- 半年でモバイルゲームが約18万本もリリースされ、前年から急増しました
- 「バイブコーディング」というAIで作る新しい開発手法が急増の理由です
- 主要ツールのCursor・Replit・Boltなどを使えば未経験者でも作れます
- 一方で稼げるゲームは14%増にとどまり、上位1%が約8割を独占しています
- 日本も個人開発が伸びる一方、低品質な「AIスロップ」問題に直面します
スマホのアプリストアを開くと、見たことのないゲームがずらりと並んでいませんか。実はいま、AIの力で「コードを書けない人」でもゲームを作れる時代が来ています。半年でなんと18万本。この記事では、なぜここまで急増したのか、そして光と影の両面をやさしく解説します。
何が起きた?半年で18万本のゲームが誕生
調査会社ATTN Economyが、驚きの数字を発表しました。
2026年5月までの半年間で、新しくリリースされたモバイルゲームは約18万1000本にのぼります。
これは前の年の同じ時期と比べて、iPhone向け(iOS)で118%増、Android向けで73%増という数字です。
つまり、ゲームの数が2倍前後にふくらんだということです。
新しくゲームを出す会社や個人(パブリッシャー)も激増しました。Androidでは82%、iOSでは21%も増えています。
今までゲームを作ったことがなかった人たちが、次々と参入しているのです。
バイブコーディングとは?コードを書かずに作る新手法
この急増の主役が「バイブコーディング(Vibe Coding)」と呼ばれる開発方法です。
バイブコーディングとは、AIに「こんなゲームを作って」と日本語や英語で話しかけるだけで、AIが自動でプログラムを書いてくれる手法です。
この言葉は、2025年2月に有名なAI研究者のアンドレイ・カルパシー氏が提唱しました。
今までとの違い
これまでゲームを作るには、専門のプログラミング言語を1行ずつ手で書く必要がありました。
覚えることが多く、初心者には高いカベでした。
ところがバイブコーディングでは、人間は「何を作りたいか」を伝えるだけです。
実際のコード書きはAIにおまかせ。人間は結果を確認したり、細かく直したりする作業に集中できます。
ある個人開発者は、AIを使い始めてから開発スピードが体感で3〜5倍になったと報告しています。
主要なAIツールを比較|どれで作れる?
バイブコーディングを支えるツールは、2026年現在いくつも登場しています。
代表的なものを、特徴とあわせて見てみましょう。
- Cursor(カーソル):AI専用のコード編集ソフト。プロ開発者からの人気が高く、細かい調整が得意です。
- Replit(レプリット):ブラウザだけで開発から公開までできます。2026年1月には、スマホアプリをそのまま公開できる新機能も追加されました。
- Bolt(ボルト):話しかけるだけでアプリの土台を素早く作れる手軽さが魅力です。
- Lovable(ラバブル):デザインの美しいアプリを短時間で作れると評判です。
- Claude Code:複数のファイルをまたいで賢く開発を進められるのが強みです。
これらのツールは、単なる入力補助ではありません。
リアルタイムでコードを作り、間違い(バグ)を直し、公開の手伝いまでしてくれます。
プログラミング未経験の人が、週末の2日だけでアプリを1本仕上げる。そんなことも珍しくなくなりました。
光と影|稼げるのは14%、上位1%が独占
数が増えるのは良いことばかりに見えます。でも、現実はそう甘くありません。
ゲームの本数が2倍近くに増えた一方で、2万ドル(約300万円)以上を稼いだタイトルはわずか14%増にとどまりました。
数は爆発的に増えたのに、お金を稼げるゲームはほとんど増えていないのです。
さらに衝撃的なデータがあります。ダウンロード数の約80%を、上位1%の企業が独占しているのです。
売上もほぼ同じで、一部の大手が市場を握っています。
「AIスロップ」という新しい問題
大量のゲームの中には、中身の薄い低品質なものも多くまじっています。
こうした粗製乱造のコンテンツは「AIスロップ(AIが生んだ雑なコンテンツ)」と呼ばれ、問題視されています。
Appleのアプリストアには、2025年だけで55万7000本もの新アプリが申請され、前年比24%増となりました。
審査が追いつかず、公開までの遅れも起きています。
まじめに作る開発者にとっては、大量の似たようなアプリの中で目立つために、多額の広告費が必要になるという声も上がっています。
ゲーム業界で「生成AIは有害だ」と考える人の割合も、2025年の30%から52%へと急増しました。
仕事はどうなる?レイオフと新しい役割
AIが人の代わりに働くことで、雇用への影響も出ています。
2025年には世界で約24万5000件のIT関連の仕事が削減されました。
2026年3月には、レイオフ(人員削減)の理由として「AI」が最も多く挙げられ、その月の削減の25%を占めています。
とはいえ、悲観的な話ばかりではありません。
AIが書いたコードには不具合が残ることも多く、それを直すために経験豊富な技術者があらためて雇われるケースも出てきました。
チェコのValka AIのCEOは「AIの性能はこの2年で飛躍的に伸びた」と語り、「5〜10年後にはゲーマーは人間が作ったかAIが作ったか区別できなくなる」と予測しています。
日本市場への影響|個人開発のチャンスと落とし穴
この波は、遠い海外の話ではありません。
今回の調査で、日本はゲームリリース数の伸びで世界2位、成長率でも3位につけています。
それだけ、日本でも個人開発が盛り上がっているということです。
会社員として働きながら、週末にAIでゲームを作って公開する。そんな副業スタイルが現実的になってきました。
プログラミングスクールでバイブコーディングを学び、複数のWebサービスを1人で運営する開発者も日本国内に現れています。
一方で、注意点もあります。
AppleはReplitやVibecodeなど、一部のバイブコーディングアプリに対し、修正なしでは更新を認めない対応を始めました。
手軽に作れるからこそ、品質を軽く見ると公開できないリスクがあるのです。
「AIに丸投げして終わり」ではなく、遊ぶ人が本当に楽しめるかを人間の目でしっかり確かめる。それが、日本の個人開発者が生き残るカギになりそうです。
よくある質問(FAQ)
Q. バイブコーディングは本当に未経験者でもできますか?
はい、基本的なゲームなら未経験者でも作れます。ただし、思い通りに動かすには最低限の知識や、AIへの指示を工夫する力が必要です。完全なゼロ知識では、細かい修正でつまずくこともあります。
Q. どのツールから始めるのがおすすめですか?
ブラウザだけで完結するReplitや、話しかけるだけで形になるBoltが初心者向けです。本格的に細かく作り込みたくなったら、Cursorに移るという流れが多いです。
Q. AIで作ったゲームでもお金は稼げますか?
可能ですが、簡単ではありません。稼げるタイトルは14%増にとどまり、上位1%が売上の大半を握っています。数を出すだけでなく、独自の面白さや宣伝の工夫が欠かせません。
Q. AIスロップとは何ですか?
AIが大量に生んだ、中身の薄い低品質なコンテンツのことです。似たようなゲームがアプリストアにあふれ、まじめな開発者や利用者にとって迷惑になっている点が問題視されています。
まとめ
今回のポイントを振り返ります。
- 半年でモバイルゲームが約18万1000本リリースされ、前年比で大きく増えました
- 「バイブコーディング」により、未経験者でもゲームを作れるようになりました
- Cursor・Replit・Boltなど、手軽なAIツールが次々と登場しています
- しかし稼げるゲームは14%増にとどまり、上位1%が約8割を独占しています
- 日本も伸びていますが、低品質な「AIスロップ」への対策が課題です
まずは無料で試せるツールを1つ触ってみて、AIでゲームを作る面白さを体験してみてください。

