Claude互角で1/30|小米MiMo-V2.5が99%値下げ

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • Xiaomi(シャオミ)が2026年5月27日、生成AIモデル「MiMo-V2.5」のAPI料金を最大99%引き下げ
  • 出力料金は100万トークンあたり約44円〜139円。Claude Opus 4.6比で約1/30の水準
  • 性能はSWE-Bench Pro 57.2点でClaude Opus 4.6に0.5点差。動画理解はGemini 3 Pro並み
  • 1兆パラメータMoE構造で100万トークンの長文も処理可能、OpenRouter経由で日本からも利用OK
  • DeepSeek V4と価格を完全に揃え、米国系大手AIの収益モデルに直撃する構図に

「最新の生成AIは使ってみたいけど、API料金が高くて本番投入できない」と感じたことはありませんか?その悩みを根本から覆す発表が、中国の家電大手Xiaomi(シャオミ)から飛び出しました。フラッグシップAI「MiMo-V2.5」シリーズの料金を、なんと最大99%も恒久的に引き下げたのです。

Xiaomi、MiMo-V2.5の料金を最大99%値下げ

2026年5月27日0時(北京時間)、Xiaomiは公式プラットフォーム「MiMo Open Platform」で、生成AIモデル「MiMo-V2.5」と上位版「MiMo-V2.5-Pro」のAPI料金を恒久的に引き下げたと発表しました。

この値下げの特徴は3つあります。

1つ目は「キャッシュヒット」入力が最大99%安くなる点です。同じ文章を繰り返し使う処理では、料金がほぼ無料に近くなります。

2つ目はコンテキスト長による料金差をなくした点。これまで「長文を入れると追加料金」だった仕組みが撤廃され、100万トークンまで一律価格になりました。

3つ目はDeepSeek V4と完全に同額に揃えた点です。これは偶然ではなく、中国AI業界が一斉に同一料金帯に集まる「価格カルテル」のような状況が生まれていることを意味します。

新料金の中身を100万トークン単位で確認

気になる具体的な料金を整理します。1ドル160円換算の概算です。

標準モデル「MiMo-V2.5」

軽量・高速な汎用モデルです。

  • 入力(キャッシュヒット):0.0028ドル(約0.45円)
  • 入力(キャッシュミス):0.14ドル(約22.4円)
  • 出力:0.28ドル(約44.8円)

つまり1冊の文庫本(10万字程度)を読ませて要約させても、出力料金は5円未満で済みます。

フラッグシップ「MiMo-V2.5-Pro」

1.02兆パラメータの巨大MoE(複数の専門家AIを組み合わせる方式)モデルです。

  • 入力(キャッシュヒット):0.0036ドル(約0.58円)
  • 入力(キャッシュミス):0.435ドル(約69.6円)
  • 出力:0.87ドル(約139円)

従来は入力1ドル・出力3ドルだったため、出力は約71%安、入力は約57%安になった計算です。

さらにXiaomiは、新規開発者向けに30日間で100兆トークン分のクレジットを無料配布するキャンペーンも展開しています。中小規模のサービスなら、最初の1か月はほぼ無料で本番運用できる規模感です。

性能は本当にClaude互角なのか

「安いけど性能はどうなの?」という疑問は当然出てきます。公開されているベンチマーク結果を見ると、想像以上に肉薄しています。

コーディング能力を測るSWE-Bench Proでは、MiMo-V2.5-Proが57.2点を記録。Claude Opus 4.6(57.7点付近)やGPT-5.4と0.5点差以内に並びました。

動画理解のVideo-MMEでは87.7点で、Gemini 3 Pro(88.4点)とほぼ互角。マルチモーダル(画像・動画・音声を扱える性能)でも先進モデルに食い込んでいます。

エージェント能力を測るClaw-EvalではPass^3で64%。これは「複雑なタスクを3回連続で正しく実行できる確率」を示す指標で、業務自動化に向く実用レベルです。

ある中小企業のサポート部門を考えてみましょう。問い合わせメールを読み、社内マニュアルを参照し、返信文を起草する一連の作業。これをMiMo-V2.5に任せた場合、1件あたりの処理コストは数円以下に収まります。月1万件処理しても数万円という現実的な数字です。

DeepSeek・Claude・Geminiとの比較

主要モデルの出力料金を100万トークン単位で並べると、勢力図がはっきり見えてきます。

  • MiMo-V2.5-Pro:0.87ドル(約139円)
  • DeepSeek V4-Pro:0.87ドル(約139円) — 完全同額
  • Gemini 3.5 Flash:MiMoの約3倍
  • Claude Opus 4.6:MiMoの約20〜30倍
  • GPT-5系:MiMoの約15〜25倍

