- WWDC 2026でAppleが完全刷新した「Siri AI」を発表しました
- 頭脳にはGoogleの1.2兆パラメータ版Geminiを採用、契約額は年10億ドル規模と報じられています
- 画面に映っている内容を理解し、複数のアプリをまたいで作業を連続でこなせます
- プライバシーは「端末内・Private Cloud Compute・Google Cloud」の3段階で守ります
- 日本語対応は英語版より遅れる可能性があり、対応はiPhone 15 Pro以降です
「Siriに頼んでもうまく伝わらない」と感じたことはありませんか?そんなSiriが、ついに生まれ変わります。2026年6月のWWDCで、Appleは中身をまるごと作り直した新しいSiriを発表しました。しかもその頭脳は、ライバルGoogleのAIです。何がどう変わるのか、やさしく整理します。
WWDC 2026で発表された「新Siri」とは?
WWDC(ダブリューダブリューディーシー)とは、Appleが毎年開く開発者向けの発表会です。2026年は6月8日に開催されました。
ここでAppleは「Siri AI」という新しいSiriを発表しました。
これまでのSiriは「天気は?」「タイマーをセット」など、決まった命令しか得意ではありませんでした。
新しいSiriは、人と会話するように使えます。言葉の文脈を理解し、複数の作業を続けてこなせるようになりました。
Appleはこの新Siriを「これまでよりはるかに賢く、物知りで、有能になった」と説明しています。
専用の「Siri」アプリも登場します。会話の履歴はiCloud(アイクラウド=Appleのクラウド保存サービス)を通じて、iPhoneやMacなど複数の端末で共有できます。
なぜGoogleの「Gemini」を採用したのか
今回いちばん驚かれたのが、Siriの頭脳にGoogleのAI「Gemini(ジェミニ)」が使われる点です。
AppleとGoogleはスマホ市場では長年のライバルです。そのライバルの技術を、Appleが自社の看板機能に取り入れたのです。
採用されたのは、Siri専用に作られた1.2兆パラメータのカスタムGeminiモデルです。パラメータとはAIの賢さの目安になる数値で、多いほど複雑な処理ができます。
この規模は、Appleが自前で持っていた約1500億パラメータのAIの、およそ8倍にあたります。
米ブルームバーグの報道によると、Appleはこの利用料としてGoogleに年間およそ10億ドル(約1500億円)を支払うとされています。
つまりAppleは、自分で一から作るより、すでに完成度の高いGeminiを借りる道を選んだわけです。Siriの遅れを取り戻すための、現実的な判断と言えます。
ちなみにApple自身は公式発表でGeminiの名前を出していません。複数の報道が、その裏側を明らかにしています。
新Siriでできること(具体的な新機能)
新Siriの目玉は、大きく分けて3つあります。
1. 画面の内容を理解する
表示中の画面を見て、それに合わせて行動できます。
たとえば、フェスの出演者リストが映ったスクリーンショットを見せて「カレンダーに追加して」と頼めます。
すると、Siriが日程を読み取ってカレンダーに登録してくれます。
2. アプリをまたいで作業を連続でこなす
「この写真を家族アルバムに入れて」「チケットの抽選が始まったら教えて」といった指示に応えます。
複数のアプリを行き来する作業を、ひとつの会話でまとめて頼めるのが強みです。
あなたのメールやメッセージ、写真の中身もふまえて、あなた向けの答えを返してくれます。
3. 声でも文字でも使える
新Siriは声だけでなく、文字を打ち込んで質問することもできます。
画像や書類を会話に添付して、内容について質問することも可能です。
引っ越し作業を想像してみてください。賃貸契約書の写真をSiriに見せて「解約の連絡はいつまで?」と聞けば、書類から答えを探してくれる、そんな使い方ができます。
プライバシーは大丈夫?3段階の処理の仕組み
「自分の写真やメールをGoogleに見られるのでは?」と心配になりますよね。
Appleはここに力を入れています。処理を3段階に分ける仕組みを採用しました。
まず、軽い処理はiPhoneやMacの端末内だけで完結します。データは外に出ません。
中くらいの処理は、Apple独自の「Private Cloud Compute(プライベートクラウドコンピュート)」で行います。これは、利用後にデータを残さない設計の専用クラウドです。
そして、最も重い処理だけがGoogle Cloud上のGeminiに送られます。ここでも、Appleはプライバシー基準を守ると説明しています。
つまり、すべてをGoogleに丸投げするわけではありません。データの重さに応じて、処理する場所を使い分けるのがポイントです。
競合と比較:Alexa+・Gemini・ChatGPTとどう違う?
