- 経営コンサルの倒産・廃業が2026年、過去最多ペースになっています
- 2026年1〜5月だけで242件が市場から退出しました
- ChatGPTなど生成AIが、リサーチや資料作りを肩代わりし始めたのが一因です
- 「補助金の申請代行」に頼るビジネスも、限界を迎えています
- それでも生き残るコンサルの特徴と、中小企業への影響がわかります
「コンサルタント」と聞くと、高いお給料をもらう花形の仕事を思い浮かべませんか。ところが今、その業界で倒産や廃業が急増しています。背景にあるのは、あなたも使っているかもしれない生成AIです。この記事を読むと、4兆円市場で何が起きているのか、そして私たちの仕事にどう関係するのかがわかります。
経営コンサルの倒産が「過去最多ペース」とは
まず、何が起きているのかを整理します。
信用調査会社の帝国データバンクが、2026年6月5日にある調査結果を発表しました。
経営コンサルティング業者の倒産・廃業が、過去最多のペースで増えているという内容です。
数字を見てみましょう。2026年の1月から5月までで、市場から退出した業者は合わせて242件にのぼりました。
内訳は、倒産(借金を返せなくなって事業をやめること)が74件です。休業や廃業、会社の解散が168件でした。
これは前の年の同じ時期にくらべて、12.8%も多い数です。
このペースが続くと、2026年の1年間で退出する業者は600件を超える見込みです。これは調査を始めた2000年以降でいちばん多い数になります。
ちなみに、日本の経営コンサル市場は2023年度で4兆円を超える大きさです。働く人も17万人ほどいます。その大きな業界で、静かに異変が起きているのです。
なぜコンサルが淘汰される?3つの理由
「頭のいい人たちの仕事なのに、なぜ?」と思うかもしれません。理由は主に3つあります。
理由1:生成AIがリサーチや資料作りを代替
いちばん大きいのが、生成AI(人間のように文章や資料を作れるAI)の進化です。
これまでコンサルタントの仕事の多くは、情報を集めて、分析して、きれいな資料にまとめることでした。
ところが今は、ChatGPTやGeminiに頼めば、その作業があっという間に終わってしまいます。
帝国データバンクは、こうした業務が「コモディティ化」したと指摘します。コモディティ化とは、誰でも安く手に入る当たり前のものになる、という意味です。
つまり、特別な強みのないコンサルほど、AIに置きかえられやすくなっているのです。
理由2:補助金頼みビジネスの崩壊
2つめは、「補助金の申請代行」というビジネスの行きづまりです。
近年、多くのコンサルがIT導入補助金などの申請を代わりに手伝うことで、お金をかせいでいました。
ところが、審査がきびしくなり、参入する業者も増えました。さらに、申請したい会社もひととおり申請を終えてしまいました。
その結果、この仕事だけでは食べていけなくなったのです。「補助金バブル」がはじけた、とも言われています。
理由3:優秀な人材ほど人件費が重い
3つめは、コスト面のジレンマ(板ばさみ)です。
コンサル会社にとって、いちばんの固定費は優秀なコンサルタントのお給料です。
売上が減ったからといって人件費を削ると、優秀な人が辞めてしまい、サービスの質が下がります。
かといって高い給料を払い続ければ、経営は苦しくなります。この出口の見えにくさが、廃業を後おししています。
具体的に何が起きている?身近なイメージ
言葉だけだとピンと来ないかもしれません。3つの場面で想像してみてください。
1つめは、小さなコンサル事務所のケースです。以前は、市場調査のレポート作成で1件30万円を受け取っていました。ところが顧客が「その程度ならChatGPTで自分で作れる」と気づき、依頼が止まってしまいました。
2つめは、補助金申請を専門にしていた業者です。1件あたり数十万円の手数料が主な収入でした。しかし審査が厳しくなり、通る割合が下がると、口コミも減って新規の相談が来なくなりました。
3つめは、大手をやめて独立したベテランです。腕はあるのに、若手がやっていた資料作りをAIが担うようになり、「自分でなくてもいい仕事」ばかりが値くずれしていきました。
どのケースも共通しているのは、「AIでもできる作業」で稼いでいた部分が、まっ先に消えたという点です。
生き残るコンサルと消えるコンサルの違い
では、コンサルはすべて不要になるのでしょうか。答えは「いいえ」です。淘汰と同時に、価値を高めている人もいます。
両者の違いを整理してみましょう。
- 消えやすいコンサル:リサーチ、資料作成、一般的な研修など、AIでも代われる「作業」が中心
- 生き残るコンサル:意思決定の支援、現場に入り込む伴走支援、変革の実行など「人にしかできない仕事」が中心
とくに注目されているのが「AIを自社業務に当てはめる設計者」という役割です。
中小企業の経営者が、どの業務にどのAIを使えばいいかを自分だけで見きわめるのは大変です。技術の移り変わりが速すぎるからです。
そこを整理し、道すじを描いてあげるコンサルは、むしろ引く手あまたになっています。
つまり、AIに仕事を奪われるのではなく、AIを味方につけられるかどうかが分かれ道になっているのです。
日本の中小企業への影響
この話は、コンサル業界だけの問題ではありません。日本の中小企業にも深く関わります。
ある調査では、政府機関の約9割がAIを導入している一方、民間企業の活用はわずか8.4%にとどまるとされています。この差は、人手不足に悩む中小企業にとって大きなチャンスです。
これまで「コンサルに頼まないとできない」と思われていた分析や資料作成が、自社のAIで安くできるようになりました。
一方で、注意も必要です。AIの答えをそのまま信じると、まちがった判断につながることもあります。
だからこそ、最終的に「どうするか」を決める人間の力や、現場を知る専門家の助言は、これまで以上に大切になります。
コンサルを「作業のため」ではなく「決断と実行のため」に使う。この見きわめが、これからの経営者に求められています。
よくある質問(FAQ)
Q1. コンサルタントという仕事はなくなるのですか?
すべてがなくなるわけではありません。AIでも代われる「作業」中心の仕事は減りますが、意思決定の支援や現場の伴走といった、人にしかできない仕事の価値はむしろ高まっています。
Q2. なぜ2026年に急に倒産が増えたのですか?
生成AIの性能が一気に上がったことと、補助金申請代行というビジネスが限界を迎えたことが重なったためです。2つの逆風が同時に吹いた形です。
Q3. 中小企業はもうコンサルに頼らなくていいのですか?
簡単な調査や資料作りは自社のAIでできる場面が増えました。ただし、経営の重要な決断や変革の実行では、専門家の助言が引き続き役立ちます。目的に応じた使い分けが大切です。
Q4. 生き残るコンサルを見分けるコツはありますか?
「AIでもできる作業」を売りにしていないかを見てください。自社にAIをどう取り入れるかを設計してくれる人や、実行まで一緒に走ってくれる人は、価値の高いパートナーになります。
まとめ
今回のポイントを振り返ります。
- 経営コンサルの倒産・廃業が2026年、過去最多ペースになっている
- 1〜5月だけで242件が退出し、年間600件超の見込み
- 原因は「生成AIによる作業の代替」と「補助金頼みビジネスの崩壊」
- 生き残るのは、意思決定支援やAI設計など人にしかできない仕事をする人
- 中小企業はAIを使いこなしつつ、決断のためにコンサルを使い分ける時代へ
まずは、あなたの身のまわりの仕事のうち「AIでもできる作業」と「人にしかできない仕事」を、一度書き出して整理してみましょう。

