ProducerAI完全解説|Google買収のAI音楽プラットフォーム、Lyria 3搭載で会話型楽曲制作の新時代

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • GoogleがAI音楽制作プラットフォーム「ProducerAI」(旧Riffusion)を買収し、Google Labsに統合
  • Google DeepMindの最新音楽生成モデル「Lyria 3」を搭載。最長3分のフル楽曲を構造的に生成
  • AIと対話しながら楽曲を作り込む「会話型プロデューサー」方式。従来のプロンプト一発生成とは一線を画す
  • 自然言語でカスタム楽器・エフェクトを作れる「Spaces」機能が革新的
  • Suno・Udioとの競合激化。YouTube楽曲ライセンスによる法的優位性が差別化ポイント

「AIに曲を作らせたら、なんか微妙だった」——そんな経験はありませんか?プロンプトを1回入力して、出てきた曲をそのまま使う。従来のAI音楽生成はそういうものでした。しかしGoogleが買収したProducerAIは、まったく違うアプローチを取ります。AIと会話しながら楽曲を練り上げる、いわば「AIプロデューサーとのスタジオセッション」。Google DeepMindの最新モデルLyria 3を搭載し、AI音楽制作の新しい標準を打ち立てようとしています。

ProducerAIとは何か|Riffusionからの進化

ProducerAIは、GoogleがGoogle Labsに統合したAI音楽制作プラットフォームです。

  • 前身 — 2022年12月にオープンソースプロジェクト「Riffusion」として誕生。バイラルで話題に
  • 創業者 — Seth ForsgenとHayk Martirosが設立
  • 資金調達 — Greycroft主導で400万ドルのシード調達。The Chainsmokers(世界的DJ/プロデューサー)がアドバイザー
  • 買収 — 2026年2月24日、Googleが買収を発表。チーム全体がGoogle Labsに移籍
  • 基盤モデル — Google DeepMindのLyria 3(音楽生成)、Gemini(チャット)、Nano Banana(アルバムアート)、Veo(ミュージックビデオ)

たとえるなら、ProducerAIは「個人練習室からプロのレコーディングスタジオに引っ越した」ようなもの。Riffusion時代の実験的なツールが、Googleの最先端AIインフラに接続されたことで、プロ品質の制作環境に進化しました。

会話型プロデューサー|「プロンプト一発」ではない音楽制作

ProducerAIが従来のAI音楽ツール(Suno、Udio等)と根本的に異なるのは、制作プロセスそのものです。

  • 従来のAI音楽生成 — テキストプロンプトを入力 → AIが楽曲を1回で生成 → 気に入らなければ再生成
  • ProducerAI — AIエージェントと対話しながら歌詞を練り、アレンジを変え、ジャンルを入れ替え、反復的に楽曲を磨く

たとえるなら、従来のAI音楽生成が「自販機でジュースを買う」だとすれば、ProducerAIは「バーテンダーと相談しながらカクテルを作る」体験。「もうちょっとベースを強くして」「サビの前にブリッジを入れたい」といった細かい調整を、自然言語で会話しながら進められます。

Lyria 3|Google DeepMindの音楽生成モデル

ProducerAIの心臓部が、Google DeepMindが開発したLyria 3です。

  • 楽曲の長さ — 最長3分のフル楽曲を生成。短いループではなく、イントロ・ヴァース・コーラス・ブリッジの構造を持った楽曲
  • 音楽的理解 — リズム、アレンジメント、楽曲構成を理解。テンポや歌詞のタイムライン同期も対応
  • SynthID透かし — すべての出力にGoogleのSynthID電子透かしが埋め込まれ、AI生成であることを識別可能
  • 利用可能プラットフォーム — Geminiアプリ、Google AI Studio、Gemini API、Vertex AI、Google Vids、ProducerAI

2026年3月にはさらに進化したLyria 3 Proもリリースされ、プロフェッショナルグレードの音質と高度な構造制御が実現されています。

Spaces機能|自然言語でカスタム楽器を作る

ProducerAI最大の革新が「Spaces」機能です。

  • 概要 — 自然言語でカスタム仮想楽器やオーディオエフェクトを作成できる機能
  • 使い方 — 「80年代のシンセサイザーのような音」「雨の中のピアノの響き」と言葉で説明するだけ
  • 技術不要 — コード、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)、プラグインの知識は一切不要
  • ノードベース環境 — シンプルなキーボードから複雑なモジュラーオーディオパッチング環境まで対応

