ChatGPT訪問が年600億増|AIが変えるネットの今

伊東雄歩
監修者 伊東 雄歩

株式会社ウォーカー CEO。東北大学卒。MENSA会員、JDLA認定講師、健全AI教育協会理事。生成AI×教育・学習科学を専門とし、2億円超のシステム開発プロジェクトを統括。

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  • Sensor Towerが2026年5月21日にレポート「State of Web 2026」を公開しました
  • AIアシスタントへの訪問は前年比86%増で、ネットで最も急成長した分野になりました
  • ChatGPTは1年で600億訪問を追加し、世界6番目に人気のサイトになりました
  • スマホが2026年1〜3月、初めてネット訪問の過半数を占めました
  • AIトラフィックはまだ全体の1%未満ですが、買い物や旅行予約をすでに動かしています

「調べものをするとき、Googleで検索する前に、ついChatGPTに聞いてしまう」。そんな経験はありませんか? 実は、世界中で同じことが起きています。アプリ分析の大手Sensor Towerが、その変化を数字ではっきり示したレポートを公開しました。AIがインターネットの形を、静かに、でも確実に変え始めています。

Sensor Towerが公開した「2026年版ウェブ市場年鑑」とは

2026年5月21日、Sensor Tower(センサータワー)が新しいレポートを公開しました。

名前は「State of Web 2026(ステート・オブ・ウェブ 2026)」です。日本語にすると「2026年版ウェブ市場年鑑」になります。

Sensor Towerは、アプリやウェブサイトの利用状況を分析する会社です。世界中のスマホアプリやサイトが、どれくらい使われているかを調べています。

今回のレポートのテーマは、ひとつです。「AIがインターネットの構造をどう作り変えているか」

検索エンジン、SNS、ネット通販(EC)。この3つの「入り口」が、AIの登場でどう変わったのか。それを、実際の行動データで明らかにしました。

「年鑑」と聞くと難しそうに感じるかもしれません。でも中身は、私たちが毎日使うネットの「今」を1枚に写した写真のようなものです。

AIアシスタントの訪問が前年比86%急増

レポートでいちばん目立つ数字を紹介します。

AIアシスタントへの訪問数は、前年に比べて86%も増えました。2025年に、ネットのすべてのカテゴリの中で最も急成長した分野です。

AIアシスタントとは、ChatGPTやGeminiのように、質問すると文章で答えてくれるサービスのことです。

訪問数だけではありません。利用時間も101%増えました。つまり1年で2倍以上です。

人々はAIに、より頻繁にアクセスし、より長く向き合うようになったのです。

ChatGPTは1年で600億訪問を追加

中でもChatGPTの伸びは、けた違いでした。

ChatGPTは1年間で、600億回もの訪問を新たに積み上げました。その結果、世界で6番目に訪問数の多いサイトになりました。

600億という数字は、想像しにくいかもしれません。世界の人口を約80億人とすると、1人あたり7回以上アクセスした計算になります。

伸びているのはChatGPTだけではありません。Gemini(グーグル)、Claude(アンソロピック)、DeepSeek(ディープシーク)、Grok(グロック)も、急成長したサイトの上位に並びました。

アメリカでは、AIアシスタントを使う人の関わりの深さが、2024年の初めから3倍以上に増えています。

検索とSNSは「時間」を奪われ始めた

一方で、これまでネットの主役だったサービスには、変化の兆しが見えます。

2025年、SNSの利用時間は1%減りました。ブラウザと検索エンジンの利用時間は、7%も減っています。

検索とSNSは、今も巨大です。2025年だけで、合わせて2.4兆回以上の訪問を集めました。ネットの「2大入り口」であることは変わりません。

でも、人々が画面に向かう「時間」は、少しずつAIへ流れ始めています。主役の交代が、静かに始まっているのかもしれません。

スマホがついにパソコンを訪問数で抜いた

レポートには、もうひとつ大きな変化が記録されています。

2025年、ネットへの訪問のうち47.6%がスマホからでした。そして2026年の1〜3月、初めてスマホが訪問数の過半数(50%超)を占めました

ついにスマホが、パソコンを訪問数で追い抜いたのです。

ただし、おもしろい点があります。「利用時間」で見ると、デスクトップ(パソコン)が今も全体の70%以上を占めています。

これは何を意味するのでしょうか。スマホは「ちょっと調べる」「サッと見る」のに使われます。パソコンは「じっくり作業する」「長く読む」のに使われます。

訪問の回数はスマホ、向き合う時間はパソコン。役割が、はっきり分かれてきたのです。

AIはもう「買い物」を動かしている

AIの影響は、調べものだけにとどまりません。

レポートによると、AI経由のネットトラフィックは、まだ全体の1%未満です。割合だけ見ると、小さく感じます。

でも、買い物の現場では、すでにはっきりした効果が出ています。

旅行を計画する場面を想像してみてください。以前なら、検索サイトでホテルを1軒ずつ見比べていました。今は「3泊4日の沖縄、家族向けでおすすめは?」とAIに聞く人が増えています。

