Google検索リンクが100%書き換え|AI対策

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • Google検索の結果リンクが、すべて「google.com/goto」を経由する形に書き換えられました
  • 2026年7月に始まり、8月末時点で展開率はほぼ100%に達しています
  • 狙いは、AI企業やSEOツールによる検索結果の自動収集(スクレイピング)を止めることです
  • 背景には、GoogleがSerpApiとの裁判で7月20日に敗れたという事情があります
  • 日本でも順位計測ツールがエラーを起こし、Google自身にも予想外の副作用が出ています

いつも使っているGoogle検索。そのリンクの中身が、この夏こっそり全部書き換えられていたと聞いたら驚くでしょうか。見た目は何も変わりません。でもクリックした瞬間、あなたは一度Googleの「関所」を通ってから目的のサイトへ運ばれています。なぜGoogleはそんな回り道を作ったのでしょうか。

Googleが検索結果のリンクを丸ごと書き換えた

2026年8月、Googleが検索結果のリンク構造を変更したことを正式に認めました。

これまで検索結果のリンクは、行き先のURLがそのまま書かれていました。「aifriends.jp」へのリンクなら、リンクの中身も「aifriends.jp」です。

ところが今は違います。すべてのリンクが「google.com/goto」という中継地点を経由する形に変わりました。

展開は2026年7月に静かに始まりました。8月の第1週に大規模なテストが報じられ、8月26日には計測会社Nozzleが「ほぼ全面展開」を確認しています。

Googleの広報担当者はこうコメントしました。「進化する不正行為に対して、技術的な対策を講じてきた長い歴史を持っています。サービスとユーザーを保護するため、定期的に対策を講じています」。

名指しこそ避けていますが、何を止めたいのかは明らかです。

「google.com/goto」はどう動くのか

行き先を暗号化して隠す

新しいリンクは「google.com/goto?url=(暗号化された文字列)」という形をしています。

ポイントは、行き先のURLがそのまま書かれておらず、ハッシュ化(元に戻せない形に変換すること)されている点です。

つまりリンクを見ただけでは、どのサイトに飛ぶのか機械には読み取れません。

人間には影響がほぼない

クリックするとサーバーサイドリダイレクト(Google側のサーバーが自動で転送する仕組み)が働き、一瞬で本来のページに届きます。

私たち人間にとっての変化は、リンクにマウスを乗せたときに表示されるURLが見慣れない形になった程度です。

検索順位そのものにも影響はありません。順位が決まったあとの、クリック経路だけが変わったからです。

機械には非常に面倒

困るのは自動収集プログラムのほうです。

これまでは検索結果ページを1回読み込めば、上位100件のURLを一気に取れました。今は1件ずつリダイレクトを追いかけないと行き先がわからないのです。

検索結果1ページに数十から数百のリンクがあります。それを全部たどるとなると、アクセス回数は何十倍にも膨らみます。

空港でいえば、これまで搭乗券を見れば行き先が読めたのに、全員を一度個室に通して面談しないと行き先がわからなくなったようなものです。小規模なら回りますが、大量処理には向きません。

なぜ今なのか──裁判で負けたGoogleの次の一手

タイミングには理由があります。実はGoogleは、この直前に法廷で手痛い敗北を喫していました。

Googleは2025年12月19日、検索結果の収集サービスを提供するSerpApi社を提訴しました。

主張はこうです。SerpApiはGoogleのボット対策「SearchGuard」を、IPアドレスの切り替え、ブラウザフィンガープリント(閲覧環境の偽装)、CAPTCHAの自動突破といった手口で回避した。これはDMCA(デジタルミレニアム著作権法)違反にあたる、と。

しかし2026年7月20日、Yvonne Gonzalez Rogers判事はGoogleのDMCA関連の訴えを却下しました。

理由は明快です。DMCAの回避禁止ルールが適用されるのは、その技術的な壁が「著作権で守られたもの」を守っている場合に限られる。検索結果に並ぶ他人のサイトの情報は、Googleの著作物ではない──という判断でした。

裁判所はGoogleに21日間の猶予を与え、Googleは訴状を修正する方針です。今度は「ナレッジパネル」(検索結果の右側に出る情報枠)に的を絞るとみられています。ここには権利者から正式に許諾を受けたコンテンツが含まれる、という理屈です。

法律で止められないなら、技術で止める。goto方式の展開は、そう読むのが自然でしょう。

これまでのスクレイピング対策と何が違うのか

Googleがこの手を打つのは初めてではありません。むしろ、ここ数年ずっとイタチごっこが続いています。

過去の主な対策を並べると、性格の違いが見えてきます。

  • JavaScript実行の必須化:検索結果を表示するのにブラウザの処理を必要とし、単純なプログラムでの読み取りを弾く方式。収集側は本物のブラウザを動かす必要が生まれ、コストが上がりました
  • 「&num=100」パラメータの廃止:1回で100件の結果をまとめて取得できる裏技を封じる方式。1件あたりの取得コストを引き上げました
  • google.com/goto パススルーURL:今回の方式。結果は見せるが、行き先だけを隠す

