SQLを書かない時代へ|Gemini-SQL2が80%達成

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • Googleが自然言語をSQLに変える新技術「Gemini-SQL2」を公開しました
  • SQLの精度をはかるBIRDテストで業界初の80.04%を記録しました
  • むずかしいデータベースの命令を、ふつうの言葉で書くだけで作れます
  • GPTやClaudeなど他社AIよりも7〜10ポイント高い成績を出しました
  • BigQueryなどGoogleのデータサービスに今後組み込まれる見通しです

「データを見たいのに、SQLが書けなくてあきらめた」という経験はありませんか?売上やユーザー数を知りたくても、専門の命令文が壁になります。Googleが2026年6月に公開した「Gemini-SQL2」は、その壁をこわす技術です。ふつうの言葉で書くだけで、正しいデータベースの命令が作れます。この記事では、何がすごいのか、私たちの仕事にどう関わるのかを、やさしく解説します。

Gemini-SQL2とは?自然言語をSQLに変える新技術

Gemini-SQL2は、Googleが発表した「自然言語をSQLに変える」技術です。

SQL(エスキューエル)とは、データベースから情報を取り出すための専門の命令文です。たとえば「先月の売上を地域ごとに出して」という指示を、コンピューターがわかる形に書く必要があります。

これがなかなかむずかしく、学ばないと書けません。

Gemini-SQL2を使えば、その命令文をふつうの言葉から自動で作れます。「日本語や英語で質問するだけ」というイメージです。

大事なのは、これが新しいAIモデルそのものではない点です。Googleの最新AI「Gemini 3.1 Pro」の上に、SQL専用の力を足したものになります。

BIRDベンチマークで80.04%──その数字の本当の意味

今回の発表でいちばん注目されたのが、「BIRD(バード)」というテストで80.04%を記録したことです。

BIRDは、自然言語からSQLを作るAIの実力をはかる、世界共通の試験のようなものです。12,751個の質問とSQLの組み合わせ、95個のデータベースが使われます。

このテストのすごいところは、「見た目が正しいSQL」ではなく「実際に動いて、正しい答えを返すSQL」だけを正解とする点です。つまり、本当に使えるかどうかを厳しく見ます。

「80%の壁」を初めて超えた

これまで、このテストで80%を超えたシステムはありませんでした。

Google自身の過去の記録は、2025年11月の76.13%でした。それが今回、一気に80.04%まで伸びたのです。

ちなみに人間の成績は92.96%です。AIと人間の差は、あと12.92ポイントまで縮まりました。

Gemini-SQL2はどうやって動くの?

Gemini-SQL2が得意なのは、「ややこしい現場のデータ」を理解することです。

会社のデータベースは、きれいに整理されているとは限りません。表の名前がわかりにくかったり、複雑な条件が必要だったりします。

たとえば、ある経営者がこう質問したとします。

「アップグレードしてから90日以内に解約したお客さんの、地域ごとの月間売上を出して」

この指示には、複数の表をつなげる作業や、日付の計算が必要です。人間でも頭を悩ませる内容です。

Gemini-SQL2は、こうした複雑な業務の文脈をくみ取って、動くSQLを書きます。エンジニアは、ゼロから書くかわりに、AIが作った下書きを確認するだけで済みます。

他のAIや既存ツールと何が違う?

自然言語からSQLを作る技術は、Gemini-SQL2だけではありません。他社との違いを見てみましょう。

他社AIモデルとの成績比較

同じBIRDテストでの主な成績は、次のとおりです。

モデル提供元正確さ
Gemini-SQL2Google約80.0%
Gemini-SQL(旧)Google約77.2%
Q-SQLAWS(アマゾン)約76.5%
GPT-5.5-xhighOpenAI約72.5%
Claude Opus 4.6Anthropic約70.1%

このように、Gemini-SQL2は2位以下を7〜10ポイントも引きはなしています。SQLという専門分野では、Googleが頭ひとつ抜けた形です。

Snowflakeやデータベース専用ツールとの違い

一方で、データ分析の現場には専用ツールもあります。

たとえば「Snowflake(スノーフレイク)」のCortex Analystは、自社サービス内で90%以上の精度を出すと言われています。「Databricks(データブリックス)」のGenieという機能も人気です。

ただし、これらは自分のサービス内でしか使えないのが弱点です。データを1か所に集める必要があります。

Gemini-SQL2は、Googleの基盤AIそのものが強いため、いろいろなサービスに広く応用できる点が魅力です。

日本のユーザーと企業にどう関係する?

「海外の技術でしょ?」と思うかもしれません。でも、日本にも深く関わってきます。

Googleは、この技術を「BigQuery(ビッグクエリ)」などのデータサービスに組み込む方針です。BigQueryは、日本の多くの企業がデータ分析に使っているサービスです。

つまり、近い将来、日本の会社員もふつうの言葉でデータを集計できるようになる可能性が高いのです。

身近な活用シーンを想像してみてください。

ある中小企業のマーケティング担当者は、これまで「先月リピートしたお客さんの数」を知るのに、エンジニアへお願いするしかありませんでした。Gemini-SQL2があれば、自分で言葉を入力するだけで答えが出ます。

また、スタートアップのエンジニアは、複雑な集計の下書きをAIにまかせられます。確認と修正に集中でき、作業時間を大きく減らせます。

経理の担当者も、月末の売上データを自分の言葉で取り出せるようになります。「データを見られる人」が一気に増えるのです。これはデータ活用の民主化と呼べる変化です。

よくある質問(FAQ)

Q1. Gemini-SQL2は今すぐ使えますか?
現時点では、APIや製品としての提供はまだ発表されていません。今後、BigQueryなどのサービスに少しずつ組み込まれる見通しです。

Q2. SQLの知識がまったくなくても使えますか?
言葉で質問するだけで命令文が作れるため、知識がなくても使いやすくなります。ただし、出てきた結果が正しいかを確認する力はあった方が安心です。

Q3. 日本語にも対応していますか?
Gemini 3.1 Proは日本語を理解できるため、日本語での利用も期待できます。ただし正式な日本語対応の詳細はまだ発表されていません。

Q4. なぜSQL専用の技術がそんなに重要なのですか?
多くの会社の情報はデータベースに眠っています。SQLを誰でも使えるようになれば、その情報を全員が活用でき、判断のスピードが上がるからです。

Q5. 精度80%だと、まだ間違えることもありますか?
はい。5回に1回ほどは正しくない可能性があります。重要な判断に使うときは、人間の確認を組み合わせることが大切です。

まとめ

今回のポイントを振り返ります。

  • Gemini-SQL2は、ふつうの言葉をSQLに変えるGoogleの新技術です
  • BIRDテストで業界初の80.04%を記録しました
  • GPTやClaudeなど他社AIを7〜10ポイント引きはなしています
  • 複雑な業務データも理解して、動くSQLを書けます
  • 今後BigQueryなどに組み込まれ、日本でも使える見込みです

これからは「SQLが書けないからデータが見られない」という悩みが減っていきます。まずは自分の会社がどんなデータを持っているかを、一度ふり返ってみましょう。

参考文献

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