実際、大手の旅行予約サービスへのAI経由の訪問は、2024年の1〜3月で約100万回でした。それが2026年の同じ時期には、約300万回まで増えています。2年で約3倍です。

ネット通販でも同じです。Amazonには「Rufus(ルーファス)」というAI接客機能があります。質問すると、商品選びを手伝ってくれる仕組みです。

Rufusを使って買い物をした人は、使わなかった人に比べて、約2倍の確率で実際に購入しています

AIに相談しながら選ぶと、納得して買える。そんな買い物のスタイルが、もう始まっているのです。

似たサービスとの違いは? Similarweb・Comscoreと比較

ウェブやアプリの利用状況を調べる会社は、Sensor Towerだけではありません。代表的な競合と比べてみます。

  • Similarweb(シミラーウェブ):10年以上、ウェブ分析の分野をリードしてきた会社です。2024年に別の会社を買収し、400万以上のアプリと1億のサイトをカバーしています。市場分析の深さに定評があります。
  • Comscore(コムスコア):訪問者の傾向を分析する老舗です。ただし、集められるデータの種類は他社より限られていると言われています。
  • Sensor Tower:もともとはスマホアプリの分析に強い会社です。今回、ウェブとAI時代の消費者行動も追える機能を強化しました。

3社の違いを、ひとことで言うとこうなります。

Similarwebは「ウェブ全体を広く深く」、Comscoreは「視聴者の傾向を堅実に」、Sensor Towerは「アプリの強みを生かしつつAI時代へ」。

今回のレポートが注目されたのは、AIの影響を「行動データ」で具体的に示したからです。予想や意見ではなく、実際の訪問数で語った点に価値があります。

日本のユーザーと企業にとって何が変わる?

このレポートは海外のデータが中心です。でも、日本も同じ波の中にいます。

日本でも、AI検索を使う人が急に増えています。ある調査では、AI検索の利用率が8か月で3.5倍に伸びました。

GoogleのAIモードは、2025年9月に日本へ登場しました。それから約2か月で、利用率が大きく伸びています。

OpenAIの動きも見逃せません。2026年5月7日、ChatGPTに広告を出す試みを、日本を含む5か国に広げると発表しました。日本は、AIと広告が交わる最前線になりつつあります。

では、日本の企業や個人にとって、何が大事になるのでしょうか。

ポイントは「AIに選ばれること」です。

これまでは、Googleの検索結果で上位に出ることが重要でした。これからは、ChatGPTやGeminiが答えを作るとき、自社の情報を引用してもらえるかが問われます。

ある中小企業のWeb担当者を考えてみましょう。毎朝アクセス解析を開き、検索からの訪問者数を確認しています。その数字が、今後じわじわ減るかもしれません。

でも、落ち込む必要はありません。検索が消えるわけではないからです。AIという「新しい入り口」が1つ増えた、と考えるのが正しい見方です。

大切なのは、正確でわかりやすい情報を発信し続けることです。それはGoogle対策でも、AI対策でも、変わらない基本です。

よくある質問(FAQ)

Q1. State of Web 2026は誰でも読めますか?

Sensor Towerの公式サイトでレポートが公開されています。要点をまとめたブログ記事は、無料で読むことができます。

Q2. AIが増えると、Google検索はなくなりますか?

すぐになくなることはありません。検索とSNSは今も合計2.4兆回以上の訪問を集めています。ただし利用時間は少しずつ減っており、AIと役割を分け合う方向に進んでいます。

Q3. なぜAIトラフィックは1%未満なのに重要なのですか?

割合は小さくても、伸び方が極端に速いからです。前年比86%増という速度は、数年で景色を一変させる可能性があります。買い物への影響も、すでに数字に表れています。

Q4. 日本の個人ブログや中小企業は、何をすればいいですか?

AIに引用されやすい、正確でわかりやすい情報を発信することです。具体的な数字や一次情報を載せると、AIにも読者にも信頼されやすくなります。

Q5. スマホとパソコン、どちらに力を入れるべきですか?

両方です。訪問の入り口はスマホが過半数になりました。一方で、じっくり読まれる時間はパソコンが中心です。短く読める導入と、深く読める本文の両立が大切です。

まとめ

今回のポイントを振り返ります。

  • Sensor Towerが2026年5月21日、「State of Web 2026」を公開した
  • AIアシスタントの訪問は前年比86%増で、ネットで最も急成長した分野になった
  • ChatGPTは1年で600億訪問を追加し、世界6位の人気サイトになった
  • スマホが2026年1〜3月、初めてネット訪問の過半数を占めた
  • AIトラフィックはまだ1%未満だが、旅行予約や買い物をすでに動かしている
  • 日本でもAI検索の利用が急増し、「AIに選ばれること」が新しい課題になった

次のアクションは、ひとつです。自分がよく使うサービスを、AIに聞いてから選んでいないか、今日の行動を振り返ってみてください。その小さな習慣の変化こそ、レポートが示す大きな流れの正体です。

参考文献

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