- OpenAIが2026年8月に公開した利用実態レポート「From asking to doing」の中身がわかります
- 世界のメッセージは「質問49%・作業40%・表現11%」に分かれていることがわかります
- 日本では仕事中に「成果物をつくらせる」使い方が13.6%から32%へ跳ね上がることがわかります
- 35歳以上と新興国の伸びが、AIの主役を入れ替えつつある事実がわかります
- 総務省の調査と重ね合わせて、日本のAI活用の弱点と次の一手がわかります
あなたはChatGPTを「調べもの」に使っていますか、それとも「作業そのもの」を任せていますか。OpenAIが2026年8月に公開した最新レポートは、世界126カ国の実データでこの問いに答えを出しました。日本の数字もはっきり出ています。
OpenAIが公開した「From asking to doing」とは
2026年8月上旬、OpenAIが利用実態レポートを公開しました。
タイトルは「From asking to doing(質問から実行へ)」。副題は「世界はChatGPTをどう仕事に使っているか」です。
集計対象は2026年6月までのデータで、126カ国をカバーしています。個々のメッセージ(ChatGPTに送る1回の指示や質問)を分類して集計した、かなり大がかりな調査です。
ポイントは「誰が使っているか」だけでなく「何をさせているか」まで踏み込んだところ。つまり、AIブームの実態を語る一次データが出てきたということです。
ChatGPTの利用者は週あたり約9億人規模に達したと言われています。その巨大な母集団の中身が、初めて国ごとに見える形になりました。
「聞く」から「やらせる」へ:3分類の内訳
レポートはメッセージを3つに分類しています。
- Asking(質問)…調べる、教えてもらう。全体の49%
- Doing(実行)…文章を書く、計画を立てる、プログラムを組む。全体の40%
- Expressing(表現)…気持ちを書き出す、雑談する。全体の11%
注目すべきは真ん中のDoingです。ここには「成果物をつくらせる」使い方が集まっています。
そして世界全体で見ると、仕事中は仕事以外に比べてDoingの割合が2倍以上に跳ね上がります。職場に入った瞬間、人はAIを相談相手から実務担当者に切り替えているわけです。
Doingのうち、およそ3分の1が仕事関連の利用だと報告されています。AIエージェント(人の代わりに作業を進めるAI)という言葉が流行語で終わっていないことを、この数字が裏づけています。
日本の数字:仕事だと成果物づくりが2倍以上に
日本のデータはとくにわかりやすい形で出ました。
仕事以外の場面でのDoingは13.6%。プライベートでは、7割以上が「聞く」か「表現する」ために使っている計算になります。
ところが仕事中になると、Doingは32%まで上がります。実に2.4倍近い差です。
ある営業担当者の1日を想像してみてください。通勤中は「明日の天気は」「この駅からの行き方は」と聞くだけ。ところがオフィスに着いた途端、議事録の要約、提案書のたたき台、英文メールの下書きを次々と投げ始めます。この切り替わりが、そのまま13.6%と32%の差になっています。
もうひとつ、地味ですが重要な数字があります。日本は1人あたりのメッセージ数の国別順位で、2025年第4四半期から2026年第1四半期にかけて8つ順位を上げました。静かに、しかし確実に使用量が増えているということです。
使う人の顔ぶれが変わった
35歳以上が主役になりつつある
かつてChatGPTは若い人のツールでした。その構図が崩れています。
レポートによれば、35歳以上が送るメッセージの割合は1年前より約5ポイント上昇しました。
しかも、この傾向は一部の国に限りません。90%以上の国で35歳以上の利用が増えています。世界中で同じことが起きているのです。
管理職や経営層が自分の手でAIを触り始めた、と読み替えると腹落ちしやすいでしょう。
新興国の伸びが先行国に追いついてきた
地域別では、アフリカ・南アメリカ・オセアニアの伸びが目立ちます。
2026年第2四半期では、ペルー、ウルグアイ、コスタリカが国別ランキングで大きく順位を上げました。
先行していた欧米との差が、じわじわ縮まっています。スマホ1台とネット回線があれば同じAIが使える以上、これは自然な流れとも言えます。
画像のやりとりが一気に増えた
2026年4月にChatGPT Images 2.0が公開されて以降、画像を含む会話の割合が伸びました。
2026年6月時点で、世界全体のマルチメディア会話(画像などを含むやりとり)は7.8%です。
