- LINEヤフーが2026年8月28日、AIエージェント「Agent i(エージェント アイ)」の新プロトタイプ8種を報道機関に公開しました
- スクショ整理、予定登録、思い出動画づくり、ペットの健康管理など、どれも生活に密着した機能です
- Agent iは2026年4月20日の開始から4カ月で7領域→27領域に拡大し、1日あたり約1,200万人が利用しています
- 2026年10月には40領域へ拡大し、LINEやYahoo!とは別の「単独アプリ」としてリリース予定です
- 9月1日には約20のワーキンググループを持つ全社横断タスクフォースが動き出し、開発ペースを10倍に引き上げます
スマホのスクリーンショットが何百枚もたまっていて、あとから探せなくなった経験はありませんか。その山を、AIが勝手に仕分けして予定表にまで入れてくれるとしたら。LINEヤフーが公開した8つの新機能は、まさにそういう「面倒くさい」を狙い撃ちにしたものでした。この記事では、8種の中身と、1,200万人が使うAgent iがこれからどこへ向かうのかを整理します。
LINEヤフーが公開した「プロトタイプ8種」とは
そもそもAgent iとは何か
Agent i(エージェント アイ)は、LINEヤフーが2026年4月20日に始めたAIエージェントのブランドです。
AIエージェントとは、質問に答えるだけでなく、代わりに手を動かしてくれるAIのことです。
チャットAIが「レシピを教えてくれる人」だとすれば、AIエージェントは「材料を買ってきて下ごしらえまでする人」に近い存在。ここが従来のチャットボットとの一番の違いです。
Agent iはアプリを新しく入れる必要がありません。LINEやYahoo! JAPANの中から、ワンタップで呼び出せます。「i」にはInformation(情報)とInsight(洞察)、そして「もう一人の自分」という意味が込められているそうです。
8種類のプロトタイプ一覧
2026年8月28日の説明会で公開されたのは、次の8つです。
- カレンダー:画像の中の日程を解析して予定を登録する
- スクショ管理:スクリーンショットを自動で分類し、元リンクまで表示する
- トーク/アルバム動画:LINEのトーク履歴や写真から思い出動画をつくる
- ショート動画作成:写真と方針を指定するだけで縦型動画と台本を生成する
- 目覚まし:その日の予定に合わせて起こす時間を自動調整する
- WEB操作ガイド:画面上で「次に押す場所」を教えてくれる
- 情報自動追跡:気になる話題の続報をAIが追いかけて時系列に並べる
- ペットライフ:ペットの健康記録とおでかけ情報をまとめる
いずれもプロトタイプ(試作段階)で、2026年度中に順次提供される予定です。
注目したい機能を具体的に見てみる
スクショ管理とカレンダー
この2つは、ほぼセットで効いてきます。
友だちから送られてきたイベントのチラシ画像を思い浮かべてください。日付、会場、開演時間が画像の中に書かれています。今までは自分で読んで、カレンダーアプリを開いて、手で打ち込んでいました。
スクショ管理は、その画像をAIが解析して自動で仕分けします。Web由来の画像なら元のリンクも一緒に残してくれます。
さらにカレンダー機能が、画像から読み取った日程を予定として提案。旅行の予定なら、前後に必要な準備タスクまで展開してくれます。
商品の写真を撮っておいた場合は、Yahoo!ショッピングへのリンクが生成される仕組みも披露されました。
思い出を動画にする2つの機能
子どもの運動会の写真が100枚たまっているのに、結局そのまま、という家庭は多いはずです。
トーク/アルバム動画は、LINEのトーク履歴や写真をAIが分析し、テロップとBGM付きの振り返り動画を自動生成します。
ショート動画作成のほうは、SNS投稿向けです。写真や動画を選んで「旅行っぽく」と方針を伝えるだけで、ナレーションの台本まで書いてくれます。
気に入らなければ、言葉で指示してやり直せます。動画編集の知識はいりません。
残る4機能もかなり実用的
目覚ましは、その日の予定と天気を見て起床時刻を調整します。出発の目安時刻や、気温と降水確率に合わせた服装の提案まで出してくれます。
WEB操作ガイドは、画面の上に「次はここを押してください」と示すガイド役。スマホの操作に不慣れな家族に、電話越しで説明した経験がある人なら価値がわかるはずです。
情報自動追跡は、選んだニュースや作品の続報をAIが継続的に追いかけて整理します。説明会では映画の続報を追うデモが行われました。
ペットライフは、健康情報を記録して過去のデータからアドバイスを返します。将来的には住んでいる地域の近所のイベント情報にも対応する予定です。
4カ月で27領域、1日1,200万人が使う規模に
Agent iの伸び方は、かなり急です。
2026年4月20日の開始時点では、領域エージェントは7つだけでした。ショッピング、おでかけ、天気、自動車、人間関係、仕事相談、レシピ。後半4つはベータ版でのスタートです。
それが6月30日には22領域まで拡大。8月の発表時点では累計27領域、1日あたりの利用者数は約1,200万人(2026年6月時点)に達しました。
1,200万人という数字は、日本の人口のおよそ1割にあたります。生成AIサービスとしては、国内でも屈指の規模です。
