Google衝撃|Vertex改名×TPU8世代3倍速の全貌

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • 2026年4月22日発表:ラスベガスのGoogle Cloud Next ’26で32,000人を集めて『Gemini Enterprise Agent Platform』正式公開
  • Vertex AI改名:法人向けAI基盤Vertex AIを統合・改名し、Build/Scale/Govern/Optimizeの4層で再設計
  • 第8世代TPU登場:訓練用『TPU 8t』がIronwood比3倍の性能・9,600チップ連結・121ExaFlops、推論用『TPU 8i』は1ドルあたり80%効率向上
  • Cross-Cloud Lakehouse:AWS・Azureのデータをコピーなしで直接クエリ、Apache Icebergベースで他社クラウドの壁を解消
  • 1100億円ファンド:Googleがパートナー企業向けに$750Mイノベーションファンドを設立、OpenAI・Anthropicへの『フルスタック』対抗策が鮮明化

『AIエージェントの開発・運用・監視が、ぜんぶ1つの場所でできる時代が来た』——Googleが2026年4月22日、ラスベガスで開催したCloud Next ’26で『Gemini Enterprise Agent Platform』を発表。

長年エンジニア御用達だったVertex AIをまるごと改名・統合した、業界最大級のリブランディング。

TPU第8世代やCross-Cloud Lakehouseを含む全貌を、中学生にもわかる言葉でひもときます。

何が起きた?|Cloud Next 2026の全貌

まずは『どんな発表があったの?』を3分で整理します。

2026年4月22日|32,000人が集まったラスベガス会場

Google Cloud Next ’26は2026年4月22〜24日、ラスベガスのMandalay Bayで開催。

世界中から32,000人のリーダー・開発者・パートナーが集結し、過去最大規模に。

『東京ドームのコンサートが3日連続で満員になる』くらいの熱量。

CEOのSundar Pichai氏が基調講演で『agentic era(エージェント時代)』をキーワードに掲げた。

発表の中心は『AIエージェントを企業で安全に動かすための統合基盤』。

競合のOpenAIやAnthropicが個別ツール路線なのに対し、Googleは『チップから受信箱まで全部入り』の戦略を明確に打ち出しました。

Vertex AIから『Gemini Enterprise Agent Platform』へ改名

最大の発表は、エンジニア向けAI基盤『Vertex AI』を『Gemini Enterprise Agent Platform』へ改名・統合したこと。

Vertex AIは2021年に登場した法人向けAIの定番サービスで、これまで世界中の大企業が利用してきた。

『コンビニのチェーン名がまるごと変わったような』大改編。

今後、Vertex AIの新機能はすべて新基盤へ統合される方針。

Googleは『Vertex AIの進化形』と説明し、既存ユーザーの移行をスムーズにする予定。

狙いは『AIエージェントの開発・運用・監視を1つの場所で完結させる』こととGoogle Cloud公式ブログで強調されました。

4つのレイヤー|Build/Scale/Govern/Optimize

新基盤は4つの機能群に整理された設計。

『Build(構築)』にはAgent StudioとAgent Development Kit(ADK)。

『Scale(運用)』にはAgent RuntimeとMemory Bank(長期記憶機能)。

『Govern(統制)』にはAgent Identity・Registry・Gateway。

『Optimize(最適化)』にはAgent Simulation・Evaluation・Observability。

『AIエージェントを社員として雇うときの「採用→配属→管理→評価」を全部やってくれる人事システム』のような構造。

ADKはPython・Go・Java・TypeScriptに対応し、オープンソース版v1.0が安定リリース済み。

他社モデルでも動かせる『model-agnostic(モデル中立)』設計が特徴です。

何がすごい?|数字で見る進化

『今までと何が違うの?』を3つの軸で見ます。

第8世代TPU|TPU 8tは3倍速、TPU 8iは80%お得

Googleは独自AIチップ『TPU』の第8世代を同時発表。

訓練向け『TPU 8t』は1ポッドで最大9,600チップを連結し、合計121 ExaFlopsという計算性能。

前世代Ironwood(第7世代)比で『約3倍』の処理能力。

『家のWi-Fiが急に光回線3本分の速さになる』イメージ。

推論向け『TPU 8i』は1チップあたり288GBの高帯域幅メモリ+384MBのオンチップSRAM(前世代の3倍)。

