経営層の99%がAI人員削減を予想|何が起きる?

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • 世界的コンサル企業マーサーの調査で、経営層の99%が「2年以内にAIで人員削減が起きる」と回答
  • ただし65%は「大量解雇」ではなく「配置転換・再教育」を想定している
  • 最初に影響を受けるのは新人や若手の仕事だと指摘されている
  • 従業員の不安は急増し、「いきいき働けている」人は44%まで低下
  • 日本はKPMG調査で18%が「1年以内に人員削減」を計画、世界平均より高め

「AIに仕事を奪われるかも」と一度でも思ったことはありませんか。その不安が、ついに経営者の本音と一致しました。世界最大級の人事コンサル企業が約1万2千人に聞いたところ、経営層の99%が「これからAIで人員が減る」と答えたのです。この記事では、その数字の本当の意味と、私たちが今からできる備えをやさしく解説します。

調査の衝撃|経営層の99%が「AIで人員削減」

この調査は、人事コンサルの大手マーサー(Mercer)が2026年5月27日に発表した「グローバル・タレント・トレンド2026」というレポートです。

マーサーは世界中の組織や人事の課題を専門に扱う会社です。今回は約1万2千人に話を聞きました。

内訳は、経営トップ(CEOなど)825人、人事リーダー1,650人に加えて、投資家や一般の従業員も含まれます。

その結果、経営層の99%が「今後2年以内に、AIによって何らかの人員削減が起きる」と回答しました。ほぼ全員が同じ未来を見ている、という驚きの数字です。

さらに98%が「2年以内に組織の作り方そのものを変える」と答えています。会社の形が大きく変わろうとしているのです。

数字の裏側|本当は「大量解雇」ではない?

「99%」と聞くと、明日にもクビが飛ぶように感じます。でも、中身をよく見ると少し違います。

同じ調査で、経営層の65%は「従業員の11〜30%をAIに合わせて配置転換・再教育する」と答えています。

つまり多くの会社が考えているのは「人を切る」ことよりも「仕事を作り替える」ことです。同じ人に別の役割を担ってもらうイメージです。

ただし、楽観もできません。「人とAIをうまく組み合わせられている」と自信を持つ経営層は、わずか32%しかいませんでした。

やる気はあっても準備が追いついていない。これが2026年のリアルな姿です。

なぜ新人・若手が一番危ないのか

レポートが特に警鐘を鳴らすのが、新人や若手への影響です。

AIが最も得意なのは、決まった手順のシンプルな作業です。そして、その手のタスクはちょうど新入社員が任される仕事と重なります。

たとえば、大量の書類を1枚ずつ確認する、データを表に打ち込む、議事録を整える。こうした「下積み」の仕事から先にAIへ置き換わっていきます。

問題は、その下積みが本来「経験を積んで一人前になるための階段」だったことです。階段が消えると、若手が成長する機会まで失われかねません。

「入口の仕事が減る」ことは、数年後の中堅不足にもつながる。専門家はこの点を心配しています。

従業員の本音|広がる不安と燃え尽き

経営層の計画が進む一方で、現場で働く人の心はすり減っています。

「職場でいきいきと働けている」と答えた従業員は、2026年は44%まで落ち込みました。2024年の66%から大きく下がった数字です。

「AIで仕事を失うかもしれない」という不安も、2024年の28%から40%へと急増しました。

さらに62%の従業員が「経営者はAIの精神的なショックを軽く見ている」と感じています。数字を追う経営層と、不安を抱える現場の温度差が見えてきます。

一方で前向きな声もあります。63%の従業員が「給料が10%上がるよりも、AIスキルを学べる機会がほしい」と答えました。学んで生き残りたい、という意欲は強いのです。

他の調査と比べてどう違う?

「AIで雇用が変わる」という調査はマーサー以外にもあります。見比べると特徴がはっきりします。

  • マーサー(世界):経営層の99%が削減を予想。ただし主役は「再教育・配置転換」
  • KPMG(日本):日本の経営者の18%が「1年以内に人員削減」を計画。世界平均15%より高め
  • 東京商工リサーチ(日本):大企業の59.1%が生成AIを組織導入、46.7%が配置転換を検討

世界の調査は「再教育で乗り切る」という前向きさが目立ちます。一方、日本の調査は「導入は進むが配置転換に悩む」という慎重な空気が読み取れます。

同じ「AIと雇用」でも、国や調査によって温度感は違うのです。

日本市場への影響|あなたの会社は?

では、日本で働く私たちにはどう関係するのでしょうか。

KPMGの調査によると、日本の経営者の約80%が「AIを使いこなせるなら人員を減らしたい」と考えています。すぐの大量解雇は少なくても、本音では人員構成を見直したい経営者が多いのです。

日本には終身雇用の文化が残るため、欧米のような急な解雇は起きにくいと言われています。その代わり、「配置転換」や「リスキリング(学び直し)」という形で変化が進む可能性が高いでしょう。

政府もリスキリング支援に予算を投じています。会社員にとっては「学び直しの追い風」が吹いている時期とも言えます。

ある事務職の人を想像してみてください。これまで手作業だった請求書チェックがAIに置き換わったら、空いた時間で顧客対応や企画に回る。そんな役割の作り替えが、これから身近で起きていきます。

私たちはどう備える?

不安をあおる数字が並びましたが、打つ手はあります。レポートはむしろ「備えれば勝てる」と示しています。

会社側へのメッセージはシンプルです。「解雇の予算より、再教育の予算を先に確保せよ」。投資家の77%も「従業員のAI教育に投資する会社に投資したい」と答えています。

働く個人にできることは、AIに置き換わりにくい力を磨くことです。具体的には次のような分野です。

  • 人と人をつなぐコミュニケーションや交渉の力
  • 正解のない問題を考える企画力・判断力
  • AIに的確な指示を出し、結果を使いこなすスキル

AIを「敵」ではなく「道具」として味方につける。それが、これからの2年を生き抜くいちばんの近道です。

よくある質問(FAQ)

Q. 99%という数字は「99%の会社が解雇する」という意味ですか?
いいえ。正確には「経営層の99%が、何らかの人員削減が起きると予想している」という意味です。実際の計画は大量解雇よりも配置転換・再教育が中心です。

Q. この調査は誰が行ったのですか?
世界的な人事コンサル企業マーサーです。2026年5月27日に「グローバル・タレント・トレンド2026」として、約1万2千人を対象に発表しました。

Q. 日本でもすぐに人員削減が起きますか?
急な大量解雇は起きにくいと見られています。ただしKPMG調査では日本の経営者の18%が1年以内の削減を計画しており、配置転換やリスキリングの形で変化は進みそうです。

Q. 新人や若手は本当に不利なのですか?
AIは新人が任されがちな単純作業から先に置き換える傾向があります。だからこそ、早めにAIを使いこなすスキルを身につけることが大切です。

Q. 何を学べば生き残れますか?
コミュニケーション力、企画・判断力、そしてAIをうまく使う力の3つが有効とされています。多くの従業員も学び直しを強く望んでいます。

まとめ

  • マーサーの調査で、経営層の99%が2年以内のAI人員削減を予想
  • ただし65%は「大量解雇」より「配置転換・再教育」を計画
  • 最初に影響を受けるのは新人・若手の単純作業
  • 従業員の不安は急増、いきいき働ける人は44%まで低下
  • 日本は急な解雇より、リスキリングと配置転換で変化が進む見込み

まずは身近なAIツールを一つ触ってみて、「自分の仕事のどこを任せられるか」を考えるところから始めてみましょう。

参考文献

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