- Googleが2026年8月13日、米国外で初の直営店「Google Store 表参道」をオープン
- 2階「Pixel Studio」はAI体験専用フロア。アバター生成も動画生成もすべて無料
- 自撮り写真がGeminiで原宿風アバターになり、プラスチックカードで持ち帰れる
- 地下1階ではPixelの店頭修理や1対1のサポートが受けられる
- 日本が世界で最初に選ばれた理由と、Apple Storeとの決定的な違い
AIの新機能って、記事で読んでもいまいちピンとこないと思ったことはありませんか。そのAIを「無料で、手ぶらで、その場で触れる」場所が東京のど真ん中にできました。Googleが米国の外に初めて構えた直営店です。何ができて、なぜ日本だったのかを整理します。
表参道に開いた「米国外初」のGoogle直営店
Googleは2026年8月13日、東京・表参道に直営店「Google Store 表参道」をオープンしました。
場所は東京都渋谷区神宮前4-30-3、東急プラザ表参道「オモカド」の中です。明治神宮前駅の5番出口から徒歩1分という、原宿の一等地にあります。
ポイントは「米国外で初めて」という点です。Googleの直営店はこれまで米国内に10店舗だけでした。表参道店はグローバルで11店舗目、そして米国以外では世界唯一の店舗になります。
規模も小さくありません。建物面積は約1158平方メートルで、地下1階から2階までの3フロア構成です。米国の既存店を上回る最大規模だと報じられています。
営業時間は10時から20時まで。オープン初日は14時スタートで、先着約1000人にノベルティが配られました。
2階「Pixel Studio」は丸ごとAI体験フロア
この店の主役は2階です。「Pixel Studio」と名づけられたフロアは、まるごとAI体験のためだけに作られています。
しかも、ここでの体験はすべて無料です。何かを買う必要はありません。
自撮りがGeminiでアバターカードになる
いちばん人気を集めているのが、アバター生成のコーナーです。
やることは単純で、その場で自撮りを撮るだけ。あとはGemini(Googleの対話型AI)が写真を読み取り、あなたの特徴を生かしたアバターに描き直してくれます。
スタイルは「原宿風」「ストリート」「かわいい」など、日本のカルチャーから発想したものが用意されています。この日本文化テイストのアバター生成は表参道店だけの限定機能です。
できあがったアバターは、プラスチックのカードにして持ち帰れます。デジタルのデータではなく、財布に入る「モノ」として手元に残るのが面白いところです。
Nano BananaとVeoで作る写真・動画ブース
その隣には、画像生成モデル「Nano Banana」と動画生成モデル「Veo」を使うブースがあります。
用意されているのは表参道限定の静止画フィルター6種類と、動画フィルター4種類です。撮った写真がイラスト風になったり、静止画が動き出したりします。
写真はその場で2枚プリントされ、QRコードからデータもダウンロードできます。動画はQRコード経由で受け取る形です。
プライバシー面も配慮されていて、撮影データは48時間で削除されると説明されています。AI体験に不安がある人でも試しやすい設計です。
言葉だけで3D空間が生まれる「Project Genie」
技術的にいちばん驚くのが、Project Genieのコーナーでしょう。
これはGoogle DeepMindの「Genie 3」という研究段階のモデルを使った体験です。文章を入力すると、その内容の3D空間がその場で生成されます。
たとえば「夕暮れの砂漠にある廃墟の街」と打ち込めば、その世界がリアルタイムで立ち上がります。生成された世界は、Pixel 11 Pro Foldをコントローラー代わりにして自由に歩き回れます。
ゲーム機のようにあらかじめ作り込まれたマップではありません。あなたが考えた一文から、そのつど新しい世界が作られます。
120倍ズームと光のインスタレーション
ほかにも、Pixel 11 Proの120倍「超解像ズーム」を疑似体験できるコーナーがあります。遠くの被写体がどこまで見えるのかを、店内で試せる仕組みです。
