10万人vsAI創造性テスト|GPT-4は平均を超えたが天才には及ばず

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • 10万人 vs AI。史上最大規模の「創造性対決」の結果が明らかに
  • GPT-4は人間の平均を上回る創造性スコアを記録
  • しかし上位10%の人間には「まったく及ばない」意外な結果
  • 「拡散的思考」テスト(DAT)で何が測られたのか
  • 深層学習の父・Yoshua Bengioらの国際研究チームによる論文

AIは人間より創造的なのか? この根源的な問いに、10万人以上の人間とAIを直接対決させた研究が答えを出しました。

2026年1月、Scientific Reports誌に発表された論文によると、GPT-4は人間の平均的な創造性を上回った一方で、最も創造的な上位10%の人間にはまったく及ばなかったのです。

この結果は「AIは創造性で人間を超えた」という議論に、意外なニュアンスを加えました。

史上最大規模の「人間 vs AI」創造性テスト

この研究は、モントリオール大学、コンコーディア大学、トロント大学ミシサガ校、そして深層学習の父として知られるYoshua Bengio氏が率いるMila(ケベックAI研究所)とGoogle DeepMindの国際チームによるものです。

規模が桁違いです。

10万人以上の人間の参加者と、GPT-4をはじめとする最先端のAI(大規模言語モデル=LLM)を、同じ創造性テストで比較しました。

10万人規模の比較研究は、この分野では前例がありません。

論文タイトルは「Divergent creativity in humans and large language models(人間と大規模言語モデルにおける拡散的創造性)」。2026年1月21日にScientific Reportsに掲載されました。

「拡散的思考」とは?創造性を測る科学的な方法

この研究で使われたのは「拡散的連想課題(DAT: Divergent Association Task)」というテストです。

拡散的思考(Divergent Thinking)とは、1つの出発点から、多様で独創的なアイデアを数多く生み出す力のこと。たとえるなら、「レンガの使い道を100個挙げてください」と聞かれたとき、「壁を作る」「本棚にする」「ドアストッパーにする」「アート作品にする」…と、どれだけバラエティ豊かなアイデアを出せるかです。

DATでは、参加者に「できるだけ意味が遠い10個の単語を挙げてください」と求めます。

たとえば「猫」と「月」は関連性が低いので高スコア、「猫」と「犬」は関連性が高いので低スコアです。

選んだ単語同士の意味的距離が遠いほど、創造性が高いと評価されます。

このテストは心理学で広く使われる標準化されたツールで、科学的に妥当な創造性の指標として認められています。

結果①|GPT-4は人間の平均を超えた

テストの結果、GPT-4を含む一部のAIモデルは、人間の平均的な創造性スコアを上回りました

これは衝撃的な結果です。

創造性は長らく「人間だけの特権」と考えられてきました。

論理的な計算や情報処理ではAIが人間を超えることは受け入れられていましたが、創造性の領域でも「平均的な人間よりAIの方が上」という結果が出たのです。

たとえるなら、将棋や囲碁でAIが人間のプロに勝つのは想像できても、「俳句の大会でAIが人間の平均を超える」と言われたら驚きますよね。それに近いインパクトがあります。

結果②|上位10%の人間にはまったく及ばない

しかし、ここからが面白い部分です。研究チームは参加者を創造性のスコアで上位半分と下位半分に分けて分析しました。

  • 下位50%の人間 — AIに明らかに負ける
  • 上位50%の人間 — すべてのAIモデルを上回る
  • 上位10%の人間 — AIとの差がさらに大きく開く

つまり、「最も創造的な人間」と「AI」の間には、依然として大きな溝があるのです。特に詩や物語の創作など、豊かな表現力が求められるタスクでは、上位の人間がAIを圧倒しました。