1ドルあたりの推論性能は前世代比で『80%向上』。

両チップとも電力あたりの性能はIronwood比で最大2倍。

一般提供は2026年内予定で、AI開発企業からの予約が殺到中と業界紙が報じています。

Cross-Cloud Lakehouse|AWS・Azureのデータをコピーなしで

もうひとつの目玉は『Cross-Cloud Lakehouse』というデータ基盤。

Apache Icebergというオープン規格をベースに、AWSやMicrosoft Azureに置いたデータをコピーせず直接クエリできる。

同時発表の『Lightning Engine for Apache Spark』はオープンソース版比で最大4.5倍高速、コストパフォーマンスも2倍。

『他社の倉庫の中身を、移動しなくてもその場で読めるリモコン』のような技術。

企業が複数クラウドを併用する『マルチクラウド時代』に対応。

データを動かす際の通信費・時間・セキュリティリスクをまとめて削減。

Knowledge Catalog機能で社内データを自動的に意味づけし、AIが『どこに何があるか』を瞬時に理解できる仕組みも追加されました。

1100億円ファンド|パートナーを巻き込む全社戦略

Googleはパートナー企業向けに『$750 million(約1100億円)』のイノベーションファンドを設立。

新モデル開発・ツール構築・エンジニアリング支援・インセンティブで世界中のパートナーを後押し。

『コンビニのフランチャイズ本部が、新店オーナーに開店資金と研修をまるごと提供する』戦略。

OpenAIが個別企業との契約で攻める一方、Googleはエコシステム全体を巻き込む路線。

発表時点で1,302件の生成AIユースケースが世界中の企業から共有済み。

『チップ・モデル・エージェント・インフラを統合した『フルスタック戦略』を改めて鮮明にしました。

競合とどう違う?|OpenAI・Anthropicと徹底比較

『他社のサービスと何が違うの?』を3つの観点で整理します。

OpenAI AgentKit|開発者向けにシンプル

OpenAIは2025年10月に『AgentKit』と『Responses API』を発表。

多言語サポート+100以上のLLMに対応する開発者寄りの設計。

『料理キットで、必要な材料が全部揃った状態で届く』感覚。

tracing(追跡)やguardrails(安全装置)など実装に時間がかかる部品が標準搭載。

ただし統制(Governance)や監視(Observability)は外部ツール頼みで、企業利用では穴がある。

一方Googleは統制・監視まで標準装備で、大企業のIT部門が安心して導入できる。

『開発者向けのOpenAI、企業向けのGoogle』という棲み分けが鮮明になってきたのが2026年春の構図です。

Anthropic Claude Agent SDK|安全性に特化

Anthropicは『Managed Agents』と『Claude Agent SDK』で別路線。

『Constitutional AI(憲法AI)』というモデル自体に倫理ルールを埋め込む独自手法が強み。

『Extended Thinking(延長思考)』で推論プロセスを透明化。

『AIに法律家のような原則を最初から教える教育法』のアプローチ。

ただしランタイムやメモリは提供するが、統制や可観測性は弱め。

安全性・監査性を最優先する金融・医療業界に強い。

GoogleはWiz買収(クラウドセキュリティ大手)でAI-BOM(AI部品表)まで提供開始し、『安全+全機能』で対抗。

2026年は3社の哲学対立がはっきり見えてきた年とアナリストは評しています。

Google|チップから受信箱まで全部入り『フルスタック』

Googleの最大の武器は『チップ・モデル・データ・アプリ・セキュリティ』を1社で揃えていること。

TPU 8世代→Geminiモデル→Agent Platform→Workspace→Wizセキュリティの一貫構成。

『家具屋でデザインから木材調達・組立・配送まで自社完結する家具メーカー』のような体制。

OpenAI/AnthropicがマイクロソフトAzureやAWSのチップを借りる立場なのに対し、Googleは自社製チップで原価・性能をコントロール。

さらにGoogle Workspace(Gmail・Docs)と直結し、現場社員の業務に即座に組み込める。

『Microsoft 365との相互運用性』も新発表で、CanvasドキュメントをWord/Excel形式に直接エクスポート可能。

競合の顧客基盤さえも自社サービスに取り込む積極策です。

日本市場への影響|楽天・NTT・三菱UFJの動き

『日本にはどう関係するの?』を3つの切り口で見ます。

国内Google Cloud勢|楽天・NTTが先行採用

日本市場では楽天グループ・NTTドコモ・LINEヤフーなどが既にGoogle Cloudを基幹利用中。

