AIは「使う」から「作る」時代へ
「AI(人工知能)って、なんだか難しそう…」 「一部の専門家が使う特別なものでしょ?」
ほんの少し前まで、多くの人がそう考えていたかもしれません。しかし、2025年12月17日、日本の大手企業であるソフトバンクが、そんな常識を根底から覆すような、驚くべきニュースを発表しました。なんと、同社の社員が、わずか10週間という短期間で、250万個以上ものAIエージェントを作成したというのです。
「AIエージェント」とは、特定の目的のために作られた、あなた専用の小さなAIアシスタントのようなもの。このニュースは、AIが一部の専門家のものではなく、私たち一人ひとりが「作り手」となり、仕事や生活を豊かにしていく未来が、もうすぐそこまで来ていることを示しています。この記事では、この衝撃的なニュースの背景と、それが私たちの社会にどのような変化をもたらすのかを、分かりやすく解説していきます。
250万個のAIは、どうやって生まれたのか?
今回のソフトバンクの取り組みは、まさに「前代未聞」のスケールです。一体、どのようにして、これほど多くのAIエージェントが生まれたのでしょうか。その秘密は、ソフトバンクが実施した、ユニークな社内プログラムにありました。
全社員が「AIクリエイター」に!一人100個のAI作り
ソフトバンクは2025年の夏、全社員を対象に、生成AIツールへのアクセスを開放しました。そして、驚くべきことに、社員一人ひとりに「夏休みの間に100個のAIエージェントを作る」という目標を掲げたのです。これは、技術的なスキルを問うものではなく、「とにかくAIに触れて、試してみて、慣れ親しんでもらう」ことを目的とした、壮大な実験でした。
最初は戸惑いの声もあったそうですが、会社全体でeラーニングやセミナーなどの学習機会を提供し、部署ごとにサポート体制を整えることで、徐々に「お祭りのような雰囲気」が生まれていったと言います。社員たちは、自分が作った便利なAIエージェントを社内SNSで共有し、それがまた新たなアイデアを生む…という創造の連鎖が巻き起こったのです。
その結果、プログラム開始からわずか2ヶ月半で、目標をはるかに超える250万個以上のAIエージェントが誕生しました。これは、日本国内で行われた社内AI活用プロジェクトとしては、過去最大級の規模となります。
90%が「やってよかった!」と回答。AIへの意識が変わった
この取り組みの最も大きな成果は、単にAIエージェントの数が集まったことではありません。社員の「意識」が劇的に変化したことです。
プログラム終了後のアンケートでは、参加した社員の90%が「この取り組みを肯定的に評価している」と回答しました。さらに、約90%が「生成AIへの理解が深まった」、約80%が「今後の仕事でAIをどう活用すれば良いか、具体的にイメージできるようになった」と答えています。
「AIが会社全体に浸透した感じがする」「もうすでに毎日の仕事でAIを使っている」といった声が多数寄せられ、AIが「遠い未来の技術」から「今すぐ使える便利な道具」へと、社員一人ひとりの意識の中で変化したことが分かります。この意識改革こそが、250万個という数字以上に価値のある、最大の成果と言えるでしょう。
まとめ:日本の「働き方」が変わる第一歩
ソフトバンクのこの挑戦は、私たちに何を教えてくれるのでしょうか。それは、AI時代における企業の成長、そして個人の働き方のヒントです。
これからの社会では、AIを「使う」だけでなく、自分の仕事や目的に合わせて「作り変える(カスタマイズする)」能力が、ますます重要になっていきます。ソフトバンクは、全社員でAI作りに挑戦するという大胆な方法で、そのための土壌を会社全体に育んだのです。
このニュースは、ソフトバンク一社の話にとどまりません。営業資料の作成、議事録の要約、新しい企画のアイデア出し、プログラミングの補助…。AIが私たちの仕事を助けてくれる場面は、数え切れないほどあります。日本中の企業が、そして私たち一人ひとりが、AIを「自分ごと」として捉え、積極的に活用し始める時、日本の社会全体の生産性は飛躍的に向上するはずです。
AIは、私たちの仕事を奪う怖い存在ではありません。私たちの創造性を解き放ち、面倒な作業から解放してくれる、頼もしいパートナーです。ソフトバンクの250万個のAIエージェントは、そんな新しい時代の幕開けを告げる、希望の狼煙(のろし)なのかもしれません。
参考文献
•SoftBank. (2025, December 17). Inside SoftBank Corp.’s Massive AI Project: 2.5 Million Agents Created Company-Wide. https://www.softbank.jp/en/sbnews/entry/20251217_01

