- Gemini OmniはGoogleが「Google I/O 2026」で発表した新しいAIモデルです
- ただ動画を作るだけでなく、現実の物理を理解する「世界モデル」です
- Veo・Genie・Nano Bananaという3つのAIを1つに統合しています
- YouTubeショートで無料、有料プランは月7.99ドル(約1,200円)から使えます
- SoraなどライバルAIとの違いは「物理の理解」と「会話での編集」です
「AIが作った動画、なんだか動きが不自然…」。そう感じたことはありませんか?Googleが発表したGemini Omniは、その悩みに正面から向き合うAIです。動画を作るだけでなく、現実の物理法則まで理解します。この記事を読めば、その仕組みと使い方がまるごとわかります。
Gemini Omniとは?Google I/O 2026の目玉発表
2026年5月19日から20日にかけて、Googleの開発者向けイベント「Google I/O 2026」が開かれました。
その中で、最も注目を集めた発表が「Gemini Omni(ジェミニ・オムニ)」です。
これはGoogleのAI研究部門「Google DeepMind」が開発した、新しいAIモデルです。
Gemini Omniのキャッチフレーズは「どんな入力からでも、何でも作れる」。
つまり、文章・画像・音声・動画を自由に組み合わせて入力すると、AIが高品質な動画を作ってくれます。
発表したのはノーベル賞受賞者のデミス・ハサビス氏
Gemini Omniを発表したのは、Google DeepMindのCEOであるデミス・ハサビス氏です。
ハサビス氏は2024年にノーベル化学賞を受賞した、AI研究の第一人者です。
彼はGemini Omniを「ただの動画生成AIではない」と説明しました。
「世界モデル(world model)」と呼び、AGI(人間のように何でもこなせる汎用AI)へ近づく重要な一歩だと位置づけたのです。
「世界モデル」って何が違うの?
「世界モデル」という言葉は、少し難しく聞こえますよね。
かんたんに言うと、AIが現実の世界の仕組みを内側で理解しているということです。
これまでの動画AIは、たくさんの動画を見て「それらしい映像」を作っていました。
でも、物がどう動くか、重力でどう落ちるかまでは理解していませんでした。
だから、コップから水がこぼれる向きが変だったり、人の指が6本に増えたりしたのです。
Gemini Omniは違います。物理(物の動きや力のはたらき)や、空間の広がりを理解しています。
I/O 2026のデモでは、ビー玉が転がる動画が紹介されました。
その転がり方は、現実の物理法則どおりに正確だったといいます。
さらに、タンパク質が折りたたまれる様子を、ねんど細工風のアニメで再現してみせました。
これは見た目を似せただけでなく、科学的に正しい動きまで表現した例です。
「動画を作るAI」ではなく「考えてから作るAI」
Gemini Omniのいちばんの特徴は、動画を作る順番にあります。
従来の動画AIは、プロンプト(指示文)を入れると、いきなり映像を作りはじめます。
Gemini Omniは、まず「この場面で次に何が起きるべきか」を考えます。
そのうえで動画を作るのです。
だから、あとから「ここを直して」とお願いしても、最初から作り直す必要がありません。
必要な部分だけを賢く修正してくれます。
Gemini Omniでできること
Gemini Omniは、まったく新しい技術をゼロから作ったわけではありません。
Googleがこれまで育ててきた、3つの強力なAIを1つに束ねたものです。
3つのAIが合体している
Gemini Omniの中身は、次の3つで成り立っています。
- Veo(ヴェオ):文章や画像から動画を作るAI。最新版は「Veo 3.1」です
- Genie(ジーニー):物や環境、物理が時間とともにどう動くかをシミュレーションするAIです
- Nano Banana(ナノバナナ):画像を自由に編集するAIです
これらに、Geminiの「考える力(推論エンジン)」を組み合わせました。
その結果、文章・画像・音声・動画をまたいで理解し、1本の動画にまとめられるようになったのです。
具体的にこんな使い方ができます
たとえば、小さなお店を経営する人を考えてみましょう。
新商品を紹介する動画を作りたいけれど、撮影の機材も時間もありません。
そんなとき、商品の写真を1枚アップして「明るいカフェで使っている様子を15秒で」と打ち込むだけ。
Gemini Omniが、それらしい動画を作ってくれます。
学校の先生が、授業の準備をする場面も想像してみてください。
「火山が噴火する仕組み」を言葉で説明しても、生徒はなかなかピンときません。
Gemini Omniなら、物理的に正しい噴火のアニメを数分で用意できます。
YouTubeでショート動画を投稿している人にも便利です。
撮った動画に「背景を夜の街に変えて」「猫を1匹追加して」と話しかけるだけ。
専門的な編集ソフトを使わなくても、動画を作り変えられます。
料金プランと使い方
気になるのは料金ですよね。Gemini Omniは、無料でも有料でも使えます。
まずは「Gemini Omni Flash」から
第1弾として登場したのが「Gemini Omni Flash」です。
「Flash」は軽くて速いタイプ、という意味です。
発表と同時に、有料プランの加入者向けに提供が始まりました。
さらに上位の「Omni Pro」も予定されていますが、詳しい内容は後日発表とのことです。
無料で使う方法と有料プランの値段
うれしいことに、Gemini Omniは無料でも試せます。
YouTubeショートと、YouTube Createアプリで、無料の提供が2026年5月中に始まります。
もっと本格的に使いたい人には、有料プランがあります。料金は次のとおりです。