今回の発表により、これらの企業はVertex AIから新基盤への移行が必要に。

2026年4月時点で東京リージョンと大阪リージョンの両方でGemini Enterprise Agent Platformの提供開始が確認。

『コンビニのレジシステムが全店一斉に新OSに更新される』規模の影響。

ただし既存Vertex AIの機能はそのまま使えるため、利用者の混乱は最小化される設計。

2026年下半期にかけて国内SIerやコンサル各社が『移行支援サービス』を続々と発表予定。

デロイトトーマツ・アクセンチュア・NTTデータなどが先行表明済みです。

日本語対応とデータレジデンシー|国内完結の安心感

新基盤は最初から多言語対応で、日本語・中国語・韓国語など主要言語を標準サポート。

東京・大阪リージョンで処理が完結し、データを海外に出さない『データレジデンシー』を確保。

個人情報保護法やAI推進法(2025年成立)の要件にも対応。

『海外旅行をせず、家のキッチンで世界の料理が作れる』感覚。

金融機関や自治体など、データ越境に厳しい業界でも導入しやすい設計。

三菱UFJフィナンシャル・グループは2026年に独自AIエージェント基盤『MUFG Orcha』を発表済みで、Gemini Enterpriseとの連携可能性も検討中。

医療・製薬業界も2026年下半期に本格導入が始まる見込みです。

国産競合|rinna・NEC・PFNとの位置関係

国産AI勢の代表はrinna(日本語特化LLM)、NEC(cotomi)、Preferred Networks(PFN)など。

それぞれ日本語精度や産業特化で強みを持つが、エージェント基盤としての完成度ではGoogleに後れを取る。

NECは2026年4月にAnthropicとの提携でClaudeを社内3万人に展開し、エージェント運用ノウハウを蓄積中。

『町の商店が大手チェーンと差別化するため特産品で勝負する』構図。

2026年下半期、国産勢が連携してオールジャパンのエージェント基盤構築を目指す動きも出始めた。

経済産業省も『生成AIエコシステム支援事業』で国産企業に補助金を投入。

『Googleの全部入り』vs『国産の専門特化』の対決構図が鮮明化しています。

わたしたちの暮らしはどう変わる?|3つの活用シーン

シーン1|中小企業IT担当 太郎さん(38歳)の業務自動化

東京都内の製造業でひとり情シスを務める太郎さんは、見積書作成・請求書照合・社内問い合わせ対応に追われる日々。

『Agent Studioで「経理エージェント」を作ったら、月末作業が10時間→2時間に激減』と効果を実感する未来図。

Memory Bankで過去の取引履歴を覚えておき、毎回の指示が不要になる。

『新人さんが3か月で覚える業務を、AIなら最初から完璧にこなす』感覚。

Agent Identityで社員ごとの権限制御もでき、情シスとしての安全責任も果たせる。

2026年下半期にかけて、Google Workspace契約企業から先行導入が広がる見込みです。

シーン2|マーケター 美咲さん(29歳)のキャンペーン運用

大阪のEC企業でマーケティングを担当する美咲さんは、複数SNSの広告運用と分析レポート作成で残業続き。

『Workspace Studioで「広告運用エージェント」を作り、Gmail・Sheets・Docsを横断して自動運用』が現実的に。

Cross-Cloud LakehouseでShopifyの売上データとGA4をコピーなしで突合。

『データの引っ越しなしで、別の部屋の家計簿を読める家政婦』のような便利さ。

Ask Gemini in Google Chatで『今週の売上トップ商品は?』と聞くだけで瞬時に回答。

2026年は『マーケターがAIにキャンペーンを任せる』年として記憶される可能性。

ただし運用結果のチェックは人間の役割として残るのがポイントです。

シーン3|データサイエンティスト 健一さん(45歳)の分析高速化

名古屋の大手商社でデータ分析を統括する健一さんは、月次レポート作成に毎月3週間かかる課題を抱える。

『Lightning Engine for Apache Sparkで処理が4.5倍速くなり、レポートが1週間で完成』と業務改革の現実味。

Data Agent Kitで分析コードを自動生成し、検証は人間が担当。

『電卓が関数電卓になって計算が一瞬で終わる』くらいの飛躍。

Knowledge Catalogで社内全データの意味づけが自動化され、新人でも複雑な分析にチャレンジできる。

『データサイエンティストの仕事がAI監修者に変わる』時代の幕開け。

2026年下半期、商社・金融・製造業で導入競争が本格化する見込みです。

よくある質問(FAQ)

Q. 既存のVertex AIユーザーはどうなる?

A. 既存機能はそのまま継続利用可能で、強制的な移行はない。

2026年4月時点では『Gemini Enterprise Agent Platform』が新たなブランド傘になり、既存Vertex AI機能はその下に位置づけ。