2026年は、各社の音声・対話AIが一気に進化した年です。新Siriのライバルを整理します。
Amazonの「Alexa+」は、2026年2月に米国で本格スタートしました。Prime会員は無料、それ以外は月19.99ドル(約3,000円)です。UberやTicketmasterなど外部サービスと連携し、実際の予約までこなせます。
Googleの「Gemini for Home」は、スピーカーやディスプレイ向けに展開中です。基本は無料で、上位機能は月10ドル(約1,500円)です。自然な会話の賢さに定評があります。
OpenAIの「ChatGPT」は、アプリとして音声対話に対応しています。幅広い知識量が魅力です。
では、新Siriの強みは何でしょうか。それはiPhoneとの一体感とプライバシー重視の設計です。
あなたの写真・メール・カレンダーといった個人データと深くつながり、端末の中で完結する処理が多い点が、他社との違いになります。
日本ではいつ使える?日本語対応と対応機種
気になるのは、日本でいつ使えるかですよね。
新Siriのベータ版(お試し版)は2026年後半に始まりますが、当初は英語のみの対応です。対応言語は段階的に15言語へ広げる計画です。
注意したいのが日本語対応の時期です。過去にApple Intelligenceの日本語対応は、英語版から約9か月遅れて登場しました。
そのため、日本語の新Siriも英語圏と同時とは限りません。少し待つ可能性が高そうです。
対応する機種にも条件があります。Apple Intelligenceと新Siriが使えるのは、iPhone 16シリーズ以降と、iPhone 15 Pro/Pro Maxなどです。
iPadやMacは、M1チップ以降を搭載したモデルが対象です。古い機種では使えない点に注意しましょう。
なお、EU(欧州連合)では規制の関係でiPhone・iPad向けの提供が遅れ、中国でも当面は対応しないと報じられています。地域ごとに事情が分かれています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 新Siriを使うには月額料金がかかりますか?
新Siri自体は、対応する端末向けの無料アップデートで提供される予定です。ただし一部の機能には1日の利用回数の上限があり、iCloud+の有料プランで上限を増やせる仕組みです。
Q2. 自分のiPhoneでも使えますか?
iPhone 15 Pro/Pro Max、またはiPhone 16以降であれば対応します。それより前の機種では、新Siriは利用できません。
Q3. 個人情報がGoogleに渡るのが不安です。
軽い処理は端末内、中程度はApple独自のクラウドで行い、Googleに送られるのは最も重い処理だけです。Appleはプライバシーを守る設計だと説明しています。
Q4. 日本語ではいつから使えますか?
現時点で日本語の正確な提供時期は未発表です。過去の例から、英語版より数か月遅れる可能性があります。公式発表を待ちましょう。
まとめ
今回のポイントを振り返ります。
- WWDC 2026で、Appleが完全刷新した「Siri AI」を発表した
- 頭脳にGoogleの1.2兆パラメータ版Geminiを採用、契約は年10億ドル規模
- 画面の理解・アプリ横断の作業・文字入力など、できることが大きく増えた
- 処理を3段階に分け、プライバシーに配慮している
- 当初は英語のみ、対応はiPhone 15 Pro以降で、日本語は遅れる可能性
まずは、自分のiPhoneが対応機種かどうかを確認しておくと、提供開始にスムーズに備えられます。
参考文献
- Apple Newsroom「Apple unveils next generation of Apple Intelligence, Siri AI, and more」
- TechCrunch「WWDC 2026: Everything announced on Siri AI, iOS 27, Apple Intelligence, and more」
- CNBC「Apple WWDC 2026 live updates」
- MacRumors「Google Confirms Gemini-Powered Siri Coming Later This Year」
- Business Standard「WWDC 2026: Apple unveils Siri AI, Gemini-powered Apple Intelligence」