国別ではブラジルが11.1%、コロンビアが10.1%、メキシコが10%と高い水準。一方の日本は4.6%にとどまります。
文字中心で使う日本、画像も気軽に投げる中南米。同じサービスでも、使われ方の文化差がここに表れています。
他社の調査と比べてわかること
似た調査は他社も出しています。並べると立ち位置の違いが見えてきます。
- OpenAI「From asking to doing」…一般消費者を含む幅広い利用者が対象。質問49%・実行40%・表現11%と、用途が分散している
- Anthropic Economic Index…Claudeの利用分析。コーディングが約36%を占め、開発者寄りに偏っている
- 同レポートでは、人が主導して手伝わせる「拡張」が52%、丸ごと任せる「自動化」が45%と報告されています
つまり、ChatGPTは「みんなの実務ツール」、Claudeは「つくる人の道具」という色分けです。
ここが重要なのですが、両社のデータはそろって「AIに丸投げする使い方が伸びている」方向を指しています。会社を問わず、AIの役割が助言者から実行者へ移っているのです。
なお、月間の訪問数ではChatGPTが他を大きく引き離しており、Geminiが続き、Claudeは開発・企業用途で存在感を持つ、という構図が続いていると言われています。
日本の企業と個人にどう効くか
総務省の調査と重ねると、日本の課題がくっきり見えます。
情報通信白書によれば、日本の生成AI個人利用率は58.8%まで伸びました。前回調査から倍増です。
ただし米国とドイツは75.6%、中国は93.6%。まだ差は開いたままです。
差はさらに「使い込み」で広がります。ほぼ毎日使う人の割合は、米国47.9%に対して日本は29.9%。触ったことはあるが習慣にはなっていない人が多い、ということです。
ここでOpenAIのデータが効いてきます。仕事中のDoingが32%まで上がるなら、使用頻度を上げるいちばんの近道は「業務の中に置くこと」だと言えるからです。
たとえば、月末に数百件の請求書を目視で突き合わせている経理担当者。読み取りと差分チェックをAIに回すだけで、毎日触る理由が生まれます。
あるいは、週次の営業報告を毎回ゼロから書いている部門。テンプレートと過去データを渡して下書きを生成させれば、それは立派なDoingです。
逆に「便利そうだから各自使ってみて」で終わらせると、日本のプライベート利用と同じ13.6%の世界から抜け出せません。業務プロセスに組み込むかどうかが分かれ道になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. このレポートは誰でも読めますか?
はい。OpenAIの公式サイトで「From asking to doing」として公開されています。国別のデータも合わせて確認できます。
Q2. 個人のチャット内容が読まれているのではないですか?
レポートは個々の会話を人が読む形ではなく、メッセージを自動で分類して統計化する方法がとられています。公表されているのは国・年齢層といった集計値です。
Q3. 日本の4.6%という画像利用率は低すぎませんか?
ブラジルの11.1%と比べれば低い水準です。ただし日本はテキスト中心の業務利用が多く、これは遅れというより使い方の違いと見るのが自然です。
Q4. 中小企業がまず何から始めればいいですか?
毎週かならず発生する定型作業を1つ選び、そこだけAIに任せる形が現実的です。議事録要約や見積書の下書きなど、失敗しても取り返せる作業から始めるのが安全です。
Q5. 「質問から実行へ」の流れは今後も続きますか?
AIエージェント関連の機能追加が続いているため、Doingの比率はさらに上がると見られています。ただし業務データとの接続や社内ルールの整備が前提になります。
まとめ
- OpenAIが2026年8月、126カ国・2026年6月までのChatGPT利用実態レポートを公開した
- メッセージの内訳は質問49%・実行40%・表現11%で、仕事中は実行が2倍以上に増える
- 日本は仕事以外13.6%に対し、仕事中は32%と大きく跳ね上がる
- 35歳以上のシェアが約5ポイント上昇し、90%以上の国で高年齢層が伸びている
- 画像を含む会話は世界7.8%に対し日本4.6%で、テキスト中心の使い方が続く
- 日本の個人利用率は58.8%だが、毎日使う人は29.9%と定着はこれから
まずは自分の職場で毎週必ず発生する作業を1つ選び、今週中にAIへ任せてみてください。