性能差が縮小しているのに、価格差が10倍以上開いている。これが2026年春時点での構図です。

特に100万トークンの長文処理を扱える1Mコンテキスト対応モデルでは、MiMo-V2.5は圧倒的に安い選択肢になります。Gemini 3.5 Flashも1M対応ですが、入力で1.5倍・出力で3倍の価格差があります。

ちなみにライバルのDeepSeekは、Xiaomiと同日に同じ価格に揃えました。「中国AI連合」が結託したわけではなく、構造的なコスト低下と競争圧力の結果と見られています。

日本市場への影響と使い始め方

日本のエンジニアや企業にとって、MiMo-V2.5は無視できない選択肢になりました。

使い方は2通りあります。

1つ目はOpenRouter経由。複数のAIモデルを統一APIで扱えるサービスで、日本からも問題なくMiMo-V2.5シリーズを呼び出せます。既存のOpenAI互換コードをほぼそのまま流用できるため、移行コストが小さいのが利点です。

2つ目は公式プラットフォーム「platform.xiaomimimo.com」から直接APIキーを取得する方法。100兆トークン無料キャンペーンを最大活用したい場合はこちらが有利ですが、UIは現状英語と中国語が中心です。

日本語性能についても、ベンチマーク上はClaude Sonnet 4.6と同等とされています。ビジネスメールの起草、議事録の要約、社内FAQ応答など、日常業務の多くは十分に賄えるレベルです。

ただし注意点が1つ。中国系AIのため、機微情報・個人情報を扱う場合はデータの送信先と保管ポリシーを必ず確認してください。金融・医療・公共系の本番運用には、社内のセキュリティガイドラインに沿った審査が必須です。

なぜ今、99%値下げが可能なのか

「赤字覚悟のダンピングでは?」と疑う人もいるでしょう。実は背景には3つの構造変化があります。

1つ目はGPUコストの急落。Huaweiの昇騰910C、寒武紀のMLU590など中国国産AIアクセラレータが量産フェーズに入り、推論コストが米国系GPUの半額以下になっています。

2つ目はMoE構造の効率化。MiMo-V2.5-Proは1.02兆パラメータを持ちながら、推論時には420億パラメータしかアクティブ化しない仕組み。実質的に小さなモデルとして動くため、計算コストが大幅に下がります。

3つ目は「AIエージェント時代」を見据えた先行投資。AIが自律的に何百回もAPIを呼び出すエージェント用途では、1呼び出しのコストが命運を分けます。安いプラットフォームに開発者を囲い込めれば、将来の市場シェアを握れる、というのがXiaomiの読みです。

米国のOpenAIやAnthropicは、逆に上位モデルを高額化する戦略を取っています。中国勢の「フロンティア性能を安く広く」と、米国勢の「最高性能をプレミアム価格で」という戦略の二極化が、2026年のAI業界の特徴になりつつあります。

よくある質問(FAQ)

Q1. MiMo-V2.5は本当にClaudeやGPTの代わりになりますか?

コーディング・要約・翻訳・エージェント用途では十分に代替可能なレベルです。ただし最先端の推論や日本語の細かいニュアンス処理では、まだClaudeやGPTに優位性が残るケースもあります。用途ごとに比較検証することをおすすめします。

Q2. 商用利用や個人情報の扱いは大丈夫ですか?

商用利用自体は可能ですが、データが中国国内のサーバーに送信される可能性があります。個人情報や機密情報を扱う場合は、利用規約とデータ取扱方針を必ず確認し、必要ならOpenRouter経由で経路を制御する選択肢を検討してください。

Q3. オープンソース版は公開されていますか?

はい。MiMo-V2.5-Proの重みファイルはHugging Faceで公開されており、自社サーバーで動かすこともできます。ただし1兆パラメータ級なのでGPUメモリの要件が厳しく、現実的にはAPIから使うのが一般的です。

Q4. 旧モデル(MiMo-V2系)はどうなりますか?

2026年6月1日からMiMo-V2-Pro/Omniなどの旧モデルは、自動的にV2.5系へルーティングされる予定です。料金もV2.5価格が適用されるため、既存ユーザーは何もしなくても恩恵を受けられます。

まとめ

本記事の要点を振り返ります。

  • Xiaomiが2026年5月27日、MiMo-V2.5シリーズを最大99%値下げし、DeepSeek V4と同額に
  • 出力料金は100万トークンあたり約44円〜139円。Claude比で約1/20〜1/30
  • 性能はSWE-Bench Pro 57.2点、Video-MME 87.7点と先進モデルにほぼ並ぶ
  • 日本からもOpenRouter経由で利用可能、無料100兆トークン枠で試しやすい
  • 米国系は高額路線、中国系は安価路線という二極化が鮮明に

まずはOpenRouterのアカウントを作り、自社の典型タスクでMiMo-V2.5とClaude/GPTを並走比較してみるのが、最もリスクの少ない第一歩です。

参考文献

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