- 中国のAI企業Z.aiが、最新モデル「GLM-5.2」を2026年6月に無料公開すると発表しました
- 米政府がClaude(クロード)を停止した同じ日に発表され、世界中で注目を集めています
- 100万トークン対応・744億パラメータと、本格的なコーディング向け性能を持ちます
- MITライセンスで配布され、企業でも無料・商用利用が可能です
- 日本のユーザーや企業も、すぐにダウンロードして使えるようになります
「高性能なAIは、結局アメリカの大企業のものなんでしょ?」と思ったことはありませんか。その常識をくつがえす出来事が、2026年6月に起きました。
中国のAI企業が、トップクラスのAIモデルを無料で公開すると発表したのです。しかもそのタイミングが、なんとも意味深でした。この記事を読むと、いま世界のAI勢力図がどう動いているかがわかります。
GLM-5.2とは?6月に無料公開される中国発AI
GLM-5.2(ジーエルエム・ファイブ・ツー)は、中国のAI企業「Z.ai(ゼットエーアイ)」が作った最新の生成AIです。
Z.aiは、もともと「Zhipu AI(ジーピューエーアイ/智譜AI)」という名前で知られた企業です。中国を代表するAI開発会社のひとつです。
このGLM-5.2が発表されたのは、2026年6月13日です。
特徴は、ただ発表されただけではない点です。Z.aiは「6月の第3週に、誰でも自由にダウンロードして使えるようにする」と宣言しました。
つまり、最先端のAIを無料で配るという大胆な決断です。世界中の開発者が、このニュースに一気に注目しました。
なぜ今?Claude停止という追い風
GLM-5.2の発表が世界中で大きく報じられたのには、理由があります。
発表されたのとまったく同じ日に、アメリカで大きな事件が起きていました。AI大手アンソロピックの主力モデル「Claude(クロード)」が、米政府の命令で停止されたのです。
停止されたのは、最新の「Claude Fable 5」や「Claude Mythos 5」でした。多くのユーザーが突然使えなくなり、混乱が広がりました。
Z.aiの創業者ジエ・タン氏は、この出来事についてこう述べています。「技術以外の理由で最先端モデルへのアクセスが突然絶たれた。これは『科学は世界共通であるべきだ』という私たちの信念を強めるものだ」。
言いかえると、「アメリカが閉じるなら、私たちが開く」というメッセージです。タン氏は「最先端のAIは、オープンで、誰もが使えて、開発に役立つものであるべきだ」とも語りました。
こうした政治的な背景があったため、GLM-5.2は単なる新製品以上の意味を持つニュースになりました。
GLM-5.2のスゴさ|100万トークンと744億パラメータ
では、GLM-5.2は技術的にどれくらいすごいのでしょうか。具体的な数字を見ていきましょう。
一度に読める量がケタ違い
GLM-5.2は、一度に100万トークンもの情報を読み込めます。トークンとは、AIが文章を処理するときの「単語のかたまり」のような単位です。
100万トークンは、文庫本にすると数冊分にあたります。長い契約書やプログラムのコード全体を、まるごと渡して理解させられます。
ひとつ前のモデル(GLM-5.1)は20万トークンでした。今回はその約5倍に広がった計算です。
巨大な頭脳を効率よく動かす仕組み
GLM-5.2の規模は、744億パラメータという巨大なものです。パラメータとは、AIの賢さを支える「脳のつなぎ目」の数だと思ってください。
ただし、いつも全部を動かすわけではありません。質問に応じて必要な部分だけ(約40億パラメータ)を使う「MoE(混合エキスパート)」という省エネな仕組みを採用しています。
例えるなら、巨大な会社の中から、その仕事に詳しい担当者だけを呼び出して対応させるイメージです。大きいのに、動きはムダがありません。
さらに、最大で8時間もの長い作業を、人の手を借りずに自分で進め続けられるとされています。プログラミングの自動化に強いモデルです。
気になる性能|Claude・GPTとどう違う?