前の2つが「ページを開かせない・まとめて取らせない」対策だったのに対し、今回はページは開けても中身の意味を奪うアプローチです。

収集する側からすると、ブロックされたほうがまだ諦めがつきます。データは取れるのに使い物にならない、というのはより厄介な状態と言えます。

日本のSEO現場ではもう影響が出ている

この変更、日本のWeb担当者にとっては他人事ではありません。

毎朝の習慣として、自社サイトが「AI 活用」で何位かをチェックしている担当者を想像してみてください。使っているのは順位計測ツールです。そのツールは、裏側でGoogleの検索結果を自動で読み取って順位を割り出しています。

行き先が隠された今、ツールによってはデータが取れずエラーになったり、更新が遅れたりする状況が起きています。日本国内でも複数のSEO情報サイトが、順位計測ツールの不調とその原因を報じました。

すでに対応を終えたツールもありますが、対応にはコストがかかります。そのぶんが利用料金に跳ね返る可能性も指摘されています。

影響はSEOツールだけではありません。Googleの検索結果を情報源にしていたAI検索サービスの開発者も同じ壁に当たります。ユーザーの質問に答えるため裏でGoogle検索を叩いていた仕組みは、設計の見直しを迫られます。

個人ブログを運営している人にとっては、もう少し身近な不安があります。アクセス解析のリファラー(訪問者がどこから来たかの情報)がどうなるかです。

ここは正直まだわかっていません。Google経由の転送がリファラーの見え方を変えるのかどうか、大規模に検証できた人がいないためです。しばらくは自分のアクセス解析を注意深く見ておくのが安全でしょう。

Google自身にも起きた「予想外の副作用」

面白いことに、この対策はGoogle自身にも跳ね返っています。

「google.com/goto」で始まる中継用URLが、Google検索にインデックス(登録)されてしまったのです。

検索窓で「site:www.google.com/goto」と調べると、大量のURLが検索結果に並びます。しかも中身がないため「このページの情報はありません」と表示される状態です。

Googleはrobots.txt(クローラーへの立ち入り禁止の指示書)で「/goto?」をすでにブロックしています。それでも、外部サイトからリンクが張られているといった条件では登録が残ってしまいます。

自分のサイトのgoto経由URLが検索結果に出てきて困る場合は、Google Search Consoleの削除ツールから削除をリクエストするのが推奨されています。

不正収集を防ぐための仕組みが、検索結果を少し汚してしまった。対策の難しさがよく表れた出来事です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 私の検索順位は下がりますか?

下がりません。今回の変更は、順位が決まったあとのクリック経路に関するものです。ランキングの計算方法そのものには手が入っていません。

Q2. 普通に検索を使うだけなら、何か気をつけることはありますか?

特にありません。クリックしてから目的のページに届くまでの流れは今までどおりです。リンクにマウスを乗せたときのURL表示が変わった程度で、体感できる違いはほぼないと言われています。

Q3. 使っている順位計測ツールが動かなくなったらどうすればいいですか?

まずツール提供元のお知らせを確認してください。すでに対応済みのツールもあります。並行して、Google Search Console(Googleが無料で提供する公式の分析ツール)で実際の検索順位や表示回数を見る習慣をつけておくと安心です。こちらはGoogleの公式データなので、スクレイピング対策の影響を受けません。

Q4. スクレイピングは違法なのですか?

一概には言えません。今回のSerpApi裁判でも、裁判所はGoogleのDMCAに基づく主張を退けました。著作権法を根拠に、著作物ではないデータの収集まで止めることはできない、という判断です。ただしサービスの利用規約違反にあたる可能性や、別の法律で争われる余地は残っています。今後の展開次第と言えます。

Q5. この対策でAIによる収集は止まりますか?

完全には止まらないとみられています。リダイレクトを1件ずつ追えば行き先は復元できるからです。ただし手間とコストが大幅に上がるため、大規模な収集は割に合わなくなります。Googleの狙いも、完全な遮断ではなく採算を崩すことにあると考えられます。

まとめ

  • Google検索の結果リンクが、すべて「google.com/goto」経由に書き換えられました
  • 2026年7月に開始し、8月末で展開率はほぼ100%です
  • 行き先URLをハッシュ化して隠すことで、機械による一括収集を困難にしています
  • 背景には、2026年7月20日にSerpApi裁判でDMCAの主張が却下された事情があります
  • 検索順位への影響はなく、一般ユーザーの使い勝手もほぼ変わりません
  • 一方で日本でも順位計測ツールに不具合が出ており、goto URLがインデックスされる副作用も発生しています

Webサイトを運営しているなら、まずは使っている順位計測ツールの状態を確認し、Google Search Consoleで公式データを見る習慣をつけておくことをおすすめします。

参考文献