「歩ける動画」生成AI登場|アリババHappyOyster

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • アリババが2026年6月17日、世界生成AI「HappyOyster 1.0」を公開しました
  • テキストで指示した世界が、その場でリアルタイムに作られます
  • WASDキーで動画の中をゲームのように自由に歩けます
  • 「散策モード」と「監督モード」の2つの使い方があります
  • 7月17日まで無料で使え、毎日クレジットがもらえます

「動画の中を、自分で歩き回れたらいいのに」と思ったことはありませんか。アリババが公開したHappyOyster(ハッピーオイスター)1.0は、その願いを現実にするAIです。テキストで指示するだけで世界がその場で生まれ、ゲームのように動き回れます。この記事では、何ができるのか、どう使うのか、競合との違いまで、やさしく解説します。

HappyOyster 1.0とは?歩ける動画を作るAI

HappyOyster 1.0は、アリババが2026年6月17日に公開した「世界生成AI」です。

世界生成AIは、ワールドモデルとも呼ばれます。文章や画像から、立体的な空間をまるごと作り出すAIのことです。

たとえば「メイドさんが路地裏を歩くシーン」と入力します。すると、その路地裏の世界がその場で生まれます。

すごいのは、できあがった世界の中を自分で歩き回れる点です。キーボードのWASDキーで前後左右に移動できます。ジャンプや攻撃もできます。

つまり、ただ眺めるだけの動画ではありません。ゲームのように操作できる、生きた世界なのです。

「散策モード」と「監督モード」の2つの使い方

HappyOysterには、目的に合わせた2つのモードがあります。

散策モード(Wandering):世界を自由に探検する

散策モードは、生まれた世界を一人称視点で自由に探検するモードです。

WASDキーで歩いたり、走ったりできます。スケートやパルクール(壁や障害物を乗り越える動き)のようなアクションも楽しめます。

テキストだけでなく、画像を渡して「この風景から始めて」と指示することもできます。

監督モード(Directing):物語を演出する

監督モードは、まるで映画監督のように物語やカメラを操るモードです。

最大3分間の連続した映像を、720pの画質で生成できます。途中でカメラの角度を変えたり、キャラクターに指示を出したりできます。

文字だけでなく、音声や画像でも指示が出せます。「ここで主人公が振り返る」といった演出を、その場で加えられるのです。

従来の動画生成AIと何が違う?

これまでの動画生成AIは、一方通行でした。プロンプト(指示文)を書いて、待って、動画を受け取る。その流れが基本です。

できあがった動画が気に入らなければ、また最初から作り直しでした。

HappyOysterは、ここが決定的に違います。生成している途中でも指示を受け付けるのです。

あなたが「右に曲がりたい」と操作すれば、世界はその場で反応します。リアルタイムに変化し続けます。

イメージしてみてください。これまでは完成した1本の動画を渡されていました。HappyOysterは、いつでも入り込んで動かせる「箱庭」を渡してくれるようなものです。

この変化は、AIが「コンテンツを作る道具」から「世界をまるごとシミュレーションする道具」へ進化したことを意味します。

競合との比較:世界生成AIの主役たち

2026年は「世界モデル元年」とも呼ばれ、世界中の企業が開発を競っています。主要なライバルと比べてみましょう。

  • Google DeepMind「Genie 3」:24fpsのなめらかな世界をリアルタイム生成します。米国の上位会員に先行公開されています。
  • World Labs「Marble」:AI研究者フェイフェイ・リー氏の会社が開発。作った3D空間をダウンロードして保存できるのが特徴です。無料〜月95ドルで使えます。
  • NVIDIA「Cosmos」:ロボットや自動運転の訓練向け。2,000万時間の実世界データで学習しています。

HappyOysterの強みは、「その場で歩いて操作できる」リアルタイム性です。Marbleが「保存できる空間」なら、HappyOysterは「今すぐ遊べる空間」と言えます。

アリババには、すでに高評価の動画AI「HappyHorse」もあります。これら兄弟サービスと連携できる点も、大きな武器です。

料金は?無料で使えるの?

うれしいことに、HappyOyster 1.0は記事公開時点で無料で使えます

初めてサインインすると、1,000クレジットがもらえます。クレジットは生成のたびに消費される仕組みです。

さらに2026年7月17日までは、毎日無料のクレジットが配布されます。気軽に試せる期間というわけです。

ただし、現時点では課題もあります。「キャラクターの顔がだんだん変化してしまう」「操作に数秒のラグがある」といった指摘も出ています。発展途上の技術である点は頭に入れておきましょう。

日本のユーザー・企業への影響は?

このAIは、日本のクリエイターやビジネスにも関係してきます。

まずゲーム業界です。新しいゲームの世界観を試作する「プロトタイプ作り」が、一気に速くなります。アイデアをその場で歩いて確かめられるからです。

次に映像・広告制作です。ある映像クリエイターが、CMの構図を探す場面を考えてみましょう。これまでは何度もレンダリング(描画処理)を待っていました。HappyOysterなら、世界の中を歩いて最適なカメラ位置を即座に探せます。

個人クリエイターにも追い風です。VTuberの背景づくりや、SNS向けのショート動画の素材集めにも使えそうです。

一方で注意点もあります。中国企業のサービスのため、商用利用の規約やデータの扱いは、各自でよく確認する必要があります。

よくある質問(FAQ)

Q1. プログラミングの知識がなくても使えますか?
はい。テキストや画像で指示するだけなので、専門知識は不要です。WASDキーの操作はゲーム感覚で覚えられます。

Q2. 日本語で指示できますか?
マルチモーダル入力に対応していますが、日本語の精度は今後の検証が必要です。英語での指示がより安定する可能性があります。

Q3. 作った動画は保存できますか?
はい。セッション(操作している時間)が終わったあと、操作した内容を動画としてダウンロードできます。

Q4. どんな人におすすめですか?
ゲーム開発者、映像クリエイター、新しいAIを試したい人におすすめです。無料期間中に触ってみる価値があります。

Q5. 商用利用はできますか?
利用規約の確認が必要です。特に仕事で使う場合は、最新の規約を必ずチェックしてください。

まとめ

HappyOyster 1.0のポイントを振り返ります。

  • アリババが公開した、世界をその場で生む生成AIです
  • WASDキーで、動画の中をゲームのように歩けます
  • 「散策モード」と「監督モード」の2つが使えます
  • 従来と違い、生成の途中でも指示を受け付けます
  • 7月17日まで無料で、毎日クレジットがもらえます

AIは「動画を作る」段階から「世界を体験させる」段階へ進みました。まずは無料期間のうちに、自分だけの世界を歩いてみてはいかがでしょうか。

参考文献

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