背景には母数の大きさがあります。LINEの国内月間利用者数は2025年12月末に1億を突破。Yahoo! JAPANも月間5,400万人が使っています。すでに毎日開くアプリの中にAIを差し込めるのは、後発サービスにはない強みです。
10月に単独アプリ化、開発ペースは10倍へ
ロードマップも具体的です。
2026年10月、領域エージェントを累計40に拡大し、同時にAgent iを単独アプリとしてリリースします。LINEやYahoo!の「中の機能」から、独立したサービスへ出ていく形です。
秋以降は「タスク機能」の本格拡充も予告されました。今回のプロトタイプ8種は、その先出しと見るとわかりやすいでしょう。
これを支えるのが体制面の変化です。9月1日、CPOの慎ジュンホ氏をリードとする「Agent i 全社横断タスクフォース」が本格稼働し、約20のワーキンググループが置かれます。
エージェント1つあたりの開発期間は、従来の約3カ月から最短1.5カ月へと半分に短縮済み。会社としては、ここから開発ペースを現在の10倍へ引き上げる方針です。
AI Agent統括SBUをリードする上級執行役員の葭沢光伸氏が説明会に立ち、慎氏はかねて「1億人のユーザーにとって、日常の中で自然に使われるAIを実現したい」と語っています。
ChatGPTやGeminiと何が違うのか
「それ、ChatGPTでもできそう」と思った人もいるかもしれません。違いは3つあります。
1つめは入り口の近さです。ChatGPTやGeminiは、専用アプリを入れてアカウントを作る必要があります。Agent iは、すでに毎日開いているLINEとYahoo! JAPANの中にいます。
2つめは持っているデータです。LINEのトーク履歴、Yahoo!ショッピングの商品情報、Yahoo!ニュース。思い出動画や商品リンクの生成は、この自社データがあって初めて成立します。汎用AIには真似しにくい部分です。
3つめは粒度の細かさです。ChatGPTが「何でも屋」だとすれば、Agent iは領域ごとに小さな専門家を並べる方式。ペット、目覚まし、車選びと分かれているぶん、何を頼めるかが一目でわかります。
一方で弱点もあります。AIそのものの賢さで見れば、最先端モデルを持つOpenAIやGoogleに分があるのは事実です。国内ではソフトバンクなど通信各社もAIエージェント基盤に投資しており、生活領域の競争はこれから激しくなります。
Agent iの勝負どころは、モデルの性能そのものより「すでにそこにある」という接点の強さだと言えそうです。
日本のユーザーと企業への影響
一般ユーザーにとって大きいのは、AIエージェントを「試しに使ってみる」ハードルがほぼゼロになることです。
これまで生成AIは、興味がある人だけが触るものでした。LINEの中で目覚ましや予定登録として自然に出てくるなら、AIだと意識しないまま使う人が一気に増えます。
企業側の影響も見逃せません。
スクショから商品ページへ、AIが直接ユーザーを運ぶようになると、これまでの検索経由の流入とは導線が変わります。AIエージェントに選ばれるための情報設計を考える必要が出てきます。
LINEヤフーは、Agent iで広告や課金、手数料といった収益モデルを展開する方針も示しています。事業者にとっては、新しい広告面が生まれるという見方もできるでしょう。
もう一点、プライバシーへの意識は必要です。トーク履歴やスクリーンショットを解析する機能である以上、どこまでAIに渡すかは、提供開始時に設定を確認しておくのが安心です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 8種のプロトタイプは今すぐ使えますか?
まだ使えません。2026年8月28日に報道機関へ公開された試作段階のもので、2026年度中に順次提供される予定です。
Q2. Agent iを使うのにお金はかかりますか?
現在提供中の領域エージェントは、LINEやYahoo! JAPANの中から無料で呼び出せます。今後の単独アプリでの課金方針については、有料メニューを含む収益モデルを検討する方針が示されています。
Q3. どこから使えますか?
LINEとYahoo! JAPANの検索窓やトーク画面から、ワンタップで呼び出せます。2026年10月には単独アプリもリリース予定です。
Q4. 領域エージェントは今いくつありますか?
2026年8月時点で累計27領域です。4月の開始時は7領域だったので、4カ月で約4倍に増えました。10月には40領域を目指しています。
Q5. ChatGPTの代わりになりますか?
用途によります。長い文章づくりや複雑な相談は汎用AIが得意です。予定登録や動画づくりのような生活の細かい作業は、Agent iのほうが手数が少なく済みます。
まとめ
- LINEヤフーが2026年8月28日、Agent iの新プロトタイプ8種を公開した
- スクショ管理、カレンダー、思い出動画、目覚まし、ペットライフなど生活密着型の機能が並ぶ
- Agent iは4月20日の開始から4カ月で7領域→27領域に拡大、1日約1,200万人が利用
- 10月に40領域へ拡大し、単独アプリとしてリリース予定
- 9月1日に全社横断タスクフォースが稼働し、開発ペースを10倍に加速する
まずは今使っているLINEやYahoo! JAPANの検索窓で、Agent iのアイコンを一度タップしてみてください。10月の単独アプリが来る前に、感触をつかんでおくと違いがよくわかります。