- Google AI Plus:月7.99ドル(約1,200円)
- Google AI Pro:月19.99ドル(約3,000円)
- Google AI Ultra:月99.99ドル(約1万5,000円)
有料プランでは、GeminiアプリやGoogle Flow(Googleの映像制作ツール)でも使えます。
プランが上がるほど、たくさんの動画を生成できるようになります。
AIが作った動画には「印」がつく
Gemini Omniで作った動画には、すべて「SynthID(シンスID)」という印が埋め込まれます。
これは目に見えないデジタルの透かしです。
「この動画はAIが作ったもの」と、あとから確認できる仕組みです。
偽の動画が世の中に広がるのを防ぐための、大切な安全対策といえます。
Sora・Runwayなど競合との違い
動画を作るAIは、Gemini Omniだけではありません。ライバルもたくさんいます。
主な競合サービス
- Sora(ソラ):OpenAIの動画生成AIです。リアルな映像づくりが得意です
- Runway(ランウェイ):プロの映像クリエイターに人気のAIです
- Adobe Firefly:画像・動画編集ソフトに組み込まれたAIです
これらはどれも「指示を出すと動画を作る」という点では同じです。
Gemini Omniならではの強み
では、Gemini Omniは何が違うのでしょうか。ポイントは2つあります。
1つ目は、すでに説明した物理の理解です。
DeepMindの世界モデル研究をベースにしているため、動きの自然さで一歩リードしています。
2つ目は、会話しながら編集できることです。
多くの動画AIは、修正のたびに動画を最初から作り直します。
Gemini Omniは、何度でも対話で手直しでき、変えたくない部分はそのまま残せます。
とはいえ、Soraも進化を続けています。どちらが優れているかは、今後の使い勝手しだいといえるでしょう。
日本のユーザー・企業への影響
Gemini Omniは、日本でもすぐに身近な存在になりそうです。
日本語でも使える?
GeminiアプリやYouTubeは、日本でも日本語で使えます。
有料プランのAI Plus・Pro・Ultraも、日本から申し込めます。
YouTubeショートは、日本でもとても人気が高いサービスです。
無料版が広がれば、多くの日本人が自然にGemini Omniを使うことになります。
日本の企業や個人にとってのチャンス
動画制作は、これまでお金と時間がかかる作業でした。
中小企業や個人にとっては、ハードルが高かったのです。
Gemini Omniを使えば、商品紹介やマニュアル動画を、低コストで作れます。
たとえば、地方の小さな旅館が観光PR動画を自分たちで作る、といったことも可能になります。
一方で、注意も必要です。
AIが作った動画が増えると、本物と見分けるのが難しくなります。
SynthIDのような仕組みを理解し、情報を正しく見抜く力が、これまで以上に大切になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. Gemini Omniは今すぐ使えますか?
はい。有料プランの加入者は、発表と同時に「Gemini Omni Flash」を使えます。無料版も、2026年5月中にYouTubeショートとYouTube Createアプリで始まります。
Q2. 無料版と有料版で何が違いますか?
大きな違いは、使える場所と生成できる量です。無料版はYouTubeが中心です。有料版はGeminiアプリやGoogle Flowでも使え、たくさん生成できます。
Q3. Gemini Omniで作った動画は仕事に使えますか?
プランや利用規約によって条件が変わります。仕事で使う場合は、Googleの最新の利用規約を必ず確認してください。
Q4. SoraとGemini Omni、どちらを使えばいいですか?
リアルな映像づくりならSora、物理的に自然な動きや対話での編集を重視するならGemini Omniが向いています。両方を無料で試して、自分の目的に合うほうを選ぶのがおすすめです。
Q5. 「世界モデル」はAGIにつながるのですか?
デミス・ハサビス氏は、世界モデルをAGI(汎用AI)への重要な一歩と位置づけています。AIが現実の仕組みを理解することは、より賢いAIの土台になると考えられています。
まとめ
最後に、この記事の要点を振り返りましょう。
- Gemini Omniは、Google I/O 2026で発表された新しいAIモデルです
- 動画を作るだけでなく、現実の物理を理解する「世界モデル」です
- Veo・Genie・Nano Bananaという3つのAIを1つに統合しています
- YouTubeショートで無料、有料プランは月7.99ドル(約1,200円)から使えます
- 競合との違いは「物理の理解」と「会話での編集」です
まずはYouTubeショートやYouTube Createアプリで、無料のGemini Omniを試してみましょう。
参考文献
- Gemini Omni, the ‘create anything’ model, starts today with lifelike video(9to5Google)
- Google launches Gemini 3.5 Flash and Omni world model at I/O 2026(Tech Startups)
- Google Unveils Gemini Omni—A Next-Gen AI Video Builder That Can ‘Simulate the World’(Decrypt)
- Google I/O 2026:「Gemini 3.5 Flash」と「Gemini Omni」などを発表(テクノエッジ)
- Googleの新AIモデル「Gemini Omni」が発表(窓の杜)

