Claude Codeが6月に再拡張|GB200投入の中身を解説

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • AnthropicがSpaceXのColossus II(メンフィス)にGB200を6月中に追加投入
  • 5月6日に倍増したClaude Codeのレート制限が、さらに緩む見通し
  • GB200はBlackwell Ultra世代で、推論性能が前世代比で大きく向上
  • 契約は2029年5月まで月12.5億ドル、総額約450億円相当の長期供給
  • 日本の開発者はピーク時間の制限撤廃と5時間枠の倍増を既に体感中

Claude Codeを毎日触っている人なら、「あと少しコードを書きたいのにレート制限に当たった」経験があるはずです。

2026年5月21日、Anthropic会長のDaniela Amodei氏が「6月を通じてColossus IIのGB200容量を増やす」と発表しました。これは5月初旬のレート制限倍増に続く、第二弾の大型供給増です。

本記事では何が起きているのか、開発者にとって何が変わるのかを整理します。

Anthropicが発表したColossus II拡張とは

Daniela Amodei氏のX投稿が出発点

2026年5月21日、Anthropic会長のDaniela Amodei氏がXに投稿しました。

内容は「SpaceXとの提携を拡大し、6月を通じてColossus IIでGB200の容量をスケールアップする」というもの。

同じ日、SpaceXが米国証券取引委員会に提出したS-1書類で、xAIとSpaceXの統合や巨額のAI関連契約が明るみに出ました。Anthropicの今回の発表は、その流れと連動した動きです。

Colossus IIってどんな施設?

Colossus IIは、SpaceX傘下のxAIが米国テネシー州メンフィスに建設した第2のスーパーコンピューター施設です。

2026年1月に稼働を開始し、第1施設のColossus Iと合わせて220,000基以上のNVIDIA GPUを保有しています。総電力容量は1ギガワット超。

ちなみにColossus Iは2025年に稼働を始めた施設で、H100やH200といった旧世代GPUが中心でした。今回、Colossus IIに新世代のGB200が大量導入されます。

NVIDIA GB200(Blackwell Ultra)の実力

前世代H100からの性能アップ

GB200は、NVIDIAが2025年から出荷を本格化させたBlackwell Ultra世代のGPUです。

前世代のH100と比べて、トレーニング・推論ともに性能が大幅に向上しています。とくに大規模言語モデル(LLM、人間みたいに文章を書けるAI)の推論では、メモリ帯域と演算性能の両方が効いて、応答速度の改善につながります。

つまりGB200が増えるほど、Claudeの返事が速く・たくさん返ってくるようになる、というわけです。

ラックシステム「NVL72」のスケール

GB200は単独で使うのではなく、NVL72と呼ばれるラックに72基まとめて搭載して使うのが一般的です。

1ラックで1.4エクサフロップス(FP4精度)のAI性能を発揮します。これは10年前のスーパーコンピューター上位機の数倍に相当するスケールです。

Colossus IIにこれが何ラックも追加されるイメージを持つと、6月の容量増加のインパクトが伝わりやすいかもしれません。

Claude Codeユーザーへの直接的な影響

5月6日に既に倍増した5時間枠

2026年5月6日、AnthropicはClaude Codeの5時間ローリング制限を倍増しました。対象はPro・Max・Team・座席制Enterpriseの各プランです。

同時にPro・Maxのピーク時間帯(米国の業務時間)のスロットリング(速度制限)も撤廃されました。日本時間で夜中に動かしていた人も、昼間に普通に動かせるようになっています。

6月の拡張で何が起きる?

5月6日の倍増は「Colossus Iフル稼働」が前提でした。今回のColossus II拡張は、その上にGB200分の追加容量を積み上げる形になります。

Anthropicは具体的な数値目標を公表していません。ただし、5月13日からは週次上限を50%引き上げる期間限定キャンペーンを7月13日まで実施中。6月の容量増加でこれを恒久化できるかが注目されています。

過去のパターンから推測すると、6月末から7月にかけて「制限緩和の第二弾」が告知される可能性が高いです。

契約規模|月12.5億ドルの長期コミット

2029年5月まで総額450億ドル

Axiosの報道によると、AnthropicがSpaceXに支払う金額は月12.5億ドル(日本円で約1,900億円)。契約は2029年5月までの約3年契約で、総額はおよそ450億ドル(約7兆円)にのぼります。