人の動きに合わせて光の粒が追いかけてくるインスタレーションも設置されています。2階では今後、ワークショップなどのイベントも随時開催される予定です。
1階と地下1階でできること
1階は製品を触るフロアです。
Pixel 11、Pixel 11 Pro Fold、Pixel 10aといったスマートフォン全ラインアップに加え、Pixel WatchやPixel Buds Proなどのウェアラブル製品が並びます。新機能「HiLight」やAIアシスタント「Gemini Intelligence」もその場で試せます。
展示台には「心と身体を癒やす音楽の生成なら、Geminiにお任せ」といった試し方の例が添えられています。何を聞けばいいか分からない人でも、真似するだけで使い方が分かる仕掛けです。
1階には表参道限定のアート作品「California Dreaming: Landscape of Colors 2026」も展示されています。Pixel Watchのバンドを再利用したサステナブル雑貨「Recrafted by Google Pixel」は全6種類・各5500円で販売中です。2階には限定グッズが約25種類そろいます。
地下1階は、買ったあとの人のためのフロアです。
初期設定やデータ移行の1対1サポート、PixelスマートフォンとPixel Watchの店頭修理(内容によっては即日対応)、オンライン購入品の店頭受け取り、保証サービス「Pixel Care+」の手続きなどが受けられます。リサイクル部品を紹介するサステナビリティ展示もあります。
ここには日本向けの工夫があります。サポートスペースに仕切りを設け、相談内容が周りに聞こえないようにしているのです。
なぜ日本が世界で最初に選ばれたのか
米国以外で最初の1店舗が、なぜロンドンでもシンガポールでもなく東京だったのでしょうか。
Googleが挙げる理由の一つは歴史です。日本はGoogleが初めて海外オフィスを開いた国にあたります。会社にとって特別な縁がある場所というわけです。
もう一つは立地の意味です。表参道・原宿は「新しいテクノロジーやファッションのトレンドなど、文化が生まれる場所」だと位置づけられています。
そして数字の裏づけもあります。調査会社Counterpointによれば、2026年2月に日本市場でGoogleがSamsungを抜き、シェア2位に浮上しました。BCNの集計では「Pixel 10a」が2026年4月・5月とAndroid売れ筋ランキングで連続首位となり、5月の販売台数シェアは17.8%に達しています。
日本はPixelがいちばん伸びている市場の一つなのです。実店舗を置く投資判断としては自然な選択でした。
店舗設計は「Human(人間らしさ)」「Optimistic(前向きさ)」「Bold(大胆さ)」の3つを軸にしたとされています。プロダクトマーケティングマネージャーの松下実希氏は、日本のお客様はハードウェアの職人技やデザイン思想に関心が高い傾向がある、と説明しています。
Apple StoreやGalaxy Harajukuと何が違うのか
体験型のテック直営店は、日本にすでにいくつもあります。あえて比べてみます。
Apple Storeは2001年から「製品を売る場所ではなく体験を届ける場所」というモデルを作り、その後の業界標準になりました。ただし体験の中心は、あくまで実機を触ることとGenius Barでの相談です。
Galaxy Harajukuは、実はGoogle Store 表参道の真向かいにあります。こちらもVRや撮影体験など、買わずに遊べる仕掛けを早くから導入してきた先行例です。
そのうえで、Google Store 表参道の違いは「フロアを丸ごとAI体験に振り切った」点にあります。2階には、製品を買うための導線がほとんどありません。
アバター生成、動画生成、3D空間生成という3つは、どれも「AIモデルそのものの性能」を見せるための展示です。スマートフォンはあくまで入り口で、主役はGeminiやGenie 3といったモデル側になっています。
もう一つの違いは持ち帰れることです。プリント写真とアバターカードという物理的なお土産が残ります。体験がその場で消えず、人に見せられる形になるので、SNSでの拡散も前提にした設計だと考えられます。
