SpaceX AI端末報道の真偽|マスク氏「完全に誤り」で株価乱高下

SpaceXがAI端末プロトタイプを披露したとWSJが報道、イーロン・マスク氏が即座に否定、Qualcomm株が乱高下

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

taolis.net X note Voicy YouTube

この記事でわかること

  • SpaceXが謎のAI端末を投資家に披露したとWSJが報じた内容
  • イーロン・マスク氏が即座に否定し、市場がどう反応したか
  • AI端末市場が直面している厳しい現実
  • SpaceXとxAI合併の背景と今後の可能性

WSJが報じた「謎のAI端末」の正体

2026年7月1日、アメリカの有力経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が驚きのニュースを報じました。

SpaceX(スペース・エックス、宇宙開発企業)が、投資家に対して「スマートフォンのようなAI端末の試作機」を披露したというのです。

報道によると、このデバイスには以下のような特徴があるとされていました。

  • iPhoneより薄い洗練されたデザイン
  • 独自のOS(オペレーティングシステム、スマホを動かす基本ソフト)を搭載
  • Qualcomm(クアルコム)のSnapdragonチップを使用
  • xAI(エックスエーアイ)のGrok(グロック、マスク氏が作ったAI)を統合

つまり、ChatGPTやGeminiのような会話型AIが、専用のハードウェアに組み込まれた端末です。

WSJの取材源は「プロジェクトは初期段階で、実際に製品化されるかは不明」とも伝えていました。

しかし、この報道が出た直後、思わぬ展開が待っていました。

マスク氏の即座の否定と市場の動揺

報道から数時間後、イーロン・マスク氏は自身のSNS「X」(旧Twitter)に投稿しました。

その内容はたった2語。「Utterly false」(完全に誤り)。

詳しい説明は一切なく、ただ報道を全面的に否定したのです。

この否定は、株式市場に即座に影響を与えました。

報道直後、Qualcommの株価は2%上昇しました。

SpaceXの端末にチップを供給できれば、大きなビジネスチャンスになるからです。

しかし、マスク氏の否定後、Qualcomm株は一転して5%下落

わずか数時間で7%もの値動きが発生したのです。

また、SpaceXの株価も7%下落しました。

投資家たちは、新しい収益源への期待と、その否定による失望で右往左往したのです。

実は、マスク氏がAI端末の噂を否定するのは、これが初めてではありません。

2026年2月にも同様の報道があり、そのときも「SpaceXは電話を開発していない」と明言していました。

それなのに、なぜ再び同じような報道が出たのでしょうか。

AI端末市場の厳しい現実

この噂が繰り返される背景には、AI専用端末への根強い期待があります。

しかし、現実は非常に厳しいのです。

2025年から2026年にかけて、AI端末市場では相次ぐ失敗が起きました。

Humane AI Pin(ヒューメイン・エーアイ・ピン)は、胸に付けるAI端末として注目を集めました。

2億3000万ドル(約320億円)を調達しましたが、販売台数は1万台未満。

2025年2月にHP(ヒューレット・パッカード)に1億1600万ドルで売却され、製品はすぐに販売終了となりました。

Rabbit R1(ラビット・アールワン)は、199ドルのポケットサイズAI端末です。

10万台を販売しましたが、大量の返品が発生。

現在は給与の支払いにも苦労していると報じられています。

これらの失敗に共通するのは、「AIは専用端末でなくても使える」という現実です。

多くの人は、すでに持っているスマートフォンでChatGPTやGeminiを使えます。

わざわざ新しい端末を買う理由が、見つからなかったのです。

つまり、AI端末は「技術的には面白いが、実際には誰も必要としていない」製品だったのです。

SpaceXとxAIの合併が背景に

今回の噂が広がった背景には、SpaceXの大きな動きがありました。

2026年6月12日、SpaceXは史上最大規模のIPO(新規株式公開、企業が株式市場に上場すること)を実施しました。

その規模は、企業価値2兆ドル(約320兆円)、調達額750億ドル(約10兆円)。

過去最大だったサウジアラムコのIPO(290億ドル)を大きく上回りました。

さらに注目すべきは、2026年2月にSpaceXとxAIが合併していたことです。

xAIは、マスク氏が作ったAI企業で、会話型AI「Grok」を開発しています。

つまり、SpaceXは現在、ロケット打ち上げ、衛星通信(Starlink)、そしてAI技術を持つ巨大企業なのです。

この3つの技術を組み合わせれば、理論上は「どこでも使える衛星通信内蔵のAI端末」を作ることも可能です。

実際、2026年2月にロイター通信は「SpaceXがStarlink接続デバイスを開発中」と報じていました。

ただし、SpaceXもQualcommも、これらの報道にコメントを出していません。

本当に存在しないのか?専門家の見解

マスク氏の否定は明確ですが、専門家の間では「完全には信じられない」という声もあります。

その理由は、マスク氏の過去の発言にあります。

マスク氏は過去に「エブリシングアプリ」構想を語っていました。

これは、中国のWeChat(ウィーチャット)のように、1つのアプリで決済、SNS、ニュース、配車など何でもできるサービスです。

もしSpaceXがAI端末を作るなら、この構想の一部になる可能性があります。

また、「試作機を見せた」という報道を「utterly false」と否定することは、技術的には正確かもしれません。

たとえば、「見せたのは試作機ではなく、コンセプトデザインだった」という可能性もあります。

一部のテック系メディアは「マスク氏の否定は、製品化の予定がないという意味であって、社内で研究していないという意味ではない」と分析しています。

つまり、「今は作らないが、将来は分からない」ということかもしれません。

まとめ

  • WSJはSpaceXがiPhoneより薄いAI端末を投資家に披露したと報道
  • マスク氏は「完全に誤り」と即座に否定し、市場は混乱
  • Qualcomm株は報道で2%上昇後、否定で5%下落する乱高下
  • AI端末市場はHumane AI PinやRabbit R1の失敗で厳しい状況
  • SpaceXは2026年6月に史上最大2兆ドル規模のIPOを実施
  • 2026年2月のxAI合併で、SpaceXは宇宙・通信・AIを統合
  • 専門家は「将来的な可能性は否定できない」と分析

今回の騒動は、AI端末への期待と現実のギャップを浮き彫りにしました。

マスク氏の否定が本当なら、AI端末市場の厳しさを示す一例です。

もし何らかの形で開発が進んでいるなら、それは既存のAI端末とは違う、全く新しいアプローチになるでしょう。

いずれにせよ、SpaceX、xAI、Starlinkという3つの技術を持つマスク氏の次の一手から、目が離せません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です