MicrosoftがOpenAI脱却へ|独自AI 7種発表

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • Microsoftが2026年6月2日、自社開発のAI「MAIモデル」を7種類まとめて発表しました
  • 目玉のコード生成AI「MAI-Code-1-Flash」は、わずか50億パラメータでClaude Haiku 4.5を上回りました
  • すべて他社のAIを真似せず、ゼロから訓練。OpenAIへの依存を減らす狙いがあります
  • GitHub Copilotを通じて、すでに一般ユーザーも使えるようになりつつあります
  • 一方で「クリーンなデータで学習した」という主張には、疑問の声も上がっています

「MicrosoftのAIって、結局はChatGPTでしょ?」と思っていませんか。

その常識が、いま大きく変わろうとしています。Microsoftが、OpenAIの力を借りない自前のAIを一気に7つも公開したのです。しかも、その実力は侮れません。この記事を読めば、何が発表され、なぜそれが業界を揺るがすのかがわかります。

Microsoftが「自前のAI」7種類を一挙公開

2026年6月2日、アメリカ・サンフランシスコで開かれた開発者向けイベント「Build 2026」。

ここでMicrosoftは、自社で開発した新しいAI「MAIモデル」を7種類も発表しました。MAIとは「Microsoft AI」の頭文字です。

指揮をとったのは、Microsoft AI部門のトップ、ムスタファ・スレイマン氏。AIの世界では有名な人物です。

発表されたモデルは、用途ごとに分かれています。おもなものを見てみましょう。

  • MAI-Thinking-1:じっくり考えて答えを出す「推論」が得意なAI
  • MAI-Code-1-Flash:プログラムのコードを書くのが得意なAI
  • MAI-Voice-2:文章を自然な音声に変えるAI(日本語にも対応)
  • MAI-Image-2.5:文章から画像を作るAI
  • MAI-Transcribe-1.5:音声を文字に起こすAI

共通点は、どれも他社のAIに頼らず、一から作られたこと。これが今回いちばんのポイントです。

注目の「MAI-Code-1-Flash」って何がすごい?

7つのなかでも、特に話題になったのがコード生成AIの「MAI-Code-1-Flash」です。

このAIの大きさ(パラメータ数)は、たったの50億(5B)。AIの世界では、かなり小さい部類に入ります。

パラメータとは、AIの「脳みその大きさ」のようなもの。ふつうは大きいほど賢いとされます。

ところが、この小さなAIが大きな成果を出しました。プログラミングの実力テスト「SWE-Bench Pro」で、Anthropic社の「Claude Haiku 4.5」を上回ったのです。

スコアは51.2%対35.2%。差は16ポイントもありました。

さらにうれしいのが効率の良さです。同じ問題を解くのに、最大60%も少ない「トークン」で済むといいます。トークンとは、AIが処理する文章のかたまりのこと。これが少ないほど、使うお金も安くなります。

つまり「小さくて、賢くて、安い」。三拍子そろったAIというわけです。

なぜOpenAIから距離を置くの?

ここで疑問がわきます。MicrosoftはOpenAIに巨額を出資する、いわば「親友」のような関係です。

なぜ、わざわざ自前のAIを作るのでしょうか。

理由は大きく3つあります。1つ目はコストです。OpenAIのAIを使い続けると、料金もOpenAIの言い値に左右されてしまいます。

2つ目は自由度。自社のAIなら、自社のサービスに合わせて細かく作り変えられます。

3つ目は関係の変化です。近年、OpenAIはMicrosoftと競合するような事業にも進出しています。1社だけに頼るのは、リスクが高まっているのです。

自前のAIを持てば、これら3つを自分でコントロールできます。今回の発表は、その「独り立ち」への大きな一歩といえます。

他社AIとどう違う?比較で整理

いまGitHub Copilot(プログラマー向けのAI支援サービス)では、いろいろな会社のAIを選んで使えます。

たとえばOpenAIのGPT、AnthropicのClaude、GoogleのGeminiなどが並んでいます。そこに、Microsoftの「MAI-Code-1-Flash」が新しく加わった形です。

