- 管理職・経営層の72.3%が、すでに業務で生成AIを使っていることが調査でわかりました
- 67.9%が「AI活用力は昇進・昇格に影響する」と回答しています
- 3年以内に必要なスキル1位は「生成AI利用スキル」(39.5%)でした
- 住友商事や三菱商事は、AIスキルを人事評価や昇格要件に組み込み始めています
- 「使える人」と「使えない人」の格差が、キャリアの分かれ道になりつつあります
「AIが使えないと、この先の出世は難しいかもしれない」。そんな不安を感じたことはありませんか。実はこれ、もう気のせいではありません。ある調査で、管理職の約7割が「AI活用力は昇進に影響する」と答えました。この記事を読めば、いま職場で何が起きているのか、そして自分がどう備えればいいのかがわかります。
調査でわかった「AIスキル=評価」の現実
AI人材の育成を手がけるSHIFT AIが、興味深い調査を発表しました。
対象は、全国の管理職・経営層271人です。調査期間は2026年6月16日から22日までです。
まず驚くのが、生成AIの利用率です。「日常的、またはたまに使っている」と答えた人は72.3%にのぼりました。管理職の3人に2人以上が、もう仕事でAIを触っているのです。
さらに注目したいのが、昇進との関係です。
「AI活用力は昇進・昇格に影響するか」という質問に、67.9%が「影響する」と回答しました。「かなり影響する」だけでも44.6%います。
つまり、評価する側の管理職自身が「AIを使えるかどうかを見ている」と認めているわけです。
3年以内に必要なスキル、堂々の1位は?
この調査では、「今後3年以内に必要になるスキル」も聞いています。
結果は次のとおりです。
- 生成AI利用スキル:39.5%(1位)
- IT・データ活用スキル:33.2%
- コミュニケーション能力:25.5%
- 創造性・思考スキル:24.7%
長年ビジネスの基本とされてきた「コミュニケーション能力」を、生成AIのスキルが抜いたのです。
これは大きな変化です。少し前まで、AIは「詳しい人が使う特別な道具」でした。それが今では「全員が身につけるべき基礎スキル」に変わりつつあります。
大企業はもう動いている
「調査はわかったけど、実際の会社はどうなの?」と思いますよね。実は、有名企業がすでに制度を作り始めています。
住友商事の「Dグレード」制度
住友商事は、国内外の全社員約5,000人を対象に、AIとDX(デジタル化)のスキルを6段階で等級化する制度を始めます。名前は「Dグレード」です。
研修の受講履歴や、国家資格「ITパスポート」など30以上の資格に点数をつけます。そのスコアが、プロジェクトのメンバー選びや人事異動に直接使われます。
しかも、基礎レベルの取得は2027年度中に国内社員へ義務化する方針です。「AIは得意な人だけがやればいい」という時代は、もう終わりに近づいています。
三菱商事は「昇格要件」に
三菱商事は、さらに踏み込んでいます。AI関連の資格を、管理職への昇格要件に組み込んだのです。
つまり「AI資格を取らないと、管理職になれない」という仕組みです。大手商社が相次いでこうした制度を導入し、人材競争が加速しています。
従来の評価制度と何が違うのか
ここで、これまでの人事評価と比べてみましょう。
従来の昇進は、営業成績や勤続年数、リーダーシップなどで決まるのが一般的でした。数字で測りにくい「人柄」も大きな要素でした。
一方、新しい流れでは「AIスキルを資格や等級で見える化する」点が特徴です。あいまいだった評価が、点数という客観的な形になります。
これには良い面もあります。年齢や社歴に関係なく、AIを使いこなせる若手が正当に評価されやすくなるのです。
逆に言えば、ベテランでもAIを避けていると、評価で追い越される可能性が出てきます。
身近な3つのシーンで考えてみる
もっと具体的に想像してみましょう。
たとえば、ある営業チームのリーダー。提案資料の下書きをAIに任せ、空いた時間を顧客との対話に使います。結果、成約率が上がり「効率的なマネジメント」と評価されました。
次に、経理部門の中堅社員。毎月の請求書チェックにAIを組み込み、残業を大きく減らしました。「業務改善ができる人」として、昇格候補に名前が挙がります。
最後に、AIを「難しそう」と敬遠してきたベテラン社員。仕事は丁寧ですが、若手より作業に時間がかかります。周囲との差が、少しずつ評価に表れ始めました。
どのシーンも、決して特別な話ではありません。あなたの職場でも、静かに起きているかもしれません。
日本のビジネスパーソンはどう備えるべきか
では、私たちは何をすればいいのでしょうか。難しく考える必要はありません。
まずは、身近な仕事でAIを一度使ってみることです。メールの下書き、議事録の要約、アイデア出しなど、小さな作業からで十分です。
次に、資格を目安にするのも有効です。「ITパスポート」や「生成AIパスポート」など、基礎を体系的に学べる資格が増えています。会社が評価に使う可能性もあります。
大切なのは、完璧を目指さないことです。「使ったことがある」と「まったく触っていない」の差が、いちばん大きいのです。まず一歩を踏み出すことが、将来のキャリアを守ります。
見過ごせない「格差」という課題
この流れには、明るい面ばかりではありません。
同じ調査で、管理職が最も心配していることが「AIを使える人と使えない人の格差が広がること」(33.9%)でした。次いで「情報漏えいのリスク」(32.1%)が続きます。
企業側の課題もあります。「学ぶ方法や体制がない」が32.8%で最も多く、「学習する時間がない」も22.6%ありました。
つまり、個人の努力だけでは限界があります。会社が学びの機会をきちんと用意できるかどうかも、これからの大きな分かれ道になりそうです。
よくある質問(FAQ)
Q1. AIを使えないと、本当に昇進できなくなるのですか?
すぐに全員がそうなるわけではありません。ただ、67.9%の管理職が「影響する」と答えており、評価に効き始めているのは事実です。早めに慣れておくと安心です。
Q2. どんなAIから始めればいいですか?
ChatGPTなど、無料で使える対話型AIから始めるのがおすすめです。まずは日常の文章づくりや調べものに使うと、感覚がつかめます。
Q3. 資格は取ったほうがいいですか?
会社によっては評価に直結します。住友商事のように資格に点数をつける例もあります。基礎固めとして取得を検討する価値はあります。
Q4. ベテラン社員はもう手遅れですか?
そんなことはありません。AIは特別な知識よりも「慣れ」が大切です。年齢に関係なく、使い始めた人から差がつまっていきます。
まとめ
今回のポイントを振り返ります。
- 管理職・経営層の72.3%が、すでに業務で生成AIを利用している
- 67.9%が「AI活用力は昇進に影響する」と回答した
- 3年以内に必要なスキル1位は「生成AI利用スキル」(39.5%)
- 住友商事や三菱商事は、AIスキルを評価・昇格要件に組み込み始めた
- 「使える人」と「使えない人」の格差が、最大の課題になっている
AIスキルは、もう一部の専門家だけのものではありません。今日から身近な仕事でAIを1つ試してみることが、これからのキャリアを守る確実な一歩になります。