日本のユーザーと企業にとって何が変わるか
この店ができて、実際に何が変わるのでしょうか。3つの場面で考えてみます。
まず、AIをまだ使っていない人です。ある60代の夫婦が原宿に買い物に来て、ついでに2階へ寄ったとします。文章を打ち込むだけで3D空間が生まれる様子を見れば、「生成AI」という言葉の意味が10秒で伝わります。説明を読むより、目の前で動くものを見るほうが理解は速いのです。
次に、中小企業のマーケティング担当者です。自社の商品写真をAIで加工したいが、社内に前例がなく上司を説得できない。そんなとき、Nano BananaとVeoのブースで数分試せば、どんな仕上がりになるかを実物で持ち帰れます。稟議書に貼れる素材が無料で手に入るわけです。
3つ目は、Pixelユーザーです。これまで日本では、Pixelの修理は配送か家電量販店経由が中心でした。店頭で即日修理という選択肢が生まれた意味は小さくありません。仕事で使う端末なら、1日の差が売上に直結します。
ただし、注意点もあります。この店は現時点で日本に1店舗しかありません。地方在住の人にとっては、依然として遠い存在です。AI体験そのものは無料でも、そこへ行く交通費と時間はかかります。
よくある質問(FAQ)
Q1. AI体験にお金はかかりますか?
かかりません。アバター生成も写真・動画生成もProject Genieも、すべて無料で楽しめると案内されています。買い物をする必要もありません。
Q2. 予約は必要ですか?
AI体験そのものは基本的に自由に立ち寄れる形です。ただし店頭修理や1対1のサポートは、オンライン予約に対応しています。混雑を避けたい人は事前予約が無難です。
Q3. 撮った写真やアバターのデータはどうなりますか?
撮影データは48時間で削除されると説明されています。写真はその場で2枚プリントされ、QRコードからダウンロードもできます。
Q4. 営業時間と場所を教えてください。
10時から20時までです。住所は東京都渋谷区神宮前4-30-3、東急プラザ表参道「オモカド」内で、明治神宮前駅5番出口から徒歩1分です。
Q5. 今後、大阪や名古屋にもできますか?
現時点で追加出店の公式発表はありません。米国外の直営店は表参道の1店舗のみです。今後の展開は、この店の反響次第と言われています。
まとめ
- 2026年8月13日、米国外初のGoogle直営店「Google Store 表参道」がオープン(グローバル11店舗目)
- 建物面積約1158平方メートルの3フロア構成で、米国の既存店を上回る最大規模
- 2階「Pixel Studio」は丸ごとAI体験フロア。アバター生成・Veo動画・Project Genieの3D空間生成がすべて無料
- 1階はPixel 11シリーズなど全製品を試用でき、地下1階では即日の店頭修理や1対1サポートを提供
- 日本選定の背景には、初の海外オフィス開設国という縁と、2026年2月にシェア2位へ浮上した市場の伸びがある
- Apple StoreやGalaxy Harajukuとの違いは、フロアを丸ごとAIモデルの体験に振り切った点
AIの進化を言葉で追いかけるより、原宿で30分触ってみるほうが早いかもしれません。表参道へ行く用事があるなら、2階に寄ってアバターカードを1枚作ってみてください。
参考文献
- Google Japan Blog「Geminiや最新 Google Pixelを体験できる『Google Store 表参道』がオープン」
- ITmedia NEWS「『Google Store 表参道』13日オープン AIを使った”お土産作り”から限定グッズまで、店内を詳細レポート」
- ITmedia Mobile「『Google Store 表参道』潜入レポート 米国を超える最大規模の店舗と『丸ごとAI体験フロア』の見どころ」
- ケータイ Watch「表参道に『Google Store』オープン、米国外初の展開に日本が選ばれた理由」
- Counterpoint Research「2026年2月、日本のスマートフォン市場におけるトップ3市場シェア」