他社モデルとの違いを整理してみましょう。

  • サイズ:MAIは50億と小型。大型モデルより動作が軽く、コストも抑えやすい
  • 出どころ:他社AIの出力を真似る「蒸留」を一切していないと主張
  • 使い道:GitHub Copilotの実際の作業データで鍛えられ、コード編集に強い

大きくて何でもこなす万能型ではありません。むしろ「特定の仕事に特化した小回りのきく専門家」を目指したモデルといえます。

「クリーンなデータ」をめぐる論争も

今回の発表で、Microsoftはもう1つ強調した点があります。それは「きちんと許可を得たデータだけで学習した」という主張です。

AIの学習データには、著作権の問題がつきまといます。許可なくネット上の文章を使うと、後で訴えられるリスクがあるのです。

Microsoftは「うちのAIは出どころがはっきりしている」とアピールしました。企業が安心して使えるように、データの履歴台帳まで用意するといいます。

ところが、ここに疑問の声が上がりました。一部の報道によると、推論AI「MAI-Thinking-1」は、許可のはっきりしない「Common Crawl」というネット収集データを使っていた疑いがあるのです。

もし本当なら、「クリーンなデータ」という説明と食い違ってしまいます。この点については、今後の説明が注目されます。

日本のユーザーにはどう関係する?

「アメリカの話でしょ」と感じるかもしれません。でも、日本にも関係があります。

まず、GitHub Copilotは日本のエンジニアにも広く使われています。MAI-Code-1-FlashはGitHub Copilotのプランで順次使えるようになるため、日本の開発現場にも届きます。

ある日本のWeb制作会社を想像してみてください。これまで高機能なAIを使い、毎月の利用料に頭を悩ませていたとします。

そこに「安くて軽いコード生成AI」が加われば、コストをぐっと下げられるかもしれません。

音声AI「MAI-Voice-2」は日本語にも対応しています。ナレーション作成や読み上げサービスなど、日本語コンテンツへの活用も期待できます。

さらに大きな視点では、「AIの選択肢が増える」こと自体が日本の利用者に有利です。1社が値上げしても、別の安いAIに乗り換えやすくなるからです。

よくある質問(FAQ)

Q1. MAIモデルは無料で使えますか?

MAI-Code-1-Flashは、GitHub Copilotのモデル選択画面から利用できる形で展開が進んでいます。利用には基本的にCopilotの契約が必要です。料金はプランによって異なります。

Q2. MicrosoftはOpenAIと縁を切るのですか?

いいえ、関係を断つわけではありません。OpenAIのAIも引き続き使えます。あくまで「自前の選択肢も持つ」という意味あいです。

Q3. パラメータが小さいと性能は低いのでは?

かつてはそう考えられていました。しかしMAI-Code-1-Flashは、特定の作業に絞り込むことで、小型でも高い実力を示しました。サイズだけでは性能を測れない時代になっています。

Q4. 個人でもこのAIを試せますか?

はい。GitHub Copilotの個人向けプランでも、VS Code(プログラミング用のソフト)上のモデル選択から試せるようになっています。

まとめ

今回のポイントを振り返りましょう。

  • Microsoftが2026年6月2日、自社開発のAI「MAIモデル」を7種類発表した
  • コード生成AI「MAI-Code-1-Flash」は50億パラメータでClaude Haiku 4.5を上回った
  • すべて他社AIを真似せず一から訓練し、OpenAIへの依存を減らす狙いがある
  • GitHub Copilotを通じて、日本の開発者にも届く見込み
  • 「クリーンなデータ」という主張には疑問も残り、今後の説明が注目される

まずはGitHub Copilotのモデル選択画面をのぞき、MAIモデルが選べるか確認してみましょう。

参考文献

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