「中国製で無料なら、性能は落ちるのでは?」と感じる人もいるでしょう。ここを比べてみます。
実は、ひとつ前のGLM-5.1の時点で、すでに世界トップ級に近づいていました。プログラミング能力を測る「SWE-bench Pro」というテストでは、GLM-5.1が58.4点を記録しています。
これは、アンソロピックの「Claude Opus 4.6」の57.3点をわずかに上回る数字でした。無料で配るモデルが、有料の最先端モデルに肩を並べたのです。
主な違いを整理すると、次のようになります。
- GLM-5.2:MITライセンスで無料・公開。自分のパソコンや会社のサーバーで動かせる。中国製
- Claude(アンソロピック):非公開で有料。性能テストではトップ級だが、政治的な事情で停止されるリスクも見えた。米国製
- GPT(オープンAI):非公開で有料。総合力が高く利用者も多い。米国製
ちなみに、最新の最高峰モデル同士を比べると、Claudeなどが性能テストで先行している場面もあります。GLM-5.2が「すべてで一番」というわけではありません。
それでも、「無料でここまで使える」という点が、GLM-5.2の最大の強みです。
料金は?無料公開とGLM Coding Plan
GLM-5.2の使い方は、大きく分けて2つあります。
1つめは、6月の第3週に予定されているオープンモデルの無料公開です。MITライセンスという、とても自由なルールで配られます。
MITライセンスなら、個人だけでなく企業も、ほぼ制限なく無料で使えます。商品やサービスに組み込んでも問題ありません。
2つめは、Z.aiが提供する「GLM Coding Plan」という有料サービスです。発表当日から、ここでGLM-5.2が使えるようになっています。
料金は、おおよそ次のような3段階です(月あたりの目安)。
- Lite(ライト):約18ドル。手軽に試したい個人向け
- Pro(プロ):約30ドル。日常的に開発で使う人向け
- Max(マックス):約80ドル。たくさん使うチーム向け
うれしいことに、GLM-5.2はどのプランでも追加料金なしで使えます。すでに契約している人は、そのまま新モデルに乗りかえられます。
日本のユーザー・企業にどう関係する?
「中国のAIだから、日本では関係ないのでは?」と思うかもしれません。でも、影響は意外と身近です。
まず、GLM-5.2はオープンモデルなので、日本からでも自由にダウンロードして使えます。日本のメディアでも、すでに大きく報じられました。
ある日本のIT企業の開発チームを想像してみてください。これまでは月数万円の海外AIに頼っていました。GLM-5.2なら、自社のサーバーに入れて無料で動かせます。
しかも、自社サーバーで動かせば、データを外部に送らずに済みます。顧客情報を扱う企業にとって、これは大きな安心材料です。
個人の開発者にも恩恵があります。これまで予算の都合であきらめていた高性能AIが、無料で手に入るからです。アプリ開発や学習のハードルがぐっと下がります。
一方で、注意点もあります。中国製AIのため、企業によってはセキュリティや情報管理の観点から慎重に検討する必要があるでしょう。導入前に社内ルールを確認することが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1. GLM-5.2は本当に無料で使えますか?
はい。2026年6月の第3週に、MITライセンスで無料公開される予定です。個人も企業も、ほぼ制限なく使えます。ただし、Z.aiの有料サービス「GLM Coding Plan」を使う場合は月額料金がかかります。
Q2. 日本語にも対応していますか?
GLMシリーズは多言語に対応しており、日本語でのやりとりも可能です。ただし、日本語専用の細かい性能データは、現時点では公開されていません。実際に試して確認するのがおすすめです。
Q3. なぜClaudeの停止と関係があるのですか?
GLM-5.2が発表された2026年6月13日は、米政府がClaudeを停止した日と重なっていました。「アメリカが閉じるなら、中国が開く」という対比が際立ち、世界中で話題になりました。
Q4. 普通のパソコンでも動かせますか?
744億パラメータの大きなモデルなので、家庭用パソコンで全機能を動かすのは難しいです。高性能なサーバーやGPUが必要になります。手軽に試すなら、Z.aiのオンラインサービス経由が現実的です。
Q5. プログラミング以外にも使えますか?
はい。GLM-5.2はコーディングに強いモデルですが、文章作成や調べもの、長い資料の要約など、幅広い用途に使えます。特に100万トークン対応なので、長い文書の処理が得意です。
まとめ
GLM-5.2の登場は、世界のAI勢力図を映す出来事でした。要点を振り返ります。
- 中国のZ.aiが、最新AI「GLM-5.2」を2026年6月に無料公開すると発表した
- 米政府がClaudeを停止した同じ日の発表で、世界の注目を集めた
- 100万トークン対応・744億パラメータと、本格的な性能を備える
- MITライセンスで配られ、企業でも無料・商用利用ができる
- 日本のユーザーや企業も自由に使えるが、情報管理には注意が必要
まずは公開後、自分の用途に合うかどうか、小さなプロジェクトで気軽に試してみましょう。

