- 博報堂買物研究所の調査で、生成AIの回答を信頼する人が51.7%に達し、ECサイトのレビュー(48.6%)を上回りました
- 買い物で生成AIを使う「AIショッパー」は全体の24.6%で、すでに約4人に1人が活用しています
- 約6割の人が、最終的に「どれを買うか」の判断まで生成AIに任せたいと答えています
- ChatGPTやGemini、AmazonのAIアシスタントなど、買い物を助けるAIが次々と登場しています
- 口コミやレビューを書く側にとっては、AIに選ばれる商品情報づくりが新しい課題になります
商品を買う前に、口コミやレビューをじっくり読んだことはありませんか。その「最後のひと押し」が、いま大きく変わろうとしています。
博報堂の調査で、生成AIの回答が口コミより信頼されるという結果が出ました。この記事では、その調査の中身と、私たちの買い物がどう変わるのかをやさしく解説します。
博報堂の調査でわかった「衝撃の逆転」
2026年6月2日、博報堂買物研究所が「AIショッパー調査」の結果を発表しました。
調査の対象は、全国の20〜69歳の男女2万人です。実施時期は2026年2月でした。
そのなかで一番のニュースが、情報源への信頼度の「逆転」です。
生成AIの回答を信頼する人は51.7%。いっぽうで、ECサイト(ネット通販)のレビューを信頼する人は48.6%でした。
つまり、AIの答えのほうが、お店の口コミより信頼されたのです。
ここでの「生成AI」とは、ChatGPTのように人間みたいな文章で答えてくれるAIのことです。
信頼度ランキングの全体像
調査では、9つの情報源を「どれくらい信頼するか」で順位づけしています。
- 1位:自分で調べた・体験した情報(71.0%)
- 2位:企業の公式サイト・アプリ(58.7%)
- 3位:価格比較サイト(58.1%)
- 4位:店舗の販売員・スタッフ(57.6%)
- 5位:生成AIの回答(51.7%)
- 6位:ECサイトのレビュー(48.6%)
- 7位:一般人のSNS・動画レビュー(41.5%)
- 8位:ブログ・note個人発信(38.0%)
- 9位:インフルエンサーのレビュー(35.3%)
注目したいのは、生成AIが「人の発信」をすべて上回った点です。
口コミも、SNSも、インフルエンサーも、AIより下になりました。これはとても大きな変化です。
「AIショッパー」って誰のこと?
この調査では、買い物に生成AIを使う人を「AIショッパー」と呼んでいます。
買い物で生成AIを活用している人は、全体の24.6%でした。およそ4人に1人という計算です。
もう一部のマニアだけのものではありません。ふつうの買い物の場面に、AIが入り込んでいます。
若い世代ほどよく使っている
年代別に見ると、若い人ほど利用率が高くなっています。
- 20代:71.3%(最も高い)
- 30代:57.2%(過半数を超える)
20代では、7割を超える人が買い物にAIを使っています。さらに、AIショッパーの41.7%が週1回以上使っているそうです。
つまり「たまに試す」ではなく、生活の習慣になりつつあります。
みんなはAIに何をさせている?
では、買い物でどんなふうにAIを使っているのでしょうか。上位3つはこちらです。
- 専門用語やスペックの意味を、わかりやすく解説してもらう(66.6%)
- 複数の商品の性能や機能を比べてもらう(64.7%)
- 生活の悩みの解決策を見つけてもらう(62.1%)
難しい言葉をかみくだいてもらったり、たくさんの商品を比べてもらったり。AIは「面倒な調べもの」を肩代わりしてくれる相棒になっています。
「どれを買うか」までAIに任せたい人が約6割
さらに驚きの数字があります。買い物のプロセスを、どこまでAIに任せたいかという質問です。
「ほとんど任せたい」「少しは任せたい」と答えた人は、次のとおりでした。
- 欲しい商品の情報収集:89.4%
- 最終的に「どれを買うか」の決断:60.0%
- 「買うのをやめる」という判断:67.7%
情報を集めるだけでなく、最後の決断まで任せたい人が約6割もいます。
「買わない」という判断を任せたい人は、さらに多い67.7%でした。無駄づかいを止めてほしい、という気持ちのあらわれかもしれません。
買い物の時間が減り、満足度は上がる
AIを使うと、買い物そのものも変わります。
買い物にかかる時間が「減った」と感じた人は28.9%。いっぽうで「増えた」は19.2%でした。全体としては、時間の短縮につながっています。
そして、買い物への「納得感が増えた」と答えた人は34.9%です。
時間は減るのに、満足度は上がる。この両立が、AIショッパーが増える理由だと考えられます。
なぜAIは口コミより信頼されるのか
では、どうしてAIの答えが口コミを超えたのでしょうか。理由はいくつか考えられます。
まず、口コミには「サクラ」や極端な意見が混ざりがちです。星5つと星1つが入り乱れて、結局どれが本当かわかりません。
いっぽうAIは、たくさんの情報をまとめて、落ち着いた答えを返してくれます。中立的に見える、というわけです。
