応は2026年秋以降の見込み

まずは秋の正式リリースに向けて、お使いのiPhoneがiOS 27に対応するか確認しておきましょう。

参考文献

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