たとえるなら、Spacesは「言葉で楽器を発明できる工房」。「こんな音が欲しい」と言えば、世界に存在しないオリジナル楽器をAIが生み出します。これは従来のどのAI音楽ツールにもない、ProducerAI独自の強みです。

競合比較|Suno・Udioとの違い

AI音楽生成市場は2026年、3強が激しく競争しています。

  • Suno v5.5 — 最も幅広いスタイルで安定した品質。最大12ステムのエクスポート対応でDAW連携に強い。月額約24ドル(年額プラン)
  • Udio — 無料枠あり。Standard 月額10ドル、Pro 月額30ドル。独自の音響特性で差別化
  • ProducerAI(Lyria 3) — 会話型制作、Spaces機能、Google検索グラウンディングで差別化。月額6ドル〜(ProducerAI単体)。Gemini経由では月額19.99〜99.99ドル

ProducerAIの最大の法的優位性は、YouTube楽曲ライセンスに基づくトレーニングデータ。SunoやUdioが著作権訴訟リスクを抱える中、Googleは既存のレーベル契約を活用して法的リスクを大幅に低減しています。商用利用を考えるビジネスユーザーにとって、これは決定的な差別化要因です。

日本への影響|音楽制作の民主化

ProducerAIの登場は、日本の音楽シーンにも大きな影響を与えます。

  • 個人クリエイター — VTuber、ゲーム制作者、SNSクリエイターがオリジナルBGMを自作可能に
  • 企業利用 — CM、プロモーション動画、店舗BGMの制作コストが劇的に低下
  • 法的安心感 — YouTubeライセンスベースのため、商用利用時の著作権リスクが低い
  • 課題 — JASRACとAI生成楽曲の権利関係は未整備。日本語歌詞の品質も発展途上

よくある質問(FAQ)

Q. ProducerAIは無料で使えますか?

はい。producer.aiで無料プランが提供されています。有料プランは月額6ドルから。Geminiアプリ経由で利用する場合は、Google AI Plusサブスクリプション(月額19.99ドル、1日10曲まで)が必要です。250か国以上で利用可能です。

Q. SunoやUdioと何が違いますか?

最大の違いは制作プロセスです。Suno/Udioがプロンプト入力→一発生成なのに対し、ProducerAIはAIと対話しながら反復的に楽曲を磨く方式。加えて、自然言語でカスタム楽器を作れるSpaces機能は他社にない独自機能です。

Q. 生成した楽曲を商用利用できますか?

有料プランでは商用利用が可能です。すべての出力にはSynthID電子透かしが埋め込まれ、AI生成であることが識別可能です。ただし、詳細な利用条件はGoogleの利用規約を確認してください。

Q. Riffusionとの関係は?

ProducerAIはRiffusionの後継サービスです。2022年にオープンソースプロジェクトとして始まったRiffusionが、ProducerAIとして法人化。2026年2月にGoogleに買収され、Google Labsに統合されました。創業チーム全体がGoogleに移籍しています。

まとめ

この記事のポイントを振り返りましょう。

  • GoogleがAI音楽プラットフォームProducerAI(旧Riffusion)を買収し、Google Labsに統合
  • Google DeepMindのLyria 3搭載で、最長3分の構造化されたフル楽曲を生成可能
  • 会話型制作でAIと対話しながら楽曲を磨く、従来とは異なるアプローチ
  • Spaces機能で自然言語からカスタム楽器・エフェクトを作成可能
  • YouTubeライセンスベースのトレーニングで法的リスクを低減。商用利用に強み

AI音楽制作は「プロンプトを入力して祈る」フェーズから、「AIと一緒にスタジオで作り込む」フェーズに進化しました。ProducerAIの登場は、音楽制作の専門知識がなくても、プロ品質の楽曲を生み出せる時代の到来を告げています。The Chainsmokerのようなトッププロデューサーがアドバイザーに名を連ねる事実が、このツールのポテンシャルを物語っています。

参考文献

  • Google Blog. (2026). ProducerAI: Your music creation partner, now in Google Labs. Google Blog
  • TechCrunch. (2026). Music generator ProducerAI joins Google Labs. TechCrunch
  • Music Ally. (2026). Google buys AI-music startup ProducerAI – formerly Riffusion. Music Ally
  • Billboard. (2026). Google Acquires AI Music Startup ProducerAI. Billboard
  • MusicRadar. (2026). Google’s ProducerAI can create customized instruments and effects in your browser. MusicRadar

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