つぎに、AIは「あなた専用」に答えてくれます。「予算3万円で、子どもがいる家庭向け」と頼めば、その条件に合った提案をしてくれます。
赤の他人のレビューより、自分の事情をくんだ答えのほうが、信頼しやすいのは自然なことです。
気をつけたい「うのみ」のリスク
ただし、注意も必要です。生成AIは、まちがった情報を自信たっぷりに答えることがあります。
これは「ハルシネーション(AIがもっともらしいウソを作る現象)」と呼ばれます。
調査でも、最も信頼されたのは「自分で調べた・体験した情報」(71.0%)でした。人は、AIを便利だと思いつつ、最後は自分の目も大事にしています。
AIの答えを参考にしつつ、大きな買い物では自分でも確認する。この使い分けが大切です。
買い物AIの主役たち(競合サービス比較)
買い物を助けるAIは、いま世界中で開発が進んでいます。代表的なサービスを比べてみましょう。
- ChatGPT(OpenAI):週3億人以上が使う最大級のAI。2024年から買い物機能を追加し、商品の「発見」や「比較」に強みがあります。
- Gemini(グーグル):検索とつながったAI。お店のシステムと連携し、検索しながら商品を探せる仕組みを広げています。
- Alexa for Shopping(アマゾン):2026年5月に米国で発表。話しかけるだけで買い物ができ、これまでの「Rufus(ルーファス)」を統合しました。
- Perplexity(パープレキシティ):出典(情報のもと)を示しながら答えるAI。根拠が見える点が特徴です。
大きな違いは「決済(支払い)」の方法です。アマゾンは自社のなかで完結させるタイプ。グーグルなどは、支払いをお店のサイトに任せるタイプです。
各社が「買い物の入り口」をAIで取りに来ている、という構図です。
日本市場への影響は?
この変化は、日本の私たちにも大きく関わってきます。
まず、買い物をする人にとっては便利になります。日本語で「これとこれ、どっちがいい?」と聞けば、AISが整理してくれます。楽天も大型セールにAI対話エージェントを投入し始めました。
いっぽうで、商品を売る企業や、レビューを書く人には新しい課題が生まれます。
「AIに選ばれる」ことが新しい目標に
これまでは「検索で上位に出る」ことが大事でした(SEO)。これからは「AIに紹介してもらえる」ことが重要になります。
この新しい考え方は「LLMO」と呼ばれます。LLMOとは、AIに見つけてもらいやすく情報を整える工夫のことです。
たとえば、商品ページに価格やスペックをきちんと整理して書く。よくある質問に正直に答える。こうした地道な情報づくりが、AI時代の集客につながります。
身近な3つの活用シーン
具体的に、どんな場面で役立つのか想像してみましょう。
ひとつめは、家電選びです。冷蔵庫を買い替えたい人が「4人家族で、自炊が多くて、電気代を抑えたい」と伝えます。すると、AIが条件に合う機種を3つにしぼってくれます。
ふたつめは、贈り物です。「30代の上司に、3千円くらいで失礼のないお礼の品」と相談すれば、候補と理由をセットで提案してくれます。
みっつめは、子育て中の買い物です。夜泣きで時間のないお母さんが、スマホ片手に「離乳食におすすめの調理器具」と聞く。数百件のレビューを読む代わりに、要点だけ受け取れます。
どれも、「調べる時間がない」という悩みに直接こたえてくれる使い方です。
よくある質問(FAQ)
Q. 「AIショッパー」とは何ですか?
買い物をするときに、ChatGPTなどの生成AIを使う人のことです。博報堂の調査では、全体の24.6%、約4人に1人がこれに当てはまりました。
Q. 本当にAIは口コミより信頼されているのですか?
はい。今回の調査では、生成AIの回答を信頼する人が51.7%で、ECサイトのレビュー(48.6%)を上回りました。ただし「自分で調べた情報」(71.0%)が依然として一番信頼されています。
Q. 買い物AIを使うとき、何に気をつければいいですか?
AIはまちがった情報を自信たっぷりに答えることがあります。値段や在庫など大事な点は、公式サイトでも確認すると安心です。あくまで「参考にする相棒」として使うのがおすすめです。
Q. お店や企業はどう対応すればいいですか?
商品情報をわかりやすく整理し、AIに紹介されやすくする工夫(LLMO)が重要になります。価格・スペック・よくある質問を正直に書くことが、第一歩です。
Q. 日本語でもちゃんと使えますか?
はい。ChatGPTやGeminiは日本語に対応しています。楽天など国内のサービスも、AI対話機能を取り入れ始めています。
まとめ
今回の博報堂調査が示したポイントを振り返ります。
- 生成AIの回答を信頼する人は51.7%で、ECレビュー(48.6%)を初めて上回った
- 買い物にAIを使う「AIショッパー」は24.6%、20代では71.3%にのぼる
- 約6割が、最終的な購入判断までAIに任せたいと回答した
- 口コミやインフルエンサーより、AIのほうが信頼される時代に入った
- 企業には「AIに選ばれる情報づくり(LLMO)」という新しい課題が生まれている
まずは身近な買い物で、AIに「これとこれ、どっちがいい?」と相談してみてはいかがでしょうか。

