AI動画1本でEC売上1割|AnyMind新サービス

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

taolis.net X note Voicy YouTube
  • AnyMind Groupが2026年6月18日、AI動画生成サービス「AnyAI Video」を提供開始
  • 市場データをもとに、商品紹介やレビュー動画を企画から生成まで自動化
  • ベトナムの事例では、AI動画1本が当月のEC売上の約1割を生み出した
  • SynthesiaやHeyGenとの違いは「ソーシャルコマース特化」と「自社基盤との連携」
  • 動画を量産できず悩む日本のEC事業者にとって、大きな追い風になる可能性

「商品紹介の動画を作りたいけど、時間もお金も足りない」。ECの担当者なら、一度はこう感じたことはありませんか?そんな悩みに答える新サービスが登場しました。なんとAI動画1本だけで、ECの売上の約1割を生み出した事例も出ています。この記事では、その仕組みと私たちへの影響をやさしく解説します。

AnyMindの「AnyAI Video」とは?

2026年6月18日、AnyMind Groupという会社が新サービスを発表しました。

名前は「AnyAI Video」。ソーシャルコマース(SNSやライブ配信で商品を売る仕組み)向けのAI動画生成サービスです。

かんたんに言うと、商品を売るための動画をAIが自動で作ってくれるツールです。

たとえば商品紹介、使い方の解説、レビュー動画。こうした動画を、企画から完成まで一気に支援します。

作るのはAIエージェント(人間の代わりに作業を自動でこなすAI)です。過去の配信データを学び、売れやすい動画を生み出します。

AnyMind Groupはどんな会社?

AnyMind Groupは、東証グロース市場に上場している日本発の企業です(証券コード5027)。

2024年の売上は507億円。アジアや中東を中心に15の国と地域で事業を展開しています。

もともとECやD2C(メーカーが直接消費者に売る形)の支援を得意とする会社です。今回のAI動画サービスは、その強みを活かした一手と言えます。

何ができる?AnyAI Videoの3つの機能

AnyAI Videoの特徴を、3つのポイントに分けて見ていきます。

1. データをもとに動画を企画・生成する

ただ動画を作るだけではありません。

市場のデータや、消費者がどんな点を気にしているかという情報をもとに動画を組み立てます。

つまり「売れる理由」を考えてから作るのです。商品理解や比較検討を後押しする内容に仕上がります。

2. AIが大量の動画を一気に作る

ECでは、商品ごとにたくさんの動画が必要になります。

AnyAI Videoは、AIエージェントが過去の実績データに基づいて生成を自動化します。

これにより、キャンペーンや商品、販売チャネルが違っても一貫した品質で動画を量産できます。手作業では追いつかない量も対応可能です。

3. 自社の販売プラットフォームと連携する

AnyMindは、すでにいくつかの販売支援サービスを持っています。

  • AnyLive:生成AIを使ったライブコマース基盤
  • AnyTag:インフルエンサーマーケティングの基盤
  • MISM:縦型動画のクリエイティブ制作基盤

AnyAI Videoはこれらと連携します。動画作りから、認知・購買・物流までを一つの流れでつなげられるのが強みです。

ベトナム事例——AI動画1本でEC売上の約1割を創出

AnyAI Videoの実力を示す、具体的な事例があります。

ベトナムの「Boncept」というブランドでの導入例です。

ここでは、AI生成動画たった1本が、その月のEC売上(GMV)の約10%を生み出しました

GMVとは流通取引総額のこと。つまりそのお店で売れた商品の合計金額です。

動画1本がその1割を占めるというのは、かなり大きな成果です。人が作る動画と並べても、見劣りしない結果が出ています。

AnyMindは、AIをクリエイター(動画を作る人)の「代わり」ではなく「補完」と位置づけています。人の創造性とAIの量産力を組み合わせる考え方です。

既存のAI動画ツールと何が違う?

「AIで動画を作るツールなら、もう色々あるのでは?」と思った方もいるでしょう。

たしかに、有名なサービスはいくつもあります。代表的なものを比べてみます。

  • Synthesia(シンセシア):原稿を入力すると、人物アバターが読み上げる動画を作る。140言語以上に対応
  • HeyGen(ヘイジェン):アバター型で、ビジネス向けテンプレートが100種類以上と豊富
  • Sora(ソラ):OpenAIの動画生成AI。文章や画像から自由な映像を作れる

これらは「動画を作ること」そのものに強いツールです。

一方でAnyAI Videoの違いは、ソーシャルコマースに特化している点にあります。

単に動画を作るだけでなく、「売るためのデータ最適化」と「自社の販売基盤との連携」がセットになっています。

作って終わりではなく、売上につなげるところまで設計されているわけです。ここが汎用ツールとの大きな差です。

日本のEC・企業にとって何が変わる?

このサービスは、日本のEC事業者にも関係の深い話です。

背景には、ソーシャルコマース市場の急成長があります。

ライブコマースの世界市場は、2025年の約256億ドルから2026年には約318億ドルへ拡大する見込みです。年20%を超えるペースで伸びています。

SNSのショート動画から商品を買う流れは、日本でも当たり前になりつつあります。

とはいえ、多くの中小ECにとって動画作りは重い負担です。

ある化粧品の通販ショップを考えてみましょう。新商品が出るたびに紹介動画を撮り、編集し、SNS用に何パターンも作り直す。これだけで担当者の時間は溶けていきます。

AnyAI Videoのようなツールは、この負担を大きく減らせる可能性があります。

少人数のチームでも、大量の商品動画を回せるようになるかもしれません。「人手が足りなくて動画に手が回らない」という壁を越える手段になりえます。

AnyMindは日本発の上場企業です。国内企業へのサポートや日本語対応も期待できる点は、海外ツールにはない安心材料です。

よくある質問(FAQ)

Q1. AnyAI Videoは誰でも使えますか?

主に、ソーシャルコマースに取り組むブランド企業向けのサービスです。個人向けというより、商品をたくさん売りたい企業が対象になります。料金は公開されていないため、導入時は問い合わせが必要です。

Q2. AIが作ると、動画はみんな同じになりませんか?

AnyAI Videoは過去のデータをもとに最適化します。キャンペーンや商品ごとに内容を変えながら、一貫した品質を保つ設計です。同じものを量産するのではなく、状況に合わせて作り分けます。

Q3. 動画クリエイターの仕事はなくなりますか?

AnyMindはAIを「代替」ではなく「補完」と位置づけています。人の創造性とAIの量産力を組み合わせる考え方です。クリエイターの仕事をすべて奪うものではないとしています。

Q4. 日本でもすぐに使えますか?

AnyMindは日本の上場企業で、アジア15カ国以上で事業を展開しています。日本企業への提供も視野に入っていると考えられます。具体的な提供範囲は、今後の発表を確認するのがよいでしょう。

まとめ

今回のポイントを振り返ります。

  • AnyMindが2026年6月18日に「AnyAI Video」を提供開始した
  • 市場データをもとに、商品動画を企画から生成まで自動化する
  • ベトナム事例では、AI動画1本がEC売上の約1割を創出した
  • 強みはソーシャルコマース特化と、自社販売基盤との連携
  • 動画作りに悩む日本のEC事業者にとって追い風になりうる

まずは自社の商品紹介動画が、今どれくらいの手間とコストになっているかを一度見直してみてはいかがでしょうか。AI活用の第一歩になります。

参考文献

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です