これはAnthropicがGoogleやAWSと結んでいる既存の計算リソース契約に上乗せされる形です。

なぜここまで巨額の投資をするのか

背景には、Claude API・Claude Code・Claude.aiの利用が想定を上回るペースで伸びていることがあります。とくにエンタープライズ契約は四半期ごとに大型化しており、KPMGの27.6万人導入のような数万人規模の案件が積み上がっています。

需要が伸びるほど計算リソースが足りなくなる。だから供給側を一気に固めにきた、というのが今回の動きの本質です。

他社のAIコーディングツールとの比較

Cursor・GitHub Copilotとの位置づけ

AIコーディングの分野で、Claude Codeの主な競合は次の2つです。

  • Cursor: VS Codeベースのエディタ。月20ドル。Composer機能でマルチファイル編集が得意
  • GitHub Copilot: マイクロソフト傘下のIDE拡張。月10ドル。あらゆるエディタで動作

これに対しClaude Codeは、ターミナル(CLI)から動くエージェント型という独自路線です。月20ドルからで、上位プランのMaxは月100ドルまたは200ドル。

レート制限の体感差はどこに出る?

Cursorは独自の計算リソースをあまり持たず、複数のLLMプロバイダ(Anthropic、OpenAI、Google)に依存しています。そのため特定モデルの制限緩和の恩恵を受けにくい構造です。

GitHub Copilotは自前のサーバー基盤を持ちますが、基本はコード補完中心で、長時間の自律エージェント用途は得意ではありません。

つまり「ターミナルで長時間エージェントを走らせる」というユースケースに限れば、Claude Codeのレート制限緩和はそのままユーザー体験の差として効いてくる、という構図です。

日本市場・日本人開発者への影響

時差の問題が消える

これまで日本人がClaude Codeをヘビーに使うとき、米国の業務時間帯(日本時間の夜〜深夜)にピーク制限がかかるのが悩みでした。

5月6日のピーク制限撤廃で、この問題はすでに解消されています。6月のGB200増強で、さらに「夜中に動かさないと枠が足りない」という事情がなくなります。

国内のAI開発インフラへのプレッシャー

一方で、海外勢のインフラ投資ペースは国内クラウド事業者にとって大きな課題です。さくらインターネットや国産GPUクラウドは、ハイパースケーラーとは異なる「主権AI」「セキュリティ」の軸で勝負していますが、純粋な計算リソース供給では大きな差が開いています。

日本企業がClaude Codeを業務利用する場合、「米国のGPUを使う」という前提を受け入れたうえで、データの扱いをガバナンスでカバーするのが現実解になっています。

よくある質問(FAQ)

Q1. Claude Codeの無料プランでも恩恵を受けられますか?

A. 今回の制限緩和はPro・Max・Team・Enterpriseが対象です。無料プラン(claude.aiの無料枠)には直接の変更はありません。本格的に使うなら月20ドルのProプランへのアップグレードが必要です。

Q2. 既存ユーザーは何もしなくていい?

A. はい、追加の手続きは不要です。アプリやCLIを最新版に更新しておけば、サーバー側で自動的に新しい制限が適用されます。

Q3. 週次制限はどうなる?

A. 週次キャップは恒久的には変わっていません。ただし2026年5月13日から7月13日まで、全プランで週次上限が50%引き上げられる期間限定キャンペーンが実施中です。6月のGB200稼働後に恒久化されるかは未発表です。

Q4. SpaceXとAnthropicは「軌道上データセンター」も計画している?

A. はい、両社は多ギガワット規模の軌道上AI計算施設の構築可能性を共同で探っています。太陽光発電と宇宙の真空による冷却を活用する構想です。実現時期は未定ですが、長期戦略として位置づけられています。

Q5. GB200とGB300の違いは?

A. GB300(Blackwell Ultra)はGB200の上位版で、SM数が144→160、HBMメモリが192GB→288GBに増えています。NVFP4精度で15ペタフロップスと、GB200比で約50%の性能向上です。Colossus IIはまずGB200が中心ですが、将来GB300への移行も視野に入っているとみられます。

まとめ

  • Anthropicが6月を通じてColossus IIにGB200を追加投入
  • Claude Codeのレート制限はさらに緩和される見通し
  • 契約は2029年5月まで月12.5億ドル、総額450億ドル相当
  • ターミナル型エージェントの優位性が、計算リソース面でも強化される
  • 日本人開発者はピーク制限撤廃で時差の悩みから解放されつつある

次のアクション: Claude Code Proを未利用なら、6月の容量増加前に試しておくのがおすすめです。週次キャンペーン中の今が、サブスク試用のベストタイミングです。

参考文献

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