- GoogleがAI音楽制作プラットフォーム「ProducerAI」(旧Riffusion)を買収し、Google Labsに統合
- Google DeepMindの最新音楽生成モデル「Lyria 3」を搭載。最長3分のフル楽曲を構造的に生成
- AIと対話しながら楽曲を作り込む「会話型プロデューサー」方式。従来のプロンプト一発生成とは一線を画す
- 自然言語でカスタム楽器・エフェクトを作れる「Spaces」機能が革新的
- Suno・Udioとの競合激化。YouTube楽曲ライセンスによる法的優位性が差別化ポイント
「AIに曲を作らせたら、なんか微妙だった」——そんな経験はありませんか?プロンプトを1回入力して、出てきた曲をそのまま使う。
従来のAI音楽生成はそういうものでした。
しかしGoogleが買収したProducerAIは、まったく違うアプローチを取ります。
AIと会話しながら楽曲を練り上げる、いわば「AIプロデューサーとのスタジオセッション」。
Google DeepMindの最新モデルLyria 3を搭載し、AI音楽制作の新しい標準を打ち立てようとしています。
ProducerAIとは何か|Riffusionからの進化
ProducerAIは、GoogleがGoogle Labsに統合したAI音楽制作プラットフォームです。
- 前身 — 2022年12月にオープンソースプロジェクト「Riffusion」として誕生。バイラルで話題に
- 創業者 — Seth ForsgenとHayk Martirosが設立
- 資金調達 — Greycroft主導で400万ドルのシード調達。The Chainsmokers(世界的DJ/プロデューサー)がアドバイザー
- 買収 — 2026年2月24日、Googleが買収を発表。チーム全体がGoogle Labsに移籍
- 基盤モデル — Google DeepMindのLyria 3(音楽生成)、Gemini(チャット)、Nano Banana(アルバムアート)、Veo(ミュージックビデオ)
たとえるなら、ProducerAIは「個人練習室からプロのレコーディングスタジオに引っ越した」ようなもの。Riffusion時代の実験的なツールが、Googleの最先端AIインフラに接続されたことで、プロ品質の制作環境に進化しました。
会話型プロデューサー|「プロンプト一発」ではない音楽制作
ProducerAIが従来のAI音楽ツール(Suno、Udio等)と根本的に異なるのは、制作プロセスそのものです。
- 従来のAI音楽生成 — テキストプロンプトを入力 → AIが楽曲を1回で生成 → 気に入らなければ再生成
- ProducerAI — AIエージェントと対話しながら歌詞を練り、アレンジを変え、ジャンルを入れ替え、反復的に楽曲を磨く
たとえるなら、従来のAI音楽生成が「自販機でジュースを買う」だとすれば、ProducerAIは「バーテンダーと相談しながらカクテルを作る」体験。「もうちょっとベースを強くして」「サビの前にブリッジを入れたい」といった細かい調整を、自然言語で会話しながら進められます。
Lyria 3|Google DeepMindの音楽生成モデル
ProducerAIの心臓部が、Google DeepMindが開発したLyria 3です。
- 楽曲の長さ — 最長3分のフル楽曲を生成。短いループではなく、イントロ・ヴァース・コーラス・ブリッジの構造を持った楽曲
- 音楽的理解 — リズム、アレンジメント、楽曲構成を理解。テンポや歌詞のタイムライン同期も対応
- SynthID透かし — すべての出力にGoogleのSynthID電子透かしが埋め込まれ、AI生成であることを識別可能
- 利用可能プラットフォーム — Geminiアプリ、Google AI Studio、Gemini API、Vertex AI、Google Vids、ProducerAI
2026年3月にはさらに進化したLyria 3 Proもリリースされ、プロフェッショナルグレードの音質と高度な構造制御が実現されています。
Spaces機能|自然言語でカスタム楽器を作る
ProducerAI最大の革新が「Spaces」機能です。
- 概要 — 自然言語でカスタム仮想楽器やオーディオエフェクトを作成できる機能
- 使い方 — 「80年代のシンセサイザーのような音」「雨の中のピアノの響き」と言葉で説明するだけ
- 技術不要 — コード、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)、プラグインの知識は一切不要
- ノードベース環境 — シンプルなキーボードから複雑なモジュラーオーディオパッチング環境まで対応
たとえるなら、Spacesは「言葉で楽器を発明できる工房」。
「こんな音が欲しい」と言えば、世界に存在しないオリジナル楽器をAIが生み出します。
これは従来のどのAI音楽ツールにもない、ProducerAI独自の強みです。
競合比較|Suno・Udioとの違い