たとえるなら、AIは「クラスの平均点以上は取れる優等生」ですが、「天才的な芸術家」にはなれないということです。

なぜAIは「平均は超えるが天才には届かない」のか

この結果の背景には、AIと人間の創造性の根本的な違いがあります。

AIの創造性は、膨大なデータから学んだパターンの組み合わせです。

GPT-4はインターネット上の何兆もの文章を学習し、「通常は組み合わされない概念」を巧みに組み合わせることができます。

これがDATで高スコアにつながりました。

しかし、真に創造的な人間はパターンを「破る」ことができます。

既存のルールや常識を意図的に無視し、まったく新しい概念を生み出す力があるのです。

ピカソが遠近法を壊して新しい芸術を生んだように、「ルール破り」こそが最高の創造性であり、AIはまだこれが苦手です。

研究チームのBengio氏(深層学習のパイオニア)自身がこの研究に参加しているのは象徴的です。AI研究の最前線にいる人たちが、AIの限界を正直に示したのです。

日本のクリエイティブ産業への影響|漫画・アニメ・ゲーム

この研究結果は、日本のクリエイティブ産業にとって重要な示唆を含んでいます。

漫画、アニメ、ゲームなど、日本が世界をリードするコンテンツ産業では、「平均的な創造性」ではなく「突出した創造性」が価値を持ちます。鳥山明や宮崎駿のような天才的な創造力は、AIでは代替できないということです。

一方で、AIが「平均以上の創造性」を持つということは、量産型のコンテンツ制作ではAIが活躍することを意味します。たとえば、ゲームの背景デザインや広告のキャッチコピーなど、一定品質を大量に生産する場面ではAIが強みを発揮するでしょう。

つまり、日本のクリエイターがAI時代に勝ち残るには、「上位10%に入る独自の創造性」を磨くことが重要です。

AIが得意な「平均的な仕事」をAIに任せ、人間は「AIにはできない突出した仕事」に集中する。

そんな役割分担が理想的です。

よくある質問(FAQ)

Q. この研究で使われた「拡散的連想課題(DAT)」とは何ですか?

「できるだけ意味が遠い10個の単語を挙げる」というシンプルなテストです。

選んだ単語同士の意味的距離が遠いほど高スコアになります。

心理学で広く使われる創造性の標準テストです。

Q. GPT-4以外のAIモデルも人間を超えましたか?

すべてのAIモデルが人間の平均を超えたわけではありません。GPT-4を含む一部の最先端モデルが平均を上回りましたが、性能が低いモデルは人間に負ける場合もありました。

Q. AIの創造性は今後さらに向上しますか?

技術的には向上する可能性が高いです。

しかし研究者は、「真の創造性」(既存のパターンを破る力)は、データ学習だけでは達成が難しいと指摘しています。

AIの創造性がどこまで伸びるかは、AI研究の大きな未解決問題です。

Q. この結果は「AIはアーティストを置き換える」ことを意味しますか?

いいえ。

研究結果はむしろ逆のことを示唆しています。

最も創造的な人間はAIを大きく上回っており、「突出した創造性」は人間だけの強みです。

ただし、「平均的な創造作業」の自動化は進む可能性があります。

まとめ

この記事のポイントを振り返りましょう。

  • 10万人 vs AIの史上最大規模の創造性テストが実施された
  • GPT-4は人間の平均を超える創造性スコアを記録
  • しかし上位10%の人間にはまったく及ばなかった
  • AI研究のパイオニアYoshua Bengio氏らの国際チームによる論文
  • AIの創造性は「パターンの組み合わせ」、人間の創造性は「パターンを破る力
  • クリエイターは「AIにはできない突出した創造性」を磨くことが重要

「AIは創造性で人間を超えたのか?」答えは「平均は超えたが、天才には遠く及ばない」。

AIが得意な仕事はAIに任せ、人間は自分だけの創造性を磨く。

そんなAI時代の生き方のヒントが、この研究には詰まっています。

参考文献

  • ScienceDaily. (2026, 1月 25日). Researchers tested AI against 100,000 humans on creativity. ScienceDaily
  • EurekAlert!. (2026, 1月). Creative talent: has AI knocked humans out?. EurekAlert!
  • BrainFacts. (2025, 8月). Can AI Truly Match Human Creativity?. BrainFacts
  • Nature. (2023). Best humans still outperform artificial intelligence in a creative divergent thinking task. Scientific Reports. Nature
  • Open Access Government. (2026). Has AI creativity surpassed humans?. Open Access Government