ChatGPTで書いた文章を、同じChatGPTでチェックしちゃダメ?「AIクロスチェック」のススメ

2体のAIロボットが原稿を見せ合い、片方が虫眼鏡でチェックしているイラスト

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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「ChatGPTで文章を書かせたあと、同じChatGPTに『おかしいところを直して』と頼んでいませんか?」

じつは、それではほとんど意味がないかもしれません。

AI同士には「自分では絶対に気づけないクセ」があります。今回は、ある実験で見つかったAIの盲点と、誰でもすぐ使える対策「AIクロスチェック」のやり方を、やさしく解説します。

この記事でわかること

  • 同じAIに書かせて同じAIにチェックさせると、なぜ意味がないのか
  • AIに共通する「気づけない3つのクセ」の正体
  • 誰でも今日から使える「AIクロスチェック」3ステップ
  • AI時代に、人間にしかできない仕事とは何か

「同じAIで書いて、同じAIでチェック」がなぜダメなのか

自分の声を録音しないと「クセ」に気づけないのと同じ

あなたは自分の話し方のクセを、はっきり言えますか?

「えーと」が多い、語尾が上がる、早口になる──。
ほとんどの人は、自分の声を録音して聞き直すまで気づきません。なぜなら、自分の耳には自分の声が「ふつう」だからです。

AIもまったく同じです。ChatGPTやClaudeなどの大きなAI(LLM = 文章を書けるAI)は、それぞれ独自の「クセ」を持っています。でも、そのクセは同じAIには「ふつう」に見えてしまうのです。

AIには「自分では見えない盲点」がある

つまり、ChatGPTで書いた文章をChatGPTにチェックさせても、自分のクセはスルーされます。Claudeで書いた文章をClaudeに読ませても同じです。

これは「AIが手抜きしている」のではありません。構造的に見えないのです。
鏡なしで自分の背中を見ようとするくらい、無理な話なのです。

実験:Codexに小説を3作書かせて、Claudeに読ませてみた

この問題を実際に試した実験があります。
OpenAIの「Codex」(コードや文章を書くのが得意なAI)に短編小説を3作書かせ、別のAI「Claude Opus」(読解と批評が得意なAI)にレビューさせる、というものです。

1作だけ → どのチェック項目も満点

まず、1作だけClaudeに見せました。結果は、5つのチェック項目すべてで「最高評価(S評価)」。
つまり、1作だけだと「とてもよく書けています」で終わってしまったのです。

3作並べて読ませた → 一気にクセが暴かれた

ところが、3作を並べてClaudeに読ませた瞬間、評価がガラッと変わりました。
「この作者、毎回まったく同じ言い回しを使っていますね」「結末のパターンが3作とも同じです」と、一気にクセを指摘し始めたのです。

1作だけでは見えない。でも、並べると見える。
これは人間が文章を読むときも同じ感覚に近いですよね。

AIが気づけない「3つのクセ」

実験で発見されたCodexのクセは、わかりやすく言うとこの3つでした。

クセ1: 同じ言い回しの繰り返し

「AはBではない、Cだ」というパターンの文章が、3作とも異常な頻度で出てきました。
人間の作家ならまず気づく繰り返しですが、AIは自分のクセだから気づきません。

クセ2: 結末がいつも同じ感情で終わる

3作とも、最後はだいたい同じテンションの感情で締めくくられていました。
「希望」とか「決意」とか、感動的に着地するパターンが、毎回同じ温度感だったのです。

クセ3: なんでも「3つの具体例」でまとめる

専門知識を説明するときも、必ず「3つの具体例」というパターンに収まっていました。
キレイにまとまっているように見えて、じつは思考のテンプレートが固定化されているサインです。

こういう「型」は、ChatGPTにも、Claudeにも、Geminiにも、それぞれ別の形で存在します。
だから「自分のAIだけは大丈夫」とは絶対に言えないのです。

あなたの仕事に使える「AIクロスチェック」3ステップ

ここからが本題です。この問題を防ぐ方法は、じつはとてもシンプル。
「書くAI」と「チェックするAI」を、必ず別のAIにする。これだけです。

具体的には、こんな3ステップでやってみてください。

ステップ1:書く担当のAIを決める
たとえば、ふだんChatGPTで文章を書いているなら、それでOKです。

ステップ2:チェックは別のAIに頼む
書き終わったら、Claudeや、Geminiなど別系統のAIに読ませます。
「この文章のクセ、繰り返しているパターン、不自然な部分を指摘してください」と頼むと効果的です。

ステップ3:「並べて読んで」と頼む
特に複数の記事や提案書を作っているなら、3本まとめて別AIに読ませましょう。
1本ずつでは見えないクセが、並べた瞬間に浮き上がります。

たったこれだけで、あなたの文章の質が一段上がります。
ちなみに、ブログ・メルマガ・企画書・SNS投稿など、どんな文章にも使えるテクニックです。

「どのAIに何をさせるか」が、これからの人間の仕事

ここで覚えておきたいのは、AIが進化してもこのクセはなくならないということです。
むしろ、賢くなるほど「自然に見える型」が固定化されていきます。

だからこそ、これからの人間の仕事はこう変わります。

  • 「自分の代わりにAIに何かをやらせる」だけではない
  • どのAIに何をやらせて、別のどのAIにチェックさせるか」を設計する

AIを1つだけ使う人と、複数のAIを組み合わせて使う人とでは、これからアウトプットの質に大きな差が出てきます。
AIは「便利な道具」ではなく、「役割の違うチームメンバー」だと考えるのがコツです。

まとめ

  • 同じAIで書いて同じAIでチェックしても、クセは絶対に見つからない
  • AIには「自分では気づけない3つのクセ」がある(同じ言い回し・同じ感情の結末・3つでまとめる型)
  • 対策はシンプル。「書くAI」と「チェックするAI」を別にする
  • 特に効果的なのは「複数の文章をまとめて別AIに読ませる」こと
  • これからの人間の役割は「どのAIに何を任せるか」を設計すること

今日から、ChatGPTで書いたものはClaudeで、Claudeで書いたものはGeminiで──。
ぜひ「AIクロスチェック」を試してみてください。あなたの文章は、きっと変わります。

参考リンク

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