AI音楽生成市場は2026年、3強が激しく競争しています。
- Suno v5.5 — 最も幅広いスタイルで安定した品質。最大12ステムのエクスポート対応でDAW連携に強い。月額約24ドル(年額プラン)
- Udio — 無料枠あり。Standard 月額10ドル、Pro 月額30ドル。独自の音響特性で差別化
- ProducerAI(Lyria 3) — 会話型制作、Spaces機能、Google検索グラウンディングで差別化。月額6ドル〜(ProducerAI単体)。Gemini経由では月額19.99〜99.99ドル
ProducerAIの最大の法的優位性は、YouTube楽曲ライセンスに基づくトレーニングデータ。
SunoやUdioが著作権訴訟リスクを抱える中、Googleは既存のレーベル契約を活用して法的リスクを大幅に低減しています。
商用利用を考えるビジネスユーザーにとって、これは決定的な差別化要因です。
日本への影響|音楽制作の民主化
ProducerAIの登場は、日本の音楽シーンにも大きな影響を与えます。
- 個人クリエイター — VTuber、ゲーム制作者、SNSクリエイターがオリジナルBGMを自作可能に
- 企業利用 — CM、プロモーション動画、店舗BGMの制作コストが劇的に低下
- 法的安心感 — YouTubeライセンスベースのため、商用利用時の著作権リスクが低い
- 課題 — JASRACとAI生成楽曲の権利関係は未整備。日本語歌詞の品質も発展途上
よくある質問(FAQ)
Q. ProducerAIは無料で使えますか?
はい。
producer.aiで無料プランが提供されています。
有料プランは月額6ドルから。
Geminiアプリ経由で利用する場合は、Google AI Plusサブスクリプション(月額19.99ドル、1日10曲まで)が必要です。
250か国以上で利用可能です。
Q. SunoやUdioと何が違いますか?
最大の違いは制作プロセスです。
Suno/Udioがプロンプト入力→一発生成なのに対し、ProducerAIはAIと対話しながら反復的に楽曲を磨く方式。
加えて、自然言語でカスタム楽器を作れるSpaces機能は他社にない独自機能です。
Q. 生成した楽曲を商用利用できますか?
有料プランでは商用利用が可能です。
すべての出力にはSynthID電子透かしが埋め込まれ、AI生成であることが識別可能です。
ただし、詳細な利用条件はGoogleの利用規約を確認してください。
Q. Riffusionとの関係は?
ProducerAIはRiffusionの後継サービスです。
2022年にオープンソースプロジェクトとして始まったRiffusionが、ProducerAIとして法人化。
2026年2月にGoogleに買収され、Google Labsに統合されました。
創業チーム全体がGoogleに移籍しています。
まとめ
この記事のポイントを振り返りましょう。
- GoogleがAI音楽プラットフォームProducerAI(旧Riffusion)を買収し、Google Labsに統合
- Google DeepMindのLyria 3搭載で、最長3分の構造化されたフル楽曲を生成可能
- 会話型制作でAIと対話しながら楽曲を磨く、従来とは異なるアプローチ
- Spaces機能で自然言語からカスタム楽器・エフェクトを作成可能
- YouTubeライセンスベースのトレーニングで法的リスクを低減。商用利用に強み
AI音楽制作は「プロンプトを入力して祈る」フェーズから、「AIと一緒にスタジオで作り込む」フェーズに進化しました。
ProducerAIの登場は、音楽制作の専門知識がなくても、プロ品質の楽曲を生み出せる時代の到来を告げています。
The Chainsmokerのようなトッププロデューサーがアドバイザーに名を連ねる事実が、このツールのポテンシャルを物語っています。
参考文献
- Google Blog. (2026). ProducerAI: Your music creation partner, now in Google Labs. Google Blog
- TechCrunch. (2026). Music generator ProducerAI joins Google Labs. TechCrunch
- Music Ally. (2026). Google buys AI-music startup ProducerAI – formerly Riffusion. Music Ally
- Billboard. (2026). Google Acquires AI Music Startup ProducerAI. Billboard
- MusicRadar. (2026). Google’s ProducerAI can create customized instruments and effects in your browser. MusicRadar