『お店の看板が変わっても、いつもの商品は同じ棚に並んでいる』状態。

今後の新機能や改善はすべて新基盤を経由して提供。

既存契約・APIキー・課金体系は当面そのまま。

Google Cloud公式ブログでは『将来のVertex AIサービスとロードマップは、Agent Platformを通じて提供される』と明記。

管理コンソールのUI変更は2026年下半期にかけて段階的とされています。

Q. 価格はいくらかかる?

A. 従量課金制で、利用規模により大きく変動する。

小規模な企業が『1つのエージェント+1コアCPU+10時間』程度なら数セント(数十円)で済む。

一方、本格運用で『数千件のメモリ+大量検索+Gemini 3 Pro』を使うと月額数千ドル(数十万円)に達する。

『電気代と同じで、使う量に応じて変わる』感覚。

具体的な料金表はGoogle Cloud公式ページに掲載済み。

Workspace EnterpriseやVertex AIの既存契約者には割引メニューも用意。

最初は月額数万円のスモールスタート、効果を見て拡大する企業が多いのが2026年春の傾向です。

Q. 個人開発者でも使える?

A. はい、Google Cloud無料枠+Agent Development Kit(ADK)のオープンソース版で個人開発が可能。

ADKはPython・Go・Java・TypeScriptに対応し、GitHubで公開済み。

ローカル環境やKubernetes・Cloud Runで自由に動かせる。

『料理レシピがネットで無料公開され、家でも作れる』感覚。

Geminiモデル自体は無料枠(月数百回まで)で試せる。

本格運用したい段階で有料プランに移行する流れが標準的。

Vertex AI時代から続く『開発者フレンドリー』な姿勢は維持。

2026年下半期、個人開発者向けハッカソンも予定と発表されています。

Q. OpenAIやAnthropicと比べてどっちがいい?

A. 用途で選ぶのが現実的。

『個人開発・スピード重視』ならOpenAI AgentKitがシンプルで早い。

『安全性・透明性最優先』ならAnthropic Claude Agent SDKが強み。

『大企業で多人数運用+ガバナンス重視』ならGoogle Gemini Enterprise Agent Platformが最適。

『野球・サッカー・テニスでルールが違うように、AIプラットフォームも特性が違う』感覚。

2026年4月時点では『3社並立』の状態で、明確な勝者はまだいない。

『マルチプラットフォーム運用』もADK・LangGraph・CrewAIなどで可能。

最初は1社で試し、業務に合わせて拡張するのが2026年型の正解です。

Q. 第8世代TPUは個人でも使える?

A. 2026年4月時点では一般提供前で、利用は2026年内に開始予定。

まずは大企業向けクラウド契約者から順次提供。

個人開発者はGoogle Colabや公式APIを通じて間接利用が中心。

『新型新幹線が、まずは出張族から使えるようになるイメージ』。

TPU 8tは大規模AI訓練向けで、月額数百万円のクラウド契約が必要。

TPU 8iは推論向けで、API経由なら月額数千円から間接利用可能。

1ドルあたり80%の効率改善で、結果的にAPI料金も下がる見込み。

Geminiの料金値下げも2026年下半期に予定されていると業界紙が報じています。

まとめ

  • 2026年4月22日発表:Google Cloud Next ’26で『Gemini Enterprise Agent Platform』を公開、Vertex AIを統合・改名
  • 4層構成:Build(Agent Studio・ADK)/Scale(Runtime・Memory)/Govern(Identity・Gateway)/Optimize(Simulation・Observability)
  • 第8世代TPU:訓練用『8t』はIronwood比3倍・121ExaFlops、推論用『8i』は1ドル80%効率向上、2026年内一般提供
  • Cross-Cloud Lakehouse:AWSやAzureのデータをコピーせず横断クエリ、Apache Iceberg準拠
  • 1100億円ファンド:パートナー向けに$750Mのイノベーション基金、エコシステム全体を巻き込む戦略
  • 競合構図:OpenAI(開発者向け)/Anthropic(安全性)/Google(フルスタック)の3社並立時代へ
  • 次のアクションGoogle Cloud公式『Gemini Enterprise Agent Platform』ページで機能と料金を確認するのが第一歩

『AIエージェントを企業で安全に動かすためのインフラが、ついに1社で完結する時代が来た』——Googleが2026年4月22日に放った大改編は、2026年下半期のAI業界全体を再編する号砲。

OpenAIの開発者寄り、Anthropicの安全寄り、Googleのフルスタック寄り、3社の哲学が鮮明に分かれた。

日本市場でも東京・大阪リージョン対応で楽天・NTT・三菱UFJなど主要企業が即座に動き始める。

『中小企業のIT担当、マーケター、データサイエンティスト、誰にとっても「どのAI基盤を選ぶか」が業務効率を分ける時代の幕開け』——2026年は『AIエージェント基盤元年』として記憶されるかもしれません。

参考文献

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