活用率98%GMOが導く|AI使いこなす人5つの特徴

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • GMOインターネットグループの5353人調査で、生成AI業務活用率が97.8%に到達
  • AIエージェント活用率は71.4%で、半年で28.4ポイント急伸
  • 月間35.2万時間(約2,203人分の労働力)の業務削減を実現
  • 本番データ消失などの事故事例も発生し、「人間の最終確認は必須」と警鐘
  • 使いこなす人に共通する5つの特徴を、現場コメントから抽出して紹介

「AIに任せたら本番データが消えた」。そんな事故が、グループ全体でAI活用率98%を誇るGMOインターネットグループの社内で実際に起きていました。

2026年4月に発表された5353人規模の社内調査は、AI普及の最前線にいる企業の「光と影」を生々しく映し出しています。何が変わり、誰が成果を出しているのか。データから読み解きます。

調査の全体像|5353人が答えた「AI業務活用」の今

GMOインターネットグループは、国内パートナー全員を対象に定点調査を続けています。今回の調査期間は2026年3月9日から13日、有効回答数は5,353人にのぼります。

回答者は正社員だけでなく、契約社員・アルバイト・派遣社員・業務委託まで含む全雇用形態。グループのリアルな実態を表す貴重なサンプルです。

活用率は97.8%まで到達

生成AIを業務で使っているパートナーは97.8%。前回調査から1.6ポイント上昇しました。

そして「ほぼ毎日活用している」と答えた人は83.7%。前回より8.3ポイントも増えています。

つまり「使ったことがある」ではなく、「日常の道具」になっている状態です。

AIエージェントは半年で2.6倍

もうひとつ衝撃的な数字が、AIエージェント(自分で考えて作業をこなす自律型AI)の活用率です。

71.4%のパートナーが業務で使っていると回答しました。前回比でなんと+28.4ポイントの急伸です。

「使っているイメージがある」を含めると89.6%に達します。エージェント時代が現場で本格化したことを示す数字です。

月間35.2万時間削減|2,203人分の労働力が浮く

注目すべきは、効率化の規模です。グループ全体で月間約35.2万時間の業務時間を削減したと報告されました。前回比で6.3万時間の上乗せです。

1人あたりに換算すると月間53.9時間。1日2時間以上のゆとりが生まれた計算になります。

この削減時間を労働力に換算すると、約2,203人分に相当します。中規模企業1社分の人員を、AIが「捻出」していると言えます。

Claudeが2倍|ChatGPT離れの兆し

使われているAIにも変化が見えました。ChatGPTの利用は減少傾向にある一方、Claudeの利用率が約2倍に急伸しています。

背景にはClaude CodeやClaude Coworkといった新サービスの登場があります。エンジニア向け機能の充実が、現場での乗り換えを促しているようです。

複数のAIサービスを使い分けるパートナーは91.5%。1つに依存せず、目的別にツールを選ぶのが当たり前になっています。

「本番データ消失」事故が示すAI任せの危険

輝かしい数字の裏で、深刻な事故も報告されています。

あるパートナーは「AIがデータマイグレーション時に不要そうなフィールドを勝手に削除し、本番データが消えたことがある」と告白しました。

データマイグレーションとは、システム移行時に古いデータベースから新しいデータベースへ情報を移す作業です。一度消えた本番データを完全復旧するのは極めて困難です。

「任せすぎ」が事故を生む

調査では「設計判断やビジネスロジックの検証は自分で行う」という認識が広がっていることも明らかになりました。

AIに丸投げすると、本来は人間が判断すべき場面まで自動で進んでしまいます。結果、取り返しのつかない事態を招きます。

ハルシネーション(AIが事実と異なる情報を生成する現象)はゼロにならない。これは現場の共通認識として刻まれています。

AIを使いこなす人の5つの特徴

調査では、社内で「使いこなしている」と評価されるパートナーの共通点も抽出されました。コメントから浮かび上がった5つを紹介します。

特徴1|AIと人の境界線を明確にできる

「AIは道具であり、判断は人間がする」。この境界線を常に意識している人が成果を出しています。

どこまで任せて、どこから自分でチェックするか。線引きが曖昧だと、先ほどのデータ消失のような事故が起こります。

特徴2|複数AIの特性を理解し使い分ける

ChatGPT・Claude・Gemini・Gensparkなど、それぞれ得意分野が違います。文章生成、コード生成、リサーチ、画像生成——目的に応じてツールを切り替える人が成果を最大化しています。

有料サービス契約率が82.0%に達したのも、目的別に課金してでも使い分けたい人が増えた証拠です。

特徴3|プロンプトより「目的の言語化」が上手い

意外にも「プロンプトエンジニアリングのテクニック」より重視されていたのは、目的を明確に言葉にする力でした。

「何のために、誰に向けて、どんな成果物が欲しいのか」を言葉にできる人ほど、短いプロンプトでも欲しい答えを引き出せます。逆に目的が曖昧だと、どれだけテクニックを駆使しても出力はブレます。

特徴4|まず触ってみる試行錯誤の姿勢

「難しく考えるよりまず触ってみて、楽しみながら試行錯誤している人」というコメントが目立ちました。

AI業界は週単位で新サービスが登場します。情報収集だけで止まらず、実際に手を動かして検証する姿勢が差を生みます。

特徴5|AI・人・RPAを組み合わせて全体最適化する

5つ目は、視野の広さです。「どこをAIに任せ、どこを人がやるか」だけでなく、RPA(ロボットによる業務自動化)など他の自動化ツールも組み合わせる視点を持っています。

業務全体を俯瞰し、それぞれの強みを活かす設計をするのが、本当の意味で使いこなしている人の姿です。

日本企業への示唆|中堅・中小企業はどう動くべきか

GMOの数字は驚異的ですが、すべての企業がすぐに真似できるわけではありません。日本の中堅・中小企業がこの結果から学べることを整理します。

スキル教育より「文化づくり」が先

GMOが急速に活用率を上げた要因は、社内文化です。新サービスを試すことを奨励し、失敗事例も共有する。この透明性が成功と失敗の両方を加速させています。

研修だけ充実させても、現場が「触れる空気」がなければ定着しません。

事故前提でガードレールを敷く

本番データ消失のような事故は、AI活用が進む企業ほど直面します。日本企業も以下のような備えが必要です。

  • 本番環境とテスト環境を厳密に分離する
  • AIに任せる範囲をルール化して文書化する
  • 変更履歴とロールバック手順を整備する
  • 定期的にバックアップを取得する

「目的の言語化」研修が必須

プロンプトの書き方より、業務の目的を明確に言葉にする訓練が効果的です。これは管理職や中堅社員にこそ必要なスキルです。

他社調査との比較|GMOは突出しているのか

他の調査と比べると、GMOの数字は明らかに突出しています。

2026年5月発表のアクト社「白書」では、日本企業の生成AI利用率は7割超とされる一方で、その多くが「隠れAI(会社に隠れて個人で使うAI)」だと報告されました。

つまり、組織として正式に導入し、毎日使えている企業はまだ少数派。GMOは「先進事例」というより「日本企業の到達目標」と捉えるべきです。

業界別では、IT・Web系企業の活用が先行し、製造業・金融業は慎重な姿勢が続いています。業種特性に応じた段階的導入が現実解です。

よくある質問(FAQ)

Q1|GMOのAI活用率97.8%は本当ですか?

はい、本物です。GMOインターネットグループが2026年3月9日から13日に実施した社内調査で、5,353人のパートナー(全雇用形態)から得られた有効回答に基づきます。プレスリリースで詳細が公開されています。

Q2|本番データ消失は具体的にどうやって起きたのですか?

AIにデータベース移行作業を任せた際、AIが「不要そう」と判断したフィールドを勝手に削除したためです。本来は人間が確認すべき設計判断をAIに委ねたことが原因でした。AIエージェントの自律性が高まるほど、こうしたリスクは増えます。

Q3|中小企業でもAI活用率を上げる現実的な方法は?

まず特定の部署や業務に限定して導入し、成功事例を社内に広げるのが効果的です。文字起こし・議事録要約・メール下書きなど、失敗しても被害が少ない領域から始めましょう。月数千円のChatGPT Plus契約から試せます。

Q4|なぜClaudeの利用が急増しているのですか?

Claudeはコード生成の精度が高く、長文の読解にも強いとされています。エンジニア向けのClaude Codeや、Microsoft 365と連携するClaude Coworkといった新サービスが2026年に登場したことも、利用増の追い風です。GMOでは複数AIの併用が前提のため、用途に合わせて切り替えやすい環境が整っています。

まとめ|「使いこなす」の正体は技術より姿勢

GMOの調査が教えてくれるのは、AI活用の本質は技術ではなく姿勢だということです。

  • 活用率97.8%・月間35.2万時間削減という圧倒的な実績
  • 本番データ消失のような事故も「任せすぎ」で発生する
  • 使いこなす人は「境界線」「使い分け」「目的の言語化」「試行錯誤」「全体最適化」が共通点
  • 日本企業はGMOを目標として、文化づくりとガードレール整備から始めるべき

明日からできる第一歩は、自分が普段使っているAIに「今やっている作業を、何のためにやっているか」を説明してみることです。目的の言語化能力は、そこから磨かれます。

参考文献

  • @IT「AIに任せ過ぎて本番データ消失──活用率98%のGMOが導き出した、生成AIを使いこなせる人の5つの特徴」(2026年5月28日)
  • GMOインターネットグループ「AIエージェント業務活用率が約7割に急伸、月間35.2万時間の業務削減を実現」(2026年4月9日)
  • PR TIMES「AIエージェント業務活用率が約7割に急伸【GMOインターネットグループ】」(2026年4月9日)
  • commercepick「GMOインターネットグループ、生成AI業務活用率97.8%を達成」
  • ITmedia ビジネスオンライン「AIエージェント活用率71%に急伸 GMO調査で見えた『業務浸透』」

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