- AnthropicやBlackstoneなどが、AI導入を専門にする新会社「Ode with Anthropic」を約2250億円(15億ドル)で設立しました
- Odeはエンジニアを企業の中に送り込み、その会社の仕事のやり方そのものをAIで作り直します
- 「AIを作る」より「AIをうまく使う」ほうが、次の大きなビジネスになるという読みが背景にあります
- OpenAIも似た会社「OpenAI Deployment Company」を約6000億円規模で立ち上げ、争いが始まっています
- 日本でもアクセンチュアがAnthropicと組み、Claudeを使った企業変革支援を本格化しています
「AIを導入したのに、思ったほど成果が出ない」。そんな悩みを持つ会社は、実はとても多いです。
その悩みこそが、いま世界で最大級のビジネスチャンスだと考える人たちがいます。2026年7月、AI大手のAnthropicと巨大投資会社が手を組み、約2250億円をかけて新会社を立ち上げました。この記事を読むと、AI業界の「主役」がなぜ変わりつつあるのかがわかります。
Ode with Anthropicとは?何が起きたのか
2026年7月15日、大きな発表がありました。
AIを開発するAnthropic(ClaudeというチャットAIを作る会社)が、投資会社のBlackstone、Hellman&Friedmanなどと組みました。そして新しい会社「Ode with Anthropic(オード・ウィズ・アンソロピック)」を作ったのです。
集めたお金は、なんと約2250億円(15億ドル)です。
この会社は、AIそのものを作る会社ではありません。企業がAIを「うまく使えるようにする」ことだけを専門にする会社です。
どんな会社が、いくら出したの?
お金の出し方も注目されています。
AnthropicとBlackstone、Hellman&Friedmanが、それぞれ約450億円(3億ドル)ずつ出しました。さらにGoldman Sachsが約225億円を追加しています。
Odeは、すでにあった「Fractional AI」という会社を買い取ってスタートしました。腕利きのエンジニアを約100人かかえ、社長にはChris Taylor氏が就いています。
「作るより使う」に商機がある理由
なぜ、AIを「作る」のではなく「使わせる」ことにお金が集まるのでしょうか。
理由はシンプルです。多くの会社が、高性能なAIを前にして「で、うちの仕事にどう使えばいいの?」と立ち止まっているからです。
調査会社によると、2026年の時点で72%の企業が何らかのAIを実務で動かしていると言われています。2024年の55%から大きく増えました。
それでも、道具をそろえただけで使いこなせているとは限りません。ここに大きな空白があります。
Odeの社長はこう語っています。「AI以外の普通の会社が、この技術をきちんと取り入れれば、AI時代の大きな勝者になれる」。
世界のAI関連支出は2026年に約2.59兆ドル(前年より47%増)にのぼると予測されています。この巨大なお金の流れを、モデル開発ではなく「導入支援」で取りにいく戦略なのです。
エンジニアを会社に「送り込む」新しいやり方
Odeのやり方は、これまでのITサービスとは少し違います。
キーワードは「フォワードデプロイドエンジニア(前線に配置される技術者)」です。難しそうな言葉ですが、意味はやさしいです。
エンジニアが客先の会社の中に入り込み、机を並べて一緒に働くのです。そして、その会社の仕事のやり方そのものをAIで作り直していきます。
ある製造業の会社を想像してみてください。請求書の処理に毎月何百時間もかかっているとします。
Odeのエンジニアは、まずその現場に張り付きます。どこで時間がかかっているかを見つけ、Claudeを使った仕組みを組み込み、作業を自動で回るようにしていきます。
できあがった仕組みは、その会社にずっと残ります。一度きりの助言ではなく、動き続ける「システム」を置いていくのが特徴です。
競合・比較|OpenAIや大手コンサルとの違い
このビジネスに目をつけたのは、Anthropicだけではありません。
ライバルはOpenAI
ライバルのOpenAIも、2026年5月に「OpenAI Deployment Company」を立ち上げました。
こちらは初期資金が約6000億円(40億ドル超)と、Odeよりさらに大きな規模です。TPGを中心に19社が出資しています。
OpenAIも「Tomoro」という会社を買い、約150人のエンジニアを確保しました。やることはOdeとよく似ています。
アクセンチュアなど大手コンサルとの違い
「それって、アクセンチュアのような大手コンサル会社と同じでは?」と思うかもしれません。
実際、Odeが狙う相手は、まさにアクセンチュアやデロイト、マッキンゼーといった大手です。同じ企業の担当者に、同じ予算を巡って営業をかけます。
違いは「AIに特化している」点と「AIを作る会社が直接手がける」点です。AIの一番くわしい人たちが自ら現場に入るため、深い作り込みが期待されています。
AI導入を支援するコンサル市場は、2026年の約119億ドルから2034年には約739億ドルへ育つと予測されています。取り合いが激しくなるのは当然と言えます。
日本市場への影響
この動きは、遠い海外の話ではありません。
日本でも、大手コンサルのアクセンチュアがAnthropicと組み、2026年5月から「アクセンチュア Anthropic ビジネスグループ」を本格始動させました。
両社は約3万人のアクセンチュア社員にClaudeの研修を行い、世界最大級のClaude専門チームを作っています。
支援の中身は、金融・医療・公共など、ルールが厳しい業界向けが中心です。日本ならではのIT環境に合わせてAIを実際に動かせるようにする、という内容です。
日本企業の多くは「Claudeを試してみた」段階から、なかなか次に進めていません。こうした専門チームは、その壁を越える助けになりそうです。
一方で気になる点もあります。AI導入を外の会社に丸ごと任せると、自社にノウハウが残りにくくなる心配です。どこまで任せ、どこを自分たちで持つか。その見極めが、日本企業にとって大切になります。
よくある質問(FAQ)
Q. Ode with Anthropicは、AIそのものを作る会社ですか?
いいえ、違います。AIを作るのはAnthropicで、OdeはそのAIを企業に「導入して使えるようにする」ことを専門にする会社です。主にClaudeを使い、必要に応じて他社のAIも使います。
Q. 「作るより使う」とは、どういう意味ですか?
高性能なAIはもう十分にあるので、次に価値が生まれるのは「そのAIを現場でうまく使いこなす手伝い」だ、という考え方です。この分野が次の巨大ビジネスになると見られています。
Q. 日本の会社でも、こうした支援は受けられますか?
はい。日本ではアクセンチュアがAnthropicと組み、Claudeを使った企業変革の支援を本格化しています。金融や医療など、規制の厳しい業界向けの支援も進んでいます。
Q. OpenAIの会社とは何が違うのですか?
やっていることはよく似ています。どちらもエンジニアを企業に送り込み、AIで仕事を作り直します。規模はOpenAI側(約6000億円)のほうが大きいですが、Odeは「Claude中心」という色があります。
まとめ
今回のポイントを振り返ります。
- AnthropicらがAI導入専門の新会社「Ode with Anthropic」を約2250億円で設立しました
- エンジニアを企業に送り込み、仕事のやり方ごとAIで作り直すのが特徴です
- 「AIを作る」より「AIを使う」ほうが次の大きな商機だという読みが背景にあります
- OpenAIも約6000億円規模の似た会社を立ち上げ、大手コンサルとの争いも始まっています
- 日本ではアクセンチュアがAnthropicと組み、Claudeでの企業変革支援を進めています
AI競争の主役は「どのAIが賢いか」から「どの会社がうまく使わせるか」へ移りつつあります。自社のどの業務からAIを使い始めるか、いちど整理してみてはいかがでしょうか。
参考文献
- TechCrunch「Anthropic, Blackstone bet the next trillion-dollar AI business is implementation, not just models」
- Business Wire「Anthropic, Blackstone, and Hellman & Friedman Introduce Ode with Anthropic」
- AIwire「OpenAI Launches Deployment Company to Scale Enterprise AI Adoption」
- アクセンチュア「AnthropicとのAIを中核に据えた企業変革の加速に向けた日本での協業体制強化」
- Fortune Business Insights「AI Consulting Services Market Size, Share | Growth 